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維持血液透析患者における外傷性頭蓋内血腫の治療成績

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6. Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (2020) Vol. 32 No. 2 : 6-11. 【原著論文】. 維持血液透析患者における外傷性頭蓋内血腫の治療 成績 刈部 博 1,成澤あゆみ 1,斎藤秀夫 1,梶谷卓未 1,亀山元信 1,秋保直樹 2,中川敦寛 3,冨永悌二 3 1 仙台市立病院脳神経外科,2仙台市立病院内科,3東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野. Clinical outcome of traumatic intracranial hematoma in patients pre-conditioned by chronic hemodyalysis Hiroshi Karibe1, Ayumi Narisawa1, Hideo Saito1, Takumi Kajitani1, Motonobu Kameyama1, Naoki Akiu2, Atsuhiro Nakagawa3, Teiji Tominaga3 1 Department of Neurosurgery, Sendai City Hospital 2 Department of Internal Medicine, Sendai City Hospital 3 Department of Neurosurgery, Tohoku University Graduate School of Medicine. Abstract Introduction: The one-year mortality associations in hemodialysis (HD) patients who underwent surgical. intervention after traumatic brain injury (TBI) has been reported as approximately 75% in population-based nationwide study in Taiwan, although it has not been well investigated in Japan.. Materials and Methods: In this study, the demographic characteristics of consecutive 59 HD patients (M:F=36:23, 75±12 y.o.) with acute traumatic intracranial hematoma (t-ICH) were collected and analyzed to compare to those in 293 non-HD controls (M:F=174:119, 73±13 y.o.). In all HD patients, chronic HD was suspended temporarily for at least 24 hours after trauma, and then resumed intermittently for 3 times a week, using Nafamostat mesilate under slow filtration as blood flow at 150 mL/h. The type of t-ICH, Glasgow Coma Scale (GCS) score on admission, and Glasgow Outcome Scale (GOS) score on discharge were compared between 2 groups.. Results: Configuration of the main type of t-ICH, as well as GCS score on admission, was not different between 2 groups. GOS score was significantly worse in HD than non-HD group. In surgically treated HD patients, the mortality seemed markedly lower than those in Taiwan.. Conclusion: The clinical outcome of HD patients who underwent surgical intervention after TBI may be more favorable in Japan compared to those in Taiwan. Such difference of outcome may be affected by the difference in configuration of patients and/or medico-social factors between countries.. Received: September 24, 2019 / Accepted: January 30, 2020. Key words: traumatic brain injury, intracranial hematoma, outcome, hemodialysis 頭部外傷,頭蓋内血種,転帰,血液透析. *資料請求先: 仙台市立病院脳神経外科/刈部 博 〒 982-8502 仙台市太白区あすと長町 1-1-1. はじめに. 日本透析医学会によれば,わが国における慢性血液透 析患者数は年間約 8,000 人のペースで漸増の一途をた どっており,2018 年末時点で約 340,000 人に達するとい う 1).慢性血液透析患者は失神・転倒しやすいことなど から頭部外傷の発生頻度が高く,透析脳の脆弱性や併用. される抗血栓療法に起因する重症化のリスク 2),頭蓋内 圧変動に起因する重症化のリスクなどが指摘され 3-9),予 後不良が示唆されてきた.筆者らも重症・重症化例,透 析関連合併症例などで予後不良リスクがあることを報告 してきた 10). 近年,台湾において維持血液透析患者における頭部外 傷例 1,104 例を対象とした大規模研究が行われ,維持血. 維持血液透析患者における外傷性頭蓋内血腫の治療成績. 7. 液透析患者における頭部外傷急性期手術例の治療成績が 1年死亡率 75%,生存期間中央値 0.8 カ月であり,非透 析患者における 1年死亡率 30%,生存期間中央値 29 カ 月と比較して著しく転帰不良であることが報告され た 11).同研究は台湾の健康保険請求の際に登録された ICD-9-CM(International Classification of Diseases, 9th edition, Clinical Modification)コードに基づくデータ ベース解析で,転帰不良のメカニズムについての詳細な 検討はされていないが,前述の死亡率のほか,糖尿病, 心筋梗塞既往,脳卒中既往,ICU 在室期間,気管切開 などが転帰不良要因として報告されている.一般に,頭 部外傷の治療成績は,重症度など患者側要因のみでな く,医療側要因,社会的要因などさまざまな要因によっ て左右されることから,海外の治療成績をそのままわが 国における診療に当てはめることはできない.一方で, 特定の条件下における疾病の治療成績は,手術適応や診 療方針の決定,患者に対するインフォームドコンセント に必要不可欠な情報であるにもかかわらず,これまでわ が国において血液透析患者における頭部外傷急性期の治 療成績の研究はない.そこで今回われわれは,維持血液 透析患者における外傷性頭蓋内出血自験例を対象に治療 成績を検討したので報告する.. 対象と方法. 対象は 2004 〜 2018 年の 15 年間に当科で入院治療を 行った外傷性頭蓋内出血で,受傷前から維持血液透析を 受けていた連続 59 例(M:F = 36:23,75 ± 12 歳) を対象(透析群)とした.急性増悪例も含めた慢性硬膜 下血腫症例は除外した.透析群における血液透析管理指 針としては,全例で原則として受傷後 24 時間以内の血 液透析は回避し,手術例・非手術例ともに受傷 24 時間 後以降に維持血液透析を再開することとした.血液透析 の際に用いる抗凝固薬は,ヘパリンの代用として,ヘパ リンに比べて血中半減期が短く,全身の凝固系への影響 が少ないとされるメシル酸ナファモスタット(フサ ン ®)を用いた.透析方法については,頭蓋内圧変動を 低減させるため血液流量 150mL/ 分,透析時間 4〜 5時 間を原則とし,週 3回の血液透析を行った.体液管理は normovolemia とした.すなわち,1 日総輸液量を(基 礎維持輸液量 500mL)+(前日尿量)−(経口飲水量). として算出し,連日の体重測定,中心静脈圧測定を行っ た.透析群においては,受傷前併存疾患,受傷前抗凝固・ 抗血小板療法の有無,血液透析導入の原因疾患,血液透 析導入からの期間,外科的治療の内容,転帰不良原因に ついて診療録をレビューして集計し,血液透析導入から の期間については転帰良好例と不良例との間で比較検討 を行った. また,2014 〜 2018 年の 5 年間に入院治療を行った外 傷性頭蓋内出血で,血液透析を受けておらず,性・年齢 層分布を一致させた連続 293 例(M:F = 174:119, 73 ± 13 歳)を比較対照(非透析群)とした.手術適応・ 方法は,透析例・非透析例ともに『重症頭部外傷治療・ 管理のガイドライン』(第 3版)に準拠した.診療録の 記載から主たる外傷性頭蓋内血腫,重症度,転帰につい て,透析群・非透析群の 2群間で比較検討を行った. 統計学的手法としては,外傷性頭蓋内血腫構成比,退 院時Glasgow Outcome Scale(GOS)score 構成比はχ 2. 検定を,入院時Glasgow Coma Scale(GCS)score,退 院時 GOS score,透析群における転帰良好例〔GR(正 常生活に復帰),MD(日常生活は自立)〕と転帰不良例 〔SD(介護に依存した生活),VS(植物状態),D(死亡)〕 の透析導入からの期間の比較はMann-Whitney U 検定 を用いた.いずれの検定においても,p< 0.05 をもって 統計学的有意差とした.透析群手術例については前述の 海外大規模研究と比較して考察した.. 結 果. 1.透析群の臨床的特徴(Table 1). 1)受傷前既往および併存疾患. 透析群では受傷前既往および併存疾患を複数有する例 が多く,その内訳は,高血圧 55 例(93%),糖尿病 25 例, 虚血性心疾患 13 例,悪性腫瘍 12 例,脳梗塞 11 例,心 房細動/不整脈 10 例,弁膜症 8例,心不全 6例,結核 5例,脳出血4例,認知症を含む精神疾患4例などであっ た.. 2)受傷前抗凝固・抗血小板療法の有無. 透析群では受傷前既往および併存疾患で循環器疾患を 有する例が多く,受傷前抗凝固・抗血小板療法を導入さ れている例が多数認められた.その内訳は抗血小板薬単. Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (2020) Vol. 32 No. 2 : 6-11. 8. 剤 17 例,抗血小板薬多剤 7例,抗凝固薬単剤 3例,抗 凝固薬+抗血小板薬 2例であり,受傷前内服薬不明の 8 例を除くと 57%の症例が抗凝固・抗血小板薬の少なく とも 1つを内服していた.. 3)血液透析導入の原因疾患. 血液透析導入の原疾患が判明しているケースでもっと も多かったのは糖尿病性腎症 23 例で,次いで多発性嚢 胞腎 5例,糸球体腎炎 3例,コレステロール塞栓症 2例 などで,腎硬化症など原疾患特定に至らないケースが 24 例あった.. 4)血液透析導入からの期間. 血液透析導入からの期間は,1年未満 5例,1 〜 5 年 12 例,6〜 10 年 9 例,11 〜 20 年 12 例,20 年以上 4例 であった.転帰別の血液透析導入からの期間は,転帰良 好例(GR+MD)10.2 ± 9.0 年,不良例(SD+ VS+ D) 6.9 ± 4.7 年で,統計学的有意差には至らなかった(p= 0.16).. 5)外科的治療の内容. 透析群では,治療は 43 例(73%)で保存的治療,16 例(27%)で手術が行われた.手術は全例急性硬膜下血 腫例で施行され simple type 11 例,complicated type 5 例.手術の内訳は開頭術 6例,穿頭術 5例,穿頭内視鏡 4例,穿頭+開頭術 1例であった.. 2.透析群と非透析群の比較. 1)主たる外傷性頭蓋内出血. 透析群における主たる頭蓋内病変は急性硬膜外血腫 4 例(7%),急性硬膜下血腫 33 例(56%),脳挫傷/外傷 性脳内血腫 12 例(20%),外傷性くも膜下出血 7 例 (12%),びまん性脳損傷 2例(3%)であった.非透析 群においては,急性硬膜外血腫 24 例(8%),急性硬膜 下血腫 141 例(48%),脳挫傷/外傷性脳内血腫 82 例 (28%),外傷性くも膜下出血 42 例(14%),びまん性脳 損傷 4例(1%)であった.症状は頭痛・意識障害がほ とんどで,局所神経脱落症状を呈する症例は少数だっ た.透析群および非透析群の 2群間において,頭蓋内血 腫の構成比に統計学的有意差は認められなかった (Table 2).. 2)入院時重症度(GCS score). 透析群では GCS 13-15 が 43 例(73%),GCS 9-12 が 3 例(5%),GCS 3-8 が 13 例(22%).非透析群では GCS 13-15 が 199 例(68%),GCS 9-12 が 40 例(14%), GCS 3-8 が 52 例(18%)で,2群間で入院時重症度に統 計学的な有意差は認められなかった(Table 3).. 3)退院時転帰(GOS). 退院時転帰は,透析群ではGR 26 例(44%),MD 11例 (19%),SD 9 例(15%),VS 1 例(2%),D 12 例(20%) で,非透析群ではGR 155 例(53%),MD 53 例(18%),. Table 1 Clinical characteristics of HD patients with t-ICH. Pre- and/or co-existing diseases Hypertension 55 Diabetes Mellitus 25 Ischemic heart disease 13 Maligant tumors 12 Cerebral infarction 11 Atrial fibrillation / Arrythmia 10 Valvar diseases 8 Cardiac failure 6 Tuberculosis 5 Cerebral hemorrhage 4 Dementia / psychological disease 4 others 16. Pre-conditioning agent (antiplatelet and/or anticoagulant) antiplatelet (single) 17 antiplatelets (double) 7 anticoagulant 3 anticoagulant + antiplatelet 2. Cause of HD Diabetic nephropathy 23 Polycystic kidney 5 Glomerulonephritis 3 Cholesterol emolism 2 Unknown 24. Duration since HD induction < 1 year 5 1-5 years 12 6-10 years 9 11-20 years 12 > 20 years 4 Unknown 17. 維持血液透析患者における外傷性頭蓋内血腫の治療成績. 9. SD 38 例(13%),VS 9 例(3%),D 36 例(12%)で あり,透析群において統計学的に有意に予後不良であっ た(p< 0.05).GOS score 構成比では,透析群でGRが 有意に少なく(p<0.05),Dが有意に多かった(p<0.05) (Fig. 1).透析群手術例に限ると GR 6 例(38%),MD 3 例(19%),SD 4 例(25%),VS 1 例(6%),D 2 例 (13%)であった.. 透析群の退院時死亡を含む転帰 SD以下 22 例の主な 転帰不良原因(重複あり)は,頭部外傷自体が13例でもっ とも多く,次いで経過中の合併症によるもの 10 例(敗 血症/感染症 6例,脳梗塞 3例,脳出血 1例),受傷前 低ADL(日常生活動作)4 例,他臓器損傷 2 例であっ た(Table 4).. Table 2 Main traumatic intracranial lesions. HD non-HD. Acute epidural hematoma (AEDH) 4 cases ( 7%) 24 cases ( 8%). Acute subdural hematoma (ASDH) 33 (56%) 141 (48%). Contusional hematoma 12 (20%) 82 (28%). Traumatic subarachnoid hemorrhage (t-SAH) 7 (12%) 42 (14%). Diffuse axonal injury (DAI) 2 ( 3%) 4 ( 1%). Fig. 1 Glasgow Outcome Scale (GCS) score at discharge. HD: hemodialysis group, non-HD: non-hemodialysis group, GR: good recovery, MD: moderate disabled, SD: severely disabled, VS: vegetative survival, D: dead. Table 3 Glasgow Coma Scale (GCS) score on admission. HD non-HD. GCS 13-15 43 cases (73%) 199 cases (68%). 9-12 3 ( 5%) 40 (14%). 3-8 13 (22%) 52 (18%). Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (2020) Vol. 32 No. 2 : 6-11. 10. 考 察. 本研究により透析群と非透析群を比較すると,①主た る外傷性頭蓋内血腫の構成比に有意差はないこと,②重 症度に有意差はないこと,③透析群では死亡率が高く転 帰不良であること,が示された.わが国における維持血 液透析患者における外傷性頭蓋内血腫の治療成績に関す る報告はほとんどなく,本研究結果はこのような患者に おける手術適応や診療方針の決定,あるいは患者・家族 へのインフォームドコンセントにおいて重要かつ有益な 情報をもたらし得るものと思われる.また,慢性血液透 析患者では何らかの医学的病因が生じた場合の死亡はほ とんどが1カ月以内である 12) ことを踏まえると,前出 の台湾研究と単純に比較して論ずることは困難であるも のの,わが国の維持血液透析患者における頭部外傷手術 例の死亡率は著しく低いと考えられる.一般に,頭部外 傷の治療成績は,年齢・重症度・合併症などの受療者側 要因,透析方法・手術適応・手術方法などの医療者側要 因,医療保険システムなど社会・環境要因によっても大 きく左右され得るが,少なくとも本研究結果は,大規模 研究といえども海外のデータをそのままわが国の日常診 療に当てはめるのは危険であることを示唆するものと思 われた. 一般に,頭部外傷の予後不良因子として,高血圧,糖. 尿病,心筋梗塞,脳卒中,心不全などが知られている 13, 14). また,血液透析患者の予後は,年齢,ADLを含む全身 状態や,高血圧,糖尿病をはじめとする合併症,透析導 入からの年月などが関与することが知られ,前述の台湾 研究でも,脳卒中,糖尿病,心筋梗塞の既往などが予後 不良因子であることが示されている 11).本研究対象の患 者背景でも高血圧,糖尿病,脳卒中,虚血性心疾患を有 する症例は少なくなく,透析群における転帰不良要因と. なり得ると推察される.従来指摘されていないが本研究 結果で興味深い点として,透析患者では脳卒中や心疾患 の既往のために受傷前に抗血栓薬を内服している患者が 著しく多い点があげられる.一般に,抗血栓薬は頭蓋内 出血の増大や再出血を招来し,頭部外傷の予後不良因子 としてよく知られている 15, 16).本研究の対象症例のうち, 転帰不良例では受傷前抗血栓薬内服例が有意に多いこ と,転帰不良例の原因としてもっとも多いのは頭部外傷 自体によるものであることから,抗血栓薬内服による頭 蓋内血腫の増大や再出血などが転帰を悪化させた可能性 が示唆される.われわれは,血液透析患者頭部外傷の重 症例には受傷直後には軽症であったものの通常の維持血 液透析開始後に急速に重症化した例が多数含まれている ことをすでに指摘している 10).通常の維持血液透析で は,併用される抗血栓(ヘパリン)療法に起因する頭蓋 内出血の拡大・再出血リスク 2),頭蓋内圧変動に起因す る重症化のリスク 3-9) があることから,維持血液透析患 者の頭部外傷は重症化しやすく,転帰不良の一因とされ る.これらの重症化例のなかには血液透析の際の抗凝固 薬のみでなく,受傷前の抗血栓薬による頭蓋内出血増悪 例も含まれる可能性を示唆している.血液透析患者にお いては,①頭部外傷を早期発見・早期診断し,②通常の 血液透析を回避すること,により治療成績が向上する可 能性が示唆される.一方,転帰不良原因として頭部外傷 に次いで多かった合併症については,内シャント感染な どに続発する敗血症はすでによく知られているが,脳梗 塞が 3例あった点は見逃せない.脳梗塞を併発した 3例 はいずれも受傷前抗血栓療法を受けていたが,外傷性頭 蓋内出血が発生したことにより抗血栓療法を中断した例 であった.現時点では,外傷性頭蓋内出血例における受 傷前抗血栓療法の明確な中断・中和基準はないが,将来 的には血栓塞栓性合併症のリスクも勘案された中断・中 和基準が必要と考えられた. 頭部外傷の早期発見・早期診断には,外傷歴の把握が 必要不可欠だが,血液透析患者では除水に伴う起立性低 血圧や失神による転倒/頭部外傷は日常しばしば発生 し,軽微な外傷歴は看過されやすいという 10).また,外 傷性頭蓋内出血の初期症状である頭痛や嘔吐なども,血 液透析患者ではしばしばみられる症状で外傷歴同様看過 されやすいという 17).一方,血液透析患者にとって,軽 微なものも含めれば常態化している頭部外傷に関し,脳. Table 4 Cause of unfavorable outcome after TBI. TBI 13 Complication 10. Sepsis 6 Cerebral infarction 3 Cerebral hemorrhage 1. Low ADL score before TBI 4 Tarumatic injury of another organ 2. 維持血液透析患者における外傷性頭蓋内血腫の治療成績. 11. 神経外科医や救急医が初療にあたる場合はむしろまれと 考えられることから,患者・家族や日常診療を担当する 透析医・スタッフなどにも頭部外傷の早期発見・早期診 断の重要性を教育・啓蒙することが重要であろう. また,維持血液透析を受けている患者に外傷性頭蓋内 出血が発生した場合の適切な透析方法については,診療 ガイドライン等では示されていない.本研究で用いた血 液透析時の抗血栓薬としてメシル酸ナファモスタットを 用いる方法は,ヘパリンに比べて血中半減期が短く,全 身の凝固系への影響が少ないとされる.本研究の症例で もメシル酸ナファモスタットを用いた血液透析後に,頭 蓋内出血の増大・再出血などの重大な出血性合併症の発 生は認めなかった.また,本研究の症例では血液透析時 の血流を 150mL として持続血液透析濾過波に透析効率 を抑え,頭蓋内圧変動の抑制に留意することにより,頭 蓋内圧変動に伴う合併症等なく安全に透析を施行するこ とができた.したがって,本研究に示した透析方法は外 傷性頭蓋内血腫急性期の透析方法として十分目的にかな うと考えられ,通常の血液透析法を回避し本法に切り替 えることが重要と考える.本研究結果は,維持血液透析 例の転帰は非透析例と比較して不良ではあるもののその 差は小さいことを示唆しており,前述の転帰不良要因と される重症化対策あるいは透析関連合併症対策により, 非透析例との転帰の差を縮小し得ると考えられた.. 本論文の発表に際して開示すべきCOI はありません.. 文 献. 1) 日本透析医学会:わが国の慢性透析療法の現況. https://docs.jsdt.or.jp/overview(accessed 2019-06-07). 2) 榊原陽太郎, 小野寺英孝, 田中雄一郎, 他: 腎透析患者の 外傷性急性硬膜下血腫の検討: 透析脳の脆弱性と頭部打 撲の機序の文献的考察. 神経外傷 34: 145-150, 2011. 3) Bertrand YM, Hermant A, Mahieu P, et al: Intracranial pressure changes in patients with head trauma during haemodialysis. Intensive Care Med 9: 321-323, 1983. 4) 権藤学司, 藤津和彦, 桑原武夫, 他: 腎不全を伴う脳神経 外科患者における各種透析方法の比較検討. Neurol Med. Chir (Tokyo) 29: 1125-1131, 1989 5) Kopitnik TA Jr, de Andrade R Jr, Gold MA, et al:. Pressure changes within a chronic subdural hematoma during hemodialysis. Surg Neurol 32: 289-293, 1989. 6) Krane NK: Intracranial pressure measurement in a patient undergoing hemodialysis and peritoneal dialysis. Am J Kidney Dis 13: 336-339, 1989. 7) Shahlaie K, Fox A, Butani L, et al: Spontaneous epidural hemorrhage in chronic renal failure. A case report and review. Pediatr Nephrol 19: 1168-1172, 2004. 8) Sood P, Sinson GP, Cohen EP: Subdural hematomas in chronic dialysis patients: significant and increasing. Clin J Am Soc Nephrol 2: 956-959, 2007. 9) Lin CM, Lin JW, Tsai JT, et al: Intracranial pressure fluctuation during hemodialysis in renal failure patients with intracranial hemorrhage. Acta Neurochir Suppl 101: 141-144, 2008. 10) 刈部博, 亀山元信, 川瀬誠, 他: 血液透析患者における頭 部外傷急性期の臨床像と問題点. 日本神経救急学会雑誌 26: 4-8, 2014. 11) Liao JC, Ho CH, Liang FW, et al: One-year mortality associations in hemodialysis patients after traumatic brain injury: an eight-year population-based study. PLoS One 9: e93956, 2014. 12) Chapman RJ, Templeton M, Ashworth S, et al: Long- term survival of chronic dialysis patients following survival from an episode of multiple-organ failure. Crit Care 13: R65, 2009. 13) Thompson HJ , R ivara FP , Nathens A, et a l : Development and validation of the mortality risk for trauma comorbidity index. Ann surg 252: 370-375, 2010. 14) Gale SC, Sicoutris C, Reilly PM, et al: Poor glycemic control is associated with increased mortality in critically ill trauma patients. Am surg 73: 454-460, 2007. 15) McMillian WD, Rogers FB: Management of prehospital antiplatelet and anticoagulant therapy in traumatic head injury: a review. J Trauma 66: 942-950, 2009. 16) Beynon C, Hertle DN, Unterberg AW, et al: Clinical review: Traumatic brain injury in patients receiving antiplatelet medication. Crit Care 16: 228, 2012. 17) 下川尚子, 林隆士, 姉川繁敬, 他: 透析中に発生した spontaneous epidural hematomaの1例. 脳 と 神 経 55: 163-166, 2003. 原稿受付日:2019 年 9 月 24 日 原稿受理日:2020 年 1 月 30 日

Table 1 Clinical characteristics of HD patients with t-ICH Pre- and/or co-existing diseases
Fig. 1 Glasgow Outcome Scale (GCS) score at discharge

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