学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2016 年 6 月 22 日(水)
報告番号:甲 第 1697 号 氏名: 青木 絵美子
論文審査
担当者 主査 教授 宮澤 啓介 印
副査 教授 長尾 俊孝 印
副査 教授 小西 眞人 印 審査論文の題目:
非アルコール性脂肪性肝疾患に対するGLP-1受容体作動薬の効果
著 者: 青木絵美子,伊藤禄郎,楊 傑仲,奥村貴子,佐野晃士,石川卓也,櫻井 衛,谷古宇史芳,
小田原雅人
掲載誌: 東京医科大学雑誌 (2016 年掲載予定) 論文要旨:
糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬の非アルコール性脂肪性肝疾患に対する効果を検討した。
6週令のC57BL/6J雄性マウスを購入し、8週令より通常食にて飼育した通常食餌群(コントロール群)、シ ョ糖添加高脂肪食(Quick Fat)にて飼育した食餌誘発性肥満マウス群(DIO群)を作成した。
コントロール群とDIO群はさらに16週令よりリラグルチド 200 μg/kg、1日2回腹腔内投与を行ったリ ラグルチド投与群(L群)、あるいは生理食塩水 200μg/kg、1日2回腹腔内投与を行った生理食塩水投与 群(NS群)に分け、計4群間(コントロール-NS群, コントロール-L群, DIO-NS群, DIO-L群)で比較検 討を行った。
DIO群はコントロール群に比し、肉眼的解剖所見上、脂肪沈着が著明であり、内臓脂肪蓄積を呈し、体重 増加、耐糖能の悪化、インスリン抵抗性が示された。DOI群にリラグルチド投与を行ったこところ、体重 減少、耐糖能改善、インスリン抵抗性改善、血中脂質および耐糖能の改善を認めた。また、リラグルチ ド投与群において、インスリン分泌増加、ならびに肝細胞におけるIrs1, Irs2, Pck1遺伝子発現低下と、
Foxo1, Srebf1, Gckの発現上昇傾向が認められた。チオバルビツール酸反応性物質(thiobarbituric acid reactive substances: TBARS)を指標に脂質過酸化状態を評価したところ、血中および肝ホモジネート 中のTBARSは、GLP-1受容体作動薬投与群はコントロール群に比較して低下傾向を示したものの4群間で 有意差を認めなかった。
審査過程:
1. 研究背景ならびに本研究の意義に関して妥当な説明がなされた。
2. 実験データーをもとに妥当な考察がなされた。
3. 実験データーにおける統計解析の不備が指摘され、訂正された。
4. 結果ならびにその解釈に関する質問に対し、ほぼ妥当な説明がなされた。
5. 本研究の「新規性」に関する質問に対し、回答があった。
価値判定
本研究は、食餌誘発性肥満マウスモデルを用いて、糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬の非アルコール性 脂肪性肝疾患に対する治療効果を検討したものである。GLP-1受容体作動薬の新たな臨床応用の観点から学位 論文としての価値を認める。