奈良教育大学学術リポジトリNEAR
マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響 1. 発育期マ ウスの鍛練群と非鍛練群の安静時における血漿中の 総蛋白質量,中性脂肪量,遊離脂肪酸量,総コレステ ロ‑ル量,血糖量,乳酸量及び非蛋白窒素量の比較
著者 中牟田 正幸, 中谷 昭
雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学
巻 27
号 2
ページ 143‑151
発行年 1978‑11‑25
その他のタイトル Effects of Physical Training on Blood Properties in Mice 1. Comparison of total protein, triglyceride, free fatty acid, total cholesterol, blood sugar, lactic acid and non‑protein nitrogen concentrations in the plasma between the trained and untrained groups in young male mice, with reference to the resting state
URL http://hdl.handle.net/10105/2496
マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響
1・発育期マウスの鍛練群と非鍛練群の安静時における血菜中の総蛋白質量, 中性脂肪量,遊離脂肪酸量,総コレステロ‑ル量,血糖量,乳酸量及び非 蛋白窒素量の比較
中牟田正幸・中谷昭 (奈良教育大学生理学及び衛生学教室)
(昭和53年5月1日受理)
Effects of Physical Training on Blood Properties in Mice
1. Comparison of total protein, triglyceride, free fatty acid, total cholesterol, blood sugar, lactic acid and non‑protein nitrogen concentrations in the plasma between the trained and untrained groups in young male mice, with reference to the resting state
Masayuki Nakamuta and Akira Nakatani
{Laboratory of Physiology and Hygiene, Nara University of Education, Nara, Japan) (Received May 1, 1978)
Summary
Experiments were undertaken to investigate the effects of physical training on blood properties in mice, with reference to the resting state. The animals examined in this experiment were 300 young male mice of ICR‑JCL strain and these mice were divided into two groups, i. e, the trained and untrained ones. The exercising group was loaded by the treadmill for 5 days/wk during 10 weeks extending from the 4th to the 14th week after birth and total distance of running was 18875m. Blood samples were collected in two days after the load for 10 weeks was stopped and determined for the following components, i. e, 1) total plasma protein, 2) triglyceride, 3) free fatty acid, 4) total cholesterol, 5) blood sugar, 6) lactic acid, 7) non‑protein nitrogen.
Results obtained were as follows: 1) There was no signi丘cant di∬erence in total protein concentration between the trained and untrained groups as the effect of physical training.
2) But triglyceride, free fatty acid, total cholesterol, blood sugar and lactic acid concentrations were signi丘cantly lower in the trained group than in the untrained. 3) Non‑protein nitrogen concentration was sigm丘cantly higher in the trained group than in the untrained. From these evidences, it was suggested that there was important relationship between the blood com‑
ponent and physical training.
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緒 言
運動に伴って血液性状が変動することについては,従来から数多くの報告がある.しかし,鍛 練と血液の関係については,主として中高年の肥満者を対象とした成人病予防のための一環とし て鍛練効果を知るための研究がなされているにすぎない.著者らは鍛練が身体にどのような影響 を与えるかを血液性状の面から生理学的に明らかにするため一連の実験を企てた.
総血清(莱)蛋白については,生山ら(1976)及び芝山ら(1977)が,中性脂肪については, Holloszy et al. (1964), Siegel et al. (1970)及び後藤ら(1974)が,遊離脂肪酸については,級 藤ら(1978)が,総コレステロールについては, Holloszy et al. (1964), Kilbom et al. (1969), Siegel et al. (1970),芝山ら(1977)及び後藤ら(1974)が,血糖については, JeBlanc et aJ.
(1973), Galbo et al. (1977)及び芝山ら(1977)が,また乳酸についてはGalbo et al.(1977)及 び後藤ら(1978)が申高年者に短期間もしくは長期間の鍛練をした場合,あるいは鍛練者と非鍛 練者の間にどのような違いがあるかについて報告している.他方,実験動物についての報告は非 常に少なく,わずかに近新(1950)がマウスのγ‑globulinについて,またPapadopoulos et al.
(1969)がラットの中性脂肪及び遊離脂肪酸について鍛練の影響をみているにすぎない.
これらのヒトにおける研究は鍛練の種類,強度,持続時間,栄養,個体差その他の条件によっ て必ずしも一致した結果が得られていないので検討する余地が十分にある.著者らはヒトにおけ る実験では,供試個体数が少なく材料として必ずしも適当でないと考え,基礎的実験としてマウ スを用い,長期の鍛練が安静時の血液性状にどのような影響を及ぼすかについて究明することに した.そのため,今回はマウスを対象とし, treadmillを用いて週5日の割合で10週間の鍛練を 行い,その終了直後の安静時の血液成分を分析し,鍛錬群と非鍛練群間にどのような変動がある かについて比較検討を行った.
材料及び方法 1)供 試 動 物
供試動物として4過令の雄マウス(ICR‑JCL系 300匹を用い,非鍛練群と鍛練群の2群に分 け, 14過令に至る10週間にわたり同一条件下で飼育した.なお,飼料は日本クレアの同型飼料 (CE‑2)を用い,飼料及び水は自由に給与した.
2)運動負荷の方法
鍛錬群は動物用treadmillを用い, 14違令に至る10週間にわたり,過5日の割合で毎日規定亀 の運動を負荷した.すなわち,負荷開始の第1週目はtreadmill上での走行に馴れさせる意味を 含め,マウスの状態をみながら10m/分の速度で10分間(100m)の走行を行った.その後,速度 及び時間を増加し,第2週目は10m/分で15分間(150m),第3週目は15m/分で15分間(225m), 第4週目は15m/分で20分間(300m),第5週目は20m/分で20分間(400m),第6週目からは時間 のみ各週毎に2分間増加とし,第10週目は30分間(600m)になるよう漸増負荷法をとった.その 結果, 10週間の全走行距離は18875mとなった.なお,各過における運動負荷量は大体最大走行 能力の60‑70^程度になるようにした.
3)採血及び試料
採血は鍛練群において10週間の鍛練終了後1日おいて,マウスの頚動脈を切断して行った.採 血後 7 1匹分の血液をプールして1サンプルとし,血祭を得て試料とした.なお,対照群の
マウスについても同時に採血し供試した.
4)定 量 法
縁血祭蛋白質はBiuret法,中性脂肪は内藤らの方法,遊離脂肪酸はDuncombeの方法,総 コレステロールは柳沢法,血糖は酵素法,乳酸はBarker‑Summerson法及び非蛋白窒素はKie‑
ldahトNessler法を採用し定量を行った.
結果及び考案 1)総血焚蛋白質量
非鍛練群及び鍛練群における総血祭蛋白質量は表1に示すとおりである.表に示すように,罪 鍛練群6.9士0.3g/dlに対し,鍛練群7.0土0.3g/dlとほぼ同じ値となり,両群問には統計的有意 差を認めなかった.いま,非鍛練群の値を100とすると,鍛練群の指数は101.4となり,鍛練によ る影響がみられなかった.
生山ら(1976)は鍛練者として長距離走者と競歩鍛練者を対象とし,これと一般大学生と比較 した結果,両者間に有意差がみられなかったことを,また芝山ら(1977)は壮年者に対して203 週間にわたる長期の鍛練を行ったところ,総血渠蛋白量にはほとんど変化がなかったことを報告
している.
これらの報告は本実験におけるマウスの結果とよく一致し,したがって安静時の給血菜蛋白質 量は鍛練によって影響をうけないことが分った.このように変化がみられなかったのは,血菜蛋 白が運動時直接エネルギー源として利用されないためではないかと考えられる.しかし,近新 (1950)はマウスの3週間の鍛練でγ‑globulinが著しく増加することを報告しているが,著者ら もこの点について各血祭蛋自分画を定量し検討を行っている.
Table 1. Comparison of total plasma protein concentration between trained and untrained groups(g/dl)
Group 10 M± SD index
Untrained 6.9 6.8 7.3 7.3 6.9 6.5 6.7 6.7 7.4 6.7 6.9±0.3 100 Trained 6.5 7.0 7.1 6.7 7.1 ±0.3 101.4
2)中性脂肪量
非鍛練群及び鍛練群における血中中性脂肪(以下TGと略す)量は表2に示すとおりである.
表に示すように,非鍛練群258.5土5.0mg/dlに対し,鍛練群229.2土4.5mg/dlとなり,両群 間には統計的有意差(P<0.001)があり鍛練によってかなり減少することを認めた.いま,非鍛 練群の値を100とすると,鍛練群の指数は 8.7となり,明らかに鍛練による影響があることが分
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Siegel et al. (1970)は中高年者に15週間の自転車ergometerによる鍛練を行ったところ, TG量が137mg/dlから82mg/dlに低下したことを, Holloszy et al. (1964)は持久的柔軟体操と
2‑4マイルの長距離走からなる6カ月の鍛練を行ったところ, TG量が208mg/dlから125 mg/dlに低下したことを,またPapadopoulos et al. (1969)はラットに4週間の水泳訓練を行っ
たところ, TG量が第1過日で43mg/dlから23mg/d1‑と低下し,以後その水準を維持したこ とを報告している.さらに,後藤ら(1974)は中高年の鍛練者と非鍛練者とを比較し,非鍛練者 113. 5土15. 3me/dlに対して鍛練者86.3土11. 3mg/dlを示し,有意ではないが約25%鍛錬者の方 が低い値であったことを報告している.この鍛練者の低下について後藤らは,運動後の血清TG 値の低下が安静値に戻らないで次の運動が行われ,この繰り返しによって順次低下したもので,
これは組織におけるTGの取り込みの増大と組織からのTGの放出低下によるものと述べてい る.さらに, Borensztajn et al. (1975)及びMorgan et al. (1969)はラットにおいて組織への TGの取り込み増大にはIipoprotein lipase活性の増加が,また組織からのTGの放出低下には catecholamine などのホルモンに対する感受性の低下がみられることを報告していることからし て,血中TG量が減少をきたすのでないかと考えられる.いずれにせよ,ヒトにおける研究は中 高年者や肥満者を対象としたもので,適度の鍛練によって血中TG量の低下をきたすことを報告
しているが,本実験における発育中のマウスについてもかなりの程度低下することが明らかとな TK9
Table 2. Comparison of triglyceride concentration in plama between trained and untrained groups (mg/dl)
Group 10 M± SD index
Untrained 265 255 265 260 255 265 255 250 260 255 258.5±5.0 100 Trained 225 232 237 228 225 232 223 230 235 225 229.2±4.5* 8.7
*P<0.001
3)遊離脂肪酸量
非鍛練群及び鍛練群における血中遊離脂肪酸(以下FFAと略す)量については表3に示すと おりである.表に示すように,非鍛練群349.6土21.3^Eq/dlに対し,鍛練群306.0土20.5/iEq/dl の値となり,両群間には統計的有意差(P<0.001)があり,鍛練によってかなり減少することを 認めた.いま,非鍛練群の億を100とすると,鍛練群の指数は87.5となり,明らかに鍛練による 影響があることが分った.
鍛練が血中FFA量に与える影響については,後藤ら(1978)が壮年者に対し, 180週間のトレ ーニングを行ったところ, 40週間で約50%の低下を示し,その後次第に増加して最終的にも鍛練 前の値より約30%低くかったことを報告している.本実験においても,後藤らの結果と同様に10 週間の鍛練でFFA量の減少をみたが,発育中のマウスを対象としたため,その減少率は小さか
った.いずれにせよ,鍛練によってFFA量が減少することは,マウスにおいても壮年者の場合 と同様であった.
このような血莱中のFFA量の減少は脂肪組織におけるFFA放出の減少と組織における取り
込み増大に起因するのではないかといわれている.とくに, FFAの放出については, Shepherd
et al. (1977)がラットについて過5日の割合で18週間の鍛練を行ったところ,脂肪細胞中の norepinephrineによるadenylate cyclaseの産生が少なくなること,またOwens et al. (1977)
も同様にラットについて週5日の割合で12週間の鍛練を行い,脂肪代謝の様相を追究したところ, fat cell volumeの減少をきたすことを報告しているが,この事実からして,鍛練によってFFA の放出低下が起こるのではないかと推察される.しかし, Papadopoulous et al. (1969)はラット
について4週間の鍛練を行ったところ FFA量の減少をみなかったことを報告しているが,こ のことから, FFA量が減少するにはある程度以上の鍛練期間あるいは運動強度を必要とするの でないかと考えられる.
Table 3. Comparison of free fatty acid concentration in plasma between trained and untrained groups (^Eq/dl)
Group 10 M± SD index
Untrained 308 323 347 377 354 377 370 354 329 347 349.<±21.3 100 Trained 254 308 300 310 310 323 308 300 339 308 306.0±20.5* 87.5
*P < 0.001
4)総コレステロール圭
非鍛練群及び鍛練群における血中総コレステロール量は表4に示すとおりである.表に示すよ うに,非鍛練群151.0土7.9mg/dlに対し,鍛練群127‑3土4.4mg/dlの値となり,両群間に統計 的有意差(P<0.001)があることを認めた・いま,非鍛練群の値を100とすると,鍛練群の指数 は84.3となり,総コレステロール量は鍛練による影響をうけることが分った.
鍛練が総コレステロール量に及ぼす影響については,主として中高年の肥満者を対象としたい くつかの研究があるが,それらの結果は必ずしも一致していない. Kilbom et al. (1969)は中高 年者にランニングやボール運動などを8‑10週間行ったところ,紐コレステロールが258mg/dl から235mg/dl‑有意(P<0.001)に減少することを, Siegel et al. (1970)は15週間の鍛練の 結果,総コレステロール量が有意に減少することを,また, Papadopolous et al. (1969)も鍛練 の結果,総コレステロール量が減少することを報告している.さらに,芝山ら(1977)は過5日 の割合で鍛練したところ,総コレステロール量が25過を経て低下したことを報告している.他 方, Holloszy et al. (1964)は中高年者に6カ月間の鍛練を行ったところ,その影響がなかったこ とを,また後藤ら(1974)も中高年者の鍛練者と非鍛練者を比較し,両者間にその差がみられな かったことを報告している.このように総コレステロール量が鍛練によって減少したり,あるい はほとんど変わらないということは,鍛練の種類,強度,頻度,期間,栄養,個体差その他の条 件によって影響をうけるものと考えられる.しかし,本実験における発育中のマウスについては, 鍛練群と非鍛練群の問に明らかに有意差を示し,鍛練によって総コレステロール量が減少するこ とが分った.
近年,血中コレステロールは動脈硬化との関連で問題にされているが,本実験をはじめいくつ
かの報告にみられるように,血中コレステロール量は適度の鍛練によってその増加を防ぐことが
できるようであり,今後さらに生理衛生の立場から検討する必要がある.
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Table 4. Comparison of cholesterol concentration in plasma between trained and untrained groups (mg/dl)
Group 10 M± SD index
Untrained 162 155 145 155 138 155 145 140 160 155 151.0±7.9 100 Trained 135 130 123 125 130 127 120 125 133 125 127.3±4.4* 84.3
*P<0.001
5)血 糖 量
非鍛練群及び鍛練群における血糖量については表5に示すとおりである.表に示すように,罪 鍛練群179.6土7.3mg,/dlに対し,鍛練群152.3士5.7mg/dlの値となり,両群問に統計的有意差 (P<0.001)があることを認めた.いま,非鍛練群の値を100とすると,鍛練群の指数は84.8と なり,血糖量は鍛練による影響をうけることが分った.
JeBlance etal. (1973)は長距離走者,クロスカントリースキーヤー及び自転車競技選手などの 鍛練者と一般人の血糖量を調べたところ,前者は後者と比較し有意差(P<0.01)があることを 認めたが,この結果は本実験のものと一致した.他方, Galboet al. (1977)はラットに過5日の 割合で'12週間の水泳訓練を行ったところ,血糖量が変わらなかったことを,および芝山ら(1977) は壮年者に203週間の,また後藤ら(1978)は180週間の長期鍛練を行ったところ,一定の傾向が 認められなかったことを報告している.
血糖は主に肝臓を中心に調整され,肝臓からの放出量と組織での取り込み量に左右される.骨 格筋では,鍛練によってグリコーゲンが増加することや, insulinに対する感受性が増大すると いう報告もあるが,このようなトレーニングによる血糖低下のmechanismは十分明らかにされ ていないので,主として運動の種類,強度及び持続時間などを変えて検討する必要があると考え
られる.
Table 5. Comparison of blood sugar concentration in plasma between trained and untrained groups (mg/dl)
Group 10 M± SD index
Untrained 176 186 188 165 173 186 182 176 178 186 179.6±7.3 100 Trained 147 156 160 150 152 156 146 153 155 148 152.3±5.7* 84.8
*P<0.001
6)乳 酸 量
非鍛練群及び鍛練群における血中乳酸量については表6に示すとおりである.表に示すように, 非鍛練群5.2士0.4mg/dlに対し,鍛練群3.2土0.4mg/dlの値となり,両群問に統計的有意差 (P<0.001)があることを認めた.いま,非鍛練群の値を100とすると,鍛練群の指数は61.6と なり,乳酸量は鍛錬によって影響をうけることが分った.
一般に鍛練者は非鍛練者と比較し,同一負荷を課した場合,血中乳酸の増加量が少なく,また 乳酸に対する耐性が増大することは知られている.しかし,鍛練による安静時の変化については, ほとんどその報告がなく, Galboetal. (1977)がラットに12週間の鍛練を行ったところ,血中乳 酸量がやや低下したことを報告しているにすぎない.
乳酸は無酸素的解糖により産生されるが,この乳酸をピルビン酸にかえる乳酸脱水素酵素活性 や, TCA回路ではたらくクエン酸合成酵素やコ‑ク酸脱水素酵素の活性が鍛練により増加する というDohm et al. (1977), Baldwin et al. (1977)及びHenricksson et al. (1977)の報告は,安 静時の血中乳酸の低下をもたらす一つの要因と思われる.しかし,後藤ら(1978)はヒトについ て180週間の鍛練を行なった結果,乳酸量に有意な変化がみられなかったことを報告しているが, 本実験のマウスでは鍛練によって明らかに減少することが分った.
Table 6. Comparison of lactic acid concentration in plasma between trained and untrained groups (mg/dl)
Group ・ 10 M ± SD index
Untrained 4.2 5.8 5.5 5.4 4.8 5.3 5.1 5.2 5.5 5.3 5.2±0.4 100 Trained 3.2 3.3 3.5 2.7 2.9 2.4 3.0 3.5 3.9 3.7 3.2±0.4* 61.6
*P<0.001
7)非蛋白窒素圭
非鍛練群及び鍛練群における血中非蛋白窒素量については表7に示すとおりである.表に示す ように,非鍛練群48.9±3.8mg/dlに対し,鍛練群57.6土4.5mg/dlの値となり,両群問に統計 的有意差(P<0.001)があることを認めた・いま,非鍛錬群の値を100とすると,鍛練群の指数 は117.8となり,非蛋白窒素量は鍛練によって影響をうけることが分った.
血中非蛋白窒素は組織での含N物質の終末代謝産物であり,おもに腎を介して体外に排柑され るため,腎機能の指標として用いられる・著者ら(未発表)は血中非蛋白窒素が運動によって増 加することを明らかにしたが,トレーニングが安静時の血中非蛋白窒素に与える影響についての 報告はほとんどないようである.本実験において鍛錬群の非蛋白窒素量は非鍛練群のものより有 意に高かったことを明らかにした.これは鍛錬によって蛋白代謝の元進が進み,組織内に非蛋白 窒素が蓄積された結果,血中の増加をきたしたためではないかと推察されるが,今後さらに検討 する必要があると考えられる.
Table 7. Comparison of non‑protein nitrogen concentration in plasma between trained and untrained groups (mg/dl)
Group 10 M± SD index
Untrained 44 44 46 44 52 50 52 53 54 50 48. 9 ± 3. 8 100 Trained 56 66 62 52 52 58 57 62 55 56 57. 6±4. 5* 117. i
*P <0.001
摘 要
発育中の雄マウス(ICR‑JCL系 300匹を用い,鍛練が安静時の血液性状にどのような影響を もたらすかを知るため本実験を行った.そのため,マウスは鍛練群と非鍛練群の2群に分け,動
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物用treadmillを用い,鍛練群に過5日の割合で10週間にわたって運動を負荷した.その全走行 距離は18875mであった.鍛練群の血液は鍛練終了後1日おいて,また非鍛練群の血液も同時に 採取し,血祭中の総蛋白質量,中性脂肪量,遊離脂肪酸量,総コレステロール量,血糖量,乳酸 量及び非蛋白窒素量を測定して,鍛練群と非鍛錬群の各血液成分量を比較した.
1)総血祭蛋白質量は,鍛練群及び非鍛練群においてほぼ同じような値を示し鍛練による影響 が認められなかった.
2)鍛練群における中性脂肪量,遊離脂肪酸量,総コレステロール量,血糖量及び乳酸量は非 鍛練群のものと比較し有意(P<0.001)に減少することが認められ,鍛練による影響が明らかに あることが分った.
3)これに反して鍛練群の非蛋白窒素量は非鍛練群のものと比較し有意(P<0.001)に増加す ることが認められ,鍛練による影響が明らかにあることが分った.
本研究の要旨は昭和51年第31回日本体力学会及び昭和52年第28回日本体育学会において報告し た.なお,本研究を遂行するにあたり多数の専攻学生の協力を得た・ここに深く謝意を表する.
文 献
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