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<原著>肝悪性腫瘍動注療法に用いる Cisplatin-Lipiodol suspensionの肝臓,腎臓への影響に関する実験的研究 利用統計を見る

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山梨医大誌7(2),67∼78,1992

肝悪性腫瘍動注療法に用いるCisplatin−Lipiodol suspensionの

肝臓,腎臓への影響に関する実験的研究

  日 原 敏 彦 由梨医科大学放射線医学教室 抄録:Cisplatln↓ipiodol suspension(CLS)の固有肝動脈内動注後の早期の影響をしらべる目的 で,四塩化炭素により作製した肝硬変ウサギおよび正常ウサギあわせて28羽に対してCLS(F6), Cispla宅in(CDDP)単独(n瓢6), Lipiodol単独(爲篇6),生理食塩水(n篇8)をそれぞれ投与した。2 羽は組織学的対照として用いた。処置後のCDDPの体内動態を検討するため,血清中および切除 した肝臓と腎臓の白金濃度を測定した。肝臓および腎臓の組織学的変化とGOT, GPT, BUN,血 中クレアチニンの経時的変化を調べた。CLSを投与した肝硬変ウサギではGOT, GPTが高値(P< 0.01)を示した。CDDPを投与した正常ウサギではBUN,血中クレアチニンが高値(P〈0.Oi)を示 した。組織学的にはCLSを投与した肝硬変ウサギで肝細胞変性と炎症浸:潤が顕著であった。 CDDPを投与した正常ウサギの腎臓で近位尿細管の変性と壊死が顕著であった。白金濃度の値は 早期の肝臓と腎臓の障害の程度と関連性を示した。結論として,CLS動注後早期に肝硬変ウサギ で肝障害が重度(腎障害は軽度)になる傾向にあった。CLSを肝硬変に伴う肝悪性腫瘍に用いる際 に注意が必要であることが示唆された。 キーワード シスプラチン・リピオドール懸濁液,動脈内投与,副作用,肝臓,腎臓 はじめに  肝悪性腫瘍に対する動注療法の効果増強の手 段として抗癌剤をLipiodo1(LPD)と共に投与 する方法が開発され,その際の薬剤として油性

抗癌剤SMANCS (Styrene Maleic Acid

Neocarcinostain)1), Adriamysin (ADR)2>, MitomycinC(MMC)3)などが用いられてきた。 その後Cisplatin(cis−diamminedichloro− platiHum, CDDP)を用いたCisplatin−Lipiodol Suspension(CLS)4>が開発され現在に至ってき ている。我々の施設でもCLSを用いて肝動脈 内注入療法を行っておりその膚用性を報告5)し ているが,その反面CLSによる副作用が問題 刊09−38山梨県中巨摩郡玉穂町下河『東1110 受付:1992年2月18日 受理:1992年4月21日 となる。臨床においては肝悪性腫瘍に対する化 学塞栓療法時の肝障害の指標として,血清トラ ンスアミナーゼ(GOT, GPT)が用いられてお り,ゼラチンスポンジ細片を用いた肝動脈塞栓 術後早期に上昇(1−2日目)することが知られ ている6>’7)。CLSを用いた場合にも同様の上 昇を認めると言われているが8),我々は臨床的 経験から肝硬変症例の方が正常症例より血清ト ランスアミナ一雨が高値を示す傾向が認められ る症例を経験している。しかしこの差は実際に は腫瘍壊死によって流出する血清トランスアミ ナーゼが存在するため,肝実質の障害を反映し ているか否か判定が困難である9)。またC:LS を構成しているCDDPは腎障害lo)の強い抗癌 剤であることが知られている。そこで我々は CLS投与による肝臓および腎臓への早期の影 響をウサギを用いて検討した。

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68 聞 原 敏 彦 対象および方法 1.研究対象(表1)  日本白色種ウサギ雄28羽(体重2,900∼3,000 g,平均2,950g)を実験動物として用いた。14 羽ずつをそれぞれ肝硬変群と正常群に分けた。 肝硬変群と正常群をさらにCLS群, CDDP溶 液群,LPD群および生理食塩水群(0.6m412 mZ)および,組織学的対照として生理食塩水を 入れないもの(一)に分けた。 2.肝硬変作製  四塩化炭素(和光純薬)を等量のオリーブ油 (吉田製薬)に溶かした混合液1.5m〃kgを週2 回12週にわたってウサギ背部に皮下注射するこ とにより組織学的には乙型の肝硬変を作製し た。 3.各種薬剤の投与法  Sodium pentobarbital(25 mg/kg)をウサギ 耳介静脈に注射して全身麻酔を行なった。右大 腿動脈にカテラン針(22ゲージ)を穿刺し,ガイ ドワイヤーを固有肝動脈まで進め,3Fポリエ チレンカテーテル(Cook社)を挿入した。透視 下に60%Urogra丘n O.2m♂を注入し,カテーテ 表!.実験群 肝硬変群 a. Cisplatin−Lipiodol suspen−   sion(CLS)群 b.Cisplatin(CI)DP)群 。。Lipiodol(LPD)群 d.生理食塩水群 e.生理食塩水群 f.生理食塩水 (0.6mZ)   3刃身 (12mZ)   3身身 (O.6m∠) 3羽 (0.6m♂)   2刀刃 (12m♂) 2羽   (一) 1羽 正常群 a.Cisplatln−L圭plodol suspen−   sion(CLS)群 b.Clspla宅in(CDDP)群 。.Lipiodol(LPD)群 d,生理食塩水群 e.生理食塩水群 f.生理食塩水 (0。6m♂) 3羽 (12m♂) (0.6m♂) (0.6m♂) (12m♂)   (一) 3羽 3羽 2羽 2羽 1羽 合 計 28羽 ル先端の位置を確認後(図4)手動下に各薬剤を 2分かけてゆっくり注入した。CLS O.6m∠, CDDP溶液12 m∠, CDDP O.6m∠と,薬剤に 対する対照としてそれぞれの薬剤の量に相当す る生理食塩水0.6mZ,12 m∠を固有肝動脈より

注入した。CLSはCDDP溶液を乾燥させ粉末

化した後,LPDと懸濁した。 CLSの製造法の 詳細に関してはすでに報告した5)。CDDP溶液 12m∠, CLS O.6 m∠にはCDDP 6 mgを含;有 する。 4.検討項目と検討方法  表1に示す実験群のうち組織学的基準を得る ため屠殺した生理食塩水(一)(表1イ)以外の各 群から実験開始時より心臓穿針法を用いて採血 を行ない,3日後に屠殺した。 1)血清中白金濃度  CDDPの化学式は[Pt(NH3)2C12]であり,白 金(Pt)濃度の測定はCDDP濃度を直接反映し ている5),すなわち白金濃度はCDDPの生体 内動態を示している。そこで血清中,組織内白 金濃度と肝臓および腎臓の障害との関係を評価 することを目的として白金濃度を測定した。 CLS群, CDDP溶液群のウサギより投与後5 分,15分,30分,1時間,12時間,24時問に採 血した血液を遠心分離して血清白金濃度を原子 吸光光度法11)により測定し,得られた白金濃 度は片対数グラフに標示した。なお測定には日 立偏光ゼーマン原子吸光光度計Z−8000を用い た。 2)組織内白金濃度  CLS群, CDDP溶液群のウサギを3日後に 屠殺し肝組織と腎組織の1部を切離し,測定試 料を調整するため0.3∼1gの切片とした。そ の後,キレート抽出法12)にて処理し,組織内 白金濃度を原子吸光光度法により測定した。 3)血清トランスアミナーゼ(GOT, GPT)の 測定  各群のウサギより投与前,投与後12時間,24 時間,48時間,72時間に採血した血液を遠心分 離し,各々の血清を比色計を用いて測定した。 4)血中尿素窒素(BUN)と血中クレアチニン

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肝悪性腫瘍動注療法に用いるClsplati捻一Lipiodol騒spensionの肝臓腎臓への影響 69 の測定  3)と同様iの血清を用いて,BUNはUrease Indophenol法,クレアチニンはFolin−Wu法に より測定した。  3)∼4)で得たデータのうち各時点での各々 の薬剤のデータと同量の生理食塩水投与より得 られたデータとを比較した。統計学的解析には Student’s診舵s宅を用い有意水準の5%,!%以 下の2段階で表示した。 5)組織学的分析  実験群(表1)のウサギを屠殺後,開腹して採 取した肝組織と腎組織を10%ホルマリン溶液で 固定し,パラフィン包埋後,薄切切片にhema− toxylin−eosin(HE)染色を行い,組織学的検討 を行なった。  組織学的障害程度は光学顕微鏡下の各組織像 内での障害性所見の出現頻度を比較し,4段階 (一 なし,+ 軽度,++ 中等度,+++ 重度)に分類して判定した。障害性所見として は,肝臓では肝細胞好酸性変性,肝細胞膨化, 炎症性細胞浸潤(小葉内,間質),腎臓では近位 尿細管上皮の変性・壊死,糸球体のLPDによ る空胞を用いた。 3      2      1 ︵唇\むの識︶八一媚趙恐鍵頓 肝硬変躰存 ④CLS 国CDDP溶液 正常 OCLS 農CI)DP溶液  mean士S8M 5min l5min 30min lhr       12hr   図1.血清中白金濃度の推移 表2.3日後の組織内白金濃度(μg/g) 24hr 肝硬変群  正常群 肝臓 CLS群 !.62±0.8  !.52±0.1 CDDP溶液群  !.45±0.2 !。35±0.1 腎臓 CLS群 5.21±0.7  5.1 ±0.3 CDDP溶液群  6.30±0.5 6.74±0.6 結 果 Mean±SEM. 1.血清中白金濃度(図1)

 肝硬変群では初期値は低く,CLS群,

CDDP溶液群ともにゆるやかな低下を示した。

正常群のCDDP溶液群では2相性の濃度変化

を示し,1回目は急激な低下を示した。 2.肝臓および腎臓の組織中白金濃度(表2)

CLS群はCDDP溶液群よりも肝臓での濃度が

高く,CDDP溶液群はCLS群より腎臓での濃

度が高い傾向を示した。また統計学的に有意で はないが肝硬変群は正常群より肝臓への集積濃 度が高い傾向を示した。 3.肝機能検査(GOT, GPT),(図2−a, b, c, d)

 肝硬変群においてCLS群のGOTでは24時

間をピークとする上昇がみられた(P<0.0!)。 GPTでは肝硬変のCLS群は48時間にピークを 示した(P<0.O!)。他の変化はほぼGOTと同

様であった。正常群のCLS群でもGOTにお

いて24時間後に有意な上昇がみられた(P< 0.05)。 4.腎機能検査(BUN,クレアチニン),(図3 −a,b, c, d)

 肝硬変群のCLS群とCDDP溶液群は48時間

まで上昇し,その後低下を示した。正常群での CDDP溶液群は72時問まで直線的に上昇を示 した(P<0.01)。クレアチニンにおいてもほぼ 同様の変化が認められた。 5.組織学的分析(表3−a,b)  1)肝硬変群(図5−a,b, c, d, e, f)  四塩化炭素を12週皮下注射することによりお おむね肝臓は隔壁性線維増殖による偽小葉を形

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70 日 原 敏 彦 (囲_P冨︶

OO

2000 1500 1000 500 ** ** * ⑳  CLS     O,6mi 圏  CDDP・溶詔夜 }2R、1 ▲  Σ4PD     G.6m[ × 生理食塩水12mi 十 生理食塩水0βml **pく0,01 * Pく0,05   mean土SEM ρ.,・…x・・… ……・一… …・・英・・…..馬雪噛魑 『.…・……’卿 ¥暫讐…一一一・…….一ト____ 『噛 1500     oo     10 ({_P鼠︶ ↑餌O 500 * ** ** ◎  CLS     O.6m[ 翻  CDI)P}容1皮 …2Σ1擁 ▲  し正)1つ     0,6韮憤} ×  二三理三二二ま蕪オくi2…罰ミ 十  回田耳翼食重盆フkO.61nl ** 」Pく0,01 * /)く0.05   mean:とSEじ)1 『,・!・捧鱒・一・…一……..栄.甲___,_.. 補盲   12hr  24hr 48hr 72hr 鳶有   12hr  24hr 48hr 72hr 図2−a.GOTの推移(肝硬変群) 図2℃.GPTの推移(肝硬変群) (一_P属︶

OO

1500 1000 500 * O  CLS     O.6搬i B  CDDP・溶液 12n11 △ Li)D    α6n擁 × 生理食塩水財mi 十 生理食塩水0.6ml * p〈0,05  mean土S王3M ,一一一・ F:==:::葦:::::::::::::::::・__..,. ({_P出︶↑氏○ 1500 1000 5◎0 OB△× CLS     O.6鞘i CDDP溶液重2踏i LPD   O,6mi 生理食:塩水12m1 生理食塩水0.6mi mean血SEM 菖む    12hr  24難r 48hr 72hま・ 國前   12hr  24hr 48hr 72hr 図2−b.GOTの推移(正常群) 図2−d.GPTの推移(正常群)

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肝悪1生腫瘍動注療法に用いるCispla宅ln−Liplodol s“spensio簸の肝臓,腎臓への影響 7/ ︵む\bの鎗︶乞PqQ 150 100 50 ●CLS   α6mI 翻CDDP溶液12m1 ▲LPD    O.6ml X生理食塩水12狙1 十生理食塩水α6ml *P〈0.05  mean±S逸M * 一.’二・二=二=羊:::::::::::::二:準二:二二::二二こ二:二二二二洋 ︵宕\bの銭︶八q志トムへ 3 2 1 * ▲CLS    O.6rn1 ◎CDI)P溶液12m更 團LPD    O.6ml ×生理食塩水12m互 十生理食塩水0.6m1 *P〈0.05  mean土S£M         印.印り.._…・。…X…・…・………・・× x魑奄堰F:..1罪二ll二1冷...____+.._.___+  前   12hr  24hr      48hr 図3−a.BUNの推移(肝硬変群) 72hr

  前12hr 24hr 48hr 72hr

図3−c.クレアチニンの推移(肝硬変群) 150   鵬 ({ 氏_bの讐︶驚P的 50 OCLS    O.6rn五 目CDDP溶液12m! △LP【)    α6瓢l X生理食塩水12m1 十生理食塩水O.6ml **∫)<α01  mean土SEM .,.炉..・・P・w曽…………’…繁・…・・……_X こ←…・・十・…… …・…………・・・・…..、..一.魑 3      2 ︵筍\bの鶏︶八二志トムへ ! OCLS     α6m1 にlCDi)P』溶才夜i2n君 △L王)D     O.6ml × 互三夏廻食塩フ}(12inl 十生理食塩水0.6m} **P<0.0正  n}eanよS壬£M ** 痢・之一繰二ごi.婆1≡ヨヨ1ヨ’……… 前12hr 24hr 48hr 図3−b、BUNの推移(正常群) 72hr 前12hr 24hr 48hr 72hr 図3−d.クレアチニンの推移(正常群)

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72 日 原 敏 彦 表3−a.肝臓の組織像

肝硬変群正常群

   肝細胞好酸性変性 生理食 肝細胞の膨化 塩水群 炎症性細胞浸潤     小葉(偽小葉)内     問質    肝細胞好酸性変性 CLS群肝細胞の膨化     炎症性細胞浸潤     小葉(偽小葉)内     間質    肝細胞好酸性変性 CDDP 巨細胞の膨化 溶液群 炎症性細胞浸潤     小葉(偽小葉)内     聞質    肝細胞好酸性変性 LPD群肝細胞の膨化     炎症性細胞浸潤     小葉(偽小葉)内     間質 十十 十十 一∼

¥

十十十    十 十∼十十  一∼十 十十   一∼十 十   十∼十十

十十 十十 十十 一∼

¥

一∼

¥

一∼

¥

一なし,+軽度,++中等度,+++重度 成し,中心静脈は消退し,胆管壁の肥厚がみら れ,乙型肝硬変の像を呈した(図5−a)。生理食 塩水を入れた群(表レd,e)でも同様の所見を 得た。CLS群では好酸性変性を示す肝細胞の 増加と偽小葉内炎症細胞の増加が肝全体で観察 された(図5−b)。CDDP溶液群では肝細胞細 胞質の膨化(淡明化)が肝臓の一部にみられた (図5℃)。LPD群では生理食塩水と比較して 著しい変化を認めなかった(図5−d)。以上の 結果をまとめたのが表3−aである。  腎臓においては,生理食塩水群では近位およ び遠位尿細管,集合管,糸球体に明らかな異常

は認められなかった。しかし,CLS群,

CDDP溶液群では近位尿細管上皮の変性・壊 死を認め(図5℃),CLS群とLPD群では糸球 体に空胞を認めた(図5−f)(表3−b)。  2)正常群(図5−g,h, i,」, k,1)  生理食塩水(一)および生理食塩水を入れた群 は正常の肝小葉構i造を示した(図5−g)。  CLS群においては,グリソン鞘内と類洞に LPDによる空洞がみられ,また間質性炎症反 応も顕著に見られた。その周囲には好酸性変性 肝細胞の出現が認められた。聞質にもLPDに よる空洞が観察された(図5−h)。CDDP溶液 群では肝細胞細胞質膨化(淡明化)が肝臓の一部 に認められた(図5ヨ)。LPD群にもcLs群と 同様の変化が認められたが,その範囲はCLS 群より狭い範囲であった(図5−」)。以上の結果 をまとめたのが表3唱である。  腎臓においてはCDDP溶液群で近位尿細管 上皮領域に変性・壊死が認められた(図5−k)。

同様の変化がCLS群にも認められたが,

CDDP溶液群ほど著しくはなかった。 CLS群, LPD群のいずれにおいても糸球体内にLPDに よる空洞を認めた(写真2−D(表3−b)。 表3−b.腎臓の組織像 肝硬変群  正常群 生理食塩水群

CLS群

CDDP溶液群… LPf)群 近位尿細管上皮の変性・壊死 近位尿細管上皮の変性・壊死 糸球体のLPDによる空胞 近位尿細管上皮の変性・壊死 近位尿細管上皮の変性・壊死 糸球体のLPDによる空胞

十十十

十十   十   十 十∼十十十 十∼十十 一なし,+軽度,++中等度,+++重度

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肝悪性腫瘍動注療法に用いるCisplatin−Lipiodol suspensionの肝臓,腎臓への影響 73 図4.ウサギ固有肝動脈造影(右側面像)   各種薬剤をこの動脈内にカテーテル先端(矢印)をおいて注入した. 考 案  CDDPは,1965年にRosenbergらユ3)により 発見された錯塩で,最初はE.Coliに対する分 裂阻害作用が研究され,動物腫瘍でその効果が 証明された。1971年にHillら14)により臨床に 導入されて現在に至っている。作用機序の詳細 は不明であるがDNA合成を阻害するとされて いる。臨床効果の有効性の高いものとして睾丸 腫瘍!5),卵巣腫瘍16),膀胱腫瘍17),子宮頚癌18) など注目すべき成績をあげている。また本剤の 副作用として腎障害10)が最も注意すべき障害 として指摘されている。本剤が肝細胞癌の治療 にCLSとして使用された報告は1986年の佐々 木ら4)の報告が最初でそれ以前の点滴静注法19) や肝動注法20)では十分な効果が得られていな い。我’々の施設でも1986年よりCLSを肝腫瘍 (主に肝細胞癌)に用いその有効性を報告5)して きているが,CLSの肝臓への障害を調べるた め固有肝動脈から動注した症例において,術後 2日目の血清トランスアミナーゼが正常肝に比 べて肝硬変で高い傾向が認められた。しかしな

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74 図5a b C d e f

織索嚢欝懇鍵、.蠣褻難灘

羅姦蕪謬、、、・、藻琴二難懇懇蓼 魏魏議譲辮糠難麟、轟鎖羅魏魏響.

麟雛燭

       日 原 敏 回        噂、 肝硬変群の生理食塩水(一)例 中心静脈の消退,隔壁状の線維性増生,胆管壁の肥厚がみられる.(HE染色,×200) 肝硬変群のCLS注入群      ’ 好酸性変性を示す肝細胞が著しく増加している.さらに偽小葉内に炎症性細胞の浸潤がみられる(矢印). (HE染色,×200) 肝硬変群のCDDP溶液注入群 肝細胞細胞質の膨化(淡明化)がみられる.(HE染色,×200) 肝硬変群のLPD注入群 生理食塩水(一)例との間に差を認めない.(HE染色,×200) 肝硬変群のCDDP溶液注入群の腎臓組織 近位尿細管上皮の変性・壊死が部分的に認められる(矢印).(HE染色,×200) 肝硬変群のLPD注入群の腎組織 糸球体内にLPDによる空胞がみられる.(HE染色,×200)

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図59   h 1 J k 1 肝悪性腫瘍動注療法に用いるClsplatln−Llplodol suspenslonの肝臓,腎臓への影響

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75

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76 B 原 敏 彦 がら,肝細胞癌自体壊死に至ると血清トランス アミナー一景を放出するため肝硬変部の障害が著 しいかどうか判定するのは難しい9>。そこで 我々はCLSによる肝障害の程度を四塩化炭素 で作成した肝硬変ウサギと正常ウサギで評価し てみた。  血清中の白金濃度に関しては肝硬変群の CLS群, CDDP溶液群は初期値も低くゆるや かな血清中濃度の低下を示した。これはCLS からのCDDPの遊離が徐放性であることと肝 硬変による肝血流の低下が関与している可能性 があると考えられる。正常群のCDDP溶液群 は最も早く濃度が低下した。  3日後の組織内白金濃度を測定した結果で肝 硬変群と正常群の間に統計的:有意差は認めな かった。CLS群で肝組織内濃度が高い傾向が みられた。またCDDP溶液群では腎組織内濃 度が高い傾向がみられた。この所見は血清中の 白金濃度の推移と比較して矛盾しないと思われ る。  血清トランスアミナーゼの変化は肝硬変群で 24時間に有意な上昇を示した。肝硬変群では CDDPの停滞が長いため肝障害が顕著に出現 することが推察される。血中のBUN,クレア チンに関しては肝硬変群のCLS群, CDDP溶 液群では一過性に障害を示したが回復する傾向 を示した。一∼方正常群ではCLS群, LPD群は 変化が乏しかったがCDDP溶液群は72時間ま で上昇を続けた。この上昇は急激にCDDPが 腎臓に排出され,高濃度のCDDPに腎臓が障 害されたと考えられ組織学的所見と一致する。  3日後の組織学的検討において肝硬変群の CLS群に好酸性変性をおこした肝細胞の増加 と偽小葉内炎症細胞の増加が認められたが,正 常群で見られた間質性炎症反応は軽度であっ た。この原因に関しては不明であったが,肝硬 変群と正常群の循環動態の違;いが関与している と考えられる。正常群ではLPD群で類洞内と グリソン鞘内にLPDによると思われる空胞を 認め,CLS群では同様の所見がやや広範囲に 観察された。CDDP溶液群では肝細胞細胞質 膨化(淡明化)が肝臓の一部に認められたが, CDDPの影響による肝細胞変性の一所見と考 えられる。すなわちCDDP溶液群では高濃度 のCDDPが,肝臓を短時間に通過する状態で あり,CLS群ではLPDから徐々に長時間流出 する状態で,この違いが肝細胞の変性の違いと して認められたと考えられる。以上述べてきた 結果より肝硬変ではCLSによって障害が顕著 に現われる傾向にありCDDPの肝内停滞時間 が長いことがそれを助長しているようである。  腎障害は肝硬変群では肝臓からのCDDPの 流出の遅れを反映しているためか腎障害がある 程度軽減されているようである。臨床において,

我々の施設で肝硬変を伴う肝細胞癌5例に

CLSを選択的に肝動注した際に,その前後で 腎機能を評価したが異常は認められなかっ た2i)。このことは腫瘍外の肝実質に流出した 量に関連性があると考えられる。3日後にウサ ギを屠殺して調べたこれらの組織学的所見は, 薬剤注入後血液の生化学的変化が24時間,48時 聞をピークとしておこったことから考えて,薬 剤の作用効果をよく反映しているものと考える ことができる。  本研究によると,実験的肝硬変における CLSによる肝障害は顕著に現われており臨床 に用いるときにはこの実験結果をそのままあて はめることはできないにしても注意が必要であ ろう。諸家の報告では,薬理学的に昇圧剤であ るAngiotensin IIを投与して正常血管を収縮 させ,相対的に腫瘍内血流を増大させる8),ま たCDDPの中和剤であるSodium thiosulfate (STS)を上腸幅下動脈から動注して門脈経由で 肝実質内のCDDPを中和させるなどの方法4) がとられている。我々は腫瘍の存在する区域な いし亜区域までカテーテルを進め超選択的に動 注する方法を用いている22)。腫瘍血管がCLS で飽和した時点で動注を中止するなどの工夫も 行っている。また,CDDP溶液を静注に用い る場合には同時に大量の補液を行って腎臓への CDDPの停滞を除去しているが23>CLSを用い る場合でもその障害がないわけではなく同様の

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肝悪性腫瘍動注療法に用いるCisplatln−Lipiodoi suspenslonの肝臓,腎臓への影響 77 処置が必要と思われる。 結 語  肝悪性腫瘍の動注療法に用いられるCLSの 肝臓および腎臓に対する注入後早期の影響を肝 硬変ウサギと正常ウサギを用いて検討した。 1.血清トランスアミナーゼは肝硬変群のCLS 群で有意(P<0.01)な上昇を示した。このこと は肝硬変の肝臓からのCDDPの流出遅延が関 連していることが示唆された。 2.一方,肝硬変群のCLS群では腎臓の障害 が軽減する傾向が認められた。 3.組織学的所見では,肝硬変群のCLS群で は好酸性変性を示す肝細胞の増加,偽小葉内炎 症細胞の増加(HE染色)が他の群より多く観察 された。組織学的にもCLSの肝障害性が顕著 であることが示唆された。 4.本研究の結果を臨床にあてはめるとすれば, 肝悪性腫瘍にCLSを用いる場合,特に肝硬変 を合併している症例においては著しい肝障害が おこることが考えられ,腫瘍外肝実質への取り 込みを軽減する工夫が必要であろう。 謝 辞  稿を終わるに当たり,助言をいただいた内山 暁教授,荒木力助教授,第一病理の須田耕一助 教授に深謝を表すると共に,医局員の皆々様の 御協力に深く感謝致します。また薬剤作成に御 協力いただいた薬剤部刃先生方に深く感謝致し ます。 本実験は山梨医科大学動物実験指針に沿って行 なわれた。 文 献 1)今野俊光,前田 浩,横山育三,ほか.原発性  肝癌の新治療法:油性リンパ管造影剤リピオ   ドールと新油性高分子制癌剤スマンクスの面諭  脈内投与とその臨床成績.癌と化学療法.   1982;9:2005−2015. 2)佐々木洋,今岡真義,中森正二,ほか.動脈塞   栓を併用したリピオドール・アドリアマイシン   懸濁液動注による肝細胞癌の治療一門として組   織学的検討からみた有効性について一.日癌治.   1985;20:1357−1365。 3)加治屋芳樹,小林尚志,日高 仁,ほか.動注   用油性抗癌剤MMC−oil suspenslon(MOS)の試   作について.日医放会誌.1984;44:13玉3−   1321. 4)佐々木洋,今岡真義,岩永 剛,ほか.肝細胞   癌に対する新しい動注化学塞栓療法一リピオ   ドール,シスプラチンサンドイッチ療法一刑癌   2台. 1986;21:647−654. 5) Araki T, Hihara T, Kachi K,6‘α乙Newly de−   veloped transarterlal chemoembolization   material: CI)DP−Lipiodol suspension. Gas−   trointest Radiol l 989;14:46−48. 6) Yamada R, Sato M, Kawabata M,麗α♂. Hepa−   tic artery embohzation in l20 patients with   unresectable hepaton}a。 Radiology I 983;148:   397−401. 7)市田隆文,小島 隆,紺田健彦,ほか.肝細胞   癌に対するTranscatheter Arterial£mboHza−   tion療法の臨床病理学的検討一適応と限界に関   する研究一,肝臓1982;23:629−640. 8)柴田淳治,木村俊一,近沢秀人,ほか.リピオ   ドール中シスプラチン懸濁液(LPS)による肝細   胞癌の動注化学療法そのH一臨床的検討一.田   癌?台. 1988;23:2750−2759. 9)竜崇正,山本 宏,平沢博之,ほか.肝動脈壁   栓術,リピオドール動注後の肝機能の変化に関   する検討一動脈血申ケトン体比を中心に一.肝   三蔵、 1987;「71:745−753。 10)Von Hoff I)D, Schilsky R, Reichert CM,瀦α乙   Toxic ef琵cts of cls−dichlorodiammine−   platinum (H)宝n man・Cancer Treat Rep   1979;63:1527−1531. 11)Leroy AF, Wehling ML, Stonseller I護L,8‘α乙   Ana孟ysis of platinurn irヒbiological materials by   Rameless atomic absorptlon spectropho−   tometry. Biochem Med 1977;18:184−191. 12) Sekiya S, Iwasawa H, Takamizawa H. Com−   par量son  of the  iatraperitonea1 εuld  in−   tr段ven・us r・uteS Of ciSplatin administrati・n i1・   an advanced ovarian cancer model of the rat.   Am J Obset Gynecol l985;153:106−111. 13) Rosenberg B, van Camp L, Trosko J鶏Man−   sour VH. Pla曲um c・mpounds:a!儀ew class   of potent antitumor agents. Nature 1969;   221∼:385−386. 14)Hill JM, Loed E, Maclellan A.αlnical studies   of platinum coordinat主on corn蔓)ounds in the   treatment of varlous malignant diseases・Can−   cer Chemother Rep 1975;59:647−659.

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78 臼 原 敏 彦 15) 16) 17) 18) 19) Merrin C A new method to prevent toxicity wlth high doses of cis−diammine platlllum・ Proc ArR Soc Clin O猟col 1976;17:243. Bruckner HW, Cohen CJ, Gusberg SB・Che− motherapy・f・varlan cancer wlth adriamycl芝・ (ADM:)and cis.platin(D夏)P). Proc Am Soc Clin Onco叢1976・17:287。        , Yogoda A. Future implications of phase 2 chem.otherapy trials ln ninety伽e patiα}ts With meaSUral)le adVanCe(1 bla(1(ier (:an.Cer. Cancer Res I977・37:2775−2780.       シ 橋井康二,高橋 晃,貫田朋子,ほか.婦人科 悪性腫瘍進行例に対するCDDP大量局所注入 療?去. 訓解2台. 1990;25:1472−1481. Melia WM, Westaby D, W三lliams R. Di− amminedichloride platinum(cis−platl獄um)in 20) 21) 22) 23) 由etreatment of hepatocelMar carcinoma・ Cl童1/0ncol 198玉・17:275_280.        シ 市田隆文,緒田健彦,柴田 貢,ほか,肝腫瘍 に対するCDI)P(シスプラチン)大量動注one shoε療法の検討,欝消誌.1982;79:1800. 可知謙治,荒木力,B原敏彦,ほか.肝悪性腫 瘍に対するCDI)P−LPD SuspensiOI}動注療法一 血中CDDP濃度の推移一.日医放会誌.1988; 48:267. 日原敏彦,荒木 力,可知謙治,ほか。肝腫瘍 に対する化学塞栓療法後の肝区域・亜区域内の Lipiodol停滞の検討.山梨医大誌.1989;4: 133_139. Gonzalez−Vi宅ale JC. The renal pa重hology i籍cli− nical trla1$of cis−Pla重i照mσD diammine− dich至oride. Cancer 1977・39:1361−1371.       , 猛arly夏nf董uence of Intraarteria藍Adm量nistrado盤of Cisplat圭nるipiodol Suspensio聡(CLS)o臓the Liveズand        K量d熟eys       Toshihiko Hihara Dψα吻∼θ吻μ海9『η・癬翫4酌9)・,γ㈱ω∼α彌A4勲6α1 Co〃響  The early i1}Huellce of lntraarter童al admillistrati()n of clsPlat壼r}一lil)iodol s繍spcnsiol‘}(CLS>ln譲8 rabbi.ts with no…『mal and CC14.4nduce(圭clrr董}otic liver was eva董ua{ed.1.臓tl、.ese rabbits, CLS(n瓢6), cisplatin(CDD:P)(n篇6), 1孟piodol(鶏==6), and contro茎salh}e (n.=8)wcre h噂ectcd iR.宅。 the proper l.〕e…)atic artery,71「wo rabb呈ts we装℃ex− a1擁lnCd aS a hiStdO9呈C COnもrOl. Pla1擁、Um COn(二entratiO駐S in SC1㌦tlI汎, a!Xh.}}hePadC a難d renal SpeCime轟S、、・ere de− term量ned to evalし峯ate CDDP I)1}armacokinetics. His室lologic changes in hePatlc∼五n.〔h℃…、al spcci罷丁達ens, a1〕d GOT, GPT, BUN, an(i cre凝inllle serum levels were evaluated, C.LS 1)roduce(l hlgh se1・um levels of GO「.r a峯}dGPT (P<0,0正>h1亡he clrrl・}.otic rabbits. CI)DP p三℃cluced hlg}ユscrtlm.1evels ofBU翼a職d crcamll陰.e(P<0.01)ln the no蓋『ma.l rabbits・Admlnls毛ration of CI一S rcs蘇lted in隻narked hcl)atocellt峯la…’dege書ユera芝.ion a…Kl in縦ammatory inHlt1’我te ln毛he 重i.vers ofthe ci茎「rhot量(:rabb量ミs, wh.i董e a(:hninis毛ration ofCI)DP resultcd i籍箋narkcd pl.・()x圭n肇al tubulε竃r degener綾tloll a1〕d 貸ecrosis ln the kidney ofthe norn1εミl ra垂)b圭ts・Early hepa縫。εuxh℃Ral damεミge was related紋)P茎a〔inu.m conce罰tra経o11・ ARer l飢raarterial admlnis{radon()f CLS, the茎℃was marked hepa宅ic reactloll and mild rellah℃act{on i11癒e Cirrh・t1C ilVCr」tiS SU99eS毛ed that宅hiS prel)ara.宅1・n Sl}・Uld be USed Wlth Caしlti・n in Cirl辱h・毛IC I)a毛leB.tS・Vi毛h n陰ai.lgl}ant hc1)a毛量。 neoplasms. Key words; CisPlatin−Li})圭。(iol suspe韮簾sio…1(CLS),1凱raar芝erialεミdn、h}istra毛io箋、, Slde−reaction., Liver, Kcdncys

参照

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