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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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全文

(1)

ち ょ う

氏     名

学 位 の 種 類 博 士(医学)

学 位 記 番 号 富医薬博乙第 42 号 学位授与年月日 平成 25 年 6 月 26 日

学位授与の要件 富山大学学位規則第 3 条第 4 項該当

学 位 論 文 題 目 Pharmacological study of ASP2151 (amenamevir), helicase-primase inhibitor possessing antiviral activity against varicella-zoster virus and herpes simplex virus type 1 and 2

(水痘・帯状疱疹ウイルス,単純疱疹ウイルス 1 型及び 2 型に対す る 抗 ウ イ ル ス 活 性 を 示 す ヘ リ カ ー ゼ ・ プ ラ イ マ ー ゼ 阻 害 剤 ASP2151(amenamevir) の薬理学的研究)

論 文 審 査 委 員

(主査) 教 授 山 本 善 裕

(副査) 教 授 服 部 裕 一

(副査) 教 授 布 施 秀 樹

(副査) 教 授 清 水 忠 道

(紹介教員) 教 授 白 木 公 康

(2)

論 文 内 容 の 要 旨

〔目的〕

ASP2151(amenamevir)は単純疱疹ウイルス 1 型(HSV-1),2 型(HSV-2)及び水痘・

帯状疱疹ウイルス(VZV)に抗ウイルス活性を示すヘリカーゼ・プライマーゼ阻害剤で ある。ASP2151 の抗ウイルス活性,作用機序,ASP2151 低感受性株の特徴及び既存抗ヘ ルペス剤との併用効果を明らかにするため,各種in vitro及びin vivo試験系で評価 を行った。

〔方法並びに成績〕

ASP2151 のウイルスヘリカーゼ・プライマーゼ酵素阻害及びウイルス DNA 複製阻害を 評価するため,それぞれ HSV-1 組換ヘリカーゼ・プライマーゼタンパク質及びヘルペス ウイルス(HSV-1,HSV-2,VZV 又はサイトメガロウイルス)感染細胞を用いて検討した。

また,in vitro 及び in vivo抗ウイルス活性の評価はそれぞれプラーク減少法及びマ

ウス HSV-1 皮膚感染モデルを用いた。ASP2151 は 1 本鎖 DNA 依存的 ATPase 活性,ヘリ カーゼ及びプライマーゼ活性を阻害し,in vitroでは HSV-1,HSV-2 及び VZV 感染細胞 に対して,各ウイルスにほぼ同程度の濃度でウイルス DNA 複製阻害による抗ウイルス活 性を示した。検討した全ての VZV 株において ASP2151 はアシクロビル(ACV)より低濃 度で薬効を示した。さらに,マウス HSV-1 皮膚感染モデルで,ASP2151 の経口投与によ り皮膚病変の症状進行を阻害した。

ASP2151 低感受性 HSV-1,HSV-2 及び VZV 株の特徴を明らかにするため,これら低感 受性株の変異遺伝子解析,感受性試験,in vitro増殖能及び in vivo病原性解析を行 った。変異遺伝子解析により,ASP2151 低感受性株のヘリカーゼ及びプライマーゼ遺伝 子に幾つかのアミノ酸置換を同定した。HSV-1,HSV-2 及び VZV のヘリカーゼ遺伝子内

(3)

に存在する機能的活性部位である 6 つのモチーフ配列の1つであるモチーフⅣ配列の 内部又は近傍にアミノ酸置換部位が集中していた。また,ASP2151 感受性に関連する変 異として,プライマーゼ遺伝子内の R367H 変異を ASP2151 低感受性 HSV-1 株内に同定し た。さらに,ASP2151 低感受性株は既存抗ヘルペス剤に対してその野生株と同等の感受 性を示し,その増殖能及び病原性は野生株と同等以下であった。

HSV-1,HSV-2 及び VZV に対する ASP2151 と既存抗ヘルペス剤との併用効果を評価す るため,in vitro及びin vivoにおいて併用試験を行った。ASP2151 と ACV の併用効果 について,プラーク減少法を用いた isobologram 及び応答曲面モデルによる解析を行っ た。また,マウス HSV-1 皮膚感染モデルを用いてin vivo併用効果を検討した。In vitro では,ASP2151 と ACV や他の既存抗ヘルペス剤との併用による HSV-1,HSV-2 及び VZV に対する抗ウイルス活性は相乗又は相加作用を示した。さらにマウス HSV-1 皮膚感染モ デルでは,ASP2151 とバラシクロビルの併用投与は各単剤投与よりも有意に皮膚病変の 症状進行を阻害した(P<0.05)。

〔総括〕

ASP2151 は新規ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害剤であり,HSV-1 及び HSV-2 のみなら ず VZV に対しても強い抗ウイルス活性を示すことが明らかとなった。ウイルスヘリカー ゼ・プライマーゼのアミノ酸変異により,増殖能の低下している ASP2151 低感受性株で は,実際に顕在化した場合でもその病原性は低いことが示唆された。また,ASP2151 と ACV や他の既存抗ヘルペス剤との併用は相乗又は相加作用を示すことから,ASP2151 と 他の既存抗ヘルペス剤との併用投与は,既存薬剤単独では効果不十分な難治性又は重症 ヘルペス感染症に対する有効性が期待された。本研究結果から,ASP2151 は新たな HSV-1,

HSV-2 及び VZV 感染症治療剤として更なる研究開発が望まれる。

(4)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

〔目的〕

これまで報告のあるヘリカーゼ・プライマーゼ阻害剤は単純疱疹ウイルス 1 型

(HSV-1)及び 2 型(HSV-2)に抗ウイルス活性を示す一方,水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)

への活性は低く,その抗ウイルス活性スペクトルは限定的なものであった。今回,HSV-1 及び HSV-2 のみならず VZV にも活性を示す新規のヘリカーゼ・プライマーゼ阻害剤であ る ASP2151(amenamevir)を見出し,ASP2151 の抗ウイルス活性,作用機序,ASP2151 低感受性株の特徴及び既存抗ヘルペス剤との併用効果を明らかにするため,各種 in vitro及びin vivo試験系で評価を行った。

〔方法並びに成績〕

ASP2151 のウイルスヘリカーゼ・プライマーゼ酵素阻害及びウイルス DNA 複製阻害を 評価するため,それぞれ HSV-1 組換えヘリカーゼ・プライマーゼタンパク質及びヘルペ スウイルス(HSV-1,HSV-2,VZV 又はサイトメガロウイルス)感染細胞を用いて検討し た。また,in vitro 及び in vivo 抗ウイルス活性の評価はそれぞれプラーク減少法及 びマウス HSV-1 皮膚感染モデルを用いた。ASP2151 は 1 本鎖 DNA 依存的 ATPase 活性,

ヘリカーゼ及びプライマーゼ活性を阻害し,in vitroでは HSV-1,HSV-2 及び VZV 感染 細胞に対して,各ウイルスにほぼ同程度の濃度でウイルス DNA 複製阻害による抗ウイル ス活性を示した。検討した全ての VZV 株において ASP2151 はアシクロビル(ACV)より 低濃度で薬効を示した。さらに,マウス HSV-1 皮膚感染モデルで,ASP2151 の経口投与 により皮膚病変の症状進行を阻害した。

ASP2151 低感受性 HSV-1,HSV-2 及び VZV 株の特徴を明らかにするため,これら低感 受性株の変異遺伝子解析,感受性試験,in vitro 増殖能及び in vivo 病原性解析を行 った。変異遺伝子解析により,ASP2151 低感受性株のヘリカーゼ及びプライマーゼ遺伝

(5)

子に幾つかのアミノ酸置換を同定した。HSV-1,HSV-2 及び VZV のヘリカーゼ遺伝子内 に存在する機能的活性部位である 6 つのモチーフ配列の1つであるモチーフⅣ配列の 内部又は近傍にアミノ酸置換部位が集中していた。また,ASP2151 感受性に関連する変 異として,プライマーゼ遺伝子内の R367H 変異を ASP2151 低感受性 HSV-1 株内に同定し た。さらに,ASP2151 低感受性株は既存抗ヘルペス剤に対してその野生株と同等の感受 性を示し,その増殖能及び病原性は野生株と同等以下であった。

HSV-1,HSV-2 及び VZV に対する ASP2151 と既存抗ヘルペス剤との併用効果を評価す るため,in vitro及びin vivoにおいて併用試験を行った。ASP2151 と ACV の併用効果 について,プラーク減少法を用いた isobologram 及び応答曲面モデルによる解析を行っ た。また,マウス HSV-1 皮膚感染モデルを用いてin vivo併用効果を検討した。In vitro では,ASP2151 と ACV や他の既存抗ヘルペス剤との併用による HSV-1,HSV-2 及び VZV に対する抗ウイルス活性は相乗又は相加作用を示した。さらにマウス HSV-1 皮膚感染モ デルでは,ASP2151 とバラシクロビルの併用投与は各単剤投与よりも有意に皮膚病変の 症状進行を阻害した(P<0.05)。

〔総括〕

ASP2151 は新規ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害剤であり, VZV へ活性を示さなかった 既存のヘリカーゼ・プライマーゼ阻害剤とは異なり,HSV-1 及び HSV-2 のみならず VZV に対しても強い抗ウイルス活性を示すことが明らかとなった。ウイルスヘリカーゼ・プ ライマーゼのアミノ酸変異により,増殖能の低下している ASP2151 低感受性株では,実 際に顕在化した場合でもその病原性は低いことが示唆され医学における学術的重要性 は高い。また,ASP2151 と ACV や他の既存抗ヘルペス剤との併用は相乗又は相加作用を 示すことから,ASP2151 と他の既存抗ヘルペス剤との併用投与は,既存薬剤単独では効 果不十分な難治性又は重症ヘルペス感染症に対する有効性が期待され臨床的発展性が

(6)

期待できる。

以上より本審査会は本論文を博士(医学)の学位に十分値すると判断した。

参照

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