経済統計:期末試験
村澤 康友 2015 年 8 月 3 日
注意:3問とも解答すること.結果より思考過程を重視するので,途中計算等も必ず書くこと(部分点は大 いに与えるが,結果のみの解答は0点とする).
1.(20点)以下の用語の定˙義を式または言葉で書きなさい(各˙ 20字程度).
(a)複合仮説
(b)有意水準
(c)単回帰モデル
(d)t値
2.(30点)大きさnの1変量データを(x1, . . . , xn)とする.µ:= E(xi)をOLSで推定したい.
(a)OLS問題を書きなさい.
(b)µのOLS推定量を求めなさい.
(c)OLS残差の和が0となることを示しなさい.
3.(50点)某大学経済学部2回生の男女について,どちらが平均的に経済学をよく理解しているかを知り たい.そこで(復元)無作為抽出した男子64人,女子32人に対して試験を行い,次の結果を得た.
平均点 (標本)標準偏差 男子 50 28 女子 60 24 母数と統計量の区別に注意して,以下の問いに答えなさい.
(a)検定問題を定式化しなさい(問題意識を踏まえること).
(b)平均点の差の漸近分布を求めなさい.
(c)検定統計量を与えなさい.
(d)H0の下で検定統計量の漸近分布を求め,有意水準5%の検定の棄却域を定めなさい.
(e)検定を実行し,結果を説明しなさい.
解答例
1. 統計学の基本用語
(a)複数の分布を許容する仮説.
(b)許容する第1種の誤りの確率.
•「許容する」がなければ2点(第1種の誤りの確率は検定の「サイズ」という).
(c)定数項以外に説明変数が1つしかない線形回帰モデル.
(d)H0:β= 0を検定するt統計量の値.
•「H0:β = 0を検定する」がなければダメ.
• b/s.e.(b)は定義でないので0点.
2. OLS
(a)
minm
∑n
i=1
(xi−m)2 and m∈R
(b)1階の条件は
∑n
i=1
(−2)(xi−m∗) = 0 正規方程式は
∑n
i=1
xi−nm∗= 0
したがって
m∗= 1 n
∑n
i=1
xi
• 正規方程式で5点.
(c)OLS残差はei:=xi−m∗.したがって
∑n
i=1
ei=
∑n
i=1
(xi−m∗) 正規方程式より右辺は0.
• OLS残差で5点.
• OLS残差を示さなければ0点.
3. 2標本問題
(a)母平均をµX, µY,母分散をσ2X, σY2 とすると
H0:µX ≥µY,σ2X, σY2 >0 vs. H1:µX < µY,σ2X, σY2 >0
• σX2, σ2Y >0はなくてもOK.
• H0は等号でもよい.
• H1の不等号は逆向きでもよい.
• 両側検定は5点.
2
• 2種類の不等号の混同は0点.
(b)標本の大きさをm, n,標本平均をX,¯ Y¯ とすると
X¯ ∼a N (
µX,σ2X m
)
Y¯ ∼a N (
µY,σ2Y n
)
X¯ −Y¯ ∼a N (
µX−µY,σX2 m +σY2
n )
• 母数と統計量の混同は0点.
(c)標本分散をs2X, s2Y とすると,検定統計量は
Z:=
X¯ −Y¯
√s2X/m+s2Y/n
• 標準化のみは5点.
(d)Z∼a N(0,1)よりZに関する棄却域は(−∞,−1.65].
• H1の不等号が逆向きなら棄却域は[1.65,−∞).
• 漸近分布で5点,棄却域で5点.
(e)標本平均の差の分散の推定値は s2X
m +s2Y n = 282
64 +242 32
= 784 + 2·576 64
= 1936 64
= 121 4 検定統計量の値は
Z := 50−60
√121/4
=− 10 11/2
≈ −1.82
Z ≤ −1.64より有意水準5%でH0はH1に対して棄却される.すなわち女子の方が平均的によ く理解していると結論できる.
• 検定統計量で5点,解釈で5点.
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