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小児看護における感情労働と被暴力体験

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Academic year: 2021

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演題 9

小児看護における感情労働と被暴力体験

キーワード:小児看護、感情労働、被暴力体験

○和田由紀子1)、本間昭子1)

新潟青陵大学1)

Ⅰ 目的

感情労働は、「『感情のやりとり』がその労働内容 の重要な構成要素であり、かつ適切/不適切な感情経 験や感情表出が規定されていて、それに合わせて自ら の感情を適切に管理することが求められている労働」

1)である。被暴力体験と共に、「看護職者の心理的健 康の阻害要因」となることが指摘 2)されているが、

小児看護領域に焦点を当てた研究は未だ少ない。その ため本稿では、小児看護に従事する看護職者の感情労 働と被暴力体験を検討することを目的とする。

Ⅱ 方法

国内の 21 病院に勤務する看護職者 996 名を対象に 2012 年 2 月~10 月に実施した質問紙調査について、

外来を除く小児科系・外科系・内科系に勤務する群を 各々抽出し、感情労働尺度・日本版 GHQ 精神健康調査 票 28 項目版(以下 GHQ28)・日本語版バーンアウト 尺度(以下バーンアウト尺度)の測定、および、過去 1 ヶ月以内・過去 1 ヶ月以上 1 年以内の期間に受けた 患者・その家族からの被暴力体験(直接的暴力・間接 的暴力・ことば・セクシャルハラスメントの 4 種類)

の頻度の再分析を行った。質問紙の回収率 75.2%、

有効回答率 72.2%であり、抽出した群は小児科系群 40 名・外科系群 90 名・内科系群 177 名であった。

分析は、3 群に対する尺度の測定結果について、一 元配置分散分析(p<.05)と多重比較(Tukey HSD)

を実施し、被暴力体験については Kruscal-Wallis の 順位和検定(p<.05)を実施した。

倫理的配慮としては、使用した尺度の作成者・販売 元に使用許可を得、所属機関の倫理審査委員会の承認 を得た。対象には,個人のプライバシーや協力に対す る自由を保障し,研究の主旨と共にその旨を書面で説 明した。質問紙は個別に封筒に入れて配布・回収し,

回答をもって調査協力への同意を得たものとした。

Ⅲ 結果

1)感情労働とストレス反応の差異

3 群に対する尺度の測定結果について、一元配置分 散分析・多重比較を行ったところ、感情労働尺度の下 位尺度である「患者へのネガティブな感情表出」「患 者への共感・ポジティブな感情表出」において有意差 がみられた(順にF(304,2)=8.60,F(304,2)

=4.11)。即ち、「患者へのネガティブな感情表出」

では、小児科系群・外科系群が内科系群に比べ有意に

点数が低く、「患者への共感・ポジティブな感情表出」

では、小児科系群が他の 2 群に比べ有意に点数が高か った。他の尺度の全体得点・下位尺度点では、有意差 はみられなかった。

2)患者・その家族からの被暴力体験の差異 Kruscal-Wallis の順位和検定を実施したところ、

過去 1 ヶ月以内では直接的暴力・間接的暴力・ことば で小児科系群が他の 2 群に比べ頻度が少なかった。過 去 1 ヶ月以上 1 年以内では、全ての被暴力体験におい て小児科系群が他の 2 群に比べ頻度が少なかった。

Ⅳ 考察

3 群に対する尺度の分析結果により、小児科系群で は内科系群・外科系群に比べ、患者へのネガティブな 感情表出がより少なく、共感・ポジティブな感情表出 がより多く行われていること、その感情管理の差異は バーンアウトや心理的な健康度の差異として直接的 に現れないことが示唆された。小児看護ではその特性 上、成人を看護する場合にも増してことばによらない 思いを含めて患者のおかれた状況を汲みとり、小児に 安心・理解される表現を選択する感情規制が必要とさ れるが、それが反映された結果といえる。しかし、こ の差異がバーンアウト尺度・GHQ28 の結果に反映され なかったのは意外な結果であった。患者・その家族か らの被暴力体験の頻度が他の 2 群に比べ少なかった ことが、小児科系群の感情労働における感情管理やス トレス反応にプラスに影響した可能性が考えられる。

感情労働はバーンアウトやストレス反応と関連が 深いとされているが1)2)、小児・その家族を看護の対 象とした職務状況や特性、被暴力体験、他の関連要因 が複雑に影響していると考えられる。今後はそれらの 関連要因についても検討していく必要がある。

Ⅴ 結論

小児看護に従事する看護職者は、患者へのネガティ ブな感情表出や共感・ポジティブな感情表出をより行 っているが、その差異はバーンアウトや心理的健康度 の差異として直接的に反映されていないため、今後は 他の関連要因も併せて検討していく必要がある。

文献

1. 小宮敬子.ケアと感情労働.アディクションと家 族.2008;25(3):198-204.

2.荻野佳代子・瀧ヶ崎隆司・稲城康一郎.対人援助 職における感情労働がバーンアウトおよびストレス に与える影響.心理学研究.2004;75(4):371-377.

参照

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