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小児に対する植え込み型除細動器の植え込み

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Academic year: 2021

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(1)

表 ICD の適応(文献10)より改変)

class ¿(絶対適応)

A.重篤な循環動態の悪化を呈する心室頻拍,または心室      細動の既往が一回以上あり,電気生理学的検査および      ホルター心電図で,正確な治療の予測がつかない例.

B.重篤な循環動態の悪化を呈する心室頻拍,または心室      細動の既往が一回以上あり,有効な薬剤がない.また      は現在使用できる適当な薬剤に耐えられない例 C.最も適当と思われる薬剤を投与している,もしくは有      効薬剤がない場合,最も有効と思われる手術またはカ      テーテルアブレーションをおこなっても,電気生理学      的検査で,重篤な循環動態の悪化を認める心室頻拍,

     または心室細動が誘発される場合 class À(適応に関して意見の一致をみないもの)

A.重篤な循環動態の悪化を呈する心室頻拍,または心室      細動の既往が一回以上あるが,有効薬剤の効果判定が      可能な例.

B.原因不明の失神の既往がある例で,電気生理学的検査      で,重篤な循環動態の悪化を認める心室頻拍,または      心室細動が誘発され,有効な薬剤がない,または現在      使用できる適当な薬剤に耐えられない例.

class Á(適応のないもの)

A.原因不明の失神の既往がある例で,頻拍が誘発されな      い例.

B.重篤な循環動態の悪化を呈する心室頻拍,または心室      細動以外の不整脈.

C.反復性(incessant)の心室頻拍,または心室細動.

<Editorial Comment>

小児に対する植え込み型除細動器の植え込み

日本大学医学部小児科 住友 直方

小児の突然死は極めて稀である.欧米では人口 100,000 人当たりの小児の突然死は 1.3〜8.5 と報告されてお り,この内 2 3 が心臓系の突然死であると言われている1).本邦では学校での突然死の報告があるが,これによ ると人口 100,000 人当たり 0.18〜0.9 であり2),学外で死亡する数を含めても欧米より若干少ないことが考えら れる.しかし,学校で年間に突然死する小児は 100 例を越えており2),やはりその多くが原因不明,もしくは心 疾患に関係する死亡である.また,突然死をおこす内の,かなりのものが心室性不整脈によるものと考えられ る.

小児突然死の基礎疾患は,肥大型心筋症,心筋炎,冠動脈異常,刺激伝導系の異常3),QT 延長症候群,先天 性心疾患4),不整脈源性右室異形性5)などに伴うものが主である.病院外で心停止を起こした場合,生存する可 能性はかなり低く,また生存しても重度の後遺症を残すことが報告されている6)7).近年 Brugada 症候群8), Leenhardt 等9)の特発性心室細動などの報告もあり薬剤のコントロールが困難な症例では,ICD 植え込みの適応 となるであろう.

植え込み型除細動器(以下 ICD)の本邦での小児使用報告は少ない.しかし欧米では小児に使用された報告 も増加してきており4),今後本邦でも増加することが考えられる.表に American College of Cardiology Ameri- can Heart Association10)の ICD 植え込みのガイドラインを挙げる.

QT 延長症候群の予防的 ICD 植え込みは,QTc が 0.6 より大きく,

β

遮断薬に抵抗性を示す症例が適応になる のでないかと言われている.近年の,遺伝子解析の進歩により,将来さらに詳細な治療薬の選択,もしくは遺 伝子治療が可能になる可能性はあるが,現在のところ,薬剤,左星状神経節ブロック,ペースメーカに不応性 の QT 延長症候群は,ICD の適応と考えられる.

日本小児循環器学会雑誌 15巻 4 号 586〜587頁(1999年)

(2)

太田等の報告例は,新生児期の QT 時間は 0.7 以上であり,頻回の失神発作があり,心房ペーシング,2 種類 以上の薬剤に抵抗性であり,ICD の適応を考えざるを得ない.しかし,ICD は誤作動から,精神的にかなりの ストレスになる例もあり,十分なインフォームドコンセントと,植え込み後のカウンセリングが重要である.

1)Liberthson R:Sudden death from cardiac causes in children and young adults. N Engl J Med 1996;334:1039―44

2)住友直方:児童・生徒の突然死.循環科学 1988;8:752―755

3)Steinberger J, Lucas RV Jr, Edwards JE, Titus JL:Causes of sudden unexpected cardiac death in the first two dec- ades of life. Am J Cardiol 1996;77:992―5

4)Wilson WR, Greer GE, Grubb BP:Implantable cardioverter-defibrillators in children:A single-institutional experi- ence. Ann Thorac Surg 1998;65:755―8

5)Maron BJ:Right ventricular cardiomyopathy:another cause of sudden death in the young. New Engl J Med 1988;318:178―180

6)Schindler MB, Bohn D, Cox PN, et al:Outcome of out-of-hospital cardiac or respiratory arrest in children. N Engl J Med 1996;335:1473―9

7)Kuisma M, Souminen P, Korpela R:Paediatric out-of-hospital cardiac arrests-epidemiology and outcome. Resuscita- tion 1995;30:141―50

8)Brugada P, Brugada J:Right bundle-branch block, persistent ST segment elevation and sudden cardiac death:a distinct clinical and electrocardiographic syndrome. A multicenter report. J Am Coll Cardiol 1992;20:1391―6 9)Leenhardt A, Lucet V, Denjoy I, Grau F, Ngoc DD, Coumel P:Catecholaminergic polymorphic ventricular tachy-

cardia in children, A 7-year follow-up of 21 patients. Circulation 1995;91:1512―1519

10)Dreifes LS, Fisch C, Griffin JC, Gillette PC, Mason JW, Parsonnet V:Guidelines for implantation of cardiac pacemak- ers and antiarrhythmia devices, A report of the American College of Cardiology American Heart Association task force on assessment of diagnostic and therapeutic cardiovascular procedures(Committee on pacemaker implanta- tion).Circulation 1991;84:455―467

日小循誌 15( 4 ),1999 587―(65)

表 ICD の適応 (文献 10) より改変) class ¿ (絶対適応) A.重篤な循環動態の悪化を呈する心室頻拍,または心室      細動の既往が一回以上あり,電気生理学的検査および      ホルター心電図で,正確な治療の予測がつかない例. B.重篤な循環動態の悪化を呈する心室頻拍,または心室      細動の既往が一回以上あり,有効な薬剤がない.また      は現在使用できる適当な薬剤に耐えられない例 C.最も適当と思われる薬剤を投与している,もしくは有      効薬剤がない場合,最も有効と

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