学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2014 年 2 月 26 日(水)
報告番号: 甲 第 1625 号 氏名: 古舘 直典
論文審査
担当者 主査 教授 河島 尚志 印
副査 教授 伊藤 正裕 印
副査 教授 島津 元秀 印 審査論文の題目:Daytime dysfunction in chikdren with restless legs syndrome
(小児レストレスレッグス症候群患者における日中機能障害に関する検討)
著 者:Naomichi Furudate, Yoko Komada, Mina Kobayashi, Shun Nakajima, Yuichi Inoue 掲載誌:Journal of the Neurological Sciences (in press)
論文要旨: 成人の RLS (restless legs syndrome) 有病率は、 白人では一般人ロの 5〜10%程度、 日 本人では 2〜4%程度の頻度と報告。一方、小児の有病率は、米国と英国で行われた The PEDS REST study では、definite RLS は 8-11 歳では 1.9%、12-17 歳では 2.0%、トルコで実施された調査では 10-12 歳で 1.71%、 13-19 歳で 3.21%と報告されている。今回、小児 RLS 患者の臨床背景と経過・転帰を調 べ、 QoL ならびに ADHD (attention deficit hyeractivity disorder) 症状に及ぼす影響について検討し た。
【方法】2009年9月から2011年3月までに受診した小児RLS患者 (初診時19歳未満かつ発症年齢15 歳未満) 25名 (男性6名、 女性19名、平均年齢12.3歳)。 コントロールは患児の兄弟を主な対象とし た。調査項目は、性別, 発症年齢, 罹病期間, 血清フェリチン濃度, 終夜睡眠ポリグラフ検査
(PSG), Suggested immobilization test (SIT), 子どもの心理社会的問題スクリーニング検査 (PSC)・
ADHD評価スケール(ADHD-RS-IV)、 小児QOL尺度 (PedsQL ver.4)。治療薬固定後3カ月で効果判 定をした。
【結果】RLS症状の発現は、 夜間のみ10例 (40%) と、 昼夜ともに発現15例 (60%) で血清フェリチン 値50ng/mL未満の患者は22例(88%)あった。治療は鉄剤単独8例(34.8%)、クロナゼパムまたはプラミペ キソールと鉄剤の併用はそれぞれ5例 (21.7%)、 2例 (8.6%) さらに3剤併用は1例 (4.3%) であった。鉄 剤単独例は、 8例全例が有効で、 うち5例は症状が消失した。RLS症状の持続時間と、ADHD総得点 ならびにQoL得点の間に有意な相関を認めた。治療後、ADHD各スコア、 QoL各スコア、 PSC、 が有 意に改善した (p<0.01またはp<0.05) 。 RLS症状に関して、 遺伝負因ならびに成長痛の合併は比較 的低かった。 また、 RLS治療後とコントロールの比較では、 QoLの身体的機能得点は有意であった。
【結語】 小児患者は、 ①ADHD 様症状を呈し QoL の低下が認められること、 ②RLS 症状の発現時間 が長いほど、 日中機能が悪化していた。 ③RLS 児は血清フェリチン低値が多く、鉄製剤投与により症 状の改善が多く、治療の第一選択になりうると考えられた。
審査過程:
1.本研究特に本疾患の診断や歴史を含め今日的問題、研究の意義・結果ならびにその解釈に関する明瞭 で適切な説明がなされた。
2.本研究に用いたいくつかの調査法の信頼性に関して質問がなされ的確の回答が得られた。
3.成人との小児のRLS の差について質問がなされ、明瞭な説明がなされた。
4. ADHDとの相同性、異同性について質問がなされ、適切な回答が得られた。
5. 薬剤の本疾患に関する位置づけにについて質問がなされ、適切な回答が得られた。
6. 本疾患における日中機能の悪化に関しての機序について質問がなされ、適切な回答が得られた。
価値判定:本研究において、稀な小児のレストレスレッグス症候群患者において、その特徴を明確にし、
薬剤の日中機能障害改善にまで調査し、その有用性を示した。臨床的にもこのことは近年増加している ADHD様症状への治療応用の可能性も示唆された。よって学位論文としての価値を認める。