• 検索結果がありません。

多項式の実根の数え上げ

ドキュメント内 代数曲線と半代数的集合の幾何学 (ページ 42-47)

2.1 スツルム(Strum)の定理

 半代数的集合の諸性質を述べる前段階として,今後議論を進めるにあたり,必要となる スツルムの定理を先に述べる.この節では,Pは定数でない一変数実多項式とする.

2.1.1 Pが重根を持たない場合

 Pが重根を持たないため,Pとその導関数P の最大共通因子は1である.ここで,次 の方法で多項式列を構成する:

 片=P,P1:P とする.4〉Oに対して,月と月_1にユークリッドの互除法を用いて,

出た余りを(一1)倍したものを片十1とする・つまり,片十1,片の次数deg(片十1)〈deg(片)

となる間,

       月一1こ月Qに月十1

が成り立つようにする.この操作をOでない定数PKが現れるまで行う.

 上記のPo,P1,…,みをPとP のスツルム列という1α∈RをPの根でないとする.

このとき,列片(α),P1(α),… ,PK(α)の符号変化が起きた回数をむ(α)と表すことにする.

側2.1P(X):X3_3X+1とする.このとき,PとP のスツルム列は,

       9        (X3−3X+1,3×2−3,2X−1,一)

       4 となる.α=1として計算すると,

      9       (一1,O,1,一)

      4

が与えられ,符号が変化したのは一回であるため,U(1)=1となる、途中Oが現れるが,

符号変化の回数としては無視する.

 以上のことより,次が考察される.

定理2.2スツルムの定理 α,わ∈R(α〈b)とし,α,bともにPの根でないとする.開区 間(α,ろ)におけるPの根の個数は,

       Up(α)一りρ(b)

と等しい.

証明 πがスツルム列に現れる多項式の解Cを通るときに,ωp(π)がどのように変化するか を考える.

・CがPの根のとき,片とP1の符号は次のようになる:

c

pO

一〇十

p1

十十十

0r

c

p0

十〇 一

P1

  ■

。         

どちらの場合でも,ηρ( )を1小さくしている.

・cが月(0〈4<K)の根のとき,月_1(c)=月十1(c)≠Oとなる.よって,列月_1(π),

月(π),B+!( )において,ωp( )は変わらず,りρ( )=1のままである.

 以上のことより,定理が成り立つことがわかる.       口

2.1.2 Pが重根を持つ場合

 定理2.2の証明は,列Po、… ,PKが次の性質を満たすことに依存した:

性質1.P=Poで,PKはOでない定数である.

性質21cがPoの根であるとき,積PoP1はある開区間(c_6,c)において負となり,ある   開区間(C,C+ε)において正となる.

性質3.cが月(O<壱<K)の根のとき,月_ユ(c)月十1(c)く0となる.

 」Pが重根を持つと仮定し,上の性質を満たす列昂=P,P1=P ,_,Pκを構成する.

このとき,Pκは定数でなく,PとP の最大共通因子となる.ここで列

      片 p1  Pκ_ユ

       一 一      1        pK,PK,  ,PK ,

を考える.

 この列は,Pと同じ解を持つ多項式母に対し,上の3つの性質を満たす.さらに,P

の解でないαに対し,列月。(α),…,Pκ(α)の符号変化の数ηρ(α)は,明らかに列

       po(α) PK−1(α)

       1

       pκ(αプ  PK(α)

の符号変化の個数と同じとなる.

 よって,次の定理が成り立つ.

定理2.3Pが重根を持っている場合でもスツルムの定理は成り立つ。また,りρ(α)_Uρ(6)

は,開区間(α,6)におけるPの異なる根の個数と等しくなる・

ここで,次の命題を示す.

命題2.4P(X)=αoXd+・

そのとき,

.. ¥αd_1X+αd(αo≠O)とし,c∈Cで,cはPの板とする.

        αゼユ    1・1≦m・・ld−l1

     {=1,…,d αO

が成り立っ1 証明

       α毒ユ

      〃=ma・ld−ll

      {=!,…,d αO

とし,z∈Cで,lzl〉M一となるとする・乞=1,…,dに対し,

       1αoll・1{

       1α11<

      d

が成り立つ.よって,P(z)=0かつ

      1α。・d一ユ十…十α。1≦1α。ll・ld−1+…十1α。1く1α。・dl…(・)

とする.

      α。・d+α。・d01+…十αd−1。十αd=O

より,

      d−1       d       α1Z +…十αd=一αOZ

となる.すなわち

      1α1・d■1+…十α。1=1α。・dl

が成り立ち,(*)に矛盾する・よって,P(z)≠oが成り立つ.したがって,lzl>M一なら ばP(z)≠0,の対偶をとることより,IcI≦Mが成り立つ.       口  M を,上の証明で用いたものとする。このとき,Up( )は(_oo,_M )において定数であ

り,片(一X),P1(一X),…,PK(一X)の最高次係数列の符号変化数りρ(一〇〇)とりρ(X)は 等しい。(M一,十〇〇)においても同様のことがいえる.

命題2.5Pの異なる実根の総数は

Uρ(一○c)一Up(十〇〇)

である.

2.1.3 不等式の条件が加わった多項式方程式の実根

 次に,不等式を満たす多項式の条件が加わる場合を考える.この小節では,Q,Q1,_,Q4 も一変数実多項式とする.ここで,ρ(c)>OとなるPの実根。の数を計算するために,

Po=P,P1=P Qとスツルム列の構成を変える.上と同様に,乞〉Oに対して,月と月_1 にユークリッドの互除法を用いて,出た余りを(_1)倍したものを月十1とし,PKはPと P ρの最大共通因子とする.以上のことを繰り返し得た多項式列を,PとP Qのスツル ム列とよぶ.Pの根でない実数αに対し,列片(α),P1(α),、..,PK(α)の符号変化の回数 を咋,Q(α)と表す.

定理2.6α,6(αく6)を,Pの根でない実数とする.そのとき卯,Q(α)一昨,Q(わ)は,(α,b)

上で

 (Q(c)>OとなるPの異なる根。の個数)一(Q(c)<OとなるPの異なる根。の個数)

と等しくなる.

証明 初めに,PとP Qが互いに素の場合を考える(PKは0でない定数)・このとき,P は重解を持たず,Qとの共通解も持たない.したがって,上で述べた3つの性質のうち,

性質1,3と,性質2を以下のように書き換えたものを満足する:

性質2 ・cがPoの根ならば,積PoPlQはある区間(c一ε,c)において負となり,(c,c+6)

において正となる1

よって,定理212と同様に,これら3つの性質から定理が従う.

 PKが定数でないとき,列母,母,… ,㌣,1は,段に対し性質1,2 ,3を満たす.

したがって,これらにαとわを代入した列の符号変化の個数との差は,計算したい実根の 個数の差と」致し,それは

       卯,Q(α)一咋,Q(b)

となる.      口       咋,Q・(α)1p,Q・(6)

は,(α,b)上でQの実根でない,Pの異なる根の個数を数え上げる・したがって,(α,6)

上でQ(c)>OとなるPの異なる根の個数は,

         1

         5(榊(α)十W(α)一側(b)一W(b))

と等しくなる.またPとQが互いに素であるとき,咋,Q。を伽と置き換えることが出来る。

 次に複数の不等式を満たす,P=O,Q1>0,…,Q4>Oの実根の個数の計算方法を考 える.初めに,PとすべてのQせが互いに素であると仮定する。ε=(6ユ,_,64)∈{O,1}ゼ で,Q =Q1 1…砺とする.定理2.6より,

       ・。=卯,Q・(一・・)一咋,Q・(十・。)

は,

(Qf(c)>OとなるPの異なる実根。の個数)_(Q (c)<OとなるPの異なる実根。の個数)

と等しくなる、φ:(φ1,…,φゼ)∈{0,1}疋のとき,1≦4≦乏に対し,Q{(c)の符号が

(_1)φ{となるPの異なる実根。の個数を。φと表す.sを,座標がすべての8芒(6∈{0,1}4)

となるベクトルとする.同様に。を,座標がすべての。φ(φ∈{0,1}ゼ)となるベクトルと

する、

補題2.74にのみ依存する2ゼ×2ゼの可逆行列んで,8=ん。となるものがある.

証明 乏に関する帰納法を用いて証明を行う.

 ・ゼ=Oのとき,

       8⑰=ωp(_OC)_ηp(十〇C)=(Pの異なる実根の総数)=C⑰ が成り立つ.

 ・4=1のとき,スツルムの定理と定理2.6より,

80=卯(一〇C)一ωp(十〇〇)=(Pの異なる実根の総数)

 =(Q(c)〉OとなるPの異なる実根。の総数)十(Q(c)<0となるPの異なる実根。の総数)

 =CO+C1

81=〃P,Q(一〇〇)一咋,Q(十〇C)

 =(Q(c)>0となるPの異なる実根。の総数)_(Q(c)<OとなるPの異なる実根。の総数)

 =CO−C1

が成り立つ.したがって,

(ll)一(■1)(:1)

となる.ここで,

・一

i■1)

とすると,detλ1:_2≠0より,A1は可逆で8=λ1cとなる.

.4のとき成り立つと仮定する.6,ψ∈{O,1}4に対して,

80,…,o

51,…

C0,…,O

c1,…

とする.また,

      8E=Σ0。,jCゴ,8。,0=8。=Σα ,ゴCゴ       ゴ      ゴ

となる。ここで,Cゴ=Cゴ,o+Cゴ,!より,

      ・。,FΣα。,ゴ・ゴ,O+Σα。,ゴ・ゴ,1

       j     j が成り立つ.

 さらに,

8、,1=(Qε>0となるPの異なる実根の総数)_(Q <0となるPの異なる実根の総数)

  =(ρ乏十1〉0となるPの異なる実根の総数)_(軌十1<0となるPの異なる実根の総数)

  =Σα。,灼,O一Σα。,狗,1

  ゴ     ゴ

となる.これらのことから,

8 ,O

8・,1

ドキュメント内 代数曲線と半代数的集合の幾何学 (ページ 42-47)

関連したドキュメント