• 検索結果がありません。

32 12 12                C1:一C3一■C3=一C3

ドキュメント内 代数曲線と半代数的集合の幾何学 (ページ 30-42)

       4  2  4

となる.

 したがって,B8はC3軸と

       1

      {(・1,・。,・。)∈R31・。=一・葦,・。:O,・。≦0}

       4

の和集合となり,代数的集合ではないことがわかる.代数的集合の共通部分は代数的集合 であることより,B8も代数的集合でないことがわかる.さらに,2章2節で述べる幾何学 的なタルッキー・ザイデンベルクの定理を用いることにより,珠は半代数的集合であるこ とがわかる.カタストロフィー理論と応用についてより詳しく知りたい場合は,T.Poston・

I.Stewart[171を参照のこととする。

1.4 ワット曲線(6次の代数曲線)

 ワット曲線とは,「4本の連結棒」と呼ばれるシステムにおいて,直線になるように固定 された真ん中の2本の連結棒の中点が描く軌跡のことである.

この曲線は,それまで非実用的であった蒸気機関の性能を飛躍的に向上させ,産業革命を けん引したジェームズ・ワットによって発見された.蒸気楼閑の動力の伝達にも連結棒が 用いられることから,蒸気機関との関連でこのような数学的間題意識を持ったものと思わ

れる.

1.4.1 ワット曲線の解析

 両端の固定点をλ,Dとし,自由に動くことが出来る3本の連結棒をλB,B0,0D,線 分λDの中点を0,β0の中点をPとする.さらに,点Pを通り線分λDと平行に線分 PXを引く.また,

∠POD=θ,∠0PX=φ

0P=r,λB=0D=α

  λ0=0D=c,BP=P0=6

とする、

P

「θ

λ

0

      ワット曲線の解析

ワット曲線が6次の代数曲線であることは,今年度から高校数学の内容に復帰することに なった複素平面の性質を用いて証明することが出来る.初めにその複素平面の性質を用い た3つの命題を述べる.(図はJ.W.Rutter[19]を参照.)

命題1.22r2;α2一わ2−c2+2わ。cosφ

証明 上の図が複素平面上に描かれているとし,点0を原点とすると,

         λ=一・,D=・,B=・・{θ一わ♂,0=・・古θ十b・{φ

となる10D=λB=αより,

       1・・{θ十6・4φ一・トα        1・・{θ一6・{φ十・1=α である.式(1,8)を平方して計算することより,

      ・2+あ2+・2一α2−2・㏄・・θ一2δ・…φ十2伽・・(θ一φ)=0 が得られる.同様にして,(1.9)より,

      ・2+b2+・2一α2+2・・…θ一2b・…φ一2・b…(θ一φ)=O

を得る( O)吉(111)より,

(1.8)

(119)

(ユ.ユO)

(1.1!)

・2 {あ2+・2一α2−2b㏄・・φ=0

となり,

・2=α2一あ2一・2+25㏄・・φ であることが示された.

命題1・23tanθ=c云…講φ

証明 (1,11)と(1.10)の差をとり4で害1」ると,

      rccosθ一rbcos(θ一φ)=O となる.この式にCoS(θ_φ)に関して加法定理を用いると,

       c cosθ一6cosθcosφ一6sinθsinφ:O となる.両辺をCOSθで割ると,

      c−6cosφ一btanθsinφ=0

となるので,

       C−6COSφ       tanθ=

      bSinφ が成り立つ.

命題1.24r2=α2一(cs1nθ±砺)2

証明命題!、23より,

       C−6COSφ       Sinφ:

      6tanθ

が成り立つ.これをsin2φ十。os2φ=1に代入することより,

       (・一6…φ)2+b2t・・2θ…2φ=b2t・・2θ が得られ,

        ・2−2δ・…φ十62…2φ十う2t・・2θ…2φ=62t・・2θ となる.両辺にCOS2θをかけて整理すると,

        ・2…2θ一2b㏄・・2θ…φ十62…2φ一わ2・in2θ:0 となり,したがって,

       6㏄・・2θ土灰

       COSφ=

       あ2

       ・…2θ±河

と求まる.

         6

。。。。2θ一。。mθ冊

      6 両辺を2bc倍して,

    2b。。・。φ=2.2…2θ±2・…θ杯

(1.12)

(1.!3)

と変形しておく・ここでb2+c2−26ccosφに式(1.13)を代入すると,

    b2+・2−26・…φ=・2・i・2θ上2・・i・θ62一・2…2θ十(b2一・2…2θ)

       =(・・i・θ±わ2一・2…2θ)2      (1.14)

となる.式(1114)を命題1.22に代入することにより,

      ・2=α2一(・・mθ⊥灰)2

が成り立つ.

 命題1.22と命題ユ、24の中で示した式(1.13)を用いることにより,次の定理を証明する ことが出来る.

定理1.25ワット曲線は6次の代数曲線である.

証明 点0を原点とし,点P(π,リ)とすると,

      ・=・…θ,ひ=・・i・θ,・2打2=・2 である.命題1.22,式(1.13)より,

        r2=α2−b2−c2+2c2cos2θ±2c sinθ  62−c2c082θ であり,両辺をr2倍すると,

    ・4一(α2−62一・2)・2+2・2(・…θ)2±2・(・…θ)阿戸 となる. =rCoSθ,リ=rSinθを用いてθを消去すると,

         ・4一(α2一う2一・2)・2−2ん2=土2・μ杯 両辺を2乗すると,

r8+(α2一ろ2−c2)2r4+4c4 4−2(o2一う2−c2)r6−4c2 2r4+4(α2−52−c2)c2 2r2=4c2〃2(あ2r2−c2 2)

となり,整理すると

・2o・6−2(α2一わ2一・2)・4+(α2一わ2一・2)2・2−4〃・2+4(α2−b2一・2)・2・2−4b2・2リ2+4・4π2}=O

      (1.15)

が得られる。式(1.15)の{}の中の式を言十算し,整理すると,

  r6+2(わ2一α2)r4+2c2r2(r2−2 2)十(α4+b4+c4−2α2b2+2b2c2−2α2c2)r2   +4・2(α2一あ2)・2−4あ2・2ひ2

  =・6+2(b2一α2)・4+2・2・2(・2−2・2)十(α4+b4+・4−2α262+2b2・2)・2   −2α2・2(・2−2・2)一462・2(・2+リ2)

  =(・2+μ2)3+2(δ2一α2)(・2+ツ2)2−2・2{2・2一(・2+μ2)}(・2+μ2)

  十(α4+わ4+・4−2α2b2−2b2・2)(κ2+リ2)十2α2・2{2・2一(π2+リ2)}

  =(ω2打2)3+2(b2一α2)(・2+リ2)2−2・2(♂一リ4)

  十(α4+54+・4−2α2あ2−2b2・2)(・2+μ2)十2α2・2(・212)

とrが現れない式に変形できる.ここで,

    F(π,リ)=(π2+μ2)3+2(62一α2)(・2打2)2−2・2(π414)

        十(α4+64+・4−2α2b2−2わ2・2)(π2+ひ2)十2α2・2(π212)

とおくと,F( ,μ)は6次の多項式関数であることがわかる、また,式(1.15)は        (・2+V2)・F(π,リ)=O

と表されるが 2+ひ2=0は( ,V)=(0,0)を意味しており,これはF( ,μ):0の特別な 場合として含まれる.以上のことより,ワット曲線は6次の代数曲線である.    □  上で述べた命題1.22と命題1.23の証明は,複素平面の性質を利用した、しかし実際,

複素平面を習っていない高校生でもこれらの命題を初等幾何学を用いて証明することが出

来る.

 ここで証明のヒントとして,ワット曲線の解析に用いた図にいくつかの補助線を与えて おく.Pを通ってλDに平行な直線をX Xとする.また,点λ,Dを通って直線0Pに 平行な直線と,直線X Xとの交点をそれぞれ亙,Fとする.さらに,点0から直線X X に引いた垂線の足を点Qとする・

      0

X

3

θ

λ

0

η

X

命題1.22の初等幾何的証明

 △BP亙,△0PFにおいて,余弦定理を用いると,

      B田2二0F2=b2+・2−2b・…φ である、また,△0PF…△BP五(二辺來色相等)より,

      ∠0FP=∠B亙P が成り立ち,さらに△λB亙≡△DσF(三辺相等)より,

      ∠λ万B=∠DF0 が成り立つ、ここでλD//X X,λ亙〃0D//DFより,

      ∠P万λ=1800一θ,∠PFD=θ

となり,(1.18),(1・19)より,

      ∠ノエ五』3=1800一θ一∠j3j7j)=∠(ブF∫)十θ となる。(1.17)より,

      ∠Bj,P=90o 一θ が得られ,

      ∠λ万j5=θ十∠0Fj〕=90o となる、直角三角形△λB亙において,三平方の定理より,

       B亙2=α2_r2

である、(1.16),(1.20)より,

       62+・2−2b・…φ=α2一・2

となり,

       ・2=α2−b2一・2+2b・…φ が成り立つ.

命題1.23の初等幾何的証明

 図より,

      ∠ρ0F+∠0Fρ=180。一90。.

ここで∠σFD=∠λ亙B=90。より,

       ∠QOF:90。一∠σFQ=∠0FD一∠0FQ=∠QFD=θ.

したがって,

      QF  PF−PQ  c−bcosφ

      tanθ=一:         =

      σQ    OQ     わsinφ

(1.16)

(L17)

(1.!8)

(1.!9)

(1.20)

1.4.2 ワット曲線の器具の作成と考察  初めに,ワット曲線の器具の作り方を述べる.

 作り方 ガムテーズ押しピン8個,ボール紙数枚,木片(割りばしのようなもの),シャー プペンシルの芯を用意する.ボール紙を数枚重ねてガムテ』プで張り付け,厚みのある台 を1つ作る.また,ボール紙で半径α=3の円を6枚作り,木片を長さ17に切り取る.円 を2枚ずつのり付けしたものを2つ作り,中心に押しピンを刺す(針側を裏とする).押し ピンの頭を隠すように円を一枚,表にのり付けする.もうひとつの円も同様に作る.のり 付けした円の中心からの長さが2のところに裏側から押しピンを刺し,木片の端から1の

ところにもその押しピンにさす.もう一つの円の中心から長さが2のところにも裏側から 押しピンを刺したものを用意し,木片の刺した場所から長さが15離れた木片上の点に,そ れを固定する.そして二円の中心間の距離が4(=2c)となるように(乏は考察の中で決める

ことにする),二つの円を台に押しピンで固定する.木片の中点(押しピンを刺した場所か ら7,5の点)に穴をあけ,シャープペンシルの芯(以後芯という)を通す.

 観察4の長さを変えて,上の器具の描く曲線を観察する.

 図1.1,1.2,1I3の曲線は,いずれも6次の代数曲線である.

 次に,半径の比や芯の取り付ける位置を変えて考察してみる,上と同様の方法で器具を 作成する1ここでは半径の比は7:3とする.また,乏=22.5とし,木片の長さを22に変 え,中点Mから半径の小さい円のほうへ4離れた点〃に穴をあける.

 考察 芯の取り付ける位置が中点Mのとき,それが描く曲線は,木片の取り付け方に よって,2つの卵形状の連結成分からなる曲線の一方の卵形状曲線を描く.2つの連結成 分を合わせた曲線は,代数曲線であることが知られており([12]Gibson),例1.14で注意

したように,器具が描く曲線はナッシュ曲線であることがわかる.

 ここで,芯の取り付ける位置を点M に変えてみると,それが描く曲線は交わる2つの

図1.1:4=14.1のとき

図1.2:4:14.7のとき

卵形状の曲線のうち,木片の取り付け方によって,一方の卵形状曲線のみを描く.

 この場合も,2つの卵形状からなる曲線は代数曲線で,各卵形状曲線はナッシュ曲線で ある.このとき注意しなければならないのは,器具が描くナッシュ曲線はナッシュ既約成 分であるが,必ずしも代数曲線の連結成分ではないということである.

 以上のことから,連結棒が用いられるロボット工学や時計工学等にナッシュ多様体論や 半代数的集合の幾何学が多いに応用されている.

 考察を通した注意 円錐曲線やワット曲線の器具が描く曲線は,必ずしも代数曲線とは 限らず,そのナッシュ既約成分である.このことは,1章1.3節で述べた「ナッシュ級の 陰関数定理」の実多項式方程式の解は一般にナッシュ級であるという事実に基づいてる.

図1.3:4:17.Oのとき

図1.4:半径の比が7:3

ここで述べている注意は,1章2.1節の双曲線を描く器具の注意(p.15)の中で述べた疑間 の一つの解答を与えている.

1.5 課題

 多項式関数プ:Rη→R(η≧1)の極大値または極小値を与えるR肌の点全体をそれぞれ 亙㎜。,亙mi。とする.本節では,これらの亙m。,万mi。の構造についての課題を述べる、

 また,プの亙mi。は_∫の亙m。、と一致することより,どちらか一方のみを考えれば十 分である.本論文では亙m。。のみを扱うことにし,簡単のため,∬m。。を五と表すことに

する.

 ここで,極大値の定義を思い起こす.

定義1.26∫:Rη→Rを関数とする、このとき,Pが極大値であるとは,Pの開近傍び で,任意のQ∈σ\{P}に対し,∫(P)_∫(Q)〉Oとなるものが存在するときにいう、

定義より明らかなように,亙はRnの離散集合である.また,η=1のときは,次の事実 が容易に確かめられる.

事実 プ:R→Rを多項式関数とする1∫の極大値を与える点全体の集合亙は有限個の点 からなる集合である.

証明 ∫が定数関数のとき,亙=⑦となり,有限集合である.

 プが定数関数でないとき,∫の導関数プ は恒等的にOでない多項式関数より,! の零点 集合(∫ )一1(0)は有限集合となる。いま,五⊂(プ )L1(O)より,互も有限集合となる.

 このとき,次のことが自然に問題になる.

課題問題 ∫ R肌→R(η≧1)を多項式関数とする ∫の極大値を与える点全体の集合

〃は有限個の点からなる集合であるか.

 ここで,次の補題を示しておく.

補題1.27Rれの有限個の点からなる集合は,代数的集合である.

証明 R肌の有限個の点からなる集合をλとする.

 λ:⑦のとき,∫(π)=1で定義されるRπ上の多項式関数∫:R冗→Rに対し,λ=

プ■1(O)と表されるので,λは代数的集合である.

 λ≠⑦のとき,λの濃度mはm≧1であるので,λ={P1,… ,Pm}とする.各 ゴー1,…,mに対し,巧一(づ1),…,剛∈・肌とする・ここで,・・上の多項式関数

∫:Rn→Rを

       ル1,…{)一ゴ百1((・1一弓1))2・・(・パ小2)

と定義すると,λ=∫■1(O)となり,λは代数的集合である.

 課題問題が肯定的に解くことが出来るならば,補題1,27より,万は有限個の点からなる 集合であり,代数的集合でもある.このことは,η=1のときには多項式の範疇の中で考 えるだけで示すことが出来たが,η>1のときもそうであろうか.3章(p.75)では,多項 式の範岡壽を半代数的にまで拡げることにより解くことにする.

ドキュメント内 代数曲線と半代数的集合の幾何学 (ページ 30-42)

関連したドキュメント