2.1 スツルム(Strum)の定理
半代数的集合の諸性質を述べる前段階として,今後議論を進めるにあたり,必要となる スツルムの定理を先に述べる.この節では,Pは定数でない一変数実多項式とする.
2.1.1 Pが重根を持たない場合
Pが重根を持たないため,Pとその導関数P の最大共通因子は1である.ここで,次 の方法で多項式列を構成する:
片=P,P1:P とする.4〉Oに対して,月と月_1にユークリッドの互除法を用いて,
出た余りを(一1)倍したものを片十1とする・つまり,片十1,片の次数deg(片十1)〈deg(片)
となる間,
月一1こ月Qに月十1
が成り立つようにする.この操作をOでない定数PKが現れるまで行う.
上記のPo,P1,…,みをPとP のスツルム列という1α∈RをPの根でないとする.
このとき,列片(α),P1(α),… ,PK(α)の符号変化が起きた回数をむ(α)と表すことにする.
側2.1P(X):X3_3X+1とする.このとき,PとP のスツルム列は,
9 (X3−3X+1,3×2−3,2X−1,一)
4 となる.α=1として計算すると,
9 (一1,O,1,一)
4
が与えられ,符号が変化したのは一回であるため,U(1)=1となる、途中Oが現れるが,
符号変化の回数としては無視する.
以上のことより,次が考察される.
定理2.2スツルムの定理 α,わ∈R(α〈b)とし,α,bともにPの根でないとする.開区 間(α,ろ)におけるPの根の個数は,
Up(α)一りρ(b)
と等しい.
証明 πがスツルム列に現れる多項式の解Cを通るときに,ωp(π)がどのように変化するか を考える.
・CがPの根のとき,片とP1の符号は次のようになる:
c
pO
一〇十
p1
十十十
0r
c
p0
十〇 一
P1
■
。どちらの場合でも,ηρ( )を1小さくしている.
・cが月(0〈4<K)の根のとき,月_1(c)=月十1(c)≠Oとなる.よって,列月_1(π),
月(π),B+!( )において,ωp( )は変わらず,りρ( )=1のままである.
以上のことより,定理が成り立つことがわかる. 口
2.1.2 Pが重根を持つ場合
定理2.2の証明は,列Po、… ,PKが次の性質を満たすことに依存した:
性質1.P=Poで,PKはOでない定数である.
性質21cがPoの根であるとき,積PoP1はある開区間(c_6,c)において負となり,ある 開区間(C,C+ε)において正となる.
性質3.cが月(O<壱<K)の根のとき,月_ユ(c)月十1(c)く0となる.
」Pが重根を持つと仮定し,上の性質を満たす列昂=P,P1=P ,_,Pκを構成する.
このとき,Pκは定数でなく,PとP の最大共通因子となる.ここで列
片 p1 Pκ_ユ
一 一 1 pK,PK, ,PK ,
を考える.
この列は,Pと同じ解を持つ多項式母に対し,上の3つの性質を満たす.さらに,P
の解でないαに対し,列月。(α),…,Pκ(α)の符号変化の数ηρ(α)は,明らかに列
po(α) PK−1(α)
1
pκ(αプ PK(α)
の符号変化の個数と同じとなる.
よって,次の定理が成り立つ.
定理2.3Pが重根を持っている場合でもスツルムの定理は成り立つ。また,りρ(α)_Uρ(6)
は,開区間(α,6)におけるPの異なる根の個数と等しくなる・
ここで,次の命題を示す.
命題2.4P(X)=αoXd+・
そのとき,
.. ¥αd_1X+αd(αo≠O)とし,c∈Cで,cはPの板とする.
αゼユ 1・1≦m・・ld−l1
{=1,…,d αO
が成り立っ1 証明
α毒ユ
〃=ma・ld−ll
{=!,…,d αO
とし,z∈Cで,lzl〉M一となるとする・乞=1,…,dに対し,
1αoll・1{
1α11<
d
が成り立つ.よって,P(z)=0かつ
1α。・d一ユ十…十α。1≦1α。ll・ld−1+…十1α。1く1α。・dl…(・)
とする.
α。・d+α。・d01+…十αd−1。十αd=O
より,
d−1 d α1Z +…十αd=一αOZ
となる.すなわち
1α1・d■1+…十α。1=1α。・dl
が成り立ち,(*)に矛盾する・よって,P(z)≠oが成り立つ.したがって,lzl>M一なら ばP(z)≠0,の対偶をとることより,IcI≦Mが成り立つ. 口 M を,上の証明で用いたものとする。このとき,Up( )は(_oo,_M )において定数であ
り,片(一X),P1(一X),…,PK(一X)の最高次係数列の符号変化数りρ(一〇〇)とりρ(X)は 等しい。(M一,十〇〇)においても同様のことがいえる.
命題2.5Pの異なる実根の総数は
Uρ(一○c)一Up(十〇〇)
である.
2.1.3 不等式の条件が加わった多項式方程式の実根
次に,不等式を満たす多項式の条件が加わる場合を考える.この小節では,Q,Q1,_,Q4 も一変数実多項式とする.ここで,ρ(c)>OとなるPの実根。の数を計算するために,
Po=P,P1=P Qとスツルム列の構成を変える.上と同様に,乞〉Oに対して,月と月_1 にユークリッドの互除法を用いて,出た余りを(_1)倍したものを月十1とし,PKはPと P ρの最大共通因子とする.以上のことを繰り返し得た多項式列を,PとP Qのスツル ム列とよぶ.Pの根でない実数αに対し,列片(α),P1(α),、..,PK(α)の符号変化の回数 を咋,Q(α)と表す.
定理2.6α,6(αく6)を,Pの根でない実数とする.そのとき卯,Q(α)一昨,Q(わ)は,(α,b)
上で
(Q(c)>OとなるPの異なる根。の個数)一(Q(c)<OとなるPの異なる根。の個数)
と等しくなる.
証明 初めに,PとP Qが互いに素の場合を考える(PKは0でない定数)・このとき,P は重解を持たず,Qとの共通解も持たない.したがって,上で述べた3つの性質のうち,
性質1,3と,性質2を以下のように書き換えたものを満足する:
性質2 ・cがPoの根ならば,積PoPlQはある区間(c一ε,c)において負となり,(c,c+6)
において正となる1
よって,定理212と同様に,これら3つの性質から定理が従う.
PKが定数でないとき,列母,母,… ,㌣,1は,段に対し性質1,2 ,3を満たす.
したがって,これらにαとわを代入した列の符号変化の個数との差は,計算したい実根の 個数の差と」致し,それは
卯,Q(α)一咋,Q(b)
となる. 口 咋,Q・(α)1p,Q・(6)
堕
は,(α,b)上でQの実根でない,Pの異なる根の個数を数え上げる・したがって,(α,6)
上でQ(c)>OとなるPの異なる根の個数は,
1
5(榊(α)十W(α)一側(b)一W(b))
と等しくなる.またPとQが互いに素であるとき,咋,Q。を伽と置き換えることが出来る。
次に複数の不等式を満たす,P=O,Q1>0,…,Q4>Oの実根の個数の計算方法を考 える.初めに,PとすべてのQせが互いに素であると仮定する。ε=(6ユ,_,64)∈{O,1}ゼ で,Q =Q1 1…砺とする.定理2.6より,
・。=卯,Q・(一・・)一咋,Q・(十・。)
は,
(Qf(c)>OとなるPの異なる実根。の個数)_(Q (c)<OとなるPの異なる実根。の個数)
と等しくなる、φ:(φ1,…,φゼ)∈{0,1}疋のとき,1≦4≦乏に対し,Q{(c)の符号が
(_1)φ{となるPの異なる実根。の個数を。φと表す.sを,座標がすべての8芒(6∈{0,1}4)
となるベクトルとする.同様に。を,座標がすべての。φ(φ∈{0,1}ゼ)となるベクトルと
する、
補題2.74にのみ依存する2ゼ×2ゼの可逆行列んで,8=ん。となるものがある.
証明 乏に関する帰納法を用いて証明を行う.
・ゼ=Oのとき,
8⑰=ωp(_OC)_ηp(十〇C)=(Pの異なる実根の総数)=C⑰ が成り立つ.
・4=1のとき,スツルムの定理と定理2.6より,
80=卯(一〇C)一ωp(十〇〇)=(Pの異なる実根の総数)
=(Q(c)〉OとなるPの異なる実根。の総数)十(Q(c)<0となるPの異なる実根。の総数)
=CO+C1
81=〃P,Q(一〇〇)一咋,Q(十〇C)
=(Q(c)>0となるPの異なる実根。の総数)_(Q(c)<OとなるPの異なる実根。の総数)
=CO−C1
が成り立つ.したがって,
(ll)一(■1)(:1)
となる.ここで,
・一
i■1)
とすると,detλ1:_2≠0より,A1は可逆で8=λ1cとなる.
.4のとき成り立つと仮定する.6,ψ∈{O,1}4に対して,
80,…,o
51,…
C0,…,O
Cψ
c1,…
とする.また,
8E=Σ0。,jCゴ,8。,0=8。=Σα ,ゴCゴ ゴ ゴ
となる。ここで,Cゴ=Cゴ,o+Cゴ,!より,
・。,FΣα。,ゴ・ゴ,O+Σα。,ゴ・ゴ,1
j j が成り立つ.
さらに,
8、,1=(Qε>0となるPの異なる実根の総数)_(Q <0となるPの異なる実根の総数)
=(ρ乏十1〉0となるPの異なる実根の総数)_(軌十1<0となるPの異なる実根の総数)
=Σα。,灼,O一Σα。,狗,1
ゴ ゴ
となる.これらのことから,
8 ,O
8・,1