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嘉悦泰博 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成19年10月

嘉悦泰博 学位論文審査要旨

主 査 井 藤 久 雄 副主査 重 政 千 秋 同 久 留 一 郎

主論文

Role of cysteinyl leukotrienes in the proliferation and the migration of murine vascular smooth muscle cells

in vivo

and

in vitro

(マウス血管平滑筋細胞増殖・遊走の

in vivo

in vitro

におけるシステイニルロイコト リエンの役割)

(著者:嘉悦泰博、山本康孝、杉原志伸、松浦 隆、井川 剛、松原剛一、井川 修、重 政千秋、久留一郎)

平成19年 Cardiovascular Research 掲載予定

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学 位 論 文 要 旨

Role of cysteinyl leukotrienes in the proliferation and the migration of murine vascular smooth muscle cells

in vivo

and

in vitro

(マウス血管平滑筋細胞増殖・遊走のin vivo、in vitroにおけるシステイニルロ イコトリエンの役割)

動脈硬化の進展には、炎症性サイトカインなどが重要な役割を果たしていることが知ら れている。システイニルロイコトリエン(Cys-LTs: LTC4、LTD4、LTE4)は、アラキドン酸か ら5-リポキシゲナーゼ(5-LO)を介して産生される炎症前駆物質である。5-LO系と動脈硬化 の関与については近年報告がされてきているが、Cys-LTsと血管リモデリングの進展につい ての関係知られていない。また、血管リモデリングの進展に関しては血管平滑筋細胞増殖・

遊走が大きな役割を果たしていることが知られている。

本研究ではマウス大腿動脈ワイヤー傷害モデルを用い、Cys-LTsと血管平滑筋細胞増 殖・遊走についての検討を行なった。

方 法

実験には8週齡の野生型マウス(C57BL/6J)を用いた。マウスの大腿動脈をヒト冠動脈カテ ーテル治療用のワイヤーで傷害し、4週間後の血管平滑筋の新生内膜形成を評価した。免疫 組織化学染色、RT-PCR法を用い、Cys-LTsのreceptorであるCys-LT1、Cys-LT2の発現を検討 した。ワイヤー傷害後、Cys-LT receptor antagonistであるMontelukastを体内埋め込み式 浸透圧ポンプを用いて投与した群ならびにコントロール群の両群間でワイヤー傷害4週間 後に大腿動脈の新生内膜の増殖を比較した(I/M ratio: 内膜/中膜面積比)。

8週齡の野生型マウスの大動脈より採取した平滑筋細胞を培養し、Cys-LTsにより48時 間培養刺激し、平滑筋細胞の増加数をコントロール群と比較した。さらにMontelukastを培 養上清に加え、Cys-LTsによる平滑筋細胞増殖刺激に対する影響を検討した。Boyden Chamberを用い、Cys-LTsによる6時間の刺激を行い、血管平滑筋細胞の遊走に対する影響、

Montelukast添加の効果さらにCys-LTsによる平滑筋細胞遊走刺激に対する影響を検討した。

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3 結 果

ワイヤー傷害4週後のマウス大腿動脈新生内膜において、免疫組織染色にてCys-LTsの receptorであるCys-LT1、Cys-LT2発現が見いだされた。RT-PCRにてワイヤー傷害1週後、2 週後、4週後のマウス大腿動脈においてCys-LT1、Cys-LT2が発現していた。Montelukast投与 群においてマウス大腿動脈における新生内膜形成はコントロール群に比較して有意に抑制 された。

LTD4投与によりマウス血管平滑筋細胞増殖は促進された。LTC4、LTE4について増殖刺激 作用は認められなかった。Montelukastを加えることによりLTD4による平滑筋細胞増殖は抑 制された。Cys-LTs (LTD4、LTC4、LTE4)投与によりマウス血管平滑筋細胞遊走は促進された。

Montelukast添加によりCys-LTsによる平滑筋細胞遊走は抑制された。

考 察

MontelukastはCys-LT receptorのantagonistであり、

in vivo

の系においてマウスの大腿 動脈新生内膜形成を阻害することが示された。マウス大腿動脈の新生内膜においてCys-LT1、 Cys-LT2が発現していることから、Montelukastの作用は新生内膜の血管平滑筋細胞におけ るCys-LT receptorを介していることが示唆された。

In vitro

の系においてはLTD4はマウス 血管平滑筋細胞の増殖刺激作用を示し、Cys-LTsはマウス血管平滑筋細胞の遊走刺激作用を もつことが確認された。それぞれMontelukast投与により抑制されたことにより、これらの 作用がMontelukastの

in vivo

における新生内膜増殖の抑制作用の機序の一つであることが 示唆された。

結 論

MontelukastはCys-LT receptorを阻害することにより、Cys-LTsの血管平滑筋細胞増殖・

刺激作用を阻害し、新生内膜形成を抑制することが明らかとなり、抗動脈硬化薬としての Cys-LT receptor antagonistの有用性が示唆された。

参照

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