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著者 中牟田 正幸, 中谷 昭

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響 3. 発育期マ ウスの中等度鍛練直後における血漿中中性脂肪量, 遊離脂肪酸量,総コレステロール量,血糖量,乳酸量 及び非蛋白窒素量の鍛練頻度の違いによる変動

著者 中牟田 正幸, 中谷 昭

雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学

巻 29

号 2

ページ 91‑101

発行年 1980‑11‑25

その他のタイトル Effects of Physical Training on Blood

Properties in Mice 3. Changes in triglycende, free fatty acid, total cholesterol, blood sugar, lactic acid and non‑protein nitrogen levels of plasma immediately after moderate physical training of different frequencies in young male mice

URL http://hdl.handle.net/10105/2417

(2)

マウスの血液性状に及ぼす鍛練の影響

3.発育期マウスの中等度鍛練[It後における血党申中性脂肪量,遊 離脂肪酸量,総コレステロ‑ル墓,血糖量,乳酸量及び非蛋白 窒素童の鍛練頻度の違いによる変動

申牟田正幸・中谷 昭

(奈良教育大学生理学及び衛生学教室) (昭和55年4月30日受理)

Effects of Physical Training on Blood Properties in Mice

3. Changes in tnglycende, free fatty acid, total cholesterol, blood sugar, lactic acid and non‑protein nitrogen levels of plasma immediately after moderate physical training of diHerent fre‑

quencies in young male mice

Masayuki NAKAMUTA and Akira NAKATANI

{Laboratory of Physiology and Hygiene, Nara University of Education, Nara, Japan) (Received April 30, 1980)

Summary

The experiments were undertaken to investigate the changes in triglyc‑

eride, free fatty acid, total cholesterol, blood sugar, lactic acid and non

‑protein nitrogen levels of plasma immediately after the moderate physical training of diHerent frequencies for 10 weeks in mice. Results obtained were as follows.

1) Triglyceride, free fatty acid, total cholesterol and blood sugar levels were significantly lower in both the groups which were trained at the rate of 3 and 5 days per week than in the untrained group.

2) Though there was no significant diHerence in tnglycende and free fatty acid levels between the two groups trained at the rate of 3 and days per week, total cholesterol and blood sugar levels were significantly lower in the group trained at 5 days per week than in the group trained

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(3)

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申年田正幸・中谷 昭

at 3 days per week.

3) As to lactic acid and non‑protein nitrogen levels, there seemed to be no significant difference between the group trained at 3 days per week and the untrained group.

4) Content of the blood components described above have indicated no significant increase or decrease in the group trained at the rate of 1 day per week.

From results mentioned above, it was found that training of 3 days per week is necessary for getting an eHective diHerence in triglyceride, free fatty acid, total cholesterol and blood sugar levels. Also, training of 5 days per week is necessary for getting an effective diHerence in lactic

acid and non‑protein nitrogen levels.

緒     昌

鍛練の血液諸成分に及ぼす影響に関しては,第1報26)及び第2報28)で報告したように,ヒト をはじめラットやマウスにおいても多くの研究1,6‑10,12 21,30‑34,36‑38)があるが,その実験成 績は鍛練の種目,強度,期間,頻度及びその他の条件によって,減少するもの,増加するもの, あるいはほとんど変わらないものなど必ずしも一致していない.著者ら23‑28)はマウスを対象と

し,鍛練処方として鍛練強度が中等度,鍛練期間が10週間及び鍛練頻度が週当たり5日の条件の もとに鍛練を行ったところ,その終了時点において,総血祭蛋白量は鍛練による影響を認めなか ったが,血祭申中性脂肪量,遊離脂肪酸星,総コレステロール童,血糖量及び乳酸量は有意に減 少し,これに反して非蛋白窒素量は増加することを報告した.

ところで,一般に鍛練処方の条件としては,鍛練の強度,期間及び頻度の三条件があげられる.

したがって,鍛練処方としては,これらの三条件のうち一つを対象とするか,あるいはその組み 合わせをとりあげて行われることになる.従来から,鍛練処方の三条件と呼吸一循環機能の関係

については,多くの研究者5,17,18,31,33,34,38)によって検討が行われてきたが,血液諸成分が 鍛練処方の条件によってどのように変動するかについては,著者らの知る限り,ほとんど報告が

ない.

本研究では,マウスを対象とし,鍛練の強度(中等皮)と期間(10週間)を規制した場合,顔 練頻度(週当たり1日, 3日及び5日)の違いによって,血祭「囲1性脂肪量,遊離脂肪酸量,総 コレステロール量,血糖量,乳酸量及び非蛋白窒素壷がどのように変動するかを比較検討し,顔 練頻度の影響を追究した.

材料と 方法 1)供試動物

供試動物として4週令の雄マウス(ICR‑JCL系) 300匹を用い,非鍛練群と中等度鍛練群(過 当たりの日数により1日群, 3日群及び5日群)の4群に分けた.各群とも実験期間中は同一条

(4)

件のもとで飼育した.なお,飼料(日本クレアの固型飼料CE‑2)と水は自由に給与した.

2)運動負荷法

マウスに対する運動負荷は動物用treadmillを用い,週当たりの日数を1日, 3日及び5日の 割合で10週間にわたり中等度の運動(各週における最大走行能力の60‑70%程度)を負荷した.

すなわち,第1報と同様に,運動開始の第1週目はtreadmill上での走行に馴れさせるため,マ ウスの状態をみながら10m/分の速度で10分間(100m)の走行を行った.その後,走行の速度と 時間をしだいに増加し,第2週目は10m/分で15分間(150m) ,第3週目は15m/分で15分間(

225m) ,第4週目は15m/分で20分間(300m) ,第5週目は20m/分で20分間(400m),ついで 第6週目からは20m/分と速度を一定にし,週毎に走行時間を2分間延長して,第10週目には走 行時間が30分間(600m)になるようにした.したがって, 10週間の全走行距離は18,875mとなっ

tz.

3)採血と試料

採血は各鍛練群とも10週間の鍛練が終了する時点において行った.血液はマウスの頚動脈を切 断し, 6‑8匹分の血液が1sampleになるよう採取した.これらの血液は遠心分離し血祭を得 て試料とした.なお,非鍛練群のマウスについても同時に採血した.

4)定 量 法

各血液成分の定嶺法として,第2報28)と同様に,中性脂肪室は内藤らの方法,遊離脂肪酸量は Duncombe法,総コレステロール畳は柳沢法,血糖量はBlood Sugar‑GOD‑Perid‑Test法,礼 酸量はLactate‑UV‑Test法及び非蛋白窒素畳はKjeldahl‑Nessler法を採用した.

結果 と 考察

1)中性脂肪量の変動

非鍛練群及び各鍛練群の中性脂肪畳は表1及び図1に示すとおりである.以下, ( )内の数字 は非鍛練酢の絶対損を100とした場合の各鍛練群の指数を示すものである.表及び図に示すよう に,中性脂肪量は非鍛練群では258.5±5.0mg/dlであるのに対し,過当たり1日の鍛練群では 253.8±8.2mg/dl (98‑2),遇当たり3日の鍛練群では233.5±5.5mg/dl (90‑3)及び過当たり5

Table 1. Changes in triglyceride level of plasma immediately after 10 weeks moderate physical training at the rate of 1, 3 and 5 days per week (mg!dl)

Group    1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  M±SD Index

D 9 U I B J   T

Untrained 1 day/wk 3 days/wk 5 days/wk

in t‑‑  in in

L O   I D   c q   N IN  <N W  (N O   O   L O   W I D   I O   N   M

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CM  <N  <N CvJ

t o   o   i

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*     N

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258.5±5.0 100.0 253.8±8.2  98.2

***

233.5±5.5  90.3

***

229.2±4.5  88.7

P<0.001

(5)

申牟田正幸・中谷 昭

A B C D Fig. 1. Changes in triglyceride level (index)

of plasma due to the frequency of moderate physical training

A : Untrained group

B : Trained group (1 day/wk) C : Trained group (3 days/wk) D : Trained group (5 days/wk)

日の鍛練群では229.2±4.5mg/dl (88.7)の 値となり,週当たり1日の鍛練群は非鍛練群

と比較してほとんど変わりないが,週当たり 3日と5日の両鍛練群では有意(いずれもが P<0.001)に減少し,鍛練によって明らかに 変動した.しかし,週当たり3日と5日の両 鍛練群間では有意差がなく,鍛練頻度の違い による影響を認めなかった.

鍛練による中性脂肪量の影饗については, Holloszy et al.13), Siegel et al.37),伊藤

ら15,16)及び後藤らe,io)が中高年肥満者, あるいは鍛練者と非鍛練者において調べたと

ころ,鍛練によって中性脂肪壇が減少するこ とを報告している.しかし,後藤8)は中高年 の非鍛練者と鍛練者を調べたところ,両者間 には有意差がなかったが,鍛練者がいくらか 減少したと報告している.他方, Papadopou‑

los et al.30)及びKObayashi et al.20>はラ ットにおいて鍛練により中性脂肪量が減少す ることを報告している.著者ら26,28)もマウスを対象とし,遇当たり5日の割合で10週間の中等 度鍛練を行ったところ,その終了時点において,中性脂肪量が有意に減少することを報告した.

以上の結果からして,中性脂肪鼻が鍛練によって減少するのは,組織への中性脂肪の取り込み の増大と組織からの中性脂肪の放出の減少などが起因するのでないかといわれている10)さら に, Borensztazm et al.3)及びMorganet al.22)によると,ラットに対し鍛練を行ったところ, 組織への中性脂肪星の取り込みが増大するのは, lipoprotein lipase 活性の増加によるものであ

り,また組織からの中性脂肪墨の放出が減少するのは, catecholamineなどのホルモンに対する 感受性の減少によるものであると報告している.これらの事実からして,著者らは血中中性脂肪 量が鍛練によって減少するのでないかと推察した.

ところで,本実験における過当たり3日の鍛練群の中性脂肪立は非鍛練群のものと比較して有 意に減少するが,過当たり5日の鍛練群との間には有意差がなく,鍛練頻度の違いによる影響を 認めなかった.したがって,中性脂肪量の減少に対する鍛練の効果としては,鍛練強度が中等度 及び鍛練期間が10週間の場合,週当たり3日以上の鍛練頻度を必要とすることが分った.

2)遊離脂肪酸量の変動

非鍛練群及び各鍛練群の遊離脂肪酸量は表2及び図2に示すとおりである.表及び図に示すよ うに,遊離脂肪酸量は非鍛練群では349.6±21.3/ムEq/dlであるのに対し,週当たり1日の鍛練群 では347.5±18.9/*Eq/dl (99.3) ,週当たり3日の鍛練群では314.2±14.4/*Eq/dl (89.7)及び 週当たり5日の鍛練群では306.0±20.5/↓Eq/dl (87.5)の値となり,遇当たり1日の鍛練群は非 鍛練群と比較してほとんど変わりないが,週当たり3日と5日の繭鍛練群では有意(いずれもが P<0.001)に減少し,鍛練によって明らかに変動した.しかし,過当たり3日と5日の両鍛練群

(6)

Table 2. Changes in free fatty acid level of plasma immediately after 10 weeks moderate physical training at the rate of 1, 3 and 5 days per week (〝Eq/dl)

Group    1  2  3  4  5  6  7  8  9 10  M±SD Index

pa ui e. il

Untrained 1 day/wk 3 days/wk 5 days!wk

0 0     ( 3 5     0    

‑ 3

<

o   o   e n   i n C O   C O   C O   I N

323  347  377  354  377

7  5  3

L n ^ ^ 蝣 * i ^ ^ K * 均

3     2     3 0     0     0 5     1     1 S

^ H S O     凹 n 0

 

0  

0 7     1     1 凹 n   K f

^

^ E f . 1     5     0 3     8     0 3     2     3 3     6     8 5     1     0

凹e^^H&j  凹n

A B C D Fig. 2. Changes in free fatty acid level (index)

of plasma due to the frequency of moderate physical training

A : Untrained group

B : Trained group (1 day/wk) C : Trained group (3 days/wk) D : Trained group (5 days/wk)

やマウスにおいても,研究者により減少するもの,

・ ォ

*       O   C O   O

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‑     m   n   o C O   C O   C O   C O

339 347 349.6±21.3 100.0 347 354 347.5±18.9 99.3

ZXTi

334  316 314.2±14.4  89.7

***

339 308 306.0±20.5 87.5

*** P<0.001

間では有意差がなく,鍛練頻度の違いによる 影班を認めなかった.

鍛練による遊離脂肪暦貴の影響について は,後藤ら8,9,10)及乙。伊藤ら15,16)が中 高年肥満者,あるいは鍛練者と非鍛練者にお いて調べたところ,鍛練によって遊離脂肪酸 量が減少することを報告している.しかし, 伊藤ら1R,16)は非鍛練者に対して一定期間の 鍛練を行ったところ,鍛練のl影繁がなかった と報菖している.他方, Papadopoulos et al.30'及びKObayashi et al.2 はラットに おいて鍛練によりいくらか減少の傾向を示す ものの有意差がなかったと報菖している.著 者ら2fi,28)もマウスを対象とし,過当たり5

日の割合で10週間のFil等度鍛練を行ったとこ ろ,その終了時点において,遊離脂肪酸蛍が 有意に減少することを報告した.

以上の結果からして,鍛練による遊離脂肪 酸鼻の影教については,ヒトをはじめラット あるいはほとんど変わらないものなど必ずし も一致していない.後藤ら10)は,鍛練によって遊離脂肪酸が減少するのは,脂肪組織における遊 離脂肪酸の放出の減少とその組織における遊離脂肪酸の取り込みの増大などが起因するのでない かと述べている.また, Shepherdetal.3B)はラットにおいて鍛練により脂肪細胞中のadenylate cyclaseの生産が減少すること,またOwens et al.29)もラットにおいて鍛練により fat cell volumeが減少することなどを報告している.以上の事実からして,著者らは遊離脂肪酸量が鍛 練によって減少するのでないかと推察した.

ところで,本実験における過当たり3日の鍛練群の遊離脂肪酸最は,中性脂肪の場合と同様に, 非鍛練群のものと比較して有意に減少するが,週当たり5日の鍛練群との間には有意差がなく, 鍛練頻度の違いによる影響を認めなかった.したがって,遊離脂肪酸最の減少に対する鍛練の効 果としては,鍛練強度が中等度及び鍛練期間が10週間の場合,過当たり3日以上の鍛練頻度を必

(7)

96 中牟田正幸・中谷 昭 要とすることが分った.

3)総コレステロール量の変動

非鍛練群及び各鍛練群の総コレステロール産は表3及び図3に示すとおりである.表及び図に

Table 3. Changes in total cholesterol level of plasma immediately after 10 weeks moderate physical training at the rate of 1, 3 and 5 days per week (mg/dl)

Group    1  2  3  4  5  6  7  8  9 10  M工SD Index

p a n i E . i T

Untrained 1 day/wk 3 days/wk 5 days/wk

l o   i n   t

^     c o

in  ‑<s<  <m co

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‑ H   H o   o   i n   i n C O   L O   C O    

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    C O   C O   C O

r‑4   r‑H t‑I r‑t

A B C D Fig. 3. Changes in total cholesterol level (index)

of plasma due to the frequency of moderate physical training

A : Uiltrained group

B : Trained group (1 day/wk) C : Trained group (3 days/wk) D : Trained group (5 days/wk)

151.0±7.9 100.0 148.1±6.9  98.1

**

133.9±4.8  1.7

SIS:

127.3±4.4  84.3

** P<0.01 P<0.001 示すように,総コレステロ‑ル量は非鍛練群 では151.0±7.9mg/dlであるのに対し,過 当T=り1日の鍛練群では148.1±6.9mg/dl (98.1) ,週当たり3日の鍛練群では133.9±

4.8mg/dl (88.7)及び週当たり5日の鍛練 群では127.3±4.4mg/dl (84.3)の値となり, 週当たり1日の鍛練群は非鍛練群と比較して

ほとんど変わりないが,週当たり3日と5日 の両鍛練群では有意(前者はP<0.01,後者 はP<0.001)に減少し,鍛練によって明ら かに変動した.さらに,週当たり3日と5日 の両鍛練群間には有意差(P<0.01)があり, 鍛練頻度が増大するほど総コレステロール竜

の減少を認めた.

鍛練による総コレステロール量の影響につ いては Rochelle32', Kilbom et al.19), Siegel et al.37>及び芝山ら38)は中高年者,

あるいは鍛練者と非鍛練者において調べたと ころ,鍛練によって総コレステロール量が有 意に減少すると述べ,これに反してHolloszy at al.13), Goode et al.7)及び後藤ら1,9,10)は申 高年者において鍛練による迫撃;Iがなかったと報告している.他方, Papadopoulos et al.30>,育 江1)及びKObayashi et al.20> はラットにおいて調べたところ,鍛練によって総コレステロ‑ル 立が有意に減少すると述べ,これに反して広田ら12)はラットやマウスにおいて鍛練による影響が なかったと報告している.著者ら26,28)もマウスを対象とし,週当たり5日の割合で10週間の中 等度鍛練を行ったところ,その終了時点において.総コレステロ‑ル夏が有意に減少することを

(8)

報告した.

以上の結果からして,鍛練による総コレステロール量の影智については,ヒトをはじめラット やマウスにおいても,研究者により減少するもの,あるいはほとんど変わらないものなど必ずし

も一致していない.後藤ら10)は上述の結果の違いについて,鍛練処方の条件,被検者が一般人か 肥満者,あるいは高胆血者か,さらに総コレステロールがエネルギー源としてどのように利用さ れるかなどについて間超を提起した.総コレステロ‑ル童の減少する機序については,現在のと ころ,十分に解明されていないが,今後,鍛練処方の条件を考慮して研究を進めていく必要があ ると考える.

ところで,本実験における週当たり3日の鍛練群の総コレステロール畳は非鍛練群のものと比 較して有意に減少し,また過当たり5日の鍛練群との間においても有意差があり,鍛練頻度が増 大するほど総コレステロール室の減少を認めた.したがって,総コレステロール壇の減少に対す る鍛練の効果としては,鍛練頻度が中等度及び鍛練期間が10週間の場合,過当たり3日以上の鍛 練頻度を必要とすることが分った.

4)血糖量の変動

非鍛練群及び各鍛練群の血糖量は表4及び図4に示すとおりである.表及び図に示すように, 血糖量は非鍛練群では179.5±6.9mg/dl であるのに対し,週当たり1日の鍛練群では181.3±

5.1mg/dl (101‑0) ,過当たり3日の鍛練群では164.2±5.8mg/dl (91.5)及び週当たり5日の 鍛練群では152.2±4.3mg/dl (84.8)の値となり,週当たり1日の鍛練群は非鍛練群と比較して ほとんど変わりないが,週当たり3日と5日の雨鍛練群では有意(前者は P<0.01,後者は P<

0.001)に減少し,鍛練によって明らかに変動した.さらに,遇当たり3日と5日の両鍛練群間に は有意差(P<0.01)があり,上述の総コレステロール嶺の場合と同様に,鍛練頻度が増大するほ ど血糖量の減少を認めた.

鍛練による血糖基の影聖射こついては LeBlanc et al.21)は鍛練者と非鍛練者において調べたと ころ,鍛練によって血糖量が有意に減少すると述べ,これに反して伊藤ら15)芝山ら36)及び後 藤ら8,9,10)は鍛練による影響がなかったと報告している.他方,有江1)及び KObayashi et al.20)はラットにおいて調べたところ,鍛練によって血糖量が有意に減少すると述べ,これに反し てGalbo et al.6>は鍛練による影響がなかったと報告している.著者ら20,28)もマウスを対象と

し,週当たり5日の割合で10週間の中等度鍛練を行ったところ,その終了時点において,血糖撮

Table 4. Changes in blood sugar level of plasma immediately after 10 weeks moderate physical training at the rate of 1,3 and 5 days per week (mg/dl)

Group    1  2   3   4   5   6   7   8   9  10  M±SD Index

p a u i E J T

Untrained  176.4 185.6 188.0 165.2 172.8 186.0 182.0 176.1 1day/wk 184.3 188.3 184.3 168.2 179.2 182.3 182.3 180.6 3days/wk 165.2 158.6 172.8 168.5 162.0 154.0 170.5 164.1 5days/wk 147.2 155.6 159.6 149.6 151.6 156.3 145.6 153.4

176.7 186.0 179.5±6.9 100.0 184.3 178.7 181.3±5.1 101.0

**

160.0 166.7 164.2±5.8 91.5

ill;

155.1 147.8 152.2二4.3 84.8

** P<0.01 P<0.001

(9)

申牟田正幸・中谷 昭

A B C D Fig. 4. Changes in blood sugar level (index)

of plasma due to the frequency of moderate physical training

A : Untrained group

B : Trained group (1 day/wk) C : Trained group (3 days/wk) D : Trained group (5 days/wk)

が有意に減少することを報告した.

以上の結果からして,鍛練による血糖量の 影堅封こついては,ヒトをはじめラットやマウ

スにおいても,研究者により減少するもの, あるいはほとんど変わらないものなど必ずし も一致していない.血糖量の減少する機序に ついては,現在のところ,十分に解明されて いないが,今後総コレステロール量の場合と 同様に,鍛練処方の条件を考慮して研究を進 めていく必要があると考える.

ところで,本実験における過当たり3日の 鍛練群の血糖量は非鍛練群のものと比較して 有意に減少し,さらに週当たり5日の鍛練群 との問においても有意差があり,鍛練頻度が 増大するほど血糖量の減少を認めた.したが って,血糖皐の減少に対する鍛練の効果とし ては,鍛練強度が中等度及び鍛練期間が10週 間の場合,上述の中性脂肪適,遊離脂肪酸量 及び総コレステロール量と同様に,過当たり 3日以上の鍛練頻度を必要とすることが分った.

5)乳酸量の変動

非鍛練群及び各鍛練群の乳酸量は表5及び図5に示すとおりである.表及び図に示すように, 乳酸量は非鍛練群では 29.4±3.2mg/dl であるのに対し,過当たり1日の鍛練群では29.7±2.0 mg/dl (101‑0) ,過当たり3日の鍛練群では30.0±1.8mg/dl (102.0)及び過当たり5日の鍛 練群では24.2±1.8mg/dl (82‑3)の値となり,過当たり1日と3日の両鍛練群は非鍛練群と比 較してほとんど変わりないが,週当たり5日の鍛練群では有意(P<0.001)に減少し,鍛練によ って明らかに変動した.

鍛練による乳酸量の影妻劉こついては,伊藤ら15)が非鍛練者と鍛練者について,また伊藤ら15) 及び後藤ら10)が非鍛練者に対し鍛練を行ったところ,いずれの場合においても有意差がないこと

Table 5. Changes in lactic acid level of plasma immediately after 10 weeks moderate physical training at the rate of 1,3 and 5 days per week (mg/dl)

Group   1  2   3  4   5   6   7   8   9  10  M±SD Index

p a u i e . i T

Untrained   32.8 28.3 28.6 28.3 27.6 29.3 27.6 37.7 27.4 26.4 29.4±3.2 100.0 1day/wk  31.3 27.6 29.8 32.8 29.3 27.6 29.8 32.8 28.3 27.6 29.7±2.0 101,0 3days/wk 27.1 30.8 29.3 32.8 27.4 29.8 30.8 29.8 29.3 32.8 30.0±1.8 102.0

*詛*

5days/wk 23.3 23.8 23.3 27.1 27.1 23.8 20.7 23.8 25.9 23.8 24.2±1.8 82.3

P<0.001

(10)

A B C D Fig. 5. Changes in lactic acid level (index)

of plasma due to the frequency of moderate physical training

A : Untrained group

B : Trained group (1 day/wk) C : Trained group (3 days/wk) D : Trained group (5 days/wk)

を報告している.他方 Galbo et al.6>もラ ットにおいて鍛練の影響をみたところ,乳酸 量はいくらか減少の傾向を示すものの有意差 がなかったことを報告している.これに反し て,著者ら26,28)はマウスを対象とし,週当 たり5日の割合で10週間の中等度鍛練を行っ たところ,その終了時点において,乳酸韻が 鍛練によって有意に減少することを報告し た.その際,著者らは週当たり5日の頻度で 鍛練を行うと,鍛練嶺が増大し,その結果, 筋組織における乳酸が無酸素的解糖により生 産され,その乳酸をピルビン酸に変える乳酸 脱水素酵素, TCA回路ではたらくクエン酸 合成酵素及びコハク酸脱水素酵素などの活性 が増加するためでないかと推察した2,4,ll)

ところで,本実験における過当たり3日及 び1日の鍛練群の乳酸蛍は非鍛練群のものと 比較してほとんど変わりなく,鍛練による影 響を認めなかった.したがって,乳酸量の滅 少に対する鍛練の効果としては,鍛練強度が中等度及び鍛練期間が10週間の場合,遇当たり5日 以上の鍛練頻度を必要とすることが分った.

6)非蛋白窒素量の変動

非鍛練群及び各鍛練群の非蛋白窒素最は表6及び図6に示すとおりである.表及び図に示すよ うに,非蛋白窒素鼻は非鍛練群では48.9±3.8mg/dlであるのに対し,週当たり1日の鍛練群で は 49.1±4.4mg/dl (100.4) ,適当fz [) 3日の鍛練群では 50.7±4.0mg/dl (103.7)及び週当 たり5日の鍛練群では57.5±4.4mg/dl (117.6)の値となり,過当たり1日と3日の両鍛練群は 非鍛練群と比較してほとんど変わりないが,週当たり5日の鍛練群では有意(P<0.001)に増加

し,鍛練によって明らかに変動した.

鍛練による非蛋白窒素鼻の影響再こついては,著者らの知る限り,ほとんど報哲がない.著者

Table 6. Changes in non‑protein nitrogen level of plasma immediately after 10 weeks moderate physical training at the rate of 1,3 and 5 days per week (mg/dl)

Group    1  2   3   4   5   6   7   8   9  10  M±SD Index

p a i l l B J T

Untrained   44.0 44.0 46.0 44.0 52.0 50.0 52.0 53.0 54.0 50.0 48.9±3.8 100.0 lday/wk 52.0 51.0 51.0 42.0 52.0 58.0 45.0 46.5 49.5 44.0 49.1±4.4 100.4 3days!wk 54.5 47.0 53.4 49.1 51.4 59.2 45.0 49.5 51.4 46.5 50.7±4.0 103.7

*詛*

5days/wk 56.0 66.0 62.0 51.5 51.5 58.0 57.0 62.0 55.0 56.0 57.5±4.4 117.6

*** P<0.001

(11)

100 申年田正幸・中谷 昭

A B C D Fijr. 6. Changes in non‑protein nitrogen level

(index) of plasma due to the frequency of moderate physical training

A : Untrained group

B : Trained group (1 day/wk) C : Trained group (3 days!wk) D : Trained group (5 days/wk)

ら26,28)はマウスを対象とし,過当たり5日 の割合で10週間の中等度鍛練を行ったとこ ろ,その終了時点において,非蛋白窒素量が 有意に減少することを報告した.その際,普

者らは過当たり5日の頻度で鍛練を行うと, 鍛練量が増大し,その結果,蛋白質の異化作

用が促進され,非蛋白窒素が組織内に多長に 蓄積し,ついで血中‑移行するものの腎臓機 能の低下により体外へ十分排滑されなかった ためでないかと推察した.

ところで,本実験における週当たり3日及 び1日の鍛練群の非蛋白窒素量は非鍛練群の ものと比較してほとんど変わりなく,鍛練の 影響を認めなかった.したがって,乳酸量の 場合と同様に,非蚕白窒素童の増加に対する 鍛練の効果としては,鍛練強度がrll等度及び 鍛練期間が10週間の場合,週当たり5日以上

の鍛練頻度を必要とすることが分った.

摘     要

発育期マウスを供試し, 10週間の中等度鍛練を課した場合,その終了時点において,血菜中中 性脂肪壇,遊離脂肪酸蓮,総コレステロール量,血糖嶺,乳酸竜及び非蛋白窒素量が鍛練頻度の 違いによって,どのように変動するかを知るため,本実験を行った.その結果は次のとおりであ

る.

1)遇当たり3日と5日の鍛練群における中性脂肪量,遊離脂肪酸量,総コレステロール量及 び血糖量は非鍛練群のものより有意に減少した.

2)週当たり3日と5日の鍛練離間において,中性脂肪童及び遊離脂肪酸量は有意差がなかっ たが,総コレステロール寅及び血糖量は有意差があり,鍛練頻度が増すにつれて減少した.

3)週当たり3日の鍛練群において,乳酸量及び非蛋白窒素壷は非鍛練群のものと比較して有 意差がなかった.

4)過当たり1日の鍛練群において,上述の血液成分量は非鍛練群のものと比較して有意差が なかった.

以上の結果から,鍛練強度が中等度及び鍛練期間が10週間の場合,中性脂肪量,遊離月旨肪酸量, 総コレステロール壷及び血糖量の減少は過当たり3日以上の鍛練日数杏,また乳酸良の減少及び 非蛋白窒素量の増加は過当たり5日以上の鍛練日数を必要とすることが示唆された.

本研究の要旨は日本体育学会第28回大会において発表した.なお,実験にあたり多数の専攻学 生の協力を得た.ここに深く謝意を表する.

(12)

文     献 1)有江醇子.熊大体医研報告. 22(2), 83‑93, 1971.

2) Baldwin, K. M. et al. J. Appl. Physiol. 42(2), 267‑272, 1977.

3) Borensztajin, J. et al. Am. J. Physiol. 229(2), 394‑397, 1975.

4) Dohm, G. L. et al. J. Appl. Physiol. 42(5), 753‑757, 1977.

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6) Galbo, H. E. et al. J. Appl. Physiol. 43(6), 953‑958, 1977.

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9)後藤芳雄・捉 達也.体力研究. 28, 17‑25, 1974.

10)後藤芳雄ら.体力研究. 39, 38‑55, 1978.

ll) Henriksson, J. and J. S. Reitman. Acta Physiol. Scand. 99, 9ト97, 1974.

12)広田公一ら.日本体育学会 第28回大会号. 1977.

13) Holloszy, J. 0. et al. Am. J. Cardiol. 14, 753‑760, 1964.

14)伊藤 朗ら.日本体育学会 第24回大会号. 1973.

15)伊藤 朗ら.体育科学. 1. 4ト57, 1973.

16)伊藤 朗ら.体育科学. 2, 248‑258, 1974.

17)猪飼遺夫ら.体育学研究. 7, 99‑106, 1963.

18) Jackson, J. H. et al. Res. Quart. 39, 295‑300, 1968.

19) Kilbom. A. et al. J. Clin. Lab. Invest. 24, 315‑322, 1969.

20) Kobayashi, K. et al. Jap. J. Phys. Fitness and Sports Med. 24(3), 1975.

21) LeBlanc, J. et al. J. Appl. Physiol. 42(2), 166‑173, 1977.

22) Morgan, T. E. et al.

23)申年田正幸・中谷 昭.

24)申年田正幸・中谷 昭.

25)中牟田正幸・中谷 昭.

26)申年田正幸・中谷 昭.

27)中年凹正幸・中谷 昭.

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29) Owens, J. L. et al.

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31) Pollock, M. L. et al. Med. Sci. Sport. 1. 70‑74, 1969.

32) Rochelle, R. H. J. Sports Med. and Physical fitness. 1, 63‑70, 1961.

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34) Shephard, R. J. Int. Z. angrew. Physiol. einschl, Arbeits Physiol. 26, 272‑278, 1968 35) Shepherd, R. E. et al. J. Appl. Physiol. 42(6), 884‑888, 1977,

36)芝山秀太郎・江橋 博. 日本生理学雑誌. 39(8,9), 1977.

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Table 2. Changes in free fatty acid level of plasma immediately after 10 weeks moderate physical training at the rate of 1, 3 and 5 days per week (〝Eq/dl) Group    1  2  3  4  5  6  7  8  9 10  M±SD Index p a u i e

参照

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