Title
低リン酸耐性ニンジン培養細胞におけるクエン酸輸送関連
タンパク質の解析( 本文(Fulltext) )
Author(s)
大野, 隆史
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第344号
Issue Date
2004-09-10
Type
博士論文
Version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2685
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。低リン酸耐性ニンジン培養細胞における
クエン酸輸送関連タンパク質の解析
文中に使われる略号 aa A・9・C ADH AGPC AS ATP Bicine bp BSA BTP cDNA CS Cyt・C DcPA DIDS dNTP DTT EA EDTA・2Na EGTA aminoacid anthracene・9・Carboxylicacid alcoholdehydrogenase acidguanidiniumphenoIchloroform anti・SenSe adenosine5'・triphosphate N,N-bis(2-hydroxyethyl)glycine basepalr bovineserumalbumin l,3・bis【tris(hydroxymethyl)methylamino]propane COmPlementarydeoxyribonucleicacid Citratesynthase CytChrome-C 肋ucus(沼ZVtaH+・ATPase 4,4'・diisothiocyano・2,2'・Stilbenedisulfonicacid,di・ sodiumsolt deoxynucleotidetriphosphate dithiothreitol ethacrynicacid ethylenediamine・N,N,N',N'・tetraaCeticacid,disodi・ umsalt,dihydrate O,0'・bis(2・aminoethyl)ethyleneglycol・N,N,N',N'・
ER GOT GUS HEPES IPTG LPT MDH MES l・metboxyPMS MTT NA NAD NADH NADP-ICDH NTA tetraaceticacid endoplasmicreticulum glutamateoxaloacetatetransaminase β・glucuronidase 2・【4-(2・hydroxyethyl)-1-piperazinyl】ethanesulfonic acid isopropyl・1・thioサD・galactoside lowphosphatetolerance malatedehydrogenase 2・mOrPholinoethanesulfonicacid,mOnOhydrate l・methoxy・5・methylphenaziniummethylsul払te 3・(4,5・dimethyl・2・thiazolyl)・2,5・diphenyl・2H・tetra・ zoliumbromide niflumicacid β・nicotinamideadeninedinucleotide β-nicotinamideadeninedinucleotide,reducedform nicotinamideadeninedinucleotidephosphate・iso・ Citratedehydrogenase nitrilotriaceticacid
PM pmf PVDF PVP RACE RNA rpm RT SDS・PAGE sscDNA TBS-T TCA TDNA TE TEMED 取is UTR WT plasmamembrane protonmotiveforce POlyvlnylidenedifluoride polyvlnylpyrrolidone rapidampli丘cationofcDNAends ribonucleicacid revolutionsperminute reversetranscription SOdiumdodecylsulfatepolyacrylamidegelelectro・ phoresis SinglestrandcDNA tris・bu脆redsaline・Tween tricarboxylicacid transferred・deoxyribonucleicacid TrisEDTA N,N,N',N'・tetramethylethylenediamine tris【hydroxymethyl】aminomethane untranslatedreglOn Wildtype
目次
序論
第1章低リン酸耐性ニンジン培養細胞のクエン酸
輸送機構及び関連タンパク質の同定
1-1緒言
1-2実験材料及び実験方法
1・2・1供試細胞の継代培養条件及びその由来 1-2-2短時間におけるクエン酸放出の比較 1・2・3クエン酸放出時の培地条件 1-2・4生体膜に対する輸送阻害剤 1・2・5有機酸含有量の測定 1・2・6Ca溶液のpH l・2・7クエン酸及びH+、K+濃度の測定 1-2-8有機酸の定量 10 10 11 11 12 121-3-1クエン酸放出に関わる環境要因 1・3・2クエン酸放出に対するアニオンチャネルブロッカーの影響 1・3・3アニオンチャネルのクエン酸選択性 1・3-4クエン酸放出に伴うカチオンの放出 1・3-5クエン酸放出に対するバナジン酸の影響・
1-4考察
第2章クエン酸放出に関与するplasmamembrane
H+-ATPaseの解析
2-1緒言
2-2実験材料及び実験方法
2・2-1細胞膜画分の単離 2・2・2マーカー酵素活性の測定 2・2-3 タンパク質の定量 2-2-4totalRNAの単離 2-2・5RNAの純度及び濃度測定 2・2・6PMH+・ATPase遺伝子の単離 2・2-7膜貫通領域予測及び系統樹の作製 2-2・8DcPAl抗体の作製 2-2・9westernblot解析 17 31 40 43 44 45 45 46 46 48 48 502・2・10上板打C〟β摺∫P由月材伊dコワなβe(β劇)の転写量解析 2・2・11上k月41anti・SenSe組換え体の作製 2-2・12ゲノムDNAの単離 2・2・13淵1anti・SenSe組換え体の転写量解析
2-3結果
2・3・1PMH+-ATPase活性の比較 2・3・2PMH+・ATPasecDNAの単離 2・3・3DcPAのwesternblot解析 2甘4細胞間における各iso丘〉rmの転写量比較 2・3・5月ヒ月41anti・Sehse組換え体の解析2-4考察
総合考察
結論
参考文献
謝辞
55 56 57 57 64 64 67 73 77 84 87 101序論
作物の生育に欠かせない土壌は、特に気候の影響を受けながら岩石や鉱物 の風化によって形成される(橋本1981)。各種の岩石、鉱物を通じて最も含量 が多いものはケイ酸やアルミノケイ酸のアルカリ塩であり、これらがCO2と H20の影響を受けながら化学的に風化する場合、Ca、K、Naの炭酸塩を生ずる 為、風化生成物はアルカリ性を示す。雨量が著しく少ない場合には、これらの 塩類が殆ど残留し土壌は強いアルカリ性を示すが、日本を含む多雨地帯では、 これらの塩基が流亡してしまう。また、雨水は大気からのCO2の溶解によって 約pH6であり、これが土壌中に入れば土壌中に存在するCO2が更に溶け込み、 pHは一層低下する。加えて、この微酸性の水に含まれるH+によって土壌中の Ca、K、Na、Mg等の交換性塩基が交換浸出され、代わりにH+が交換浸入する。 H+を多く吸着した粘土は、部分崩壊が起こり、交換性Alが生じ、これらの結果 土壌の塩基飽和度が減少、土壌のpHは低下する。このように土壌pHが酸性側 に傾いた土壌は酸性土壌と呼ばれ、世界の耕作地の実に30∼40%を占めている。 多くの作物は、土壌が中性(pH6.5∼7.0)もしくは微酸性(pH6.0∼6.5) で順調に生育するが、強酸性(pH4.5∼5.0)では生育障害を受けやすい。酸性 障害の原因としてまず考えられるのはH+であるが、圃場では生育困難なpHで も水耕では障害は認められないという事実がある。そこで次に考えられるのが、 強酸性下において土壌から溶出されるAl、Mn、Fe等金属イオンの毒性による 障害である。特にAlは、ケイ素に次いで土壌に多い成分であり、溶出した場合その大部分は交換性となり、一部はイオンあるいはポリマーとして存在してい る。Alの溶出は、およそpH5.5から始まり、PH5では明らかに存在が認めら れ、これよりもpHが低下するにつれて水溶性、交換性Al共に加速度的に増加 する。また、Alは土壌pHによりその形態を変化させ、低下に伴い払1(OH)2】+→ 払10H】2+→A13+と毒性が増す。このAlイオンが、植物根に対し直接的に強い 毒性を示し、根毛の発生や根伸長の阻害、根の屈曲をもたらす。更に、pH5.0 以下ではFeの溶出も起こり、これらが重要な栄養素であるリン酸とリン酸Al、 リン酸Feを形成しリン酸を沈殿、固定化してしまう。そうなると、植物はリン 酸を吸収することができず、リン酸欠乏状態となる。このように酸性土壌では、 特にAlイオンにおける直接的及び間接的な生育阻害が重要な問題となっている。 これらの改善に向けて、石灰(CaCO3)肥料やリン酸肥料の施肥が行われ てきた。石灰肥料は、確かに陽イオン括抗によってAlの根による吸収が抑制さ れるが、実際はコスト面から見た場合それは容易ではなく、東南アジアや中南 米の発展途上国では多額の費用を必要とする土壌改良を行うことは経済的に困 難である。またリン酸の施肥にいたっても同様であると共に、更にその吸収率 は10∼20%と極端に低く利用性に乏しい。その為、コスト面に強い先進諸国に おいては、多量のリン酸施肥が湖沼系の富栄養化をもたらす結果となってしま う。
耐性品種(Foy1983)、難溶性リン酸Alストレスに対する選抜が試みられてき たが、実際に有効な品種が得られた例は極めて少ない。その原因の1つは、選 抜法が開発されていないことである。例えば、個体レベルで選抜を行うことは、 生育が不均一であること等により困難を伴う。また、リン酸は必須多量元素で あり、選抜条件で単純に欠如しただけでは耐性系統も生育できない為、低リン 酸耐性品種を獲得することは困難である。従って、低リン酸耐性系統の選抜に 関して、より実用的な選抜方法の確立が強く望まれてきた。 一方、培養細胞系を用いたストレス選抜では、土壌を用いる場合と異なり 定められた化学組成を持つ培地を用いる為、厳密な選抜条件の設定が可能であ る。また、個体と異なり多量の母集団を選抜に供試でき、長期にわたる培養過 程においてより強い耐性を持つ系統を獲得しやすいという利点がある。実際に、 ニンジン培養細胞で試みられたAlストレス選抜では(OjimaandOhira1983)、 2mMのリン酸を含むR2基本培地に、4mMのAIC13を加えた選抜培地が用い られた。この培地の特徴は、可溶性Alが存在すると共に多量の沈殿性のAlを 含み、難溶性リン酸Alとして全てのリン酸が沈殿していることにある。従って、 Alの化学的形態から判断すると、酸性土壌におけるAl毒性と低リン酸ストレス の両側面を反映した条件と考えられ、この培地で繰り返しニンジン培養細胞を 培養してAlストレス耐性ニンジン培養細胞が選抜された。この選抜方法が特に 注目される点は、選抜細胞が常に難溶性リン酸Alを唯一のリン酸給源として耐 性を獲得したことである。その為、選抜細胞は、これまでに報告の見当たらな い難溶性リン酸Alの利用力が高い低リン酸耐性を持つことが予想された。 ところが、選抜された培養細胞を実用化させる為には、個体への再分化が
必要である。モデル植物として利用されるニンジンやタバコは、植物組織・細
胞培養研究において、最も分化・個体再生をさせやすい材料である。しかし、
長期間継代培養し続けた選抜細胞は、有用な個体への再生能力を欠落したもの であった。何よりも、1つの植物種に対する実験系を全ての植物に直接適合させ ることは困難である。多くの植物種に対しこの研究が実施されれば、あるレベ ルでの普遍的技術条件の確立は可能であろうが、急速な実用性には乏しい。 近年、植物バイオテクノロジーに関わる技術が発展を遂げ、遺伝子組換え 技術が新しい育種技術として定着しつつある。この技術は、全く別の植物、更 には細菌等植物以外からの有用遺伝子までも目的の植物体に直接導入すること ができ、また培養細胞系よりも早期に耐性品種を獲得できる汎用性に優れたも のであるが、その為には当然この有用遺伝子を決定する必要性がある。 それに伴い、我々が先に述べたニンジンの選抜細胞の耐性機構を調べたと ころ、選抜培地に多量のクエン酸を放出していたことから、この細胞はクエン 酸放出によりAlストレスを回避していると結論された(Ojimaetal.1984)。 クエン酸つまり有機酸は、金属に対するキレ一夕ーとして働き、毒性を持つ金 属を無毒化すると共に、固定化されたリン酸を可溶化する作用を持つと考えら れている。ところが、ニンジンの選抜細胞は可溶性創に対する耐性は持たず、 リン酸Al給源で良好な生育を示すと共に(Koyamaetal.1988)、その生育とでは、多量のクエン酸を放出する為の機構はどのようなものであるのか。 クエン酸は、TCAサイクルにおいて律速段階となっているクエン酸合成酵素 (CS)によってアセチル・CoAとオキサロ酢酸から合成され、イソクエン酸、 2・オキソグルタル酸へと分解されていく。このイソクエン酸から2・オキソグル タル酸へのNAD特異的イソクエン酸脱水素酵素(NAD・ICDH)もTCAサイク ルの律速段階となっている。実際この反応は、クエン酸が細胞質に一旦出て、 イソクエン酸からNADP・ICDHにより2・オキソグルタル酸となりミトコンドリ アへ戻る経路が主であると考えられている。LPT細胞のこのCS、NADP・ICDH 活性を測定したところ、野生型(WT細胞)に比べCS活性が高く、NADP・ICDH 活性が低いことがわかった(Takitaetal.1999a)。更に分子生物学的な解析か ら、LPT細胞の方がCSの転写量が高く(Takitaetal.1999b)、NADP・ICDH の転写量が低いこともわかっている(Kiharaetal.2003)。つまり、合成系、分 解系の変異によりクエン酸は余剰に蓄積されているわけである。このように代 謝面における有用遺伝子が決定できたところで、CSの過剰発現組換え体の作製 が行われた。 シロイヌナズナ由来のCSを過剰発現させた組換えWT細胞は、クエン酸 放出がWT細胞より約3倍高く、リン酸Alからのリン酸吸収量も増加していた (Koyamaetal.1999)。また、ニンジン由来のCSを過剰発現させたシロイヌ ナズナでも、Al耐性及び酸性土壌中のリン酸Alからリン酸を獲得する能力が高 くなっていることが確認できている(Koyamaetal.2000)。ところが、ニンジ ンの組換えWT細胞では、CS活性はLPT細胞と同等にまで増加しているもの の放出量は30%程度にとどまっており、シロイヌナズナにおいても、野生型の
2∼3倍のCS活性を持つが、生育改善、クエン酸放出量の増加はわずかなもの であった。これは1つには、分解系であるNADP・ICDHを抑制していないこと が考えられ、実際、ジャガイモでNADP・ICDHをアンチセンスで抑制するとク エン酸含有量が増加するという報告もなされている(Kruseetal.1998)。つま り、効率的なクエン酸の蓄積を望むには合成、分解両側面からのアプローチが 必要だと言える(多重組換え、組換え体どうしの交配)。一方、代謝のみではな く合成されたクエン酸を積極的に放出する機構においても有効的な因子が存在 していることが推測される。それは、コムギのnearisogeniclineのリンゴ酸放 出に関する研究からも言えることである(Ryanetal.1995)。このコムギは、 Al存在下でのみ極めて短時間のうちにリンゴ酸放出を開始する。つまり、Al処 理により細胞膜上における輸送能力が活性化されリンゴ酸を放出するわけであ る。また、この放出は含有量には依存していない。LPT細胞に関しても、同様 に放出面の強化が起こっていることが予想されるがその知見は少ない。これに 関わる因子を解明することができれば、組換え技術による耐性品種獲得の為の ターゲットになり得るはずである。そこで本研究では、未だ詳細な機構が未解 明である LPT細胞の細胞膜上におけるクエン酸輸送を明らかにし、CS、 NADP・ICDHに続く耐性因子(タンパク質)を特定することを目指した。
第1章
低リン酸耐性ニンジン培養細胞のクエ
ン酸輸送機構及び関連タンパク質の同定
1-1緒言
LPT細胞において有機酸放出機構を支配する要因は2つあると考えられる。 1つは代謝の変動によりクエン酸を細胞内に蓄積させる機構である。これには合 成系であるCSの高発現及び分解系であるNADP・ICDHの低発現が関与し、ク エン酸を余らせるよう変異していることが既にわかっている(Takita et al. 1999a,b,Kiharaetal.2003)。もう1つは蓄積されたクエン酸を効率よく放出 する為の細胞膜上の輸送機構である。これに関しては、詳細な機構は未解明の ままとなっている。しかし、他の有機酸放出型植物においてはある程度の解析 が進められている。Alストレスや低リン酸ストレスに対して有機酸を放出する 植物は多数知られており、それらはその刺激が存在して初めて誘導される傾向 にある。Wheatを例に挙げると、WheatはAlイオン存在下でのみ、代謝変動を 伴わずにリンゴ酸を放出する(Ryanetal.1995)。この放出は細胞膜上におけ るアニオンチャネルを経由していると考えられており、パッチクランプによる 実験からこのアニオンチャネルはAl処理によりアニオン輸送が活性化されるこ とがわかっている(Ryanetal.1997)。また、リンゴ酸放出と同時にK+の放出 も認められている。一方whitelupinは、リン酸欠乏によって代謝変動を伴いク エン酸を放出する(Neumannetal.1999,NeumannandR6mheld1999)。このクエン酸放出もwheat同様アニオンチャネルを経由していると考えられてい るがAlイオンを必要とせず、低リン酸応答に対する有機酸放出に関してはAl イオンは必須ではないことが伺える。また、やはりカチオンの放出も行われて いるが、K+ではなくH+が放出されている。 このように、有機酸を放出するという共通の現象ではあるが、放出する有 機酸の種類や量、有機酸代謝に関わる酵素の変動とそれに伴う含有量の変化、 有機酸輸送体であると考えられているアニオンチャネルの応答、同時に放出さ れるカチオンの種類等その戦略は植物によって異なり、非常に多様性に富んで いることがわかる。遺伝子組換え技術により耐性品種を獲得するには、やはり 合成から放出への一連の流れを確実に理解し有用遺伝子の決定を行う必要があ る。そこでこの章では、LPT細胞の細胞膜上におけるクエン酸輸送の特性を明 らかにすると共に、それに関わるタンパク質を特定することを目的とした。
1-2実験材料及び実験方法
1-2-1供試細胞の継代培養条件及びその由来 無菌的に発芽させたニンジン幼植物(上bucusmmtaL.cvMSYbnsun) の下胚軸よりカルスを誘導し、R2基本培地(Ohiraetal.1973)に移してサス ペンジョン培養を行った。サスペンジョン培養細胞は、R2基本培地で7日毎に 継代培養し維持した。継代培養は100mlの培地を含む300ml容三角フラスコ を用い、120rpmの旋回振とう機上、25℃で行った。 本研究で用いたLPT細胞は、1978年qimaらにより選抜された細胞であ り(OjimaandOhira1983)、選抜後約20年選抜培地で継代されてきた。選抜 培地は、2mMNaH2PO4・2H20を含むR2基本培地に100mMAICl3・6H20(pH 4.0)を終濃度で4mMになるように添加し(以下リン酸Al培地)、1NNaOH でpH5.0に調整後オートクレーブ滅菌(121℃,20min)して調製した。この 継代培養されてきた細胞をR2基本培地で培養したものを使用した。 LPT細胞の対照として用いた系統のWT細胞は、1994年に誘導され、R2 基本培地で継代培養されてきた。 1-2-2短時間におけるクエン酸放出の比較 WT細胞とLPT細胞の基本的なクエン酸放出の差を調べた。0.5mMリン 酸R2培地にて5日間前培養した両細胞を、ミラクロス(Calbiochem製)上に 無菌的に減圧回収し、滅菌水にて洗浄後、40mg/mlの濁度になるようにリン酸Al培地(pH5.6)に移植し、振とう培養した(120rpm,25℃)。0∼10時間ま で経時的に培地をサンプリングし、クエン酸放出量を測定した。 1・2・3クエン酸放出時の培地条件 LPT細胞のクエン酸放出が何に起因しているのかを検討した。要因として、 低リン酸やAlイオン等の環境の刺激によるものが考えられた。そこで、まずリ ン酸を要因とする実験系として、通常のリン酸Al培地をコントロールとし、そ れに対し可溶性リン酸(NaH2PO4・2H20)を2mM含んだリン酸Al培地を用意 した。可溶性リン酸は、使用直前にリン酸Al培地に添加し、可溶性リン酸と Alイオンとの結合を防いだ。一方、Alイオンを要因とする実験系として、Al イオン以外の影響を回避する為に、組成が3mMCaC12、3%(w/v)sucroseのみ の単純溶液(pH4.5、以下Ca溶液とする)をコントロールとし、それに対して 50p.MAIC13・6H20を添加したものを用意した。そして、LPT細胞を0.5mMリ ン酸R2培地にて5日間前培養後、先程と同様に回収、洗浄後、40mg/mlの濁 度になるようにそれぞれの培地に移植し、振とう培養した(120rpm,25℃)。0 ∼10時間まで経時的に培地をサンプリングし、クエン酸放出量を測定した。 1-2-4生体膜に対する輸送阻害剤
グしてクエン酸放出量を測定した。阻害剤は以下のものを使用しキ。1)クエ
ン酸が細胞質内でアニオンとして存在していることから、アニオンチャネルブ ロッカーであるniflumicacid(NA)(SIGMA)、anthracene・9・Carboxylicacid 仏・9・C)(Aldrich)、ethacrynic acid(EA)(SIGMA)、4, 4'・diisothiocyanostilbene・2,2,,disulfonicacid(DIDS)(同仁化学研究所)をそ れぞれ50pM添加した。 2)plasmamembrane(PM)H+・ATPaseに特異的に 作用してH+の放出を阻害するバナジン酸(WAko)を濃度を変えて添加した。 1-2・5有機酸含有量の測定 LPT細胞の有機酸放出におけるクエン酸選択性について、細胞内有機酸含 有量、特にクエン酸とリンゴ酸の含有量を測定し検討した。0.5mMリン酸R2 培地で5日間培養したWT、LPT細胞をそれぞれ回収し、細胞1g当たり2ml の磨砕bu鮎r(50mMHEPES,5MGlycerol,0.5%【v/v]TritonX・100,KOHで pH7.6に調整)と少量の石英砂を加え、氷上で乳棒、乳鉢により細胞を完全に 磨砕した。その溶液を20,000×g、4℃、10分間2回遠心し(KUBOm1720)、 上清を得た。次に、溶液中の余分な酵素を失活させる為に、100℃、15分間処 理し、再び20,000×g、4℃、10分間遠心して上清を得て、有機酸測定用のサン プルとした。 1-2・6Ca溶液のpHl・2・7で用いるCa溶液のpH(5.6)が、1-2-3で用いたCa溶液のpH(4.5)
と異なる為、pHの変化がLPT細胞のクエン酸放出に影響を及ぼさないかどうかを確認した。0.5mMリン酸R2培地にて5日間前培養したLPT細胞を、こ れまでと同様に回収、洗浄後、40mg/mlの濁度になるようにpHを4.5、5.0、 5.6と変えたCa溶液にそれぞれ移植した。0と5時間目でサンプリングし、ク エン酸量を測定した。 1・2・7クエン酸及びH+、E+濃度の測定 LPT細胞のクエン酸放出時におけるカチオンの放出について、H+とK+に 着目しその放出量を測定した。0.5mMリン酸R2培地にて5日間前培養した WT、LPT細胞を、これまでと同様に回収、洗浄後、40mg/mlの濁度になるよ うにCa溶液(pH5.6)に移植した。0∼3時間まで経時的にサンプリングし、 クエン酸量、H+に関しては溶液中のpH変化、E+に関しては原子吸光光度計 (HImCHI170-40)による溶液中のK+濃度の測定を行った。 尚、PH変化はpH=-log【H+]より、【H+](mol几)=10 pHを用いてH+濃度 変化に換算した。 1-2-8有機酸の定量 1一針8;aサンプル調整 本研究で行った有機酸定量法(1-2-8;b,C参照)を用いる場合、サンプル
を失活させた。サンプルに創が含まれない場合は、この後pHを6∼8に調整 した。Alが含まれる場合は、HCl添加後1mlを、1NHClにより活性化した 陽イオン交換樹脂(Dowex50W・Ⅹ8)10mlの充填されたカラムに重層し、更 に蒸留水を9ml流して滴下液を回収後、1NNaOHlOO∼150plを回収した 溶液に加えた。HCl、NaOHでpHを6∼8に調整し有機酸測定に用いた。 1-2-8;bクエン酸測定 クエン酸量の測定は、クエン酸をクエン酸リアーゼとリンゴ酸脱水素酵 素(MDH)によってNAD+として置き換え、生成したNAD+を酵素的サイク リング法で測定し(Hamppetal.1984)、クエン酸量に換算した(Fig.1)。ク エン酸のMD+への置換反応は、サンプル720plに反応液(250mM imidazole-HCIpH7.0,0.2mMZnC12,0.25mMNADH,1pg/mlMDH,400 Pg/mlcitratelyase)を180pl加え、25℃、30分インキュベー卜した。ブラ ンクとしてクエン酸リアーゼを抜いた反応液も用意した。1N HClを100pl 添加し、100℃、5分間処理して反応を停止させ、直ちに氷冷した。置換され たNAD+は、400plをサイクリング反応液(100mMBicine・NaOHpH8.0,20 mMTrisbase,4mMEDTA・2Na,500mMEtOH,0.42mMMT℃0.55mM l・methoxyPMS)1.56mlに加え、800U/mlアルコール脱水素酵素(ADH) 40plを添加して570nmの吸光増加(HITACHIU-2000,HITACHI561)の 初速度を求め、検量線から算出した。 1廿8;cリンゴ酸測定
リンゴ酸量の測定は、リンゴ酸をMDH とグルタミン酸オキサロ酢酸ア ミノ基転移酵素(GOT)によってNADHとして置き換え、生成したNADH を酵素的サイクリング法で測定し、リンゴ酸量に換算した(Fig.2)。リンゴ酸 の MDHへの置換反応は、サンプル 720plに反応液(250mM 2-amino・2・methyl・1・PrOPanOIpH9.9,200mMglutamate,5mMNAD+,25 Pg/mlMDH,20pg/mlGOT)を180pl加え、25℃、30分インキュベートし た。ブランクとしてMDHを抜いた反応液も用意した。1NNaOHを100pl 添加し、100℃、5分間処理して反応を停止させ、直ちに氷冷した。置換され たNADHは、クエン酸測定と同様にサイクリング反応により測定し、リンゴ 酸量に換算した。
ConversionofCitratetoNAD+ Citrate Z=C12 =:二 OAA CitrateLyase + Acetate MDH Enzymaticcyclingmethod Acetaldehyde Malate MTTH
I
As$ay (570nm) Fig.1Diagrammatjcrepresentationofthedeterminationofthecitratein a medium.The citrate was converted to NAD+
(upper).Thereafter,theNAD+wasquantifiedbytheenzymatic
CyClingmethod(10Wer).
ConversionofMaJatetoNADH ==■■■■■■■■■■■====■■■■■●■■■=■■■■●■■■■ Enzymaticcyclingmethod AcetaIdehyde GlutamateOAA Transaminase Glu PMSH
て::H「£岩誓)
Fig.2Diagrammaticrepresentationofthedeterminationofthemalatein a medium.The malate was converted to NADH
(upper).Thereafter,theNADHwasquantifiedbytheenzymatic
1-3結果
1-3-1クエン酸放出に関わる環境要因 WT及びLPT細胞を0.5mMリン酸R2培地で5日間前培養し、リン酸 Al培地に移植して短時間のクエン酸放出を調べた。その結果、Fig.3のように WT細胞では放出はわずかであったが、LPT細胞では少なくとも10時間目まで は、直線的な高い放出を示した。このLPT細胞における高いクエン酸放出が、 どのような環境下で行われるのかを、LPT細胞を様々な条件でインキュべ-ト することにより確かめた。 有機酸放出を誘引する要因として、一般的に低リン酸やAlイオン等の環境 ストレスによるものが考えられる。そこで、リン酸を要因とする実験系として リン酸Al培地をコントロールとし、リン酸Al培地に可溶性リン酸2mMを同 時に含む培地を用意した。Alイオンを要因とする実験系としては、Ca溶液(pH 4.5)をコントロールとし、それに50pMAIC13・6H20を添加したものを対照区 として用意した。 その結果、Fig.4のように可溶性リン酸が共存するリン酸Al培地でも経時 的なクエン酸放出が認められ、10時間目には通常のリン酸Al培地で0.86 pmol/gfreshwt.の放出をしているのに対し、対照区でも0.83pmol/gfreshwt. と同様の放出を見せた。またAlイオンの有無に関しては、Fig.5のように封 イオンの存在に関わらず2.5時間目で共に0.26pmol/gfreshwt.、5時間目で WT細胞が0.58、LPT細胞が0.51pmol/gfreshwt.と同じ放出速度を示した。l
0(・言上の巴-空0∈王
¢l巾主.6P¢l¢LOX山
02.5
5
7.5
10
Time(h)
Fig.3TimecourseofthecitrateexcretionfromWT(□)andLPT(●)ce"s.Afterbothce‖Iines
WerePreCulturedinO.5mMPiR2mediumfor5d,they wereincubatedin a R2 medium
COntainingco"oida]Al-Phosphate(2mM
Pi,4mM
AI)at
pH5.6in the presense of30mM1
0
(.-≧〓モ崇巴-ぞ■0∈王
¢l申占.6P¢l¢LUX]
0
2.5
5
7.5
10
Time(h)
Fig.4Effect ofthe soluble Pion the citrate excretion of the LPT ce"s.After LPT ce"s
WerePreCultured,theywereincubatedfor5h
in an Al-Phosphate
medium($ee
Fig.3CaPtion),inthepresence(□)orabsence(●)
Of2mM solubIe Pi.Meansand SDareshown
(.-≧二土沢己-空○∈王
¢l巾土.6P¢l¢LUX]
l
0・8
0・6
.4
.2
0
0
0
02.5
5
7.5
10
Time(h)
Fig.5Effect of the soIubIe A]on the citrate excretion ofthe LPTce"s.After LPTce"swere
PreCultured(See
Fig.3caption),they
wereincubatedfor5hinaCasolution(3mMCaCl2,
3%[w/v]sucrose
pH4.5)in
the presense(●)orabsence(D)of50pMA]Cl3.Meansand
SDareshown(n=3).
10時間目で・Alの放出速度が下がったが、+Alに対し73%の放出を保っており、 充分なクエン酸放出がなされていると考えられた。 1・3・2クエン酸放出に対するアニオンチャネルブロッカーの影響 細胞膜上における有機酸輸送のメカニズムや、それに関わるタンパク質に ついては未解明な部分が多い。その為それらを解析することは、有機酸放出型 植物の作出に多大な貢献を及ぼすと考えられた。 クエン酸は、細胞質内でアニオンとして存在している。そこで、アニオン チャネルブロッカーであるNA、A・9・C、EA、DIDSをそれぞれ50pMとなる ようにリン酸Al培地に添加し、LPT細胞におけるクエン酸放出への影響を調べ た。 その結果、Fig.6のようにNA、A-9・C添加時は、放出率がそれぞれ33%、 40%に低下し高い阻害を示した。このことから、LPT細胞のクエン酸放出には アニオンチャネルが関与していると考えられた。一方、DIDSでは91%と殆ど 阻害を示さなかったが、これはアニオンチャネルがS・typeであることを示唆し ている。 1-3・3アニオンチャネルのクエン酸選択性 有機酸を放出する植物は多々知られており、それらは特定の有機酸を放出 する傾向にある。LPT細胞も、リンゴ酸やコハク酸等他の有機酸は放出せずク エン酸のみを放出する。これは、アニオンチャネルの選択性によるものなのか、 もしくは細胞内の特定の有機酸含有量が増加していることによるものなのか、
(ポ)¢l巴1.6P¢l巴UX山
0
0
8
6
0
0
4
2
COnt.NA
A-9-C
EA
DIDS
Fig.6Effectsoftheanionchannelb10Ckerson
the citrate excretion of the LPT ce"s.After LPT
Cellswereprecultured,theywereincubatedfor
lO hin an AI-Phosphate
medium(See
Fig.3CaPtion),inthepresenceorabsenceofananion
Channelb10Cker(50pM).NA;niflumicacid,A-9-C;anthracene-9-Carboxylicacid,EA;ethacrynIC
主要な有機酸であるクエン酸、リンゴ酸の含有量を測定することにより調べた。 Tablelに示すように、クエン酸の含有量は4.67pmol/gfreshwt.から6.41 pmol/gfreshwt.へとLPT細胞で1.5倍増加しており、一方でリンゴ酸の含有 量は8.49pmol/gfreshwt.から4.08pmol/gfreshwt.へとLPT細胞で50%に減 少していた。これにより、リンゴ酸の方が多い状態からクエン酸の方が多い状 態に変化しているが、それでもリンゴ酸はクエン酸の65%存在している。しか し、この時のLPT細胞のリンゴ酸放出は、クエン酸が0.86pmol/gfreshwt.で
あるのに対し0.04pmol/gfreshwt.とわずか5%であった。またWT細胞につい
ては、クエン酸の放出自体も0.14pmol/gfreshwt.とわずかであるが、含有量 が多いリンゴ酸は0.03pmol/gfreshwt.と殆ど放出をしていなかった。これら のことは、LPT細胞のアニオンチャネルにはクエン酸選択性が存在することを 示唆している。 1-3-4クエン酸放出に伴うカチオンの放出 アニオンの放出に伴い、電気化学的ポテンシャルを維持する為にアニオン の吸収、もしくはカチオンの放出が必要であると考えられた。本研究では、カ チオン、特にH+とK+の放出に着目し、H+に関してはCa溶液のpH変化を測定 してH+濃度に換算することにより、K+に関しては原子吸光光度計によりCa溶 液中の濃度を測定した。しかし、先に用いたCa溶液は、Alのイオン形態を考 慮してpHを4.5としたが、今回は5.6で行う為pHがクエン酸放出に影響する かどうかをまず検討した。結果は、Fig.7のようにpHが4.5から5.0、5.6へ 変化しても、0.63pmol/gfreshwt.に対し0.69、0.80pmol/gfreshwt.と充分なTablelContentandreleaseofcitrateandmalateinWTand LPTce"s.
OrganicAmountsofcitrateandma[ate(PmOlgfreshwt/l)
acids Content WT LPT Re[eased WT LPT Citrate 4.67±0.57 6.41±0.37 0.14±0.010.86±0.03 Malate 8.49±0.80 4.08±0.10 0.03±0.04 0.04±0.05Both ce‖s were precultured for5din O.5mM PiR2medium,
and then the citrate and maIate content$Were meaSured.The
PreCultured ce‖s wereincubated forlO hin an Ar-Phosphate
medium(SeeFig.3caption),andthenthecitrateandmaJatein
themediumweremea$ured.MeansandSDareshown(n=3).
クエン酸放出が確認され、溶液のpHは実験には問題ないことがわかった。 まずH+に関しては、WT細胞ではクエン酸、H+共に放出は認められなか ったが、LPT細胞ではクエン酸が11.0、16.0、20.3pMと放出しているのに対 し、H+は19.3、30.4、34.7pMとクエン酸の約2倍量放出されていることがわ かった(Fig.8)。また、これをクエン酸がpH5.6の時に2価であることから価 数をもとに表すと、クエン酸とH+の放出が等価であることがわかった(Table2)。 一方E+の濃度変化を見てみると、Fig.9のようにK+濃度がOpMであるはずの 0時間目がWT、LPT細胞共に432.7、385.3pMと最も高く、WT細胞ではそ の後一定であり、LPT細胞では3時間目で122pMにまで減少、つまり細胞内 への吸収が認められた。 1-3・5クエン酸放出に対するバナジン酸の影響 H+はそれ自身では脂質二重膜を通過することができず、一般的には H+・ATPaseを介していることがわかっている。そこでPMH+-ATPaseを特異的 に阻害するバナジン酸を濃度を変えてリン酸Al培地に添加し、10時間インキュ ベート後のクエン酸放出を測定した。バナジン酸は、1argeloopと呼ばれるATP 結合部位に結合し、その阻害効果を示す。その結果、バナジン酸の濃度が上昇 するにつれクエン酸放出率が減少し、1mMでは46%まで減少した(Fig.10)。 よって、クエン酸放出に関与していると考えられたH+は、PMH+・ATPaseを介 していることが示唆された。
l
0
(.-≧〓意訳巴-空0∈ヱ
¢l申占.6P¢l¢LOX山
4.5
5.0
5.6
PH
Fig・7Effect of the medium pH on the citrate excretion of the LPT celJs.After LPT cells were
PreCu[tured,theywereincubatedfor5hinaCa
$Olution($ee
Fig,5caption)at
different pHValues(4.5,5.O
and5.6).Means
and SD are(≡占+〓くPu巾
¢l巾占.6P¢l¢LOX山
Fig,8 Changes of H+ concentrationin the
medium durlng the citrate excretion of WT
(OPenSymboIs)andLPT(CIosedsymboIs)ceJIs.
Afterbothce[Ilineswereprecultured,theywere
incubatedin a Ca solution
pH5.6(See
Fig.5CaPtion)for
a tota]of3 h.Released citrate(Circles)and H+(triangles)were
quantified attheappropriatetime.MeansandSDareshown
Table2Excreted
va[encesinto
aCa
SO]ution(SeeFig.5caption)ofcitrate
andH+,WhichwasbasedonFig,8.
Time
ACitrate
AH+
(h)
(岬quiv.l-1)
22.1±3.0
32.2±5.5
40.6±3.1
19.3±1.6
30.4±3.9
34.7±3.9
Citrateistwo、equlVa+ent■-1anionat
pH5t6,and H+isoneequIVaIentrl Cation.MeansandSDareshown(n=
3).
0
0
0
0
0
0
43
2
(≡占+父
Fig.9Changes of K+concentrationsin the
medjumduringthecitrateexcretion(SeeFig.8)
OfWT(□)and
LPT(b)ce"s.After
both celllineswereprecuItured,theywereincubatedin
aCasolution
pH5.6(See
Fig.5caption)fora
(ポ)¢l巴1.6P空巴UX]
0
0
8
6
0
0
0
4
2
0
0.25
0.5
0.75
1
Concentration
Ofvanadate(mM)
Fig.10Effect ofthevanadate on the cjtrate
excretion of the LPT ce"s.After LPT ce"s
WerePreCultured,theywereincubatedforlO
hin an Al-Phosphate
medium(See
Fig.3CaPtion)in
the presence of variousCOnCentrations of vanadate.Means and SD
1-4考察
これまでに、LPT細胞のクエン酸代謝に関する詳細な研窄が進められ、CS
の高発現、NADP・ICbHの低発現という遺伝子レベルで変異が起きているタン パク質の同定が行われてきた(Takitaetal.1999b,Kiharaetal.2003)。しか し、クエン酸合成後の細胞膜上における細胞外への放出機構、それに関わるタ ンパク質に関しては、未解明の部分が多数残されていた。また、放出に関わっ ているタンパク質を遺伝子レベルまで解明できれば、今後組換え植物を作る上 での重要な因子となり得る。この章では、短時間におけるクエン酸の放出機構 を詳細に解明し、それに関与するタンパク質を特定した。 まず、WT細胞とLPT細胞でクエン酸放出にどれ程の差があるのかを、リ ン酸Al培地で10時間インキュベー卜することにより調べた。その結果、WT 細胞は殆ど放出を示さなかったが、LPT細胞は少なくとも10時間目までは直線 的な放出をし、10時間目でWT細胞の6倍の放出量であった(Fig.3)。それで は、この高いクエン酸放出は何に起因しているのか、何らかの環境要因による ものであるのかを検討した。有機酸放出型植物の多くは、ストレス条件下での み有機酸の放出を行うことが知られている。Wheat、rye、triticale、buckwheat等はAlイオン存在下でのみ放出が誘導され(Ryan et al.1995,Zhenget al.
1998,Lietal.2000,Maetal.2000)、Whitelupinはリン酸欠乏に応答して有
機酸を放出する(Neumannetal.1999,NeumannandR6mheld1999)。LPT
Alイオンの有無もしくは低リン酸状態に関わらず、常に高いクエン酸放出を保 っていた(Fig.4,5)。これは、Alに対して選抜されたシロイヌナズナの変異体 と同じ傾向であった(Larsenetal.1998)。 続いて、このクエン酸放出が細胞膜上の何を経由して行われているのかを 検討した。有機酸は、脂質二重膜を拡散により受動的に通過することもできる が(Ryanetal.2001)、それは非常にゆっくりであり、LPT細胞のような多量 な放出には、やはり何かしらの輸送体が関わっていると考えられた。クエン酸 は細胞内でアニオンとして存在していることを考慮し、4種類のアニオンチャネ ルブロッカーをリン酸Al培地に添加してクエン酸放出への影響をみたところ、 M、A・9・Cは高い阻害作用を示し(Fig.6)、アニオンチャネルが関与している ことを示唆していた。しかし、一方でDIDSでは全く阻害が認められなかった。 このようなブロッカー間での差は、他の植物でもよく見られる傾向である(Ryan etal.1995,Zhengetal.1998,Neumannetal.1999,Sakaguchietal.1999)。 では、DIDSの効果がないというのはどういうことなのか。アニオンチャネルに はR・typeとS・tyPeという2種類があり、R・tyPeは素早くしかし一過的に活性 化され、S・tyPe は活性化はゆっくりだが継続的にその活性を維持する (SchroederandKe11er1992,島崎2003)。このtypeはDIDSが効くかどうか により区別されると言われており、LPT細胞のアニオンチャネルはDIDSに影
電位の変化に応じて開く電位型チャネル、もしくは細胞内の特定のイオン濃度 が上昇するにつれて開くタイプのいずれかではないかと考えられた(笠毛 1991)。更に、このイオンチャネルというものには選択性が存在することが知ら れている。例えば、K+チャネルはE+を通過させるがNa+は通過させない、Cl チャネルはハロゲンを通過させるがⅠ や有機陰イオンは通過させないというも のである(三村ら2003)。また、Wheatはリンゴ酸を(Ryanetal.1995)、rye
やtriticaleはリンゴ酸とクエン酸を(Liet al.2000,Ma et al.2000)、
buckwheatはシュウ酸を(Zhengetal.1998)、Whitelupinは特にクエン酸を (Neumannetal.1999,NeumannandR6mheld1999)、鉄欠乏に対してでは あるがbarleyはムギネ酸を(Sakaguchietal.1999)というように植物によっ て放出される有機酸は特定されていると言える。これは、細胞内における特定 の有機酸含有量が増加していることによるものなのか、もしくはチャネルの選 択性によるものなのか興味が持たれた。そこで間接的にではあるが、主要な有 機酸であるクエン酸、リンゴ酸の含有量を測定することにより調べた(Tablel)。 まずクエン酸の含有量を両細胞間で比較してみると、確かにLPT細胞で増加し ていることがわかる。これはCS及びNADP-ICDHの効果によるものであると 考えられた。一方リンゴ酸はLPT細胞で減少しており、バランス的にクエン酸 の含有量が多くなっているが、リンゴ酸もクエン酸の65%存在していた。しか し放出量を見てみると、LPT細胞のリンゴ酸放出量はクエン酸放出量のわずか 5%と圧倒的に少なく、また、WT細胞はリンゴ酸の方が多いにも関わらず、わ ずかではあるがリンゴ酸よりクエン酸を放出していた。このような傾向はrice においても報告されており、それはクエン酸を放出するにも関わらず根中の含
有量はリンゴ酸の方が多いというものである(Kirketal.1999,Ishikawaetal. 2000)。これらのことから、LPT細胞のアニオンチャネルにはクエン酸選択性 が存在するのではないかと考えられた。 ところで、先程も述べたようにクエン酸は細胞内でアニオンとして存在し、 放出される。電気化学的な観点から考えると、アニオンの放出だけでは細胞膜 の電気化学的ポテンシャルが崩れてしまうと推測される。そこで、アニオンの 放出に伴うカチオンの放出に着目し、特にH+とK+ついてCa溶液中への放出を 調べた。尚、Ca溶液のpHがAlイオンの影響を調べた時と異なる為、クエン
酸放出に鱒し溶液のpHが影響するかどうかを調べたが、問題はなかった(Fig.
7)。また、アニオンとして放出される有機酸はpHの変化に影響しない為 (SchubertandMengel1989)、Ca溶液のpH変化はそのままH+の放出のみに よるものであると考えられた。まずH+について見てみると、WT細胞ではクエ ン酸、H+共に放出が認められなかったのに対し、LPT細胞ではH+はクエン酸 の2倍量放出されていた(Fig.8)。これは、クエン酸がpH5.6で2価であるこ とを考慮するとそれぞれ等価量放出されていることになる(Table2)。しかし、 細胞質内のpHは約7であり、この時クエン酸は3価で存在する(Ryanetal. 2001)。つまり、細胞質からCa溶液中へ放出される時、クエン酸はH+を1分 子吸収していることになる。これらのことから、実際H+はクエン酸が3価で放濃度)に基づいている(Scbultz1982)。また、このH+の放出が細胞膜上の何 を経由しているのかを検討した。H+はそれ自身では脂質二重膜を通過すること ができず、一般的にはH+・ATPase を介していることがわかっている(加藤 2003)。そこで、PM H+・ATPaseを特異的に阻害するバナジン酸に対するクエ ン酸放出の影響を見たところ、Fig.10のように阻害が認められた。このバナジ ン酸の影響はwhitelupinでも報告されており、1mMのバナジン酸がプロテオ イド根圏の酸性化を阻害している(%netal.2002)。これは、プロテオイド根 におけるクエン酸放出時のH+放出がPM H+・ATPaseを介していることを示し ており、LPT細胞の結果と一致している。 一方K+に関して見てみると、移植直後の放出後、WT細胞ではそのまま変 化はなく、LPT細胞では吸収が認められた(Fig.9)。0時間目での放出という ものは、Ca溶液の組成としてK+濃度がO mMであるのに対して細胞内には通 常K+が100mMのレベルで存在する為(三村2003)、濃度勾配に従った受動 的な輸送だと考えられる。そして電解質の輸送の場合、濃度と共に電位につい ても考慮する必要がある(電気化学的ポテンシャル)(笠毛1991)。通常細胞外 をO mVとした場合細胞内は植物においておよそ-200mVと負電荷になってい る(Hirschetal.1998)。K+のようなカチオンは、電位が高い方から低い方へ移 動する為(金沢1979)、濃度勾配に従って細胞外へ放出されるのと同時に電位 による吸収が起こっており、変化がないWT細胞ではこれが平衡状態にあると 考えられる。一方LPT細胞では、先程も述べたようにH+の放出が起こってい る。PMH十・ATPaseによるH+の放出は一次性能動輸送であり、これによりプロ トン駆動力(pm£protonmotiveforce)が生まれる(加藤2003)。Ca溶液中
のCa濃度に変化は見られなかったことから(Fig.11)、PmfはK+の細胞内への 吸収を促すと考えられ、LPT細胞ではこのpmfによる細胞内への吸収が放出を 上回り、Ca溶液中の濃度が減少したと推測できる。また、H+の放出は細胞内の 電位をより負にする(加藤2003)。仮にクエン酸放出に関わるアニオンチャネ ルが先程示した3パターンの中の電位型チャネルであるとすると、この電位差 に応答してチャネルが開き、アニオンは電位の低い側から高い側へと輸送され る為(金沢1979)、クエン酸が放出されるのではないかと考えられた。つまり、 クエン酸の放出に対して電荷のバランスをとる為にH+が放出されているという よりも、むしろPM H+・ATPaseを介したH+の放出が引き金となりクエン酸が 放出されていると思われる。これは、WT、LPT細胞のクエン酸含有量と放出量 を比較した時に、H+の放出が認められないWT細胞では放出量が圧倒的に少な いことからも伺える。 このような有機酸放出に関与するカチオンについての報告はこれまでにも 幾つかあり、いずれも有機酸がアニオンチャネルを介して放出されているとい う前提のもとになされている。それらは、Whitelupinやtomatoは有機酸放出
時に根圏のpHが低下する(Neumann et al.1999,Neumann and R6mheld
1999)、Wheatはリンゴ酸放出時にK+を放出する(Ryanetal.1995)、barley
以上のように、この章では細胞膜上におけるクエン酸放出には、2種類の
タンパク質、アニオンチャネルとPMH+・ATPaseが関与していることをつきと
め、更には、アニオンチャネルの特性、及びクエン酸とH+放出の機構について
3
(≡∈)+N8
Fig・11ChangesofCa2+concentrationsin
the medium dunng the citrate excretion
(SeeFjg.8)ofWT(◇)and
LPT(◆)ce"s.
Afterbothce"lineswereprecultured,they
WereincubatedinaCasolutionpH5,6(See
Fig.5caption)foratota10f3h.Meansand
∽∽
Cyto$0l
Phos hatetran$ OrterAl・Citrato
Fig.12Characterl$tic$Ofth010WPhosphateto】erant(LPT)celI8・Thecjtratecontentshcrea$eforhighoxpre8Sionof
the cltrate syntha$e andlowoxpro$$ion ofthe NADP-1CDH,MoreoYer,tho activlty ofthe pla8ma mOmbrano H'・ ATPa$01ncrea$e$atLPTce=$,andthor010a$00fH'cohcidewiththocltrateoxcretion.Excrotedcitrat0801ubjllzoa
第2章
クエン酸放出に関与する
plasma
membraneH+-ATPaseの解析
2・1緒言
1章において、LPT細胞の細胞膜上におけるクエン酸輸送には、クエン酸 選択性を有する可能性のあるアニオンチャネル、及びクエン酸放出と同時にH+ を放出しているPMH+・ATPaseが関与していることを示した。H+の放出に関し ては、Whitelupinの報告にはないクエン酸放出との定量的な結果を得ることもでき、またWT細胞とは明らかに放出パターンが異なることから変異が起きて
いる可能性は非常に高いと考えられた。生理学的に細胞膜上におけるタンパク 質の特性を調べるには高純度の細胞膜を単離する必要があり、それには水性二 層分配法が適している(Fig.13)。水性二層分配法は、POlyethyleneglycol層 (PEG層)とdextran層からなる水性二層分配液を利用しノ、生体膜の表面電荷 や疎水性により各層へ分配する方法である。表層に強い陰性の電荷を持つ right・Side outの細胞膜のみがPEG層へ、inside-Outの細胞膜及び液胞膜やミ トコンドリア膜等その他の膜画分は全てdextran層へ特異的に分配される(吉の報告が行われており、知見の広い遺伝子である。PM H+・ATPase遺伝子は SuPer・gene払milyを形成し、Amム物見由tbalibDaで12個(Palmgren2001)、 仇γ詔Sativaで9個(Arangoetal.2003)、入物由DaPIzLmbagit2戯由で9個 (Perezetal.1992,Moriauetal.1993,Oufattoleetal.2000)と非常に多くの isoformが単離されており、2もしくは5種類のsub払milyに分類される (Ou払ttoleetal.2000,DamblyandBoutry2001,Palmgren2001,Arangoet al.2003)。分子量は約100kDaであり、N末端側からactuatorドメイン、ATP 結合ドメイン、リン酸化ドメイン、活性調節ドメインとなっており、通常10個 の膜貫通ドメインを持つ(木下,島崎2003)。耐性品種獲得への有用遺伝子と して確立する為に、これらの知見を元にLPT細胞からPM H+・ATPase遺伝子 を単離して一連の分子生物学的解析を行うことによりWT■細胞との相違点を見 い出すこと、及びアンチセンス組換え体を作製することによりクエン酸放出に 対する必須性を証明することを目指した。
Micro$Omal fraction 0 00 ●●
。㍉。帰・●
000 ●● ●Polyethyleneglyc0l
Phase
Dextran
Phase
Ultracentrifuge
l
Pla$mamembranal
fraction
●:Right-$ideoutPMve$icle$2・2実験材料及び実験方法
2-2・1細胞膜画分の単離 WT及びLPT細胞からの細胞膜画分は、吉田らの方法(吉田,上村1987, Ybshidaetal.1986,%shidaandUemura1986)を若干改良した方法により単 離した。新鮮重約30gのニンジン培養細胞を、約3倍量(Ⅴ価)の細胞破砕用 緩衝液(0.25Mmannitol,0.1%【w/v]BSA,1.5%【w/v]pvRlmMDTT;2mM EGTA,2mMEDTA-2Na,25mMpotassiumphosphatebu脆rpH7.8)に懸 濁し、あらかじめ氷冷した乳鉢を用いて、適当量の石英砂を加え氷上で完全に 破砕した。この細胞破砕液を4重のガーゼで濾過後、濾液を0℃にて13,000×g、 20分間遠心した(①SAKUMA50A-ⅠⅤ)。その後、上清を0℃にて170,000×g、 35分間遠心し(②HITACHICP70G)、得られた沈殿は洗浄の為に懸濁液Dl (0.25Msorbitol,1mMDTT,10mMpotassiumphosphatebu鮎rpH7.8)に テフロンホモジナイザーを用いて懸濁した。0℃にて170,000×g、35分間の遠心 を行い(②)、沈殿を再び2mlの懸濁液Dlにテフロンホモジナイザーを用いて 懸濁した。尚、この時点で懸濁液Dlではなく懸濁液C(保存用;0.25Msorbitol, 25mMHEPES,2mMDTT;BTPを加えpH7.2に調整)を用いたものを粗膜 画分とした。 2mlの懸濁液Dlに懸濁したものを約20ml(25g系)の水性二層分配液 (6.4%【w/v]pEG3350,6.4%【w/v]dextranT-500,0.25Msorbitol,1mMDTT, 30mMNaCl,10mMpotassiumphosphatebu鮎rpH7.8)に加え、手で反転して撹拝後、0℃で30分放置してから、0℃にて750×g、4分間遠心した(①)。 この上層(PEG層)を、新しい分配液の下層(dextran層)のみの溶液に重層 し、再び撹拝して0℃、30分放置後、。遠心して上層を得た。もう一度繰り返し、 計3回水性二層分配を行った後、上層を洗浄の為懸濁液C(洗浄用;0.25M、 SOrbitol,25mM HEPES,BTPを加えpH7.2に調整後滅菌フィルターに通し た)に加え、0℃にて170,000×g、35分間遠心を行った(②)。この洗浄を60 分でもう一度繰り返し、得られた沈殿を1mlの懸濁液C(保存用)に懸濁して、 これを細胞膜画分とした。粗膜画分溶液、及び細胞膜画分溶液の保存はエツペ ンドルフチューブに分注後、・80℃で保存した。 2-2-2マーカー酵素活性の測定 単離した細胞膜画分の純度を検定する為に、粗膜画分、細胞膜画分におい て以下のマーカー酵素活性を測定した。tOtalATPase 活性のうち vanadate・SenSitiveATPase、nitrate・SenSitiveATPase活性を細胞膜マーカー 酵素、液胞膜マーカー酵素とした。つまり、Vanadate-SenSitiveATPase活性が PMH+-ATPase活性に値する。また、NADHCyt・Creductaseを小胞体膜、Cyt・C oxidaseをミトコンドリア膜のマーカー酵素とした。 ATPaseの活性は、UemuraandSteponkus(1989)の方法に従い行った。
(wル)TritonX・100 30plと2.5%(w/v)モリブデン酸アンモニウム 300plの 添加により白濁させ、室温にて20分後660nmの吸光度(HImCHIU・2000) を測定することにより定量した。尚、細胞膜マーカーATPase として0.1mM Na・Orthovanadateを、液胞膜マーカーATPaseとして100mMKNO3を終濃度 でそれぞれ添加した。 antimycinAinsensitiveNADHCytLCreductase、Cyt・COXidaseの活性は、
Uemura and Ybshida(1983)、Ybshida ら(1983)の方法に従い行った。
antimycinAinsensitiveNADHCyt・Creductaseの活性は、1.5mlの反応系(50 mMpotassiumphosphatebu鮎rpH7.4,405pgoxi・Cyt・ら264pgNaN3,0.1 mMantimycinA)に膜画分溶液を15pl、10mMNADHを50pl加え、550nm での吸光度変化を追跡することにより測定した。Cyt・COXidaseの活性は、膜画 分溶液50plに1%(w/v)TritonXrlOOを15pl加え、室温で5分後1.5mlの50 mMpotassiumphosphatebu鮎r(pH7.4)と100plred・Cyt・Cにより、550nm での吸光度変化を追跡することにより測定した。 2・2-3タンパク質の定量 タンパク質の定量は、Bradford(1976)の方法に従いBSAを標準タンパ ク質として595nmの吸光度(HITACHIU・2000)を測定して行った。 2-2・4totalRNAの単離
totalRNAの単離はacid guanidinium phenoIchloroform(AGPC)法
1995)により行った。・80℃で保存しておいた培養細胞0.5gを、液体窒素で冷 却した乳鉢と乳棒により磨砕し、2.5mlのextraction bu鮎r(50% k/v] guanidinethiocyanate,25mMNa-Citrate,5%♭/v]2・merCaPtOethanol,0.5% k/v]sarkosyl,0.1%b/v]antifoam)に懸濁した。0.5mlずつ2mlチューブに 分注し、0.05mlの2MNaOAc(pH4.0)と0.5mlのwater・Saturatedphenol を加えて混合した。0.25mlのchloroform/isoamylalcohol(24:1)混和物を添加 し、氷上で15分放置後、20,000×g、4℃、15分間遠心した(KUBOTA1720)。 (以下はRNasefreeで操作)水層0.4mlを1.5mlチューブにとり、0.2mlの 1.2MNaCl、0.8MNa・Citrate混和物と0.2mlのisopropanolを加えて混合し た。室温で10分放置後、20,000×g、4℃、15分間遠心し沈殿を得た。75%(Ⅴ/v) EtOHで洗浄後、風乾して20plのRNasefreeH20に60℃で加温して溶解し た。 2・2-5RNAの純度及び濃度測定 RNAの純度は、10mMTris・HCl(pH7.5)に希釈して200nm∼310nmを 波長スキャンし、A260:A230=2.2∼2.5:1、A260:A280=1.8∼2.0:1となる時 高純度であると判断した。また、濃度はH20に希釈後、A260を測定しA260が1 の時40pg/mlであることを利用して算出した。
て01igo(dT)20Primerを添加し、70℃、10分処理後bu飴r(TOYOBO)、dNTPs (TOYOBO)、RNaseInhibitor(ThKaRa)、reVerSetranSCriptase(TOYOBO) を加えて42℃、60、分;70℃、15分のRT反応を行った。合成されたsinglestrAnd CDNA(sscDNA)をtemplateとし、Amb軸点由tba血Da(Harperetal.1989)、 ゑamqys(JinandBennetzen1994,P6rez・Casti丘eriaetal.1995)、a:ア甜 Satin(Wadaetal・1992,00kuraetal.1994)、Nh,tib (Perezetal.1992)の4種類の植物、6種類のPMH・・ATPaseの保存された アミノ酸配列を元に設計した2組のde・generate Primer:丘rstforward, 5'・GA払/G]GA払/G]AA【c/T]AA【C/T]GCIGGIAA【c/T]GC・3,;secondforward, 5'・GAhJG]GCIGTIGTIATh/C/T]GCIACIGG・3,;firstreverse,5,・TC[G/T]TT・ ITCICC[G/T]TCICCIGTC・3,;second reverse,5,・CCIGCCCAIGGCCAIGG・3, (Ⅰ:inosine)により丘rst、SeCOndPCRを行った。得られたcDNA断片をDNA LigationKitⅥr・2(TaKaRa)を用いてpT7BlueT・VeCtOr(Novagen)にTA Cloningし、EcoH(ⅩL・1BlueMRF')(Stratagene)にtransformationした。 QIAprepSpinMiniprepKit(QIAGEN)によりplasmidを調製し、BigDye Tbrminatorv3・1CycleSequencingKit(AppliedBiosystems)によるdideoxy 法とABIPRISM377DNASequencer(AppliedBiosystems)により塩基配列 を決定して、DNASequencingSoftware(AppliedBiosystems)、BIJASTdata bank及びCLUSTALW(www.genome.ad.jp)により解析を行った。3,端の塩 基配列は、これにより決定した配列を元にspecificprimerl、2を設計し、01igo
(dT)20Primerのadaptor primer とのPCRによる 3,RACE(rapid
行った。まずspeci丘c primer3によりRT反応を行い、3,側へのdC・tailing反 応をした。その後、SPeCificprimer4、5とoligo・dGabridgedanchorprimer によるPCR反応により断片を得た。 2-2-7膜貫通領域予測及び系統樹の作製 mucusmmtaH+・ATPase(DcPA)の膜貫通領域予測は、コンピューター アルゴリズムのSOSUI(Hirokawaetal.1998)により行った。また、推測さ
れるアミノ酸配列孝元にした分子系統樹は、DDBJ(www.ddbj.nig.ac.jp)で公
表されているCLUSTALWプログラムにより作製した。 2-2-8Dcml抗体の作製 DcPAl抗体は、QIAexpress恥peATGKit(QIAGEN)により精製した smal1loop(132aa-239aa)を抗原として作製した。forward,5,・GGGG・ CCjmGAAAAACAAAGGTTCTTAGG・3,(下線はjVboIsite);reverse,5,・GGGAGATCTCTTCTGGAAATGGCCAAC・3,(下線は#IIsite)の2種類
のprimerによりsma11loopの断片を増幅し、肋Ⅰ・邸IIsiteで制限酵素処 理したpQE・60(QIAGEN)に1igationした(Fig.14)。Eの〟(ⅩL・1BlueMRF') (Stratagene)にtransformation後、QIAprepSpinMiniprepKit(QIAGEN)(A)
PQE・60
(B)
PQ∈-60
EcoRI/RB$ 〟coI 8amHIβgJⅡ 6×Hiさ CCATGGGAGGATCCAGATCT
亡CORIJRB$ 〟¢○Ⅰ
句仰
CCATG $ma‖100P A(;ATCT
〃加dⅡ ち
TAAGCTTAATTAGCTGAG⊂=コー
6×川$ 〃肋dⅢち
TAAGCTTAATTAGCTGAG⊂=コー
Flg.14ThovectorforhighLJov01proteinexpre$$ionand6×Hl$・taggOdproteinpur]f]cation$y$ternS. (A)pQE-60;tyPeATGvector(ATG writteninredisaninitiationcodon).(B)Tho$ma‖l00POfthePM H+-ATPasewasjntroducedintoNcoIandBgIⅡsiteofthepQE・60.NaH2PO4,0.01MTris・HCIpH4.5)により溶出して精製した。抗体の作製は北 山ラベス株式会社に依頼した。 2-2-9westernblot解析 サンプル(粗膜画分)のSDS化は、懸濁液C(保存用)に終濃度でSDS が1.2%(w/v)、2・merCaPtOethanolが5%(v/v)となるように加え、100℃、5 分間処理することにより行った。ポリアクリルアミド濃度は、3.13%濃縮ゲル (3.05%b/v]acrylamide monomer,0.08%k/v]N,N,・methylenebisacryl・ amide,127mMTris・HCIpH6.8,0.1%[w/v]SDS,0.1%【v/v]TEMED,0.1% 【w/v】ammonium persulfate)、12.9%分離ゲル(12.6%【w/v]acrylamide・ monomer,0.34%【w/v]N,N,・methylenebisacrylamide,376mMTris・HCIpH 8.8,0.1%k/v]SDS,0.1%【v/v]TEMED,0.1%【w/v]ammoniumpersulhte) で行った。泳動用緩衝液(9.9mMTris,77.3mMglycine,3.5mMSDS)、及び ゲル板を泳動槽(ATTO AE-6440)にセットしてからサンプルをアプライし、 15mAで電気泳動を行った(ATTOCONSTAPOWER3500)。 電気泳動後、ミニトランスプロットセル(BIO・RAD)及び転写bu脆r(25 mMTris,192mMglycine,20%[v/v]methanoIpH8.3)により、100V、300mA、 1時間でゲルからPVDF膜(ClearBlotmembrane・P,ATTO)へのtransferを
度TBS・Tで洗浄し、TBS・Tで15,000倍希釈したalkaline phosphatase
conjugatedgoatanti・rabbitIgG(Fc)r(Promega)を二次抗体として室温で1時
間インキュベー卜した。PVDF膜を洗浄後、発色用bu鮎r(100mMTris・HCIpH
9.5,100mMNaCl,5mMMgC12)で5分間平衡化し、アルカリフォスファター
ゼの発色基質である nitro blue tetrazolium(Promega)と
5-bromo・4・Chloro・3・indolyl・phosphate(Promega)を終濃度がそれぞれ340
pg/ml、170pg/mlとなるように希釈した発色用bu鮎rで発色させた。発色は、
停止液(1%k/v]aceticacid)に浸すことで止めた。
シグナルの定量的な解析は、U.S.NationalInstitutes ofHealth(NIH)
web page(http:〟rsb.info.nih.gov/nih・image)から得たNIHimage analysis
PrOgramにより行った。 2-2・10肋打亡びβCa∫P由月好伊d乃なβe(助)の転写量解析 転写量解析はQuantitativeRT・PCR(QRT-PCR)により行った。WT、LPT 細胞をR2培地30mlに0.5gずつ移植し、1週間培養後、ミラクロス(Calbiochem 製)上に減圧回収し、・80℃に凍結保存した。これらからAGPC法によりtotal RNAを単離し、1pgを逆転写してsscDNAを合成した。それをtemplateに、 各isoformの3'untranslatedregion(UTR)に対するspecificprimer:β劇1 forward,5'-AGAGAmCGTAACTCAACTC・3';reverse,5'・GGTACTGCTGAT・ ATTATAGC・3';淵2forward,5'・AGTGTAAGAAGCTGTACATG・3';reverse, 5'-GGAATTTATGACACAAAGTGT・3';刀c月43forward,5'-TACACTGTC℃AA・ GAAGAGGA・3';reverse,5'・GCACATTGCCAACTCTGATA・3';助 4
forward,5'・GTATGCATAAATTGAGCTGG・3';rev?rSe,5'・CCACAAGTGCAA・ TCAAATCA・3';戊月4 5 forward,5'・GACTGAGATGAAGATATATATG・3' re寸erse,5'・AGAAAGCAAAGTATCACTGG・3';皿6forward,5'・ACACCG・ TCTAAGTAACTAAAT3';reverse,5'・TGTATTGCTGGGGATTGCAA・3'を利用 しPCRをした。まず、指数関数的な増幅を示すcycle数を決定し(940C,30sec; 500C,30sec;720C,30sec;ムk月41,22cycles;地名24cycles;助長24 CyCles;助425cycles;皿5;23cycles;淵625cycles)、次にその isoformの3'UTRを挿入した既知分子数のplasmidをtemplateにして指数関 数的な増幅を示す適当な分子数の範囲を決定し、これをstandardとした。解析 は、電気泳動後アガロースゲルをSYBRGreenI(MolecularProbes)で染色し、
Ⅵ1riable ModeImager取phoon9400(Amersham Biosciences)とImage
Quant(AmershamBiosciences)にて行った。
2・2・11助1anti-SenSe組換え体の作製
組換え用constructには以41の5'、3'UTRを含む全長とpIG121・Hm
(Ohta et al.1990)を利用した。月山聖Ij の全長は、forward,
5'・GGGGAGCTCGATGAGAGTTCCTCTTTT・3,(下線は励cIsite);reverse,
B
NOStor ユ5Spro NO$to†35Spro
J〝Iro〝-GU5 ■一員∽ ■-叫L 〓句り ■-♪--止○)叫 ■〓∈句q
ユtコ些=コ・-・
--L8NOSpro NPT" NOSter 35Spro NOStor36Spro HPT NOSter
Kmr a〃掛きelI5e8cPA† Hygr
Fig.15T・DNAregion$OfthebharyvectorintroducedintoLPTce"$byAgrobacfe血mLumeねciensdTlediated
method.(A)lnhn・GuSwasintroduced a8aCOntr0l.(B)Dc朋1wa8rePlacedlntonal・SacIsitein the dFrectionoftheanti・SenSe,andintroduced・RB,rightborder;LB・leftborder;CaMV35Spro・Caulif]owerrnosaic
Virus35$promoter;NOSpro,nOPalinesynthasegenepromoter;NOSter,nOPa]ine$ynthasegonetormhator;NPT ll,neOmyCinph08Photransfbra8e";HPT,hygromycinpho$Photran8fera$e.
LPT3u叩即戚onco他 (R2modium) 25℃,Tday8 Settledcultリーo COヰu托u帽WithAgroba¢t即血m (R2m¢dlum¢Ont8ininglO岬/ml Acot08yringon) = 25℃ 引戎抽如=川Itu柑 25℃,2day8さ○壮lod¢リーtU帽 StOr日工ationofAg帽bac他rhlm (9旭川kodw■hrcont別11ng 500■g/mlGObbxlmo) = mu托暮p馳ation0lco他 (R2modiu叫
mating法によりAgmbactezjumtzLmeAcibns(EHAlOl)に導入した(Fig.16)。 対数増殖期まで培養した LPT細胞を、無菌的にろ糸氏上に減圧回収し、 acetosyringonlOpg/mlを含むR2培地に浸漬した滅菌ポリウレタンスポンジ 上に置いた。前培養したEHAlOlは、aCetOSyringonlOpg/mlを含むR2培地 にOD600=1.0となるように懸濁し、培養細胞に感染させ25℃で3∼5日間共存 培養させた。EHAlOlに覆われたLPT細胞をcefotaxime 500pg/ml含有滅菌 水に懸濁後、低速遠心(400×g,5min)することにより両者を分離し、これを3 回線り返して除菌した。EHAlOlを完全に殺菌させると共に遺伝子が導入され たLPT細胞を選抜する為に、Cefotaxime 500pg/ml、kanamycin 50pg/ml、 hygromycin 25pg/mlを含むR2培地に浸漬させたスポンジ上にLPT細胞を 置き、25℃で約1ケ月無菌的に培養した。出現したカルスを抗生物質を含む寒 天培地に移し、2次選抜により組換え体を得た。 2-2-12ゲノムDNAの単離 LPT細胞及び組換え体からのゲノム DNAの単離は、Nucleic Acid PurificationKitMagExtractor(TOYOBO)により行った。ゲノムPCRは、 LPT細胞、ASラインに関してはCaMV35Spr。に対するspecific primer, 5'-GGAAGGTGGCTCCTACAAATGCC・3'とムk毘4Jに対するspecific primer, 5'-GATGAGAGTTCCTCTTTT-3'を用い、コントロールラインに関しては、
CaMV35Spr。に対する specific primer,5'・GGAAGGTGGCTCCTACAAAT・
GCC・3'とNOSterに対するspecificprimer,5'-GAMCATCGCAAGACCGG・
2-2・13助1anti-SenSe組換え体の転写量解析 淵1anti・SenSe組換え体をR2培地30mlに0.5gずつ移植し、1週間 培養後、ミラクロス(Calbiochem■製)上に減圧回収し、・80℃に凍結保存した。 これらからAGPC法によりtotalRNAを単離し、ムk毘4Jに関してはムk毘4 SenSeSPeCificprimer,5'・TGCGCTCCCGAGTTGAGTTA・3'を、淵且a4, 荻.βに関しては01igo(dT)20Primerを使用して1pgを逆転写した。それを templateに、淵1は5'UTRを含んだ領域に対するspecificprimer:助1 forward,5'・GATGAGAGTTCCTCTTTTCT・3';reverse,5'・TTTTGGGAGCGA・ GACCA・3'を使用し、940C,30sec;500C,30sec;720C,30sec;30cyclesの条件 で行った。戊月4之.よ.4、∂、βは2・2・10と同条件で行った。