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ets が ん 遺 伝 子 群 転 写 因 子 EIAF に よ る bax の 活 性 化

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 藤 堂 雅 成 学 位 論 文 題 名

ets が ん遺 伝 子群 転 写 因子 EIAF に よ る bax の活性 化 学位論文内容の要旨

    EIAFは 、C末端側にETS domainを有するetsがん遺伝子群転写因子で、

細胞外基質分解酵素であるマトリックスメタロプロテァーゼ(MMP)ー1,ー3,−

9な ら び にmembrane typelMMP cNn丶l−MMP)の 発 現を 亢 進 さ せ 、 腫 瘍 細胞の浸潤・転移に関わることが知られている。その一方で、Funaokaらは E1AFが細胞周期制御に関与しているp21 afl/dplの転写を亢進することを報告 し、ElAFの機能の多様性を示した。

  BaxはBH(bcト2homol|〇めうドメインを持つBcト2ファミリー遺伝子のーつ で、がん抑制遺伝子p53により転写亢進され、アポトーシスの誘導に働くこと が知られている。p53によるアポトーシスの誘導の際には、Baxがミトコンド リア の 外膜 の膜 電位チ ャン ネル のVDACに移 動し 、VDACチャ ンネ ルを 開放 することでミトコンドリア内のチトク口ムCが細胞質中に放出され、カスペー スカスケードの活性化によるアポトーシスが生じることが′rS佃imotoらにより 報告された。

  今回、著者はがん細胞の浸潤に関与するぱかりでなく、細胞周期を停止させ る可能性があるE1AFが細胞死に対しても積極的に関与しているのかという点 に興味をもち、E1AFによるBaxの発現が起こりうるのかについて検索すると と も に 、 が ん 抑 制 遺 伝 子 p53と の 関 連 に つ い て も 検 討 し た 。

  baxの 転 写調 節領 域の 塩基配 列(HSBAX1、Human bax gene,5.region.

U17193)をもとに、ets結合配列の有無を検索した。baxの転写調節領域には TAI、Aboxに加 えて1個 のp53の 完全 結合 配列 と3個の 不完全 配列 が存 在す るこ とが 既に 報告 されている。このTATA boxとp53結合完全配列に加えて3 カ 所 のGGAAあ るい はGGATの コ ア モ チ ー フ を 有するEts結合 配列 が存 在し た。

  p53欠 損 肺 が ん細 胞 株H1299を 用 レ ゝ 、CAT (chloramphenicol acetyl transferase)assayを 行 っ た 。bax CAT reporter plasmidとEIAFの 全長

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をCytomegalovirus promoterを有 す る真核 細胞発現ベ クターpCMVに組 み 込 んだpCMVEIAFをり ポ フェ ク ショ ン 法を 用 いてH1299細胞 に 遺伝 子 導 入 し、遺伝 子導入48時間後にcelllysateを抽出した。抽出物にacetycoen尠me Aと14CcMOIIamDhemcolを加えてイ ンキュベー トし、プレートクロマトグラ フイーで 展開後、フィルムに露光した。その結果、baxの転写活性はE1AFの 濃度に依存して亢進が認められた。,

  次 い で、E1AFとp53によ るbaxの 転写 調節の関 連性につい て検索した 。 H1299にE1AFと 野生 型p53を 遺伝 子 導入 し たQ灯aSsayの 結 果、 野 生型p53 はbaxの転 写 を活 性 化し 、 またE1AFと 野生 型p53を 共導 入 する こ とでbaX の 転写 は 相乗 的 に亢 進 した 。 一方 、p53のDNA結合 領 域で あ る143番目 の VむneをA】anineに 置 換し た 変異 型p53とElAFを遺伝子 導入した際 には、

b乏区の転写活性は逆に減弱した。

  CATassayに よるmvi缸IOで の 検索 を もとに、 細胞内(mviv0)でもE1AF による&腿タンパクの産生が生じるかどうかを調べるため、Westemblotting により検討を行った。

  H1299に がニMVElAFを 遺 伝子 導 入し 、48時 間後 に タ ンパ ク を抽 出 し、

SDSヰIAGE後 、ニト口セ ルロースメ ンプレンに 転写した。抗Baxマウスモノ クローナル抗体を一次抗体とし、HRP標識抗マウス二次抗体と反応させた後、

ケミルミネッセンスによる螢光発色反応によルフィルムに露光し可視化したと こ ろ 、ElAFを 導 入H1299細 胞 で は 、21kDのBax夕 ンパ ク の明 瞭 なバ ン ド が認められた。

  p53欠失 骨肉腫細胞 株SaoS2を用 いGroW也Sul)preSSionaSSayを行った。

コントロ ールベクターであるpCDNA3、あるいはEn丶F発現ベクターと、ピュ ーロマイ シン耐性遺伝子を持つp&北ぬpuroをsaos2に遺伝子導入し、2日後 よルピューロマイシンで導入細胞の選択を行い、2週間後、クリスタルパイオ レットで 染色し、コ 口ニー形成 能カにより 細胞増殖抑制効果を判定した。

pcDNA3を導 入したSaos2細胞は多数 のコロニー を形成した が、E1AF導入細 胞 は ご く 少 数 の コ 口 こ ー が 認 め ら れ た に す ぎ な か っ た 。 ごく少数のコロニーが認められたにすぎなかった。

  baxの転写調 節領域の解 析により、p53結合配列やTAI、Aboxに加えてets 結 合部位が存 在することが明らかになった。そこで、p53欠失肺がん細胞株 H1299に 、baxreporter plasmidとE1AF発現 ベ クタ ー を遺 伝 子導 入しQ灯 assayを行った 。その結果 、ElAF遺伝子の導 入により、濃度依存性にbaxの

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転写活性の亢進が認められた。これは、baxの転写調節領域に存在するets結 合配列が機能したことを示すものであり、EIAFが単独でbaxの発現を誘導し、

p53非依存 性のbaxの転写活性化が生じたことを意味している。このような mRNAレ ベル でのbaxの発現 亢進 は、Westem l)lottingによるタンパクレベ ルの解析によってもその発現が裏付けられ、さらにGrowth suppression assay の結果から実際に細胞内でEIAFの発現により細胞死を伴う増殖抑制が生じて いることが示された。これまでetsファミリーが細胞のがん化と関連している という報告は多いが、etsファミリーとアポトーシスとの関連についての報告 は少なVゝ。今回の検索でEIAFはアポトーシスを誘導するbaxの転写を亢進し、

夕ンパクを発現させることカミ明らかとなった。

  H1299細胞に野生型p53とbax reporter plasmidを導入するとb乏区の転写 活性化能の亢進がみられ、さらにE1AFと野生型p53の共導入により相乗的な 強い発現亢進が認められた。p53が転写レベルでbaxの発現を亢進することは 周知の事実であるが、EL气Fは野生型p53と協調してこの活性をさらに亢進す ることが示された。p53は細胞内で恒常的に発現しているが、通常は分解され その機能を発揮することはなく、DNA障害などのストレス刺激が加わった時 に転写レベルでの発現亢進とともにp53夕ンバクの安定化が生じ、核に移行し、

その下流遺伝子の転写を活性化することが明らかになっている。E1AFはそれ 自 身でbaxを活性化するほかに、野生型p53の安定化にも関係しているのか も しれ ない 。いずれにしろ、これらの結果より、E1AFがp53とともに、bax を 介 し た ア ポ ト ー シ ス の誘 導 に 深 く 関 与 し て い る こ とが 示 唆 さ れ た。

  E1AFは細 胞が変異型p53を有さない場合にはbaXの転写活性化を生じ、さ ら に野 生型p53によ る転 写を より活 性化 する が、 変異型p53とE1AFの 共導 入 ではbaxの転写活性化は認められず、むしろbaxの転写活性の減弱が認め られた。p53は多くのがんで変異が生じていることが明らかになっている。そ の 変異 の多 くはDNA結合領域に生じ、転写因子であるp53がターゲット遺伝 子の転写調節領域に結合できなくなることでがん抑制遺伝子としての機能を果 たせない(10ssoffunction)ことにより、細胞がん化が導かれるものと考えら れてきた。しかし、最近、変異型p53による積極的な悪性形質の獲得機構(ga血 offunction)があるのではないかという新たな概念が注目されている。変異型 p53とE1AFの 共 導 入 に よ りbaxの 転 写活 性が 減弱 したこ とは 、変 異型p53 がElAFのもつbaxの転写活性化機能を積極的に抑制し、がん化を促進させる 可能性のあることを示すものと考えられる。E1AFのもつ腫瘍細胞の浸潤活性 を増強する機能と細胞周期停止やアポトーシスを誘導するという相反する機能

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は、細胞のp53の状態と関係している可能性があり、今後さらに検索を重ねる 必要があるものと恩われた。

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学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

戸 塚 靖 則 向 後 隆 男 鈴 木 邦 明 進 藤 正 信

学 位 論 文 題 名

ets が ん 遺 伝 子 群 転 写 因 子 EIAF に よ る bax の 活 性 化

  審 査 は 、 審 査 員 全 員 出 席 の 下 に 、 申 請 者 に 対 し て 提 出 論 文 と そ れ に 関 連 し た 学 科 目 に つ い て 口 頭 試 問 に よ り 行 わ れ た . 審 査 論 文 の 概 要 は 、 以 下 の 通 り で あ る .

  EIAFは 、 細 胞 外 基 質 分 解 酵 素 で あ る マ ト リ ク ス メ タ ロ プ ロ テ ア ー ゼ(MMP)1, ‐3, ‐ 9の 転 写 を 亢 進 さ せ 、 腫 瘍 の 浸 潤 能 に 直 接 関 与 し て い る 一 方 で、p21wandplの 転写 を亢 進 し 、 細 胞 の 増 殖 抑 制 に 働 く こ と が 報 告 さ れ て い る . 他 方 、BaxBH(bcl‑2 homology) メ イ ン を 持 つbcl‑2フ ん ミ リ ー 遺 伝 子 の ー つ で 、p53に よ り そ の 転 写 が 活 性 化 さ れ ア ポ ト ー シ ス を 誘 導 す る こ と が 知 ら れ て い る . 本 研 究 は 、 上 述 の よ う に 多 面 性 を 有 す るEIAF の ア ポ ト ー シ ス に 及 ぽ す 影 響 に つ い てBax遺 伝 子 / 遺 伝 子 産 物 を 対 象 に 検 討 し た も の で あ る

  ま ず 、baxの 転 写 調 節 領 域 の 塩 基 配 列(HSBAX1Human bax gene5region.U17193) を も と に 、ets結 合 配 列 の 有 無 を 検 索 し た .baxの 転 写 調 節 領 域 に は 、TATA box、 な ら ぴ に 既 に 報 告 さ れ て い る1個 の p53の 完 全 結 合 配 列 と3個 の 不 完 全 配 列 に 加 え て 、 GGAAあ る い はGGATの コ ア モ チ ー フ を 有 す るets結 合 配 列 が3カ 所 存 在 す る こ と が 確 認 さ れ た . そ こ で 、p53欠 損 肺 癌 細 胞 株H1299に 、2gbax CAT reporter plasmid 00.5125gEIAF発 現 ベ ク タ ー を 遺 伝 子 導 入 し 、48時 間 後 に 細 胞 を 回 収 し てcell lysateを 抽 出 し た . そ の 抽 出 物 を 用 い てCAT assayを 行 い 、EIAFに よ るbax の 転 写 活 性 化 に つ い て 検 索 し た . そ の 結 果 、EIAF遺 伝 子 の 導 入 に よ り 、baxの 転 写 活 性 はEIAFの 濃 度 依 存 性 に 亢 進 す る こ と が 認 め ら れ た . 次 い で 、EIAFp53に よ るbax の 転 写 調 節 の 関 連 性 に つ い てCAT assayを 行 い 検 索 し た .H1299EIAFp53( 野 生 型 、 変 異 型 ) を 遺 伝 子 導 入 し 、 同 様 にCAT assayを 行 っ た 結 果 、 野 生 型p53に よ りbax の 転 写 活 性 化 が 認 め ら れ 、 さ ら にEIAFと 野 生 型p53の 共 導 入 に よ りbaxの 転 写 は 相 乗 的 に 亢 進 す る こ と が 示 さ れ た . 一 方 、 変 異 型p53EIAFを 遺 伝 子 導 入 し た 際 に は 、 baxの 転 写 活 性 の 減 弱 が 認 め ら れ た .

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  次に、Westem blottingによりBax夕ンバク発現を検討した.H1299に、空ベクター であるpcDNA3のみを遺伝子導入したコントロール細胞では、Baxの発現はほとんど認 め られ なかっ たが 、EIAFを導 入し たH1299細胞 では、21kDのBax夕ンパクの明瞭な パンドが認められた.

  さらに、p53欠損骨肉腫細胞株Saos2を用いて、growth suppression assayを行った.

6穴ウェルで50‑‑80%コンフルエントになったSaos2細胞にコントロールベクターであ るpcDNA3、あるいは、EIAF発現ベグター2.5ルgと、ピューロマイシン耐性遺伝子を 持 つpBabepur00.5肛gをFuGENE‑6 (Boehringer Mannheim)で遺伝子導入し、48時間 後にピューロマイシンで導入細胞の選択を行い、2週間培養後、クリスタルバイオレヅ トで染色し、コロニー形成能カにより細胞増殖抑制効果を判定した・pcDNA3のみを 遺伝子導入したコントロール細胞ではSaos2細胞は多数のコロニーを形成したのに対し、

EIAF導入細胞ではごく少数のコロニーが認められるにすぎず、CAT assayで明らかに なったin vitroでの結果はin vivOでも証明され、細胞内で、実際にE1AFの発現により 細胞死を伴う増殖抑制が生じていることが確認された.

  これらの結果は、E1AFは野生型p53とともに、baxを介したアポトーシスの誘導に 深く関与していることを示している.なお、変異型p53とE1AFの共導入によりbaXの 転写活性が減弱したことは、変異型p53がE1AFのもつbaxの転写活性化機能を積極的 に抑制し、がん化を促進させる可能性のあることを示しており、E1AFのもつ腫瘍細胞 の浸潤活性を増強する機能と細胞周期停止やアボトーシスを誘導するという、相反する 機能は、細胞のp53の状態と関係している可能性があることを示唆するものと考えられ た.

  論文の審査にあたって、論文申請者による研究の要旨の説明後、本研究ならぴに関連 する研究について質問が行われた.いずれの質問についても、論文申請者から明快な回 答が得られ、また将来の研究の方向性についても具体的に示された.本研究は、EIAF は野生型p53とともにbaxを介したアポトーシスの誘導に深く関与していることを明ら かにしたこと、ならぴにEIAFのもつ腫瘍細胞の浸潤活性を増強する機能と細胞周期停 止やアボトーシスを誘導するという、相反する機能は、細胞のp53の状態と関係してい る可能性があることことを示した点が高く評価された.本研究の業績は、口腔外科の分 野はもとより、関連領域にも寄与するところ大であり、博士(歯学)の学位授与に値す るものと認められた.

参照

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