【学位論文審査の要旨】
本研究において、戴氏は既に動・静脈に色素付きのラッテクスを注入した胎児ブタの心 臓標本94例を用いて、拡大鏡下にて冠状動脈の起始、数、位置および分布を系統的に詳細 に剖出した。その結果、ヒト冠状動脈では多様性がみられる後室間溝枝のすべては胎児ブ タでは右冠状動脈から分岐していることが明らかになった。また、冠状動脈の優位性の分 類基準について、本研究の独自な合理的な提案が認められた。ブタ胎児冠状動脈では左右 円錐枝の吻合が8.5%にみられたが、この様な傾向は成体ブタやヒトの冠状動脈には見られ なかった。しかし、大体においてはブタ胎児の冠状動脈の肉眼解剖学的特徴は、ヒトに類 似していることから、ブタ胎児を用いて研究や臨床的な外科技術訓練を行うことは大変有 用であることが示唆された。
1月30日に行われた論文審査の席上、戴氏は本研究概要を詳細に、又明快に発表し、更 に論理的な考察を述べた。
発表後の質問応答で、戴氏は同じブタでも胎児と成体で冠状動脈分布に差がある理由と して、成体では心臓活動能が高まることからそれが影響を与える可能性があることを論理 的に回答した。また、洞房結節動脈や房室結節動脈の由来について、ブタのの場合は右冠 状動脈だけに対して、ヒトは左右とも由来する多様性に対して、高等動物類ヒトの心臓ペ スメーカ―に対する栄養保障の進化と論理的に解釈した。
以上より、本研究論文がフロンティアヘルスサイエンス学域、博士後期課程の学位論文 として扱われること、最終試験を合格することを認められる。また、戴氏に博士(健康科 学)の学位を授与すべきである、と考える。