経済統計:期末試験
村澤 康友 2016 年 8 月 1 日
注意:3問とも解答すること.結果より思考過程を重視するので,途中計算等も必ず書くこと(部分点は大 いに与えるが,結果のみの解答は0点とする).
1.(20点)以下の用語の定˙義を式または言葉で書きなさい(各˙ 20字程度).
(a)t統計量
(b)正規方程式
(c)線形推定量
(d)標準誤差
2.(30点)2変量データを((y1, x1), . . . ,(yn, xn))とする.yiのxi上への定数項のない古典的正規線形回 帰モデルは
yi=βxi+ui
{ui} ∼IN( 0, σ2) βをOLSで推定したい.
(a)OLS問題を書きなさい.
(b)βのOLS推定量を求めなさい.
(c)OLS推定量の分布を求めなさい.
3.(50点)某大学経済学部2回生の男女について,どちらが経済学の理解度のばらつきが大きいかを知り たい.そこで(復元)無作為抽出した男子64人,女子32人に対して試験を行い,次の結果を得た.
平均点 (標本)標準偏差 男子 50 28 女子 60 24
正規母集団を仮定し,母数と統計量の区別に注意して,以下の問いに答えなさい.
(a)検定問題を定式化しなさい(問題意識を踏まえること).
(b)標本分散の比の分布を求めなさい.
(c)検定統計量を与えなさい.
(d)H0の下で検定統計量の分布を求め,有意水準5%の検定の棄却域を定めなさい.
(e)検定を実行し,結果を説明しなさい.
解答例
1. 統計学の基本用語
(a)H0の下でt分布にしたがう検定統計量
•「H0の下で」がなければ1点減
•「検定」がなければ0点
(b)OLS問題の1階の条件を整理した式
(c)被説明変数の線形関数で表される推定量
(d)推定量の標準偏差の推定値 2. OLS
(a)OLS問題は
min
b
∑n
i=1
(yi−bxi)2 and b∈R
• minがなければ0点
(b)OLS問題の1階の条件は
∑n
i=1
(−xi)2(yi−b∗xi) = 0 すなわち
∑n
i=1
xi(yi−b∗xi) = 0 正規方程式は
∑n
i=1
xiyi−b∗
∑n
i=1
x2i = 0 OLS推定量は
b∗=
∑n i=1xiyi
∑n i=1x2i
(c)βのOLS推定量は
b=
∑n i=1xiyi
∑n i=1x2i
=
∑n
i=1xi(βxi+ui)
∑n i=1x2i
=β+
∑n i=1xiui
∑n i=1x2i
2
したがって
E(b) = E (
β+
∑n i=1xiui
∑n i=1x2i
)
=β+
∑n
i=1xiE(ui)
∑n i=1x2i
=β var(b) = var
( β+
∑n i=1xiui
∑n i=1x2i
)
= var (∑n
i=1xiui
∑n i=1x2i
)
= var(x1u1) +· · ·+ var(xnun) (∑n
i=1x2i)2
= x21var(u1) +· · ·+x2nvar(un) (∑n
i=1x2i)2
= σ2∑n i=1x2i (∑n
i=1x2i)2
= σ2
∑n i=1x2i
bは(y1, . . . , yn)の線形変換だから正規分布.したがって b∼N
(
β, σ2
∑n i=1x2i
)
3. 2標本問題
(a)母平均をµX, µY,母分散をσ2X, σY2 とすると
H0:σX2 ≤σY2,µX, µY ∈R vs H1:σ2X> σ2Y,µX, µY ∈R
• 両側検定は0点
• 逆の不等号の片側検定は明らかにH0が棄却されないので0点.
(b)標本の大きさをm, n,標本分散をs2X, s2Y とすると (m−1)s2X
σ2X ∼χ2(m−1) (n−1)s2Y
σ2Y ∼χ2(n−1) s2X/s2Y
σ2X/σY2 ∼F(m−1, n−1) F(m−1, n−1)のcdfをF(.)とすると,任意のxについて
Pr [s2X
s2Y ≤x ]
= Pr
[s2X/s2Y
σX2/σY2 ≤ x σ2X/σY2
]
=F ( x
σ2X/σY2 )
• s2X/s2Y ∼F(m−1, n−1)はH0の下でなければ間違いなので0点
3
(c)検定統計量は
F := s2X s2Y
(d)H0の下でF ∼F(63,31).F分布表よりFに関する棄却域は[1.726,∞).より正確には p:= 1/63−1/120
1/60−1/120
= 57/(63·120) 1/120
= 57 63 として
F.05(63,31) =pF.05(60,31) + (1−p)F.05(120,31)
= 57
63·1.726 + 6 63·1.670
≈1.721 と補間する.
(e)検定統計量の値は
F := 282 242
= 72 62
= 49
≈1.36136
F <1.726より有意水準5%でH0はH1に対して棄却されない.すなわち男子の方が理解度のば らつきが大きいとは言えない.
4