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ウシ単為発生卵を用いた卵子中心体機能についての研究 -ウシ単為発生における微小管動態と雌性前核移動-

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Academic year: 2021

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(1)

ウシ単為発生卵を用いた卵子中心体機能についての

研究 -ウシ単為発生における微小管動態と雌性前核

移動-著者

嶋 ゆき

2360

発行年

2006

URL

http://hdl.handle.net/10097/22976

(2)

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氏名(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与年月日

学位授与の条件

研究科専攻

学位論文題目

論文審査委員

しま

嶋ゆき(宮城県)

博士(医学)

医博第2360号

平成18年3月24日

学位規則第4条第1項該当

東北大学大学院医学系研究科

(博士課程)医科学専攻

ウシ単為発生卵を用いた卵子中心体機能について

の研究

一ウシ単為発生における微小管動態と雌性前核移

動一

(主査)

教授岡村州博

教授中山啓子

一409一

教授笠井憲雪

(3)

論文内容要旨

中心体は動物細胞において微小管形成中心となるものであり,受精において重要な役割を果た している。中心体は一対の中心子とそれをとりまく中心子周辺タンパク質から構成され,中心子 周辺タンパク質の主たる構成物質であるγ一チュブリンが微小管の重合核そのものとして働くと される。齧歯類を除く哺乳動物の受精卵においては,中心子周辺タンパク質のほとんどを欠く精 子中心体が卵子内の中心子周辺タンパク質(卵子中心体)を得て機能的中心体となり,それが微 小管形成中心として微小管(精子星状体)を形成し雌雄前核が細胞中心へ移動するのに重要な役 割を果たす。すなわち受精卵の中心体は精子中心体と卵子中心体の複合物であるといえるが,そ の機能の本体は精子中心体にあると考えられており,中心体の機能異常は不妊症の原因となり得 る。しかし卵子中心体そのものが微小管形成や前核移動に対しどのような役割を果たしているの かは完全には明らかにされていない。受精における機能的中心体の持つ役割を検討する上で卵子 中心体の役割を解明することは重要であると考えられ,中心体機能異常が原因と考えられる不妊 症の治療においても大きな前進になると期待できる。本研究ではウシ単為発生卵を用い,卵子中 心体の微小管形成や前核移動に対する役割を解明することを目的として以下の実験を行った。 ウシ未成熟卵を体外成熟培養させて得た成熟卵とそれを人工的に卵活性化させた単為発生卵を 用い,それら一部については微小管の重合を促進させる目的で1時間のpaclitaxel処理を行った。 更に単為発生卵の時間経過毎の微小管動態と雌性前核移動を調べるために固定までの時間を2時 間,5時間,7時間に設定した。これらの卵子をmodifiedbufferMとメタノールを用いて固定 し,更に微小管,γ一チュブリン,DNAをそれぞれ免疫蛍光染色法によって標識して作成した標 本を蛍光顕微鏡にて観察した。 卵活性化処理を行わなかったウシ成熟卵ではpaclitaxe1処理の有無に関わらず微小管は減数 分裂紡錘体にのみ認められ細胞質中にはほとんど観察されなかった。卵活性化処理を行い単為発 生させたウシ卵子のうちpaclitaxe1処理を行わなかった卵子では細胞質中に網状のネットワー ク構造の微小管が観察され,paclitaxel処理を行った単為発生卵では,1)細胞質中に星状体を 形成,2)微小管形成中心から広がる微小管によって部分的なネットワーク構造を形成,3)雌性 前核を取り巻く微小管形成中心から細胞質全体に放射線状に広がる微小管構造を形成,4) paclitaxe1処理を行わない場合に認められたような網状の微小管ネットワーク構造,のいずれか の微小管形態パターンを示した。4)の網状ネットワーク構造のパターンを除外すると,微小管 形成パターンと卵活性化後の時間の長さとの間,微小管形成パターンと雌性前核が中心に存在す る割合との間にはそれぞれ相関が認められた。また,paclitaxel処理の有無に関わらず雌性前核 が卵中心に存在する割合は卵活性化後の時間の長さと相関していた。γ一チュブリンは卵活性化 一410一 } 軍

(4)

π一… 処理の有無,paclitaxel処理の有無に関わらず微小管とほぼ同様の分布を示し,単為発生卵では 卵活性化からの固定までの時間が短い卵子では細胞質辺縁部分に,卵活性化後時間が経過してい る卵子では雌性前核周囲にそれぞれ認められ,paclitaxel処理した場合には微小管形成中心に一 致して認められた。 今回の結果より,paclitaxel処理したウシ単為発生卵における雌性前核移動において卵子中心 体とそれより形成される微小管の動態が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。ウシ 単為発生卵における微小管形態から推察できるように卵子中心体は微小管形成の核として微小管 を重合させる力が弱く通常の状態では星状体の形成が観察されないが,paclitaxe1を用いること で卵子中心体より形成される微小管の重合促進と脱重合抑制が起こり,星状体が観察されるよう になったと考えられる。Paclitaxel処理を行うことにより,ウシ単為発生卵においては卵細胞質 辺縁に存在するγ一チュブリンを主たる構成物質とした卵子中心体を微小管形成中心として星状 体が形成され,卵子中心体は雌性前核の周囲へ向かって移動し,そこから広がる微小管のダイナ ミックな伸張と退縮により雌性前核が卵中心へ移動することが示唆された。本研究によって,卵 子中心体が精子中心体の獲得なしに微小管形成や前核移動において機能的中心体としての役割を 全うできる可能性が示された。 一411一 も,盆

(5)

審査結果の要旨

受精卵の中心体は精子中心体と卵子中心体の複合物であり,精子中心体の機能異常は不妊症の 原因となり得ることが知られている。しかし卵子中心体そのものが微小管形成や前核移動に対し どのような役割を果たしているのかは未だ明らかにされていない。受精における機能的中心体の 持つ役割を検討する上で卵子中心体の役割を解明することは重要であると考えられ,中心体機能 異常が原因と考えられる不妊症の治療においても大きな前進になると期待できる。本研究はウシ 単為発生卵にpaclitaxel処理を施し,卵子中心体の微小管形成や前核移動に対する役割を調べ た初めての検討である。 筆書は,ウシ未成熟卵を体外成熟培養させて得た成熟卵を人工的に卵活性化させた単為発生卵 を用いてそれらの一部に微小管の重合を促進させる目的でpaclitaxe1処理を行い,これらの卵 子を卵活性化から固定までの時間を変えて微小管,γ一チュブリン,DNAをそれぞれ免疫蛍光染 色法によって標識し,蛍光顕微鏡による観察を行った。 本研究において筆者は,paclitaxe1処理を行ったウシ単為発生卵で認められる微小管形成パター ンが大きく4つに分類できるとした上でそれらの微小管形成パターンが卵活性化後の時間の長さ や雌性前核が中心に存在する割合と相関していることやγ一チュブリンが微小管形成中心に一致 して認められることを示し,paclitaxe1処理したウシ単為発生卵における雌性前核移動において γ一チュブリンを主たる構成物とした卵子中心体とそれより形成される微小管の動態が重要な役 割を果たしていることを示唆した。 本論文は単為発生卵にpaclitaxe1処理を行うことによって卵子中心体が精子中心体の獲得な しに微小管形成や前核移動において機能的中心体としての役割を全うできる可能性があることを 初めて示した研究論文であり,医学博士に十分値するものである。よって,本論文は博士(医学) の学位論文として合格と認める。 412一 卦 凱

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