学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2014 年 2 月 26 日(水)
報告番号: 甲 第 1623 号 氏名: 中島 俊
論文審査
担当者 主査 教授 井上 茂 印
副査 教授 山科 章 印
副査 教授 林 由起子 印 審査論文の題目: Validation of the Japanese version of the Ford Insomnia Response to Stress Test
and the association of sleep reactivity with trait anxiety and insomnia(日本語版フォ ードストレス反応性不眠検査の妥当性の確認と睡眠反応性、特性不安、不眠との関連)
著 者:Shun Nakajima, Isa Okajima, Taeko Sasai, Mina Kobayashi, Naomichi Furudate, Christopher L. Drake, Thomas Roth, Yuichi Inoue
掲載誌:Sleep Medicine (in press, 2014) 論文要旨:
【背景・目的】不眠発症の脆弱因子と考えられている睡眠反応性を評価するフォードストレス反応性不 眠検査(Ford Insomnia Response to Stress Test: FIRST)日本語版を作成し、その信頼性・妥当性、
および本尺度によって評価された睡眠反応性と、特性不安、不眠症状との関連を検討した。【方法】不眠 症患者群 171 名、健常者群 161 名を対象に日本語版 FIRST、ピッツバーグ睡眠質問票、アテネ不眠尺度、
特性不安尺度を用いて評価が行われた。【結果】尺度の信頼性を示すクロンバックのα係数は患者群で 0.89、健常者群で 0.87 だった。因子分析の結果、1 因子構造で因子妥当性が確認された。健常群では睡 眠反応性の高い者は低い者と比較して不眠症状、特性不安が高かったが、患者群では特性不安のみが高 い値を示した。【考察・結論】以上より、日本語版 FIRST の信頼性、妥当性が確認できた。また、健常者 において睡眠反応性と不眠症状に関連が認められたが、患者群で関連が認められなかったことより、睡 眠反応性は不眠発症の脆弱因子だが、不眠症患者の増悪因子ではない可能性が示唆された。
審査過程:
1. 新たに開発された日本語版睡眠反応尺度の信頼性・妥当性について研究結果に基づいて明瞭に説明 することができた。
2. 睡眠反応性評価尺度を導入するに至った背景、研究目的、方法について適切な説明がなされた。
3. ストレス下で睡眠反応性が悪化する生理学的メカニズムについて適切な説明がなされた。
4. 睡眠反応性と不眠タイプ(入眠障害、熟眠感、中途覚醒)との関連に関する質問に対して、適切な 回答が得られた。
5. 睡眠反応性と不眠の重症度との関連について、健常群と患者群との結果に違いが意味するところに ついて適切な説明がなされた。
6. 開発された睡眠反応性評価尺度の予防、臨床的応用への可能性について適切な説明がなされた。
価値判定:
本研究は、不眠発症の脆弱因子と考えられている睡眠反応性の日本語版尺度を開発し、その信頼性・
妥当性を検討したものである。不眠反応性が、不眠発症の脆弱因子だが、不眠の増悪因子ではない可能 性を示唆する新たな知見も得られている。不眠症の予防・治療に資する研究であり学位論文としての価 値を認める。