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非ニュートン流の消散エネルギーについて 一 管 水 路 の 場 合 一

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Academic year: 2021

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(1)

非ニュートン流の消散エネルギーについて

一 管 水 路 の 場 合 一

松原 茂*.武政剛弘*・薦田広章*

On the dissipation energy of  non‑Newtonian fluid f10w 

‑In case of  a circular pipe

by 

Shigeru MATSUBARA, Takehiro TAKEMASA and Hiroaki KOMODA* 

(Civil Engineering) 

[n  a practical  sense, non‑Newtonian  fluid  flow  has  been  taken  the  attention  recently.  Such  studies  have  originally  been  developed  in  the  field  of  chemical  engmeenng. 

Even in  the field  of civil  engineering, such flows  as  debris, thick  emulsion  and  ready‑mixed concrete have been become the subject of the study lately. 

Now in  case of the transport by means of the  pipe, it  is  natural  that  both  the  amount  of  the  transport  and  pressure energy loss  are  looked on as  important. The  difference of energy loss  depended on the position in  the  pipe  is  not  yet  clarified.  Even  a fault  idea that energy 1088  occur8 on the rigid  wall ha8 been prevailed.  But  the velocities vanish  on  the  rigid  wall  and  work  due  to  wall  friction  is  not  in  existence.  After  all  there  in  no  energy  loss  on  the  rigid  wall.  It  should  be  emphasized  that  pressure  energy  loss  in  the  fluid  is  caused  by  the  shearing  deformation, being a part of works of shearing stress.  We assume the laminar flow  with mean velocity in  opposition to  wall friction  in  Newtonian fluid  and  it  can  be  proved that the amount of energy loss  is  equal to  work done by wall friction. 

In this  report, we expand this discussion  to  non‑Newtonian fluid flow.  Herschel Bulkley  substance, Bingham  substance  and  substance  obedient  to  power  law  are  chosen as  the subject to  the  study. 

1.  まえがき

近時塑性流体をも含めた広義の非ニュートン流体の 流れが実用的な面から注目されるようになった.こう した方面は昔から化学工学の分野で発展を遂げてきた.

昭和56101日受理

*土木工学科

しかし最近では土石流,濃い乳剤の流れ,スラリー ならびに生コンクリートの輸送など土木工学の分野で も研究の対象となってきている.

さて管路輸送の場合,実用的な面からは輸送量と庄

(2)

力損失のみに重点が置かれているのは当然としても,

この損失がどの部分での消費によるかは明らかにされ ていない.損失は壁面で行なわれているという誤った 考えさえ行き渡っているが,壁面での流速は零である のでここでの摩擦による仕事は存在せず,従って損失 はない.あくまで圧力損失は流体内部での勇断応力に よる仕事のうちの形状変形によるものである.しかし,

平均流を考え, 壁面摩擦に抗しセ流れると想定したと きの圧力損失が,流体内部の形状変形のエネルギー損 失と,ニュートン流体の層流のときには量的に一致す る.つまり水理学弓取り扱いの正当性が立証されてい

る1).

 本報文ではこの議論を非ニュートン流体にまで広げ てみる.対象とする非ニュートン流体は,Herscheレ Bulkley物質, Bingham物質およびべき法則に従う

物質である.

2.運動方程式

 定常非圧縮性の剛円管内における層流を考える.こ の円管の半径をRとする.円筒座標系(γ,θ,9)を 考え,9軸を管軸に一致させ流れの方向にとる.9方 向の流速をω,圧力を.P,密度をρ,重力による位 置のエネルギーを9,γ方向の面に働く9の負の方 向の勇断応力をτとすると,運動方程式は次式とな

る.

 ∂

一一](P+ρ9)一〇  ∂

一一z(・P+ρ9)一〇

一訟(.P十ρ9)÷募(・τ)一・

(1)

(2)

(3}

τはγのみの関数で(3)式を9で微分すると,(1),(2)

式より次式を得る.

  d2  蕊r(P+ρ9)一〇

 d一正(1)十ρρ)一B(三ρ91)

(4)

(5)

  P十ρ9=ノ4−B9       (6)

ここに,』,Bは正の定数,1は動水勾配である.

P+ρ9は丁丁(9軸)に垂直な断面内では一定であ り9の一次関数になっている.次に非ニュートン流 体の特徴である勇断応力τと勇断歪速度γとの間の 構成方程式が次式で与えられるとする.

  .  dzo

  γ=一一〜旺一『=∫(τ)       (7)

流体の種類によって関数形∫(τ)の形が種々異なる.

(3),(5)式より

  ・一麦B・     (8)

を得る.壁面での勇断応力をτωとすると(7),(8)式よ り流速ω,流量G,平均流速アに関して次式を得る.

ω一一 ∫= 鰍   (9)

G一p∫2∫騰    q① 7鳶∫2∫㈱    α1)

5.エネルギー方程式

 非ニュートン流体では塑性流動なる現象がみられ,

管路では一般にγ<γoの血流部分とγ>70の勇断流 部分が存在する.

(i) γ<γ0の二流部分

 γ=γ0より内部は,γ=γ0の勇断応力τ0に抗して一 定の速度窺で移動する.この血流部分では形状変形 は起こり得ないので,圧力と重力との駆動力のこの部 分になす仕事はそのままγ=γoでの勇断応力τ一τoの 仕事としてγの正の方向(壁面)に運ばれ,γ〉γoに おける形状変形の仕事として消失する.油鼠部分のエ ネルギー方程式としては定常非圧縮性の流れで,勇断 歪速度γは存在せずエネルギー損失はない.従って,

  「霧{ き(P+ρ9)…}一・・・… ・一・(12

となり,この部分での駆動力のなす仕事は次式となる.

  一ω・差r(P十ρ9)一B別・一2一継・ ㈲

(ii)γ〉γ0の勇断流部分

 γとγ+dγの環状部分に流入するエネルギーを考 えるとき,駆動力と勇断応力のなす仕事と系外から単 位時間に単位体積あたり流入するエネルギーを一々と するとこれらの和がこの部分の流体の運動エネルギー と内部エネルギーの変化に等しくなっている,この場 合,定常非圧縮性の等温流を考え,内部エネルギーの 変化を無視すると次式が得られる.

     d       l d      .

  一・・一石(1)十ρ9)一7ヨア(・・ω)一9−oω 上式の第2項を分解して,

  一 {ddg(P+ρ9)号÷(π)}

  dzo  .

一τ一<Aー9=0 (15)

(3)

   駆動力のなす仕事および勇断応力のなす仕事  駆動力の栓流部分と勇断流部分になす全仕事は(5),

㈱および(1の式の第1項より,

瀬・+∫美景B・・由

      一2署罪∫:雨晒 

となる.α9式を勇断流部分について積分して次式が得

られる.

鷹諭イ1晒由

        一瞬∫二糎舳  ⑫1}

⑳,⑳式は駆動力のなす全仕事が消散エネルギーに等 しいことを示している.

 勇断応力による仕事8を勇断流部分について積分

すると,(8)式を参考に,

∫1励一踊…瓶  (劾

となり,(12式より栓流部分への駆動力のなす仕事に等 しくなっている.

 微小部分の重心に働く勇断応力の合力のなす仕事

ε1の勇断流部分についての積分は(姻,(3)式より,

∫1一イ1一蓋(P十ρ9)Φ

        一一{響∫認∫ω蝕

      一・価・} (23)

を得る.(3)式より第1項は零である.従って,

  。    dzσ

  9一一・d,       (1⑤

となり,これが形状変形の消散エネルギーである.

 α賦の第2項は勇断応力による仕事で,これをSと し∫㈲式のように81,82の二つに分ける.

         1 d

  8−8・+82一一7一〜豆『(γτzo)

         ⑳ d

      dzσ

       一一7「δ(・τ)一・可  

  81一÷詐(γτ)   ⑬

     .    dzo

  8・一9一一・「旺      α9

(iii)

となる.従って,⑳,㈱式より次式が成り立つ.

∫箔恥+∫1晒Φ一瓶 (2の

すなわち,勇断流部分では,勇断応力のなす仕事8 は81および82の二つの部分に分けられ,(3)式より 81は重心に作用する駆動力のなす仕事に釣り合い

(等値異符号),32は消散エネルギーになっている.

⑳式より,82の積分値は81(<0)の積分値より絶対 値において門流部分の駆動力のなす仕事π塔Bωoだ け大きくなっている.回流が存在しなければ,艶(>0)

と81(<0)の積分値は等値逆符号となっている.

4.水理学的手法について

 円管内の流体が平均流速7で移動すると考えると,

栓流の存在の有無にかかわらず駆動力のなす仕事は次 式となる.

一諮器(P+ρ9)一2矯2∫評ノωβ砒㈱

これは⑳式の駆動力のなす全仕事に等しく,⑳式の消 散エネルギーになっている.

 壁面摩擦τωに抗して平均流速7で移動すると想 定したときの壁面摩擦動のなす仕事は次式となる.

臨7一一7−2冝轤Q∫購(26)

これは⑳式の内部摩擦による消散エネルギーに等しく なっている.形状変形などは考慮せずに一様な栓流と なって壁面摩擦に抗して流れると考える水理学的手法 の正しいことが判る.

5.非ニュートン流体の流動の特徴

(i) Herschel−Bulkley物質

 応力τがある臨界値幅を越さない間は流動は起 こらず,それを越すとγは(τ一海)πに比例して増す 場合である,これを式で書けば次式となる。

  ・  1

γ=否←∵:瀦} (勿)

⑨式を用いて流速別を求める.

別=

̲調∵_/.

また,γπと降伏応力!Hとの間には次の関係式が成

り立つ.

    jBγπ   海=一7

       (29)

γ〈γHでは別は一定で栓流となっている.次に勇断

(4)

流部分での勇断応力のなす仕事を計算し無次元化する.

8γおよびノの右下の添字Hは物質名の頭文字で

ある.

       η+1   8み17轟+1一一2(   γ1∫1−   R)

2π+1ゐ(η十1)

      れキユ

+2(γ   γ刃1〜 R)(・〉・調。)

8血・7轟+、一@+・)羨(γ   γ刀R  R)π

2η+1ゐ(η十1)

      η+1

8倉一8倉1+8会・一2(   γH1−   R)

      η+1

+2(γ   γ1∫R  R)

+(・÷・)萎(美一窒)

(γ>7石)61)

(γ〉γH)(32

⑳,q1)式に27)式を代入して流量Gおよび平均流速7 を求める.

  G一裂{(τω調π+3      ω

       +。皐2(τω一海)π+2血

+。}、(・一バ1強}

7一轟{(τωイπ  η十3)η+3

   ω

+。幸,(τω一海)π+2・∫π

+。辛、(・ザノガ+1・轟}

(ii)Bingham物質

(鋤

 粘土ペースト,ペイント,泥水,油性ペンキ,コロ イド溶液などでは;勇断応力τがある臨界値∫β

(Bingham降伏値)を越すとはじめて流動が現われ,

勇断歪速度γはτ一ノBに比例する.

t重一 :二読1}㈲

ここに,ηBはBingham粘度である.すなわち,

Hersche1−Bulkley物質の流動曲線27)でn=1,∫H=

ん,ゐ=ηβの場合である.㈱〜図式中のβ,7および

∫の右下の添字はBに替える.

(iii)べき法則に従う物質  流動曲線は次式で表わされる.

  ・  1

  γ一一天Fτπ        (鵠)

ここに,ゐ,ηは正の定数である。HerscheレBulkley 物質の構成方程式⑳で∫πこ0とおいたものである.

ふつうはη>1の場合が多い.η〈1のものは凝プラ スチック流体とよばれ,ゴム溶液,セルローズ,マヨ ネーズ,パルプ溶液などがこれに属する.また,η>1 の流体をダイラタント流体といい,でんぷんのり,ア ラビアゴム溶液,砂糖液などが代表的なものである.

η≒1である限り,みのディメンジョンは粘度のそれ とは異なる.η=1はニュートン流体でγ一τ/ηでた だ一つの定数η(粘度)だけで特徴づけられるのに対 し,べき法則に従う流体は二つの定数ゐ,ηに特徴づ けられている.28)〜岡面高のSγおよび∫の右下 の添字は.Pに替える.

6.数値計算例とその考察

(i) 各物質の円管内の流速分布例として,横軸に流速 ωと最大流速砺卿との比,縦軸にγ/Rをとり,

Fig.1に示す. Hersche1−Bulkley物質, Bingham 物質では庶流部分が存在し,そこでの流速は一定であ る.ただし,これらの場合についてはγ/R=0.4の所 で降伏応力が生じているものとする.

(ii) H:ersche1−Bulkley物質についてγH/R=0.4で η=3,π=%のときの8ム3を1,砺2をFig.2に 示す.8合は単位体積に対する勇断応力のなす仕事で,

壁面近傍では正,管軸近傍では負である.砺=0とな る位置はπが大きくなるにつれて擁壁に近づく,磁1 は重心に作用する勇断応力の合応力のなす仕事で駆動 力のなす仕事に釣り合っている (等値異符号).従っ てFig.2より,駆動力のなす仕事は管軸で最大で壁 面では零である.8毎は単位体積あたりの消散エネル ギーで,勇断流部分では8血2>0である.一般的にエ ネルギーの消散は管軸付近では余り行なわれず管壁に 近づくほどその程度が大きくなっている.ηの値が大

きくなるにつれてこの傾向が著しい.

 Fig.2は単位体積あたりのエネルギーを示したもの であるということに注意する必要がある (Fig.3,4

も同様).

σii) Bingham物質について,γβ/1〜=0.4のときの 磁,磁1,磁2をFig.3に示す.駆動力による仕事  (曲線A A!C)も示しておく.γ/R=0.7358で

砺一〇となる.これより管軸に近い所たとえばγ/R 軸上の点Dでは,8ゑ1〈0,磁〈0となっている.

ここでは叡断応力は,駆動力のなす仕事(DH)から 形状変形(DG)を引いた残り (GH)を管壁の方へ 運ぶ役目を果たしているのである.一方,点D では 磁>0となっている.ここでは,駆動力のなす仕事  (D!H )に勢断応力のなす仕事(D 万ノ=H/G )を

(5)

」:一

R

1.0

0.5 0.4

RlGlDWAしし

●ヤ

Newtonian

    FIuid

   

\\

      、、

00

\』

   0.5    1.O

      W          Wmax

Fig.1 Dimensionless velocity profile in a circular p量pe.

R

RIGID WAしし

       

@       ,

@  /!   S自//

1.Q

@ ,ρ9 C

O.5

    !       ノノツフ

@   ノ♂ρ 1

O.4 @ ,

一n・3…n・1/3

@       ENERGY 一10  一σ5     0     0。5     1。O

Fig.2 Energy diagram for Herschel−Bulkley substance.

加えて形状変形のエネルギー(D Gノ)を賄なってい るのである.三流部分に駆動力がなす仕事は0願 =.

σ矛で示されており,舅断応力による仕事磁を勇 断流部分について積分したものと等しくなっている.

(iv)べき法則に従う.物質について,η=3,η一%の

ときの磁,8角,部2をFig.4に示す. Herschel−

Bulkley物質と同様に,部;0となる位置はηが大 きくなるにつれて管壁に近づく.この物質では栓流部 分は存在せず,勇断応力のなす仕事磁の全断面に渡

っての積分値は零である.

(6)

R

RIGIDWALし 1.0 C B

F H Sも

F E

0.7358

D

E

@ H

σ

rB1

0.5

  G 1

rB2

A

πoン

A

04

0

O A ENERGY

一1.0 一Q5 0 ()5 10

Fig.3 Energy diagram for Bingham substance.

R

1.0 RIGID WALL

I /ラ S卜

1 1

S向 S61/ ! !  !  7@!!

I

!  S62

 !I!!    1・ !^0.5

!    !1 I  !

n−3

ノ1  !   !

^/S6m  !

f/sβ2 ... 氏E1/3

ノ!1

ENERGY

一20 一1.0     0      1Q     20     3.0     40   Fig.4 Energy diagra血for substance obedient to power law.

50

        参 考 文 献

1)松原 茂: 円管水路の流れの熱力学的考察  温の研究 第19巻 第3号,p.p.13〜19

2)松原・武政・深田: 非ニュートン流の消散エネ  ルギーに就いて 第50回農業土木学会九州支部講

 演会(1977.11)

3)岡 小天: レオロジー  房.

4)生井武文: 流れの力学

物理科学選書7 裳華

コロナ社

参照

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