学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2015 年 1 月 28(水)
報告番号:乙 第 2080 号 氏名: 野本 剛輝
論文審査
担当者 主査 教授 山本 謙吾 印
副査 教授 伊藤 正裕 印
副査 教授 松村 一 印 審査論文の題目:
The comparison of thyroarytenoid muscle myectomy and typeⅡthyroplasty for adductor spasmodic dysphonia
(痙攣性発声障害に対する甲状披裂筋切除術と甲状軟骨形成術Ⅱ型の比較)
著 者:Masaki Nomoto, Ryoji Tokashiki, Hiroyuki Hiramatsu, Uzimoto Konomi, Rei Motohashi, Eriko Sakurai, Fumimasa Toyomura, Yuri Ueda, Shun Inoue, Kiyoaki Tsukahara, Mamoru Suzuki 掲載誌:Journal of Voice (in press, 2015)
論文要旨:
内転型痙攣性発声障害(以下 AdSD)の代表的手術治療である甲状披裂筋摘切除術(TAM)と甲状軟骨形成術Ⅱ 型(TPⅡ)について両術式の比較検討を行った。その結果、両術式とも「VHI」、「つまり」、「とぎれ」、「ふる え」において有意に改善させ「気息性」においては有意に悪化した。特に「VHI」については TAM では 90%、
TPII では 96%で 6 点以上の改善が得られた。術前の各評価は両術式間に有意差はなかった。術後の各評価を 両術式の間で比較すると TAM の方が「つまり」「とぎれ」「ふるえ」を有意に改善させたが「気息性」を有意 に悪化させた。「VHI」では有意差は無かった。術前の評価を横軸に、術後の評価を縦軸とした各評価の散布 図とその回帰直線から TAM は TPII より重症例に効果的であることが分かった。
このことから TPⅡと比較すると、TAM は「つまり」、「とぎれ」、「ふるえ」を改善させるが一方で、術後に「気 息性」が悪化する傾向が見られた。術後の「VHI」は両術式間で有意差が無く、良好な改善率であることから 両術式とも有効な手術であると考えられた。
審査過程:
1. 痙攣性発声障害に対する両術式の適応の差異ならびに長期経過(効果の持続性等)についての質問に対し て妥当な回答が得られた。
2. 痙攣性発声障害に対して今回用いた評価法の適否についての質問に対して妥当な回答が得られた。
3. 痙攣性発声障害に対する他の臨床評価法の意義についての質問に対して妥当な回答が得られた。
4. 痙攣性発声障害の臨床症状(つまり、とぎれ、ふるえ等)が発生する病態についての質問に対して妥当な 回答が得られた。
5. 甲状披裂筋の生理作用についての質問に対して妥当な回答が得られた。
6. 痙攣性発声障害に対する今後の治療方針の展望についての質問に対して妥当な回答が得られた。
価値判定:
本研究は各種の自覚、他覚臨床評価法を用いて、甲状披裂筋摘切除術(TAM)と甲状軟骨形成術Ⅱ型(TP
Ⅱ)の治療成績を検討し、内転型痙攣性発声障害(以下 AdSD)に対する手術療法の重症度による適応の 違いと予後を明らかにしたもので、臨床上、AdSD の治療成績の向上へ貢献するものと考えられ、学位論 文としての価値を認める。