現 代 国 際 法 上 の 対 抗 措 置 制 度 に お け る 均 衡 性 原 則
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国際 紛争 処理 過程 にお ける 対抗 措置 の必 要性 に照 らし たそ の多 元的 把握 の試 み︱
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岩月 直 樹
一 問題 の所 在と 本稿 の課 題
︵一
︶問 題の 所在
︵二
︶本 稿の 課題 二 対抗 措置 に関 する 均衡 性判 断態 様の 諸類 型
︵一
︶相 当性 的均 衡性 判断
ઃ
損 害 基 準
重大 性基 準અ
相互 性基 準︵二
︶目 的的 均衡 性判 断
ઃ
目的 的均 衡性 判断 にお ける﹁目 的﹂ の意 義
目的 的均 衡性 判断 にお いて 問わ れる べき﹁適 切性
﹂
︵
︶ 目的 適合 性判 断
︵
︶ 消極 的必 要性 判断
︵三
︶総 合評 価的 均衡 性判 断
ઃ
総合 評価 的均 衡性 判断 の意 義
総合 評価 的均 衡性 判断 の適 用可 能性 三 国際 裁判 実践 にお ける 均衡 性判 断︵一
︶一 九七 八年 米仏 航空 業務 協定 事件
ઃ
対抗 措置 が問 題と され た文 脈
紛争 処理 の促 進と 均衡 性判 断અ
回復 不能 な事 態の 回避 と均 衡性 判断︵二
︶一 九八
〇年 在テ ヘラ ン米 国大 使館 員等 人質 事件
ઃ
対抗 措置 が問 題と され た文 脈
重大 な利 益侵 害の 排除 と均 衡性 判断︵三
︶一 九九 七年 ガブ チコ ヴォ
=
ナ ジマ ロシ ュ事 件ઃ
対抗 措置 が問 題と され た文 脈
国際 河川 の利 用・ 開発 と均 衡性 判断︵四
︶二
〇〇 七年 アー チャ ー・ ダニ エル
・ミ ッド ラン ド社 他対 メキ シコ 事件
ઃ
対抗 措置 が問 題と され た文 脈
対抗 措置 の必 要性 の欠 如と 対抗 措置 の正 当性 四 対抗 措置 制度 にお ける 均衡 性原 則の 多元 的把 握︵一
︶友 好的 紛争 処理 手続 促進 の必 要性 に基 づく 対抗 措置 に関 する 均衡 性判 断
ઃ
平和 的紛 争解 決促 進の 必要 性
友好 的紛 争処 理手 続促 進の 必要 性と 均衡 性の 判断 枠組 み︵二
︶係 争利 益保 全の 必要 性に 基づ く対 抗措 置に 関す る均 衡性 判断
ઃ
係争 利益 保全 の必 要性
係争 利益 保全 の必 要性 と均 衡性 の判 断枠 組み︵三
︶特 定的 措置 実施 の必 要性 に基 づく 対抗 措置 に関 する 均衡 性判 断
ઃ
特定 的措 置実 施の 必要 性
特定 的措 置実 施の 必要 性と 均衡 性の 判断 枠組 み︵四
︶総 合評 価的 均衡 性判 断と 対抗 措置
ઃ
紛争 処理 過程 にお ける 衡平 性確 保の 必要 性と 総合 評価 的均 衡性 判断
総合 評価 的判 断に 基づ く均 衡性 評価 のあ り方 五 結 論 一問題 の所 在と 本稿 の課 題
︵一
︶ 問題 の所 在 国家 が他 国の 行為 を権 利侵 害あ るい は義 務違 反と して 法的 に非 難し つつ 当該 事態 への 対処 をは かろ うと する 場 合、 自ら も通 常で あれ ば違 法と され る措 置に 訴え るこ とが ある
。強 制裁 判管 轄な ど統 一的 な統 治機 構の 下で 救済 手
続を 整備 して いる 国内 社会 とは 異な り、 今日 にお いて もな お中 央集 権的 な統 治機 構を 欠く 国際 社会 にお いて は、 非 軍事 的手 段に よる そう した 自助 的な 強制 力の 行使 がそ れ自 体と して はな お、 禁じ られ てい
( )
ない
。む しろ 伝統 的に 国
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際法 は、 そう した 自力 救済 的措 置の 余地 を認 めな がら も一 定の 法的 規律 に服 せし める こと で、 その 濫用 の抑 制を は かる こと とし てき た︵ 伝統 的国 際法 にお ける 平時 復仇 制度
。︶ こう した 課題 は、 戦間 期以 降の 国際 紛争 処理 の法 構造 にお ける 変化 をふ まえ つつ
、今 日の 対抗 措置 制度 に引 き継 がれ て
( )
いる
。
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かつ て﹁ 国家 の基 本権
﹂理 論に 基づ きそ の正 当性 が認 めら れて いた 時代 とは 異な り、 今日 では 自力 救済 的措 置の 行使 はあ くま で例 外的 状況 にお いて 認め られ るに すぎ ない もの とさ れ、 その 例外 性を 確保 する ため の規 制条 件に 服 する こと が国 家に は要 求さ れる
。そ うし た規 制条 件の 中で も均 衡性 原則 は﹁ 対抗 措置 制度 の要 諦﹂ であ ると され
、 基本 的な 重要 性を 持つ もの とみ なさ れて
( )
いる
。対 抗措 置に 訴え よう とす る国 家が 措置 の態 様と 程度 を選 択し 決定 す
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るに 際し て、 考え られ る選 択肢 の中 でい ずれ が規 範的 に許 容さ れう るの か、 その 決定 に関 する 指針 を本 原則 は国 家 に与 える とと もに
、そ れに 反し て均 衡性 に欠 ける 措置 をと った 場合 には 行使 国自 身に 対す る責 任非 難の 根拠 とな る。 こう した 作用 を通 じて 対抗 措置 を抑 制す るこ とが 均衡 性原 則に は期 待さ れて いる わけ であ る。 もっ とも
、均 衡性 原則 が実 際に もそ のよ うに 作用 する ため には
、あ る程 度そ の内 容が 明確 化さ れて いる こと が前 提と なる
。し かし 現在 のと ころ
、対 抗措 置に かか わる 均衡 性に つい ては
﹁均 衡性 概念 の統 一的 な理 解は 学説 上も 実 行上 もな い﹂ と指 摘さ れる よ
( )
うに
、均 衡性 評価 とし てど のよ うな 判断 が求 めら れて いる のか
、そ の具 体的 な内 容に
4
つい ては なお 見解 の一 致を 見て いな い。 慣習 国際 法と して 確立 した もの であ るこ とに つい ては ほぼ 異論 がな いに も かか わ
( )
らず
、そ の内 容に つい ては なお 不明 確な まま とさ れて いる わけ であ る。 この 一見 して 奇妙 に思 われ る状 況を
5
生じ させ てき た要 因に つい ては 様々 に論 じう ると ころ であ るが
、と りわ け次 のも のを 挙げ るこ とが でき よう
。 第一 に、 一九 二八 年に 下さ れた ナウ リラ ア事 件仲 裁判 決が
、現 代国 際法 上の 対抗 措置 制度 にお ける 均衡 性原 則を
論じ る上 でも なお
、権 威的 な先 例と され てき たこ とで ある
。 ナウ リラ ア事 件は 第一 次世 界大 戦勃 発直 前に ポル トガ ル領 アフ リカ
︵ア ンゴ ラ︶ で発 生し たド イツ によ るポ ルト ガル の軍 事拠 点に 対す る攻 撃・ 占拠 につ き、 それ が復 仇措 置と して 合法 なも のと 認め られ るか が争 われ た事 案で あ るが
、本 件に おい て仲 裁判 決は
、﹁ その 原因 とな った 行為 と全 く均 衡に 欠け る復 仇は 過剰 であ り、 それ ゆえ 違法 と 考え られ なけ れば なら ない
﹂と 判示
( )
した
。今 日で も多 くの 学説 は本 仲裁 判決 に依 拠し つつ
、対 抗措 置に 関す る均 衡
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性判 断を 先行 行為 と対 抗措 置の 比較 とし た上 で、 問題 はそ れら の比 較基 準に ある との 態度 を示 して いる
︵ナ ウリ ラ ア定 式︶
。し かし 別稿 にお いて 既に 検討 した よう に、 この ナウ リラ ア定 式は 当時 の時 代状 況お よび 国際 法の 状況 を 強く 反映 した もの であ り、 現代 国際 法上 の対 抗措 置制 度に おけ る均 衡性 原則 につ いて も当 然に 妥当 する もの と認 め るこ とは でき
( )
ない
。事 実、 今日 の学 説は ナウ リラ ア定 式に 形式 的に は依 拠し なが らも
、実 際に はそ れに 収ま りき ら
7
ない 考慮 要素
︵違 法行 為の 質的 重大 性、 その 影響
、対 抗措 置の 目的 など
︶を 提示 する など して おり
、同 定式 の意 義は も はや 形骸 化し てい ると 言わ なけ れば なら
( )
ない
。む しろ ナウ リラ ア定 式は その 形骸 性ゆ えに
、今 日の 対抗 措置 制度 に
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おけ る均 衡性 原則 をめ ぐる 学説 状況 に混 乱を もた らし てい ると さえ 言い うる
。 第二 に、 均衡 性原 則を 論じ る際 にお ける
﹁判 断態 様﹂ の重 要性 がこ れま での 議論 にお いて は十 分に 認識 され てこ なか った こと であ る。 均衡 性概 念に つい ては 衡平 概念 や正 義概 念と 密接 に関 連す ると つと に指 摘さ れて いる こと から もわ かる よう に、
﹁均 衡し た状 態の 実現
﹂と いう 結果 に着 目す る限 り、 均衡 性原 則の 内容 を示 すこ とは 困難 であ ると いわ ざる を得 な い︵ 均衡 性概 念の 直接 的定 義の 困
( )
難さ
)
。 しか し他 方で、均 衡性 概念 の本 質は 人間 活動 にお ける
﹁節 度﹂ ある いは
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﹁中 庸﹂
︵
m o d é r a t i o n
︶ を求 める こと にあ ると も言 われ るよ( )
うに
、規 範命 題と して の均 衡性 原則 は個 別具 体的 な状 況
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の下 で適 切な 要素 を適 切に 考慮 した うえ で妥 当な 結果 を導 くこ とを 求め るも ので あり
、結 果そ のも のよ りも むし ろ
判断 過程 の適 切さ を求 める 点に その 固有 の意 義を 有す るこ とに 注意 しな けれ ばな らな い。 この 点を ふま える なら ば、 均衡 性原 則を 論じ る上 では 考慮 要素 のみ に着 目す るの では なく
、ど のよ うな 考慮 要素 がど のよ うな 判断 態様 に 基づ いて 考慮 され るべ きで ある のか とい うこ とに も着 目す る必 要が ある
︵均 衡性 概念 の過 程的
( )
把握
︶。 従来 の学 説は
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こう した 均衡 性評 価に おけ る﹁ 判断 態様
﹂の 重要 性を 十分 に意 識し ない まま にも っぱ ら考 慮要 素に 着目 して きた が ゆえ に、 それ らが どの よう な観 点か ら考 慮さ れ、 どの よう な場 合に 均衡 性を 欠く もの とさ れる のか を示 すこ とが で きず
、そ の結 果と して いわ ば混 沌と した 状況 を呈 して きた わけ であ る。 そし て第 三に
、対 抗措 置制 度に おけ る均 衡性 原則 を論 じる 際に 同制 度の 制度 趣旨 ある いは 制度 的機 能に つい て必 ずし も十 分な 注意 が払 われ てこ なか った こと であ る。 均衡 性原 則は 様々 な法 分野
・法 制度 にお いて その 適用 が問 題と なる もの であ り、 国際 法に おい ても 自
( )
衛権 や、 大
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陸棚 の境 界
( )
画定 につ いて その 適用 のあ り方 が様 々に 論じ られ てい ると ころ であ る。 しか し、 これ ら各 種の 法分 野・
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法制 度に おい て適 用さ れる 均衡 性原 則は 全て 同一 であ るわ けで はな く、 個々 の法 分野
・法 制度 の固 有性 をふ まえ て その 内容 は論 じら れて いる
。つ まり
、均 衡性 原則 の具 体的 な適 用を はか る上 では
、そ れが どの よう な法 制度 にお い て問 題と され るも ので ある のか
、当 該法 制度 の趣 旨目 的を ふま えた 上で
、同 制度 内で のそ の特 定化 がは から れな け れば なら ない
。対 抗措 置制 度の 趣旨 目的 につ いて は国 際法 委員 会に おけ る国 家責 任条 文作 成作 業を 契機 とし て学 説 上も 種々 に論 じら れて いる とこ ろで あ
( )
るが
、対 抗措 置制 度に おけ る均 衡性 原則 を論 じる 上で は、 同制 度が 現代 国際
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法の 下で どの よう な意 義と 位置 づけ を有 する もの であ るの かが 常に 留意 され なけ れば なら
( )
ない
。
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︵二
︶ 本稿 の課 題 均衡 性原 則の 不明 確さ は、 国内 法に おい ても 指摘 され てい ると ころ では
( )
ある
。し かし 第三 者手 続に よる 事後 審査
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