経済統計:前期追試験
村澤 康友
2009年
8月
28日
注意:3問とも解答すること.
1.(20点)以下の用語の定義を式または言葉で書きなさい(各20字程度).
(a)対立仮説
(b)有意水準
(c)回帰
(d)通常の最小2乗法(OLS) 2.(30点)
(a)「大阪府民の過半数は橋下知事を支持している」という仮説を確かめたい.検定問題を定式化しな さい.
(b)検定統計量のp値が0.30だったとする.有意水準5%の検定の結果を判定しなさい.
(c)誤差と残差の違いを説明しなさい.
3.(50点)府大生の(1日平均)勉強時間の分布を男女で比較したい.以下の通り記号を定義する.
男子 女子
母集団分布 N(
µX, σX2) N(
µY, σY2) 標本 (X1, . . . , Xm) (Y1, . . . , Yn) 標本平均 X¯ Y¯ 標本分散 s2X s2Y すべての母数は未知とし,無作為標本を仮定する.
(a)次の検定問題を考える.
H0:σ2X=σ2Y vs. H1:σ2X̸=σ2Y.
i. 検定統計量を定義し,そのH0の下での分布を示しなさい(証明不要).
ii. m=n= 10として有意水準5%の検定の棄却域を定めなさい.
(b)前問でH0が採択されたとする.そこでσX2 =σ2Y =σ2と仮定して次の検定問題を考える.
H0:µX =µY vs. H1:µX < µY. i. ¯X−Y¯ の分布を求めなさい.
ii. 検定統計量を定義し,そのH0の下での分布を示しなさい(証明不要).
iii. m=n= 10として有意水準5%の検定の棄却域を定めなさい.
解答例
1. 統計学の基本用語
(a)帰無仮説を棄却するとき代わりに採択する仮説.
(b)許容する第1種の誤りの確率.
(c)E(Y|X)を求めること.
(d)残差2乗和を最小にするように回帰係数を定める方法.
2. 統計学の基礎知識
(a)母集団における支持率をpとして
H0:p=.5 vs. H1:p > .5.
(b)p値>有意水準なのでH0は採択.
(c)説明変数をx,被説明変数をy,回帰係数をβ,その推定値をbとすると,誤差はu:=y−βx,残 差はe:=y−bx.
3. 2標本の検定
(a)分散の比の検定 i.
(m−1)s2X
σX2 ∼χ2(m−1), (n−1)s2Y
σY2 ∼χ2(n−1).
両者は独立だから
s2X/σ2X
s2Y/σ2Y ∼F(m−1, n−1).
検定統計量は
F :=s2X s2Y . H0の下で
F ∼F(m−1, n−1).
ii. H0の下でF,1/F ∼F(9,9).F分布表より
Pr[F ≥4.026] =.025, Pr
[1
F ≥4.026 ]
=.025, すなわち
Pr [ 1
4.026 ≤F ≤4.026 ]
=.05.
したがって棄却域は[0,1/4.026]∪[4.026,∞).
(b)平均の差の検定
2
i.
X¯ ∼N (
µX,σ2 m
) , Y¯ ∼N
( µY,σ2
n )
. 両者は独立だから
X¯−Y¯ ∼N (
µX−µY, σ2 (1
m+1 n
)) . ii. 標準化すると
X¯ −Y¯ −(µX−µY)
√σ2(1/m+ 1/n) ∼N(0,1).
プールした標本分散をs2とすると,
s2:= 1 m+n−2
∑m
i=1
(Xi−X)¯ 2+
∑n j=1
(Yj−Y¯)2
= (m−1)s2X+ (n−1)s2Y m+n−2 . σ2をs2に置き換えると
X¯ −Y¯ −(µX−µY)
√s2(1/m+ 1/n) ∼t(m+n−2).
検定統計量は
t:=
X¯−Y¯
√s2(1/m+ 1/n). H0の下で
t∼t(m+n−2).
iii. H0の下でt∼t(18).t分布表より
Pr[t≤ −1.734] =.05.
したがって棄却域は(−∞,−1.734].
3