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オ オ イ イ ク 氏名(生年月日〉 本 籍 学 位 の 種 類 学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目大 井 い く 子 (
医学博士 乙第6
5
8
号 昭和5
9
年 5
月1
8
日 学位規則第5
条第2
項該当(博士の学位論文提出者〉 糟 原 病 性 網 膜 症 に お け る 虹 彩 ル ベ オ ー シ ス ( 1 ) 糖 尿 病 性 網 膜 症 に お け る 蛍 光 造 影 法 に よ る 虹 彩 ル ベ オ ー シ ス の 観 察 ーー網膜光凝固術との関係ーー 論 文 審 査 委 員(
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重 症 糖 尿 病 性 網 膜 症 に よ る 出 血 性 緑 内 障 の 治 療 ( 主 査 〉 教 授 内 田 幸 男 ( 副 査 〉 教 授 平 田 幸 正 , 教 授 降 矢 焚論 文 内 容 の 要 旨
研究目的 糖尿病性網膜症(以下網膜症と略す〉の進行により 虹彩ルベオーシスを生ずると,出血性緑内障へと進展 する危険性が強い.今日網膜症が成人の失明原因の上 位にあげられているが出血性緑内障もその頻度が増加 しつつある. 網膜症とともに虹彩の血管が如何なる変化を示す か,また網膜症の治療によって虹彩の血管がどのよう に変化するかを蛍光虹彩造影法を用いて観察した. 出血性緑内障を生じた症例についても治療によって 虹彩ルベオーシスがどのような経過をとるか,また限 圧,視カについても同様に検討した. 対象および方法 第 1 群は,糖尿病患者221 例352 眼である.網膜症に 対し網膜光凝固術(以下光凝固と略す〉を行ない,そ の72 例 110 眼は,前後に蛍光虹彩造影を行ない虹彩ルベ オーシスの経過を観察した. 虹彩からの蛍光の漏出をI型(血管の形が認められ ず蛍光のみが現われるもの〕および,より重症である I I 型(血管の形が造影されそこから蛍光が漏出するも の〉とに分けた. 第2 群は,出血性緑内障の34 例40 眼でありすべて増 殖性糖尿病性網膜症を有していた.このうち 91例91眼 は治療の前後に蛍光虹彩造影を行ない虹彩ルベオーシ スの治療による変化を観察した. 治療方法は,トラベクレグトミー,汎網膜光凝固術, 網膜冷凍凝固術,毛様体冷凍凝固術,および薬物療法 である. 結果 1.細隙灯顕微鏡では虹彩ルベオーシスが観察され ない虹彩の81.6%
に蛍光の漏出をみた. 2 . 糖尿病性網膜症が重症になるほど虹彩からの蛍 光漏出の程度が増加した. 3 . 虹彩から蛍光漏出の強し、症例に,有意に網膜症の 悪化がみられた. 4 . 光凝固により網膜症が改善すると,虹彩からの蛍 光漏出も有意に軽減した.5
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光凝固後の蛍光漏出は,改善群でI
型へ,悪化群 で、はII型へと変化する傾向が見られた. 6 . 漏出程度の改善度は,権病期間,血糖値加齢に関 係した. 7 . 出血性緑内障眼では,治療により視力の改善ある いは維持できたものは47.5%
であったが限圧のコント ロールは90% に良好で、あった. 8 . 視力,限圧,虹彩ノレベオーシスの寛解を考慮する と汎網膜光凝固術とトラベグレクトミーの併用が良い 結果を得た. 結 論 蛍光虹彩造影を糖尿病性網膜症に網膜光凝固術を施 行する前後に行ない,網膜症の光凝固後の状態と蛍光-714-虹彩造影所見は,非常によく並行する結果を得た.蛍 光虹彩造影法は,網膜症の予後判定に役立ち,また重 症の網膜症では早期に虹彩ルベオーシスを発見するこ