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年 輪 年 代 学 ( 6 ) 埋 蔵 文 化 財 セ ン タ ー

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Academic year: 2021

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年 輪 年 代 学 ( 6 )

埋 蔵 文 化 財 セ ン タ ー

年 輪 年 代 学 研 究 の 基 本 は , 暦 年 の 確 定 し た 標 準 パ タ ー ン ( 以 下 , 暦 年 標 準 パ タ ー ン と い う ) の 作 成 に あ る 。 こ れ ま で ヒ ノ キ に よ る 暦 年 標 準 パ タ ー ン は , 西 暦 1 0 0 9 年 か ら 1 9 8 4 年 ま で 作 成 し て い た 。 一 方 で , こ れ と 併 行 し て 進 め て き た 暦 年 の 確 定 し な い 標 準 パ タ ー ン は , 主 に 平 城 宮 跡 出 土 の 柱 根 類 や 曲 物 容 器 な ど で 8 7 5 年 分 を 作 成 し て い た 。 両 者 は , 長 期 間 に わ た っ て 連 結 で き な い ま ま で あ っ た が , 1 2 都 府 県 に お よ ぶ 試 料 探 索 と そ の 年 輪 計 測 の 結 果 , よ う や く 東 京 都 一 橋 高 校 遺 跡 出 土 試 料 に よ っ て こ の 連 鎖 に 成 功 し た 。 こ の 結 果 , ヒ ノ キ に よ る 暦 年 標 準 パ タ ー ン は , 紀 元 前 3 7 年 か ら 1 9 8 4 年 ま で の 2 0 2 1 年 分 が 完 成 し た n 従 っ て , こ の 暦 年 確 定 範 囲 内 に お い て は , 1 年 単 位 の 年 代 測 定 が 可 能 と な っ た 。 当 研 究 所 が 年 輪 年 代 学 研 究 に 取 り 組 ん で か ら 6 年 , 本 研 究

はいよいよ応用研究段階へと進展した。今回は,ヒノキによる2 0 2 1 年分の暦年標準パターンの 作成に成功した経緯の概略を報告する、

暦 年 標 準 パ タ ー ン の 延 長 西 暦 1 0 0 9 年 か ら 1 9 8 4 年 ま で の 暦 年 標 準 パ タ ー ン の 作 成 に 用 い た 供 試 材 は , 主 に 木 曽 ヒ ノ キ で あ る が , 1 8 世 紀 前 半 部 分 の 年 輪 デ ー タ は わ ず か に 2 〜 3 点 の 試 料 に よ る も の で あ り , 標 準 パ タ ー ン と す る に は , 年 輪 デ ー タ 数 が 少 な す ぎ る 。 そ こ で , こ の 部 分 は , 主 に 重 要 文 化 財 東 大 寺 二 月 堂 参 篭 所 部 材 や 愛 知 県 清 洲 城 城 下 町 遺 跡 出 土 試 料 な ど に よ っ て 年 輪 デ ー タ を 補 充 す る と と も に , 福 井 県 一 乗 谷 朝 倉 氏 遺 跡 出 土 試 料 に よ っ て 暦 年 標 準 パ タ ー ン の 先

端を1 0 0 9 年から7 8 3 年まで延長することができた。

重要文化財東大寺二月堂参篭所この建物の解体修理は,1 9 8 1 年4月から1 9 8 4 年6月にかけ

て 実 施 さ れ た 。 こ の 時 に 不 用 と な っ た 廃 材 の な か か ら 比 較 的 年 輪 数 を 多 く 含 む 板 材 を 3 9 点 収 集 し , 供 試 材 と し た 。 こ れ ら 試 料 間 相 互 の 年 輪 変 動 パ タ ー ン の 照 合 の 結 果 , 7 2 9 年 分 の 標 準 パ タ ー ン を 得 る こ と が で き た 。 こ の 標 準 パ タ ー ン を さ き の 暦 年 標 準 パ タ ー ン と 照 合 し た と こ ろ , そ の 1 0 2 7 年 か ら 1 7 5 5 年 の 部 分 と 重 複 す る こ と を 確 認 し た 、 ち な 承 に , こ の 建 物 は 天 井 裏 に あ っ た 修 理 棟 札 か ら , 天 明 6 年 と 明 治 3 7 年 に 修 理 さ れ て い る こ と が 判 明 し て お り , 試 料 と し た 板 材

は天明修理時の後補材とゑてよかろう。

愛知県清洲城城下町遺跡この遺跡の発掘調査で出土した各種木製品のなかから曲物容器や

折 敷 な ど 1 1 点 を 選 定 し , 供 試 材 と し た 。 こ れ ら 試 料 間 相 互 の 年 輪 変 動 パ タ ー ン の 照 合 結 果 か ら ,

5 6 8 年分の標準パターンを得た。これと,現生木試料によって作成し,東大寺二月堂参篭所試

料 に よ っ て 補 強 し た 暦 年 標 準 パ タ ー ン と は , 1 0 2 4 年 か ら 1 5 9 1 年 の 部 分 で 重 複 す る こ と を 確 認 し

た。以上は,いずれも暦年標準パターンの有効な補強試料となった。

福井県一乗谷朝倉氏遺跡この遺跡から出土した曲物容器( 蔵骨器) の底板には,7 7 6 層の年 輪があり,これが先の暦年j 標準パターンと重複し(1 0 0 9 年〜1 5 5 8 年) ,さらに暦年標準パターン の先端を1 0 0 9 年から7 8 3 年まで延長することができた。

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暦年の確定しない標準パターンの作成20 2 1年分の暦年標準パターンを作成する一方で,それと

は別の遊離した暦年の確定しない標準パターンを主に3か所の遺跡出土木材で作成した。

広島県草戸千軒町遺跡この遺跡は,中世の代表的な遺跡として著稿なものであり,17世紀 の大洪水で壊滅した町である。この遺跡から出土した多量の木製品のうち,鼻繰5点を選定 し,その年輪計測を行ったの鼻繰は,大形の材木の先端に運搬用の縄掛孔をあけ,運搬後,不 用になった部分を切り捨てたものである。5点相互の年輪変動パターンの照合の結果,相関の 高い4点を用いて,323年分の標準パターンを作成した。これと,先の暦年標準パターンとの 照合の結果,両者の明瞭な重複位侭は検出できなかった。従って,この標準パターンは暦年標 準パターンとは異なった年輪変動パターンをもつグループであると判断した。

京都府鳥羽離宮跡この遺跡は、平安時代後期,11世紀末から2111t 紀前半,上皇の御所とな ったところである, 、この遺跡から出土した角材1点と井戸枠材7点を供試材とした, 、これら試 料間相互の年輪変動パターンの照合によって,6 1 1 年分の標準パターンを作成した, 、これを先 の暦年標準パターンと照合したところ、両者において明瞭な重復位縦は確認し得なかった, 、し かし,さきの鼻繰5点で作成した標準パターンとこの標準パターンとは,前者の新しい199 層 の部分と,後者の古い1 99屑の部分とが合致したので,両者を総合して735年分の標準パター ンを作成した。

奈良県平城宮跡この遺跡から出土した柱根類や曲物容器類(・ I畠に底仮) ,さらにその他の 遺跡からの出土木材等を加え約50 点を選定し,供試材とした、試料間相亙の年輪変動パターン の照合の結果,相関の高いグループ23点を用いて875年分の標準パターンを作成した。この標 準パターンと,さきの草戸千1 l i l : 町遺跡・鳥羽離宮跡の標準パターン(7 3 5 年分)とを照合した ところ,前者のうしろ327層の部分が後者の先頭部分と重複することが確認できた。これによ

って,両者を総合した結果,1283年分の標準パターンが完成した。しかし,この標準パターン と暦年標準パターンとは,依然として直接連結できないままであった。

紀元前37年から1984年までにおよぶ暦年標準パターンの完成西暦783年から1984年までの暦年標

準パターンと暦年の確定しない12 83 年分の標準パターンとは,12都府県におよぶ試料探索とそ

の年輪計測の結果、ついに東京都一橋高校遺跡出土試料によって連鍍に成功した。

東京都一橋高校遺跡この遺跡は,17世紀から18世紀にかけての江戸の町屋と墓地からな る。試料は円形の蓋材で,411層の年輪を数え,783年に到達していた暦年標準パターンの先 端部分3 6 4 層,すなわち7 8 3 年から1 1 4 6 年のところで重複していることを確認した。さらに, 暦年の確定しない1 2 8 3 年分の標準パターンとは,第7 7 3 層から第1 1 8 3 儒の部分で重複すること が判明した。これによって,2 0 2 1 年分からなり,紀元前3 7 年から1 9 8 4 年におよぶ暦年標準パ ターンが完成した。

目下,この暦年標準パターンを応用した研究や,これをさらに古く遡る試料の探索,ならび に他の樹種(特にコウヤーマキ)への適用の可能性についても検討中である。(光谷拓突)

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