前の章で,半代数的集合を開起立方体に半代数的同相であるセルベ分解した.また,こ の分解を作り出すアルゴリズムについても述べた.しかし,その結果は次の理由において 十分でないかもしれない:
.多項式等式・不等式のブール結合による円筒状代数的分解のセルの記述がない.特 に,第2部3章の円筒状代数的分解アルゴリズムの記述は,限定記号を消去するに は十分でない.
.円筒のセルを除いて,どのセルが他に隣接するのかという情報がない、一般的に,円筒 から別のものへ横切るとき何が起きるのかわからない.球に適合した円筒状代数的分 解において,セルの分解からその位相を決定することは難しくない.円板 2+μ2<1 の二つの関数で,グラフが二つの半開球であるものは,閉円板での連続性により明 らかに拡張される.ここで,このようにならない例を与える.
側4.エP:XγZ−X2一γ2とする.P(X,XZ)=0で定義されるR3の代数的集合の
図を以下に示す.
Pに対し,PROJ演算を用いると,
P月0J(P)=(Xγ;_X2一γ2),P月0J(P月0J(P))=(X4,4×2,X)
となる.R2の円筒状代数的分解は,Xとγの符号により決定された9つのセルを構成す る.各開四分円上の円筒は3つのセルをもち,次のようになる:これらのセル上のPの符
号は,
一・・一とき
i1),一・・一とき(1)
Pが負のとき,各開半軸上の円筒は一つのセルをもつ、P=0のとき,原点上の円筒は」
つのセルをもつ.この情報は,P=O曲面の位相を決定するのに十分でない.
球の例と例4.1の主な差は,後者の例の多項式がZについてモニック多項式でないとい うことである:多項式Pの最高次係数Xγを消去すると,その多項式はX=γ=Oと恒 等的に0と等しくなる1各開四分円上でPの零点を記述する関数は,閉四分円で連続性を 保って拡張しない.
4.1 トムの補題(肋。m 5石emmαノ
この章では,上に挙げた二つの問題点を解決する円筒状代数的分解アルゴリズムがどの ように修正されるかについてみることにする.
4.1.1 一変数の場合
初めに,不等式を緩和するために使う記号について紹介する、6∈{_1,0,1}を符号と
するとき,
ξ一
P11∵∴き
と表示することにする.
命題4.2トムの補題
実係数多項式P1,…,Rを,Oでない多項式の有限個の族とし,微分について閉じてい るとする.すなわち,導関数耳がOでないならば,耳=巧となるゴが存在するとする.
6=(61,…,ε。)∈{一1,0,1}^に対し,ん⊂Rを
λ、={π∈R18切(乃( ))=61{:1,… ,8}
と定義する1そのとき,以下のいずかが成り立つ:
・λ。=⑦となる.
・人は点である.必然的に,Qの少なくとも一つはOである.
。んはすべて6=土!となる空でない開区間である.
さらに,狭義の不等式を緩和して
ん={ ∈Rl・伽(P1( ))∈ε1かつ…かつ・伽(R( ))∈ξ}
とおく.そのとき,λεは空が,一つの点が,一つの点と異なる閉区間となる、
証明 8に関する帰納法により示す.
5=1のとき,多項式PはOでない定数でなければならず,λ、=⑦またはR=(一〇c,oo)
となり,成り立つ.
8のとき成り立つと仮定する.このとき,P、斗1はリスト(P1,_,P、十1)の最高次数をも つと仮定できる.なぜなら,リスト(P1,_,P、十1)の中から,最高次数を取り除いたリス
トを考えると,微分に関して閉じていることから,帰納法の仮定より,それらの8個に対 して命題が成り立つ.したがって,一つ加えるP、十1を最高次数としてよい.また,帰納 法の仮定より,6∈{_1,O,1}8ならば,λ、⊂Rは空が,一点か,空でない開区間である.
ここで,空か一点の部分集合は,空が」点であるので,(8+1)個目の条件が付け加わって も命題が成り立つ.λ、が開区間とすると,微分で閉じていることから,P二十1はん上で 一定の符号をもつ.したがって,P。十1はλ、上で単調である.
よって,任意の6。十1∈{_1,O,1}に対し,
λ、,、十1:λ、∩{π∈Rl・伽(P。十・(π))=・。十・}
は,命題の性質を満たす.
んの場合も同様に示される. ロ トムの補題は,円筒状代数的分解に関する一っ目の問題点を解決する:
多項式等式・不等式のブール結合による各セルの記述を得るために,その導関数を加え ることで十分である.より明確にするために,次の系を与えておく.
系4.3{月,ゴ}(1≦乞≦n,1≦ゴ≦5{)を,次が成り立つような0でない多項式の族とする。
・固定したゼに対し,B,1,。、。,月,。{はX{に関して微分で閉じているη変数実多項式 の族である.
・乞<ηに対し,多項式(月,1,…,月,。{)の族は,族P月0J(片十1,1ジ・・,月十1,。{十1)を 含む.
そのとき,ん=1,.、。,ηに対し,
{π∈R比1吻η(月,ル))㍉,j(1≦1≦ん,1≦ゴ≦・1)}
形式をしたRκのすべての空でない半代数的集合からなる族0此は,R九の円筒状代数的分 解を形成する、ただし,q,ゴ∈{_1,O,1}である.
4.1.2 多変数の場合
○でないη変数実多項式PがXnに関して準モニックであるとは,PをX。の多項式と 考えた時の最高係数が定数であるときにいう.
次の状況を考える.
・P1,…,P、は,X。に関して準モニックで,X。に関して微分で閉じているη変数実 多項式のリストである.
・0と0 はともに連結で,P月0J(P1,… ,P、)一不変でかつ,R帆一1の半代数的部分 集合であり,0 は。108(0)に含まれる.
このとき,定理3.16より, :(π1,… ,π。_1)の関数として,多項式P1( ,X几),… ,P。(π,X帆)
の実根を記述する連続な半代数的関数
ξ。<…<ξピ0→R,ξ1<…<ξil:0 →R
が存在する、ξゴとξ二のグラフをそれぞれ,んと4と表し,さらに,これらのグラフに よって0×Rと0 ×Rから切りとられる円筒の帯をそれぞれ,Bjと巧と表す.
補題4.4土の条件のもとに,以下の三つが成り立っ:
ユ.各関数ξゴは,0 上に連続的に拡張することができ,その拡張は関数ξ二 の一つと一 致する.
2、各関数ξ二 に対し,0 上の連続性による拡張がξ二 となる関数ξゴが存在する.
3.各6=(εユ,...,6、)∈{_1,0,1}5に対し,集合
万、={(π,〜)∈0×R18切η(片( , η))=Qづ=1,… ,8}
が空が,あるんか,ある巧とする・また,瓦を狭義の不等式を緩和することによ り得られる0×Rの部分集合を
耳={(π,π。)∈0・Rl・伽(易(π, 几))∈ξ1乞=1,…,・}
とし,さらに
耳={(π,π。)∈σ・R1吻η(片(π,πれ))∈引=1,…,・}
とする.このとき,万、≠⑦になるとき,c王05(万二)∩(0×R)=亙E,c 05(亙仁)∩(0 ×
R)=異をである・さらに,理はグラフλ二1か,0 ×Rにおけるある帯B二1の閉包
である.
証明〆∈αとする.
初めに1を示す.関数ξゴを選んだとき,次を満たす与えられた族の中の多項式巧が存
在する:
各 ∈0に対し,ξゴ(必)が
pμ(・,X肌)一α。X岩十α1(・)X岩■1+…十ψ)
の単根である.ここでαoはOでない定数である。ただし,
αμ)↓
〃(π )=m・・(dl l)・
仁1,…,d αO
とおく。命題2,4より,ξル)の連続性から,Rn■1における の近傍σで,各π∈σ∩0
に対し,ξル)∈[一M( )一1,〃( )十11となるものが存在する.仮定より ∈c105(σ)
であるので,0土の点列(刈で,1imが二 となるものを選ぶことができる.列ξゴ(刈 o一÷oo
は有界で,μ =1imsupξj(刈∈[_M ( )_1,M(π )十1]となる. ∈0に対し,
91一・伽(巧(・,ξル))),…,吻一・伽(ψ(π,ξル)))
とする.0土これらの符号は一定である.任意の(π ,X二)∈grαψ(ξゴ)は,
恥 ,X二)一〇,・伽(小 ,X二))∈ψ・,…,吻η(ψ(・ ,X二))∈物
をみたす.命題4.2より,それらの不等式をみたす多くても一つの4が存在する、よって,
4はちょうど一つ存在する.したがって,ξゴは で連続的に拡張される。 ∈0 は任意 より,ξゴは0 上に連続に拡張され,この拡張は関数ξ二 の一つと一致する.このことによ
り,1を示すことができた.
次に2を示す・関数ξ二1を選ぶと,ξ二1は族のなかのある多項式巧の単根となる・した がって,定理1.15より,0 上へ連続的な拡張がξ二 となる関数ξjで,Pμの根であるもの が存在し,2が示された.
最後に3を示す.P1,…,P、は,各グラフんと各帯Bj上で一定の符号をもつので,凪 と凪に関する性質は,命題4.2より直ちに従う。また,0×R上におけるBjの閉包は,
(λo=⑫=ん斗1として)んUBjUλゴ斗1となり,明らかに。J08(凪)∩(0 ×R)⊂可と なる.また1と2より,c 08(凪)∩(0 ×R)は,あるグラフ4または,0 x理上におけ るある帯B二 の閉包となる、この耳の閉包をB二 と表すことにする.命題4.2より,亙ξ もあるグラフ4または,0 ×R上におけるある帯B二 の閉包となる。異=λ二のとき,
亙ξ∩(0 ×R)=星となることは明らかである.耳=B二。のとき,すべての6{は±1であ り,月の符号は,〆∈B二 の十分小さい近傍γ上で6{となる.これより,γ∩(0×R)⊂風 となり,π ∈CJ08(凪)が成り立つ、.よって,巧⊂C王05(理)となり,
・1・・(亙・)∩(0 ・R)一Bll一亙1
が成り立つ. 口
次の定理は,円筒状代数的分解のどのセルが他に隣接するかという問題点に答えている.
定理4.5{B,ゴ}(1≦4≦η,1≦ゴ≦8{)を次をみたす実係数多項式の族とする:
.固定した4に対し,(乃,1,_,月,畠{)は4変数の実係数多項式の族で,各元について,
X{に関してすべて準モニックで,族としてX{に関して微分で閉じている.
・4<ηに対し・多項式族(巧,1,…,月,。{)は,族〃0J(月十1,1,…,月十1,3、斗1)を 含む.
0くん≦ηに対し,乞=1,…,んとゴ=1,…,8{によって添え字づけられた{一1,0,1}の 中の符号族6:(6{,j)が与えられたとき,
0、={π∈RたI54gη(月J(π)):6{,ゴ(1≦4≦ん,1くゴ≦5{)}
0ξ={π∈Rη一5匁η(巧,ゴ( ))∈可(1≦4≦た,1≦ゴ≦8{)}
とおく.そのとき,空でない0。はRηの円筒状代数的分解のセルで,空でないセル0。の 閉包は,セルの和集合0Eとなる、
この定理は,ηに関する帰納法で示される.η=1のときは,補題4.2より従い,η一1 のときに成り立つと仮定して,ηのときに成り立つことを示すステップは,補題4.4を用 いて示される.
ここで,開起立方体に半代数的同相であることを観察する.(実際には,より強く半代 数的微分同相になり,セル0。は半代数的集合で解析多様体であるナッシュ多様体と呼ば れる集合である.)定理4.5は,ある特別な性質をもつ多項式の族に対して成り立つもの である.しかし,任意のη変数実多項式の有限個の族は,変数の一次変換のもとに,その 特別な性質を満たすようにでき,定理4.5を適用できる形にもっていくことができる.
命題4.6P1,…,片をn変数実多項式とする、このとき,一次変換u:Rη→Rnと,
ゴ=1,… ,4に対し,P。,ゴ(X)=巧(u(X))となる,定理4・5の条件を満たす多項式(月,j)
の族が存在する。ここで,X:(Xl,..。,Xれ)である.
証明 まず,多項式P1(の(X)),_,則η(X))のすべてがX肌に関し準モニックとなる,変 数の一次変換
・(X1,…,Xη)=(X1+α1Xη,X2+α2X。,…,X。一1+α。一1X。,X。)
が存在する.実際,B(X)=n{(X)十...で,n古が月の最高次数φの同次部分多項式で あるとき,
片(の(X))=X岩{叫(α1,…,α帆一1,1)十(Xηに関して次数の低い項)