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テストステロン分泌促進活性成分の探索と作用機構解析

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2020年27

テストステロン分泌促進活性成分の探索と作用機構解析

応用生物科学専攻 食資源科学講座 食品機能化学 寺田 直史

1.背景・目的

テストステロンは,多くの生理機能を有する男性ホルモンである。体内のテストステロン量は,

加齢に伴い低下して筋力や認知機能の低下,性機能不全など様々な異常を引き起こす。こうした症 状は,加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群とよばれて

QOL

の低下につながることから,高齢化社 会の対策課題の一つとなっている。また近年ではストレスなど生活環境に起因する

30

代,40 代男 性での

LOH

症候群の発症も問題となっており,その対処法が求められている。男性の場合,テスト ステロンは主に精巣のライディッヒ細胞で合成され,全身へと分泌される。したがって,ライディ ッヒ細胞によるテストステロン分泌を促進させることで,LOH 症候群の治療や予防が可能であると 考えられる。本研究では,食品素材からテストステロンの分泌促進活性を有する成分を探索し,そ の作用機構解析を行った。

2.方法

ライディッヒ細胞モデルである

I-10

細胞を被験物質で一定時間刺激した後,培養上清を回収し て

I-10

細胞が分泌したステロイドホルモン量を

ELISA

により定量した。また,被験物質で刺激後 の

I-10

細胞から全

RNA

を抽出してテストステロン生合成関連遺伝子について,

RT-qPCR

法によって 解析を行った。さらに,被験物質で刺激後の

I-10

細胞からミトコンドリアを単離し,ミトコンド リア内に含まれるタンパク質の発現をウェスタンブロッティング法により検出した。

3.結果と考察

各種穀物をテストステロン分泌促進活性試験に供したところ,玄米をテストステロン分泌促進活 性を示す食品素材として見出した。玄米に含まれている化合物を各種試験したところ,α-トコト リエノール(α-T3)がテストステロン分泌促進活性を示すことを確認した。

α-T3 の添加による

I-10

細胞のテストステロン生合成関連遺伝子発現量の変化を調べたところ,

テストステロン生合成経路の律速段階を担う

StAR(ステロイド産生急性調節タンパク質)のmRNA

発現量を増加させることがわかった。そこで

StAR

発現量の増加及び活性化を担う各種タンパク質 の阻害剤を用いてステロイドホルモンの分泌に与える影響を調べた。その結果,α-T3 は

cAMP/PKA

経路を介して

StAR

の発現を増加させるとともに,EGFR(上皮成長因子受容体)を介した

MAPK

の活 性化により

StAR

をリン酸化することで,ステロイドホルモンの分泌量を増加させていることを明 らかとした。

4.まとめ

テストステロン分泌促進活性を示す化合物として玄米に含まれているα-T3 を見出した。α-T3

の標的タンパク質については不明であるが,玄米などα-T3 を含む食品は,新たな

LOH

症候群対策

食品となる可能性がある。

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