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著者 中牟田 正幸, 中谷 昭

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

マウスの血液性状に及ぼす鍛錬の影響 第11報 発育 期のマウスの軽鍛錬群と非鍛錬群の運動負荷後にお ける血糖量及び血中乳酸量の変動

著者 中牟田 正幸, 中谷 昭

雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学

巻 34

号 2

ページ 31‑36

発行年 1985‑11‑25

その他のタイトル Effects of Physical Training on Blood

Properties in Mice Part 11. Changes in blood

sugar and blood lactate concentrations in

young male mice after termination of exercise

load in untrained and mildly trained groups

URL http://hdl.handle.net/10105/2178

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奈良教育大学紀要 第34巻第2号(自然)昭和60年 Bu】1. Nara Univ. Educ, Vol.34, No. 2 (Nat.), 1985

マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響

第11報 発育期マウスの軽鍛練群と非鍛練群の運動負荷後における 血糖量及び血中乳酸量の変動

申牟田正幸・中谷 昭

(奈良教育大学生理学及び衛生学教室) (昭和60年4月30H受理)

EHects of Physical Training on Blood Properties in Mice

Part ll. Changes in blood sugar and blood lactate concentrations in young male mice after termination of exercise load in untrained and mildly trained groups

Masayuki Nakamuta and Akira Nakatani

(Laboratory of Physiology and Hygiene, Nara University of Education, Kara 630, Japan) (Received April 30, 1985)

Abstract

Experiments were undertaken to investigate changes in blood sugar and blood lactate concentrations after the exhaustive exercise load for 10 minutes on the treatmill in both untrained and mildly trained groups. In addition, a comparative study of differences of

these blood components between the mildly trained group and the moderate一y trained

group (the latter was in our paper)was made. 555 young male mice were divided into unt‑

trained and trained groups and the trained group was mildly loaded on the treadmill for 10 ll,eeks at the rate of 5 days per week. Results obtained were as follows.

1) In both untrained and moderately trained groups, blood sugar concentration signi‑

ficantly decreased, reaching the lowest measured values immediately after the exercise load, but thereafter it recovered to the resting level in 30 minutes in the former and in 15 minutes in the latter. Also the ratio of decrease in blood sugar concentration was much smaller in the mildly trained group than in the untrained group, but showed no sign!

石cant difference between the mildly and moderately trained groups.

2) In both untrained and m,Idly trained grov,ps, blood lactate concentration signi 丘cantly increased, reaching the highest measured values immediately after the exercise load, but thereafter it recovered to the resting level in 30 minutes. Also the ratio of increase in

blood lactate concentration was much smaller in the mi一dly trained group than in both

untrained and moderately trained groups.

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32 中牟田正幸・中谷 昭 緒     言

さきに著者ら12)はマウスを用い,週当たり5日の割合で10週胤にわたり鍛練を行ったいわゆ る中等度鍛練群と非鍛練群に対し y‑強度の激運動を10分間負荷したところ,前者の血糖減少j 率及び血中乳酸増加率は,特に運動終了直後において,後者のものよりも著しく小さいことを報 告した.

ところで,各種強度の運動を負荷すると,血糖量3‑4.7‑恥13‑21)や血中乳酸呈1‑6i8 11>13 21) が運動中,運動後に変動することについては多くの報告があるが,その結果はまちまちで一定せ ず,また鍛練の違いによってどのように変動するかについてはほとんど検討されていない.

そこで本研究は,マウスを用い,週当たり5日の割合で10週間にわたり軽鍛練を行ったいわゆ る軽鍛練群と非鍛練群に対し,同一強度の激運動を10分間負荷した際,血糖量及び血中乳酸量が 運動終了後の経過に伴ってどのように変動するか,またこれらの結果とさきに報告12)した中等 度鍛練群のものとを比較検討した.

材料と 方法

(I)実験動物

実験動物としては, 4週令の雄マウス(ICR‑JCL) 550匹を用い,軽鍛練群360匹と非鍛練群19 0匹に分けた.マウスは1ケ‑ジ当たり5匹収容し,飼料(日本クレアの固型飼料CE‑2)と水は

自由に給与した.

(2)鍛練方法

鍛練に当たっては,動物用トレッドミルを用い,週当たり5日の割合で10週間にわたり軽鍛練 を漸増負荷法に従って行った.すなわち,運動開始の第1週目はマウスをトレッドミル上での走 行に馴れさせる意味を含み,その状態をみながら10m/分の速度で7分間の走行を行った.第2.

3週日は10m/分で9分間,第4, 5週日は10m/分で12分間,第6週目以降は走行速度20m/

分と一定にし13分間,第7週目は14分間,第8週日は16分間,第9週目は17分聞及び第10週目は 18分間の走行を行った.この際の鍛練強度は激鍛練群の天体30‑40%に相当した.

(3)運動負荷法

慮鍛練群及び非鍛練群に対する運動負荷に当たっては,上記の動物用トレッドミルを用い,同 一強度の激運動を10分冊行った.すなわち,運動開始後の1分間は15m/分の速度,つづいて1

‑3分間Ljは20m/分; O サ?分間釦ま25m/分及び最後の1分間は30m/分の速度となるよう にした.なお,この運動負荷は非鍛練群にとって激度であったが,軽鍛練群の生体負担度はいく

らか軽かったように観察された.

(4)採血と試料

採血は軽鍛練群及び非鍛練群とも運動前,運動終了直後, 15分後, 30分後及び60分後の計5回 にわたり,マウスの頚動脈を切断して行った.そしてマウス6‑8匹分の血液をプールして1サ

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マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響(第11報) ンプルとし,遠心分離後血梁を得て試料とした.

m

結     果 (1)血糖量の変動

非鍛練群及び軽鍛練群の運動負荷終了後に伴う血糖量の変動は図1, 2に示すとおりである.

なお,以下の( )内の数値は運動前の濃度を100とした場合の運動終了後のものを指数で示し たものである.また,図1, 2にはききに報告12)した中等度鍛練群の成績についても示した.

Fig 1. Changes in absolute concentration of blood sugar before and after exercise load in untrained ,mild】y and mode‑

rately trained groups. # : Untrained group, ○ : Mildly trained group, △ : Moderately trained group.

Fig 2. Changes in the relative concentration of blood sugar before andafter exercise load in untrained, mildly and moder‑

ately trained groups (index after the

exercise 一oad, relative to the resting

level : Untrainedgroup, ○ : Mildly trained group, △ : Moderately trained

group.

非鍛練群の血糖屋は運動前では176.8士6. 3mg/dl (100)であるのに対し,運動終了直後では136.

1土3.0mg/dl (77.1)で最低値を示し, 15分後ではやや増加して142.0士9.7mg/dl (80.3)とな().

いずれもが運動前の値に比べて有意に減少したが, 30分後では179.3士9.4mg/dl (101.4)となっ て運動前の水準に回復LTI.また一方,軽鍛練群の血糖量は運動前では166. 8士7. 9mg/dl(100)で あるのに対し,運動終了rBJ後では149.8ア7.4mg/dl (89.8)で最低値を示し,運動前の値に比べ て有意(P<0.05)に減少したが, 15分後では159.7ア3.4mg/dl(95.7)となって運動前の水準に 回復した.

(2)血中乳酸量の変動

非鍛練群及び軽鍛練群の運動負荷終了後に伴う血中乳酸量の変動は図3 , 4に示すとおりであ る・また,図3, 4にはききに報告12)した中等度鍛練群の成横についても示しT二.非鍛練群の

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中卒田正幸・中谷 昭

ごp/6ui) 3}eioe] poo│g

Fig. 3. Changes in the absolut e concentration of blood lactate before and after exe‑

rcise load in untrained, mildly and

moderately trained groups. # : Untra‑

ined group, ○ : Mildly trained group,

△ : Moderately trained group.

rest     15  30      60 Time (min)

Fi^. 4. Changes in the relative concentration of blood lactate before and after exe‑

rcise load in untrained, mildly and moderately trained groups (index af‑

ter the exercise load, relative to the

resting level) # : Untrained group,

○ : Mildly trained group, △ : Mode‑

rately trained group.

血中乳酸量は運動前では29. 3土l.Oi‑ig/dl (100)であるのに対し,運動終了直後では83.8土7.7mg /dl (286.0)で凱舗fを示し, 15分後では41.7ア5.4mg/dl (142.3)となり,いずれもが運動前 の伯に比べて有意(前者はP<0.001,後者はP<0.01)に増加したが, 30分後では27.7土4.4m g/dl (94.5)となって運動前の水準に回復した.また一方,軽鍛練群の血中乳酸最は運動前では 25.0±4.lmg/dl (100)であるのに対し,運動終了直後では34.2土3.0mg/dl (136.8)で最高値 を示し, 15分後では31.1士1.2mg/dl (124.4)となり,いずれもが運動前の値に比べて有意(前 者はP<0.001,後者はP<0.01)に増加したが, 30分後では24.3土3.lmg/dl (97.2)となって 運動前の水準に回復した.

考     察

上述したように,各種強度の運動を負荷すると,血糖量及び血中乳頼量が運動申,運動後に変 動することはよく知られているが,鍛練状態を異にする被検者を対象としての実験は実際上搾易 でないため,鍛練強度の違いによる運動負荷の影響についての報告はほとんどない.そこで著者 ら12'は非鍛練群と中等度鍛練群のマウスに対し,運動を負荷することによって,両群の血糖量 及び血中乳顛量の変動を追究した・今回は,その結果を参照して,軽鍛練を行ったマウスについ て実験を行い,非鍛練群及び中等度鍛練群のものとを比較検討した.

まず,運動負荷による血糖量の変動についてみると,これは運動によって筋グリコーゲンがエ ネルギー源として大量消費されるため,運動筋による血中ぶどう糖の取り込み童が増加するのに 対し,肝臓からの血中へのぶどう糖の補給が追いつかないので減少するといわれている.ところ

(6)

マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響(第11報) 35 で,鍛練者と非鍛練者に対し同‑・強度の運動を負荷すると,前者の血糖減少率は後者よりも小さ

い3>21)大きい16)あるいは変わらない19)という報告など,その結果は研究者によりまちまち で一定していない.これは運動の種目,程度,時間,鍛練状態その他の条件などが大きく影響し ているものと考えられる.

いま,本実験における非鍛練群,軽鍛練群及びさきに報告12)した中等度鍛練群の血糖減少率 を比較すると,各群とも運動終了直後において,非鍛練群は22.9%,軽鍛練群は10.2%及び中等 度鍛練群は11.1%の値を示し,非鍛練群は軽鍛練群及び中等度鍛練群よりもかなり減少したが, 軽鍛練群と中等度鍛練群の間にはほとんど差異を認めなかった.また, 15分後においても非鍛練 群は19.7%の減少率を示したが,軽鍛練群及び巾等度鍛練群のいずれもが運動前の水準に回復す ることがわかった.この理由として,鍛練群は非鍛練群よりも多くのグリコーゲンが肝臓や筋肉 に貯蔵きれ,また前者は長期の持久性鍛練の過程において獲得した運動に対する適応効果が大き

くなったためでないかと推察される.

つぎに,運動負荷による血中乳酸量の変動についてみると,これは運動によって筋グリコーゲ ンが分解して生成され,血中に吸収されて増加し,しかも長時間の激運動では有酸素状態で運動 が行われるので,血中乳酸量は短時間の激運動の場合と違って運動終了直後に著しく増加すると いわれている.ところで,鍛練者と非鍛練者に対し同一強度の運動を負荷すると,前者の血中乳 酸増加率は後者よりも著しく小さい3)ことがわかっている.

いま,木実験における非鍛練群,軽鍛練群及びさきに報告12)した中等度鍛練群の血中乳酸増 加率を比較すると,各群とも運動終了直後において,非鍛練群は286.0%,軽鍛練群は136.8%及 び中等度鍛練群は170.1%,また15分後において,非鍛練群は142.3%,軽鍛練群は124.4%及び 中等度鍛練群は140.2%の値を示し,特に運動終了漬後では非鍛練群は軽鍛練群の2.1倍及び中 等度鍛練群の約1.7倍の増加となった.その後血中乳酸畳は減少し, 30分後には各群とも運動前 の水準に回復した.以上の結果から,両鍛練群の血中乳酸増加率は非鍛練群より,また軽鍛練群 は巾等度鍛練群よりも著しく小さいことがわかった.この理由として,鍛練によって酸素摂取能 力や耐乳酸性能力が向上したため,筋中での乳酸の酸化が促進され,血中への乳酸の吸収が少な くなったのでないかと考えられる.特に,軽鍛練群の血中乳酸増加率が中等度鍛練群よりも小さ くなったのは,従来からいわれているように,筋中での酸化能力が鍛練強度と密接な関係がある とは限らないのでないか,それとも10週間の鍛練終了後1日おいての運動負荷であったため,後 者が前者よりも疲労が蓄積し,酉針ヒ能力や耐乳酸性能力が抑制きれたのでないかと推察きれるが.

今後の検討を要する.

摘     要

マウスを用い,過当t: b 5日の割合で10週間にわたT)鍛練を行‑'た軽鍛練群と非鍛練群に対し.

同一強度の激運動を10分間負荷した際,血糖量及び血中乳酸量が運動終了後どのように変動する か,またさきに報告した中等度鍛練群のものに比べてどのような違いがあるかについて比較検討

した.その結果は次のとおりである.

1)非鍛練群の血糖最は運動負荷終了直後と15分後に,また軽鍛練酢では運動負荷終了直後に おいて有意に減少したが,前者は30分後に.また後者は15分後において運動前の水準に回復した.

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36 申年田正幸・中谷 昭

そして軽鍛練群の血糖減少率は非鍛練のものに比べて著しく小さかったが,中等度鍛練群のもの に比べると,両鍛練群間にはほとんど差異を認めなかった.

2 )非鍛練群及び軽鍛練群の血中乳酸量は運動負荷終了直後と15分後において有意に増加した が,両群とも30分後には運動負荷前の水準に回復した.そして軽鍛練群の血中乳酸増加率は,特 に運動負荷終了直後において,非鍛練群及び中等度鍛練群のものに比べて著しく小さかっT:・

以上の結果から,両鍛練群の血糖減少率及び血中乳酸増加率は非鍛練群のものより著しく小さ く,鍛練によって抑制されることがわかっT=.

なお,本実験に当たり専攻学生の協力を得た.ここに深く謝意を表する・

ia^^^m:<>

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参照

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