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博 士 ( 工 学 ) 野 原 光 夫 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 工 学 ) 野 原 光 夫

学 位 論 文 題 名

デ ィ ジ タ ル 統 合 サ ー ビ ス 向 け 小 型 ユ ー ザ 局 を 対 象 と    し た 国 際 衛 星 通 信 シ ス テ ム の 設 計 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  衛星 通信では、今後の多様なデイジタルサーピスの提供に向けてその多元接続性、同報性、

運用の 柔軟性、機動性、広域性、広帯域性等の特長を活かしたシステムの設計、設計結果の実 現および検証が重要な研究課題となっている。

  本論 文は、小型地球局からなるユ―ザが直接衛星にアクセスする形態の国際衛星通信システ ムにお いて、ユーザの伝送要求に応じつつ衛星資源の活用を図るための通信システム設計およ びその 要素技術の試作評価に関する一連の研究成果をまとめたものである。その主な目的は、

より小 型のユーザに対して、より簡便でかつ適切な通信手段を提供することにある。さらにこ の通信 システムは、多様なデイジタルサービスの利用を目指すユーザの指向に即したものでな ければならない。

  本研 究は、現状の衛星通信に即したシステム構成およぴ衛星構成まで含めた将来的なシステ ム 構 成 に つ い て 段 階 的 に 検 討 を 行 っ た も の で あ り 、 以 下 の6章 か ら 構 成 さ れ る 。   第1章は緒論であり、本研究の目的と構成について述べた。

  第2章 では、現在の代表的な衛星 としてインテルサット衛星を想定し、周波数帯域として小 型地球局の利用を容易にするKu帯(14/11.12 GHz帯)を中心に、ユーザを直接収容する国際ピジ ネス衛 星通信サーピスを効率良く運用するための網構成、デマンド割当て方式およぴ伝送方式 につい て具体的な設計を行った。この結果、衛星資源の一元的な管理とユーザ情報の分散的な 管理を 同時に効率良く行うために集中制御と分散制御を併用する階層的な網構成を提案した。

衛星回線に関しては、呼制御情報を伝送する制御回線とトラヒック・データを伝送するトラヒッ ク回線 を個別に般け、制御回線は固定接続とし、トラヒック回線は呼の発生毎に適宜設定する 構成を 採用した。この構成により、トラヒック種別のダイナミックな変更およぴ衛星リソース の有効 利用を図れるTDMA回線を用い て、各種地球局を統合的に 包括したなIBSシステムを構 築した。

  これ ら設計に基づき実験システムを開発した。この実験システムを用いて衛星実験を行った 結果、 伝送特性についてはC/N対BER特性の理論値からの劣化がldB以内、呼接続遅延特性に ついて は回線設定所要時間が10秒以 内と、それぞれ所望の特性が得られることを確認した。

  第3章 では、多数の受信専用ユー ザ局を対象として同報モード衛星回線を用いてデータ配信 を行う システムに階層的な制御網を適用する構成を提案した。このシステムではユーザ局の他 に衛星 を介したデータ配信を行う1つの中央局と、ユーザごとの受信確認を行う複数の副制御 局を設 ける構成を採用した。この階 層的な網構成において、中央局―副制御局間と副制御局

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一ユーザ局間の処理時間の比をパラメータとしてポーリングによる受信状態応答処理時間を最 小にする最適な副制御局数があること、ユ―ザ局の通信コストをパラメータとして階層化制御 網構成のほうが従来の集中網構成よルシステムコストを低減し得ることを明らかにした。また この網構成をもとにG3ファクシミリ同報配信システ ムの試作を行い、その動作を確認した。

  第4章では、複数の低 周回軌道衛星を用い、光衛星間リンクにより広帯域衛星聞通信を実現 する構成を提案し、ユ―ザ/衛星間および衛星間リンクの伝送パラメータを解析した。この結 果、ユーザ/衛星間リンクでは衛星地上高度とューザからの最小運用仰角がサービス品質要求 およぴ装置実現の観点から重要なパラメータとなることを示した。そして伝送損失、衛星可視 期間そして所要衛星数について調べ、各項・Bごとに衛星高度と最小運用仰角の最適値が異なっ てくること、従って衛星パラメータを決定するにはトレードオフスタデイが必要となることを 示した。

  衛星間リンクについては、衛星の軌道解析により2衛星間の伝送バラメータの変化を調べた。

その結果、同一軌道面上の隣接衛星間ではその相対的な位置がほぼ固定されることから光衛星 聞通信を用いた広帯域リンクの設定に適していること、隣接軌道面上を同一方向に周回する衛 星間では極域において大きく変化することを明らかにした。この結果をもとに、隣接する軌道 面上の同一方向に周回する衛星間に、低緯度地域のりンク状態が安定している期間のみ軌道面 間リンクを設定する網 構成を提案した。この網構成により、任意の2地点間を衛星リンクのみ で接続し、全世界をカバーする通信網を構築することができる。

  さらに光衛星間リンクについて回線設計を行い、低周回衛星間では3,000 km程度の距離を見 込めば良く、この程度の衛星間距離を対象とした場合の伝送バラメータが現在の光学およぴ光 通信技術で実現可能であることを示した。

  第5章では、第4章に 示した広帯域光衛星間リンク を実現するための核となる半導体レーザ 送信機の実現性を実証 するため同装置の設計および試作評価を行った。その結果、0.8ミクロ ン帯のLDを対象に出力60 mW、伝送速度2.5 Gbit/s、波面精度U16で直径5mmの円 形コリメー ト光出カを得た。この 試作におぃて、コリメータは 非球面レンズの適用により全長50 mm、3 枚のレンズ構成で上記 特性を達成した。これにより 小型・軽量で特性の優れたLDコリメータ を実現できる見通しを 得た。併せて、非球面シリン ダーレンズにより全長30 mm、2枚のレン ズ構成で同等の特性が得られる設計結果を示した。また、実際の通信装置を構成する際に必要 となるシリコン・アパランシェホトダイオードを用いた光受信機も開発した。この受信機はカ プリング光学系の損失 を除いた平均光受信レベル‑30.6 dBmでビット誤り率lxl0‑9を違成し、

0.8ミクロン帯での従来の検討の最高速度である25Gbir内伝送が可能であることを示した。また今後 の課題として、これら伝送装置の衛星間通信以外の分野への適用が考えられることを示した。

  第6章は結論であり、 本論文のまとめを行うと共に今後の課題について整理し、小型ユ―ザ 局を対象とした国際衛星通信システムの将来的な展望を示した。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

ディ ジタル 統合サービス向け小型ユーザ局を対象と    し た国 際 衛 星 通信 シ ス テム の 設 計に 関 す る研 究

  衛星通信では、今後の多様なデイジタルサービスの提供に向けてその多元接続性、同報性、

運用の柔軟性、機動性、広域性、広帯域性等の特長を活かしたシステムの設計、設計結果の実 現および検証が重要な 研究課題となっている。

  本論文は、小型地球局からなるユーザが直接衛星にアクセスする形態の国際衛星通信システ ムにおいて、ユーザの伝送要求に応じつつ衛星資源の活用を図るための通信システム設計およ びその要素技術の試作評価に関する一連の研究成果をまとめたものである。その主な目的は、

より小型のユーザに対して、より簡便でかつ適切な通信手段を提供することにある。さらにこ の通信システムは、多様なデイジタルサーピスの利用を目指すユーザの指向に即していること が必要である。本研究ではこのような観点から通信システム設計およびその要素技術の試作評 価を行い、衛星通信システム構築に関する指針および知見を得ることを目指しており、その主 要な成果は以下に要約 される。

  (i)異なる受信特 性を有するユーザ局に対して多様なデイジタル回線を統合的に提供する     国際ピジネス衛星 通信システムに適した網構 成および伝送方式を提案し、装置試作並び     に衛星実験により その特性を検証している。

  (ii)衛星同報回線を 用いて受信専用ユーザ局に 対してデー夕配信を行い、地上回線を用い     てユーザ局毎の受 信確認を行うシステムヘの 階層的な制御網構成の適用を提案しその適     用条件を明らかにするとともに、装置試作により提案システムの動作検証を行っている。

  (iii)広帯域デイジ タル統合サービスを小型のユーザ局に提供すぺく衛星間に光伝送を適用     する低軌道周回衛 星システムにおいて、時変 的なユーザ/衛星間リンクおよび光衛星間     リンクの伝送特性 を計算により明らかにし、 所要伝送パラメータを示すと共に低緯度地     域におぃて軌道閥 リンクを設定する網構成を 提案している。

  (iv)光衛星間リンク 実現のために必要となる高 出力半導体レーザ(LD)送信機およぴ受信機     の設計およぴ装置 試作を行い、非球面レンズ 技術の適用により少ないレンズ枚数、小型     の 光 学 系 を 用 い た LD送 信 機 を 試 作 し 、 そ の 実 現 性 を 実 証 し て い る 。   これを要するに、著者は、衛星通信システム設計において将来的なデイジタル統合サービス の展開を想定しつつ網制御およぴユーザ管理の観点からの最適化を図り、実際の装置試作およ ぴ実験を通じてその特性測定およぴ効果の検証を行うことによりそのシステム構築のための有 益 な 新 知 見 を 得 て お り 、 衛 星 通 信 工 学 の 進 歩 に 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る。

  よ って 著 者は 、北 海道 大学 博 士( 工学 )の 学 位を 授与 され る資 格あるものと認める。

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夫 彦

信 精

正 恭

井 藤

柴 川

永 伊

小 小

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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