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マウスの血液性状に及ぼす鍛錬の影響 第14報 発情 期マウスの激鍛錬群と非鍛錬群の激運動負荷終了後 における血糖量及び血中乳酸量の変動
著者 中牟田 正幸, 中谷 昭
雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学
巻 36
号 2
ページ 39‑46
発行年 1987‑11‑25
その他のタイトル Effects of physical Training on Blood
properties in Mice Part 14. Changes in blood sugar and blood lactate concentrations in young male mice after termination of exercise load in exhaustively trained and untrained groups
URL http://hdl.handle.net/10105/2059
奈良教育大学紀要第36巻 第2SJ‑ (fl撫)昭和62年
Bull. Nara Univ. Educ., Vol.36, No.2 (Nat.), 1987
マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響
第14報 発育期マウスの激鍛練群と非鍛練群の激運動負荷終 了後における血糖量及び血中乳酸量の変動
中牟田 正 幸・中 谷 昭
(奈良教育大学生理学及び衛生学教室) (昭和62年4月30日受理)
Effects of physical Training on Blood properties in Mice
Part 14. Changes in blood sugar and blood lactate concentrations in young male mice after termination of exercise load in
exhaustively trained and untrained groups
Masayuki Nakamuta and Akira Nakatani
(Laboratory of physiology and Hygiene, Nara University of Education, Nara 630, Japan) (Received April 30, 1987)
Abstract
Experiments were undertaken to investigate changes in blood sugar and blood lactate concentrations after exhaustive exercise load for 10 minutes on the treadmill in both exhaustively trained and untrained groups. In addition, a comparative study of differences of these blood components among exhaustively, moderately and mildly trained groups (two groups were already examined) was made.
Results obtained were as follows.
1 ) In both exhaustively trained and untrained groups, blood sugar concen‑
tration significantly decreased immediately after and 15 minutes after the termination of exercise, but thereafter it recovered to the resting level in 30minutes. Blood sugar concentration in both groups showed the lowest values immediately after the termination of exercise. The rate of decrease in blood sugar was obviously smaller in the exhaustively trained group than in the untrained group immediately after and 15minutes after exercise. On the other hand, the rate of decrease in blood sugar im‑
mediately after exercise was much larger in the exhaustively trained group than in both moderately and mildly trained groups, but it showed no significant difference between the former and the latter 15 mitutes after exercise.
2) In both exhaustively trained and untrained groups, blood lactate concen‑
tration significantly increased immediately after and 15 minutes after the termination of exercise, but thereafter it recovered to the resting level in 30minutes. Blood lac‑
tate concentration in both groups showed the highest values immediately after the
3940 中牟田iL幸 4j谷 昭
termination of exercise.
The rate of increase in blood lactate showed no significant difference between the exhaustively trained and untrained groups immediately after exercise, but it was something larger in the former than in the latter 15minutes after exercise. On the other hand, the rate of increase in blood lactate immediately after exercise was much larger in the exhaustively trained group than in both moderately and mildly trained groups.
緒 昌
各種強度の運動を負荷すると,被験者の血糖量4‑6,9‑12,14‑17,20‑31)や血中乳酸量1‑4.6.7,10‑18,20 31) が運動中,運動後に変動することについては多くの報告がある.しかし,鍛練者と非鍛練者,あ るいは鍛練前後の同一被験者に対し,同一強度の運動を負荷した際,血糖量や血中乳酸量が運動 負荷終了後どのように変動するかについての比較研究3・17,25.29,30,31)は比較的に少なく,殊に鍛練 皮(激度,中等度及び軽度)の違いによる影響についてはほとんど検討されていない.その理由 として,ヒトを対象とする実験では鍛練度を異にした被験者を作出することは実際上容易でない.
ところで,さきに著者らはマウスを用い,週当たり5日の割合で10週間にわたり運動を行っ たいわゆる中等度鍛練群19)及び軽鍛練群20)に対し,同一強度の激運動を10分間負荷した際,血 糖量及び血中乳酸量が運動負荷終了後経時的にどのように変化するかについて報告した.
そこで本研究では,上記と同様の目的をもって,マウスを用い,過当たり5日の割合で10週 間の運動を行ったいわゆる激鍛練群と非鍛練群に対し,同一強度の激運動を10分間負荷した際
の血糖量及び血中乳酸量の変動を検討し,併わせてさきに著者ら19,20)が報告した中等度鍛練群及 び軽鍛練群の結果と比較し,鍛練度の違いによる影響について追求した.
材料と方法
(1)実験動物
実験動物としては, 4遇令の雄マウス(ICR‑JCL系) 650匹を用い,激鍛練群350匹と非鍛 練群300匹に分けた.マウスは1ケージ当たり5匹ずつ収容し,飼料(日本クレアの固型飼料 CE‑2)と水は自由に給与した.
(2)鍛練方法
鍛練に当たっては,動物用トレッドミルを用い,過当たり5日の割合で10週間にわたり激鍛 練を漸増負荷法に従って行った.すなわち,運動開始の第1週目はマウスをトレッドミル上での 走行に馴れさせる意味を含み,その状態をみながら10m/分の速度で10分間の走行を課した.
次いで第2週目は10m/分の速度で10分間,第3週目は13m/分の速度で10分間,第4週目は 15m/分の速度で10分間,第5週目は15m/分の速度で15分間,第6週目は18m/分の速度で 20分間,第7週目は20m/分の速度で20分間,第8週目は22m/分の速度で20分間,第9週 目は m/分の速度で23分間及び第10週目は25m/分の速度で25分間の走行を課した.なお, 第2週目以降の走行は上記の運動負荷後1分毎に1 m/分の速度を増やし, 5分前後でall‑out
もしくはそれに近い状態になるように運動を負荷した.
マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響(第14報) 41
(3)運動負荷方法
激鍛練群及び非鍛練群に対する運動負荷に当たっては,上記の動物用トレッドミルを用い, 10 分間の激運動を行った.すなわち,運動開始の1分目は15m/分の速度,つづいて2‑3分目は 20m/分, 4‑9分目は25m/分及び最終の10分目は30m/分の速度となるような漸増運動を 行った.なお,この種の運動負荷は非鍛練群にとって激度であったが,激鍛練群の生体負担度は 必ずしも大きくなかったように観察された.
(4)採血と試料
採血は激鍛練群及び非鍛練群ともに運動前,運動終了直後, 15分後, 30分後及び60分後の計 5回にわたりマウスの頚動脈を切断して行った.採血後は5‑8匹分の血液をプールして1サン プルとし,遠心分離後血祭を得て試料とした.なお,非凝固剤としてはクエン酸ソーダを用いた.
(5)定量法
定量に当たって,血糖はBlood‑SugaトPerid‑Test (ベ‑リンガー・マン‑イム社製)及び乳 酸はLactate‑UV‑Test(ベーリンガー・マン‑イム社製)を採用し, U‑1080分光光度計(日立 製)を用いて測定した.
結 果
激鍛練群及び非鍛練群の運動負荷終了後における血糖量の変動は図1 (濃度), 2 (指数),ま た乳酸量の変動は図3 (濃度), 4 (指数)に示すとおりである.なお,以下の( )内の数値 は運動前の濃度を100とした場合の運動終了後のものを指数で示したものである.さらに,図1
‑4には,本実験の成績と比較するため,さきに著者らが報告した中等度鍛練群20)及び軽鍛練 群21)の結果についても示した.
(1)血糖量の変動
非鍛練群の血糖量は運動前では176.8 ± 6.3mg/dl (100)であるのに対し,運動終了直後では 136.1 ± 3.0mg/dl (77.1)で最低値を示し, 15分後ではやや増加して142.0 ± 9.7mg/dl (80.3) となり,いずれもが運動前と比べて有意(P< 0.001)に低下したが, 30分後では179.3 ± 9.3mg /dl (101.4)となって運動前の水準に回復した.一方,激鍛練群の血糖量は運動前では151.1 ± 2.4mg/dl (100)であるのに対し,運動終了直後では126.8 ± 8.9 (83.9)で最低値を示し, 15分 後ではやや増加して141.4 ±2.9 (93.6)となり,いずれもが運動前の値に比べて有意(前者はP
< 0.001,後者はP< 0.05)に低下したが, 30分後では149.4±3.5mg/dl (98.9)となって運動 前の水準に回復した.
(2)血中乳酸量の変動
非鍛練群の血中乳酸量は運動前では29.3 ± l.0mg/dl (100)であるのに対し,運動終了直後 では83.8±7.7mg/dl (286.0)で最高値を示し, 15分後では著しく減小して41.7±5.4mg/dl (142.3)となり,いずれもが運動前の値に比べて有意(P< 0.001)に増加したが, 30分後では 27.7 ± 4.4mg/dl (94.5)となって運動前の水準に回復した.一方,激鍛練群の血中乳酸量は運 動前では23.8 ± 1.7mg/dl (100)であるのに対し,運動終了直後では64.7 ± 5.1mg/dl (271.8) で最高値を示し, 15分後では著しく減少して39.4±1.3mg/dl (165.5)となり,いずれもが運 動前の値に比べて有意(P< 0.001)に増加したが, 30分後では24.2±2.5mg/dl (101.7)と
なって運動前の水準に回復した.
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[I P/ 6∈ ] uo ji eJ iu ao uo Q
中牟HIL車・中谷 昭
Fig. 1. Changes in absolute concentration of blood sugar before and after exhaustive exercise load in exhaustively, moderately, mildly trained and untrained groups.
Untrained group, ○ : Exhaustively trained group, □:Moderately trained group, △:
Mildly trained group.
考
Time 【min]
Fig. 2. Changes in relative concentration of blood sugar before and after exhaustive exercise load in exhaustively, moderately, mildly trained and untrained groups
(index after exercise load relative to the
resting concentration). # : Untrained group, ○ : Exhaustively trained group, □ : Moderately trained group, △: Mildly tra‑
ined group.
察
(1)血糖量の変動
栄養として摂駁される糖質は,肝蔵グリコーゲンとして貯蔵され,これが必要に応じてぶどう 糖となって血中‑放出され,筋収縮のエネルギー源となる.一般に軽度の運動は,どのような形
のものであっても,大きな変動をきたさせないが,短時間の激運動を行うと,運動後一過性の高 血糖が現われ,一方長時間の激運動を行うと,運動中や運動後にいきなり低血糖が現われる。こ のことについては,著者ら22)も自転車エルゴメーターを用い, 1分間と10分間の2種類の激運 動を負荷したところ,前者は高血糖及び後者は低血糖の現われることを認めた.この原因は,前 者では短時間の急激な運動を行うことが一つのストレッサーとなって副腎髄質を刺激し,アドレ ナリンの分泌を起こし,このホルモンが肝蔵のグリコーゲンを分解して血液中にぶどう糖を放出 したためであり,一方,後者では長時間の激運動を行うことによって体内の貯蔵グリコーゲンが 消費されて血糖上昇の時期がみられないで,運動後直ちに低血糖が現われたのでないかと考えら
れる。
ところで,運動を負荷した際,血糖量がどのように変動するかについて多くの研究があるが,
特に非鍛練者と鍛練者に対し,同一強度の運動を負荷しての報告は比較的少ない.これらの実験
マウスの血液惟状に及ぼす鍛練の影響(第14報)
Fig. 3. Changes in absolute concentration of Fig. 4. Changes in relative concentration of
blood lactate before and after exhaustiveexercise load in exhaustively, moderately, mildly trained and untrained groups.
Untrained group, ○ : Exhaustively trained group,ロ:Moderately trained group, △:
Mildly trained group.
blood lactate before and after exhaustive exercise load in exhaustively, moderately, mildly trained and untrained groups (index after exercise load, relative to the
resting concentration). # : Untrained group, ○ : Exhaustively trained group, □ : Moderately trained group, △: Mildly tra‑
ined group.
結果を通覧すると,運動を行うことによって血糖量が減少する3,30)増加する25,32)ぁるいは変 わらない29)などの報告があるが,研究者によりまちまちで一定していない.このことについては 運動の種類,強度,時間や鍛練の有無,あるいは鍛練度の違いなどが大きく影響しているものと 考えられる.
そこで,さきに著者らはマウスを用い,非鍛練群と中等度鍛練群20)及び軽鍛練群21)に対し,同 一強度の激運動を10分間負荷したところ,血糖減少率は,特に運動終了直後において,非鍛練 群と両鍛練群の間に有意差があることを報告した.いま,非鍛練群,激鍛練群(本実験),中等 度鍛練群及び軽鍛練群(上記の報告)の運動前後における血糖減少率を比較すると,運動終7直 後ではそれぞれ22.9%, 16.1%, ll.1%及び10.2%,また15分後ではそれぞれ19.7%, 6.4%及 び7.7%の値となり,いずれもが明らかに小さくなったが,軽鍛練群のみは4.3%の値を示し,
この時期で運動前の水準にはぼ回復した.次ぎに,激鍛練群と各群問の血糖減少率を比較すると, 運動終了直後では激鍛練群は非鍛練群よりも6.8%小さく,中等度鍛練群及び軽鍛練群よりもそ れぞれ5.0%, 5.9%大きいが, 15分後では非鍛練群よりも13.3%小さく,中等度鍛練度及び軽 鍛練群よりもそれぞれ1.3%, 2.1%大きく,そして中等度鍛練群と非鍛練群の間にはほとんど差 異を認めなかった.以上の結果から,特に運動終了直後では激鍛練群の血糖減少率は中等度鍛練 群及び軽鍛練群よりも大きいことがわかった.
このように運動を負荷すると,血糖量が減少するのは,筋グリコーゲンがェネルギー源として
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中牟WiR車・中谷 昭
大量消費されるため,運動筋による血中ぶどう糖の取り込み量が増加するのに対し,肝蔵からの 血中へのぶどう糖の補給が迫いっかないことによるものと考えられる.また,各鍛練群の血糖減 少率が非鍛練群よりもかなり小さいのは,鍛練されたラットの肝蔵や筋肉内のグリコーゲンが非 鍛練群に比べて多量含まれている32)という事実からみると,持久性鍛練の過程において獲得した 運動に対する適応効果が大きくなったためではないかと考えられる.しかし,激鍛練群の血糖減 少率が中等度鍛練群や軽鍛練群よりも大きかったのは注目すべきことであり,これは鍛練が一定 限度を超え疲労すると,筋グリコーゲンの大量の減少とともに肝蔵からの血中へのぶどう糖の放 出遅延を起こすため,運動終了直後一時的に血糖がより減少したのでないかと推察される.
(2)血中乳酸の変動
血中乳酸は安静時にも少量含まれているのがふつうであるが,運動を行うと,筋グリコーゲン が分解して乳酸を生成し,これが血液中へ放出されて増加する.一般に短時間の激運動では,無 酸素状態で運動が行われるので,筋肉への酸素の補給が間にあわなくて乳酸の消費が十分にでき なく,筋肉中に多量の乳酸が蓄積し,これが遅れて血液中へでてくるため,血中乳酸が最高濃度
に達するまでの時間を要したのではないか,一方長時間の激運動では,酸素摂取量が十分でなく とも有酸素状態で行われるのでこの遅延出現はみられなくなり,運動直後に血中乳酸が最高濃度 に達し,以後時間の経過とともに減少していくといわれている.このことについては,著者ら21)
も自転車エルゴメーターを用い,上述の血糖の場合と同様に, 1分間と10分間の2種類の激運 動を負荷したところ,前者は運動終了後15分及び後者は運動終了直後に血中乳酸量が最高値に 達することを認めた.
ところで,運動を負荷した際,血中乳酸量がどのように変動するかについて多くの研究がある が,特に非鍛練者と鍛練者に対し,同一強度の運動を負荷しての報告は比較的少ない.これらの 実験成績を通覧すると,運動を行うことによって血中乳酸量が増加する3,4,31)変わらない25)など の報告がある.このことについては,血糖の場合と同様に,運動負荷や鍛練度の違いなどの条件
により,実験成績が一定していない.
そこで,さきに著者らはマウスを用い,非鍛練群と中等度鍛練群19)及び軽鍛練群20)に対し,同 一強度の激運動を10分間負荷したところ,血中乳酸増加率は,特に運動終了直後において,非 鍛練群と両鍛練群の問に有意差があることを報告した.いま,非鍛練群,激鍛練群(本実験), 中等度鍛練群及び軽鍛練群(上記の報告)の運動前後における血中乳酸増加率を比較すると,運 動終了直後ではそれぞれ286.0%, 271.8%, 170.7%及び136.8%,また15分後ではそれぞれ 162.3%, 165.5%, 140.2%及び124.4%の値となり,いずれもが著しく大きくなったが, 30分後 には運動前の水準に回復した.次ぎに,激鍛練群と各群間の血中乳酸増加率を比較すると,運動 終ア直後では激鍛練群は非鍛練群よりも14.2%小さく,中等度鍛練群及び軽鍛練群よりもそれ ぞれ101.1%, 132.9%大きいが, 15分後でも非鍛練群,中等度鍛練群及び軽鍛練群よりもそれ ぞれ23.2%, 25.3%,及び41.1%大きかった.以上の結果から,特に運動終了直後では激鍛練群 の血中乳酸増加率は中等度鍛練群及び軽鍛練群よりも著しく大きいことがわかった.
このように運動を負荷すると,血中乳酸量が増加するのは,筋グリコーゲンがエネルギー源と して利用される際,分解して乳酸を生成し,これが血中へ放出されるからである.そして血中乳 酸は運動強度が増大するとともに増量する.また,各鍛練群の乳酸増加率が非鍛練群よりも小さ いのは,持久性鍛練の過程において酸素摂取能力や耐乳酸性能力が向上し,筋中での乳酸の酸化 が促進されて血中‑の乳酸の放出が少なくなったものと考えられる.このことについては,持久
マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響(第14報) W
的鍛練を行ったラットの筋中乳酸の産生量が非鍛練ラットとの問に差をみないものの,鍛練群で は筋中乳酸の除去が高いため,非鍛練群よりも低濃度となると述べられている3).したがって, 同一運動を負荷した際,乳酸生成量は体力のある者の方が少ないということからして,血中乳酸 量と体力とは密接な関係があると考えられる.しかし,激鍛練群の血中乳酸増加率が中等度鍛練 群及び軽鍛練群よりも著しく大きかったのは注目すべきことである.これは,上述のように,鍛 練による疲労が蓄積したために,あるいは激鍛練終了後1日おいての運動負荷のために,筋中で の乳酸除去能力が低下したのでないかと推察される.要するに,鍛練が一定限度を超えると,運 動終了直後において血中乳酸量は一過性に増加することがわかった.
摘 要
マウスを用い,過当たり5日の割合で10週間にわたり激運動を行ったいわゆる激鍛練群及び 非鍛練群に対し,同一強度の激運動を10分間負荷した際,血糖量及び血中乳酸量が運動負荷終 了後どのように変動するか,また著者らが報告した中等度鍛練群及び軽鍛練群との間にどのよう
な違いがあるかについて比較検討した.その結果は次のとおりである.
1 )激鍛練群及び非鍛練群の血糖量は運動終了直後(最低値)と15分後において有意に減少 するが, 30分後には運動前の水準に回復した.そして激鍛練群の血糖減少率は運動終了直後と 15分後では非鍛練群よりも小さく,一方中等度鍛練群及び軽鍛練群よりも運動終了直後では大
きいが, 15分後ではほとんど変わりがなかった.
2)激鍛練群及び非鍛練群の血中乳酸量は運動終了直後(最高値)と15分後において有意に 増加するが, 30分後には運動前の水準に回復した.そして激鍛練群の血中乳酸増加率は運動終 了直後では非鍛練群とほとんど変わりがないが, 15分後ではいくらか大きく,一方中等度鍛練 群及び軽鍛練群よりも運動終了直後では著しく大きかった.
なお,実験に当たり専攻学生の協力を得た.ここに深く謝意を表する.
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