卒業生の近況報告 社会医療法人財団慈泉会 相澤病 院
著者 細萱 房枝
雑誌名 東京家政大学附属臨床相談センター紀要
巻 10
ページ 45‑46
発行年 2010
出版者 東京家政大学附属臨床相談センター
URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010060/
東京家政大学附属 臨床相談センター紀要 第10集
卒業生の近況報告
社会医療法人財団慈泉会 相澤病院
細萱 房枝
私は2006年より、長野県松本市にある相澤病 院精神神経科で心理士として勤務しております。
2006年に入社した際は心療内科に配属されまし たが、2009年の6月より現在の精神神経科で働 いております。今回は近況報告ということで、相 澤病院及び当院での心理士の業務内容などにっ いて報告させていただきます。
相澤病院は長野県松本市にある総合病院です。
病院の裏には「白線流し」の舞台ともなった薄川 が流れており、病棟からは北アルプスが望めます。
当院は明治41年に相澤医院として開設し、昨年 度の平成20年には創立100周年を迎えた歴史の
長い病院です。急性期の病院であり、地域医療支 援病院、中信地方救急指定病院でもあります。病 床は471床ありますが、精神科の病床はありませ ん。病院職員は1500名ほどおり、精神神経科の 医師は2名、心理士も2名おります。
当院での現在の心理士の業務は、入院や外来患 者さんの心理面接や心理査定、緩和ケアチームに て入院患者さんへの心理的サポート、職員のメン タルヘルスなどが中心です。心理面接や心理査定 は、外来の場合は精神神経科に来られる患者さん が対象となります。当院の精神神経科に通われて いる外来患者さんの多くは、入院後のフォローや 他科からの依頼で通院されている患者さんで占
めているので、なんらかの身体疾患のある患者さ んの面接や査定がほとんどです。入院においても
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精神科の病床はありませんので、内科や外科、救 急科などで入院をし、精神科としての対応や心理 士の対応が必要な場合にのみ依頼があります。身 体疾患の合併としては、ガンや糖尿病を患ってい る患者さんが多く、発達障害の二次障害としての 適応障害をわずらっている患者さんや、高次脳機 能障害の患者さんもいます。面接ではカウンセリ ングを中心に行っていますが、ケースにあわせて 自律訓練法や箱庭療法なども取り入れています。
一方、心理査定ではロールシャッハやHTP、 SCT、
知能検査を行ったり、MMSEなど認知症の評価を 行う場合もあります。また、検査以外にも心理的 アセスメントを要求されるケースもあります。緩 和ケアチームでの関わりでは、チームのカンファ レンスに参加したり、入院されているガン患者さ んのカウンセリングを行います。ガン患者さんの 約5割は適応障害やうつ病など何らかの精神疾 患を併発するという報告もありますので、不安が 強い患者さんや話しを聴いて欲しい患者さんが いる場合には、私どもに依頼があります。急性期 の病院であるため、長く療養される患者さんはあ まり多くないので、1ヵ月以内の短期的な関わり です。必要に応じ、退院後には緩和ケア科でのフ ォローのためのカウンセリングが行われるケー スもあります。職員のメンタルヘルス向上に向け ては、健康診断時にメンタルヘルスチェック、職 員の相談、職員の対応について上司と相談、メン タルヘルス会議などへの出席を積極的に行って います。健康相談時のメンタルヘルスチェックで
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は、健康センターと協力し職員全員のストレス状 況などを把握します。場合によっては面談を行う 場合もあります。職員の相談では、ストレスが溜 まっている職員が訪れたり、出勤困難な職員の相 談をうけます。出勤ができない場合や投薬の必要 性がある場合には、精神神経科の医師に診察を依 頼します。院内の相談場所として周知していない こともあり、自ら受診するのではなく上司から依 頼があって面談を行うケースが多いのが現状で す。メンタルヘルス会議では、院内の職員の現状
について人事部や看護部、保健師、精神科医、心 理士で情報を共有します。また、最近では、院内 職員を対象とした勉強会を月1回開き、ストレス
のセルフケアやコミュニケーションについて学 んでいくことにより、職員のメンタルヘルスの向 上をねらっています。
大学院を修了し仕事に就いた頃から振り返る と、最初は心理学の分野で言われている当たり前 のことが、病院でそのままそっくり通用するとは 限らず、そのギャップにもがき苦しんでいたよう に思います。また、カウンセリングの中断に出会 い、患者さんの状態が少しも変わらずにいること に対する自責の念を抱くこともありました。仕事 に慣れ経験を積むうちに、自分の中で折り合いを つけられるようになってきました。特に、中断や 状態の変わらない患者さんに関しては、事実を受 け止めケースを見直すなどして改善点を探すこ とで他のケースに生かすことで、結果ではなくそ の患者さんと関わった意味などを考えるように なりました。精神科に異動してからは、心理士の みで事例検討や医師などの他職種とカンファレ
ンスの時間が増え、学ぶこと見直すことが増えた ように思います。
最近では、特に、アセスメントカや洞察力の必 要性を感じています。職員の面談や緩和ケアでの 患者さんとの関わりを通し、医師と連携する必要 性の有無など即時の判断を迫られるケースが少 なくありません。さらに、今後は入院患者さんの 精神科医師や心理士のフォローを必要とするか アセスメントをする業務を行う予定であるため、
いかにアセスメントをし、いかに伝えていくかと いうことが求められると思います。大学院時代に
「正常を知らなければ、異常はわからない」と先
生に言われたことを度々思い出し、仕事以外でい ろんな方と関わったり、患者さんの健康な面を探 したりする心がけを行っています。
急性期の総合病院において、特に異動をしてか ら心理士に求められていることは何か?と自問 しながら仕事をしております。未だはっきりとし た答えはみつかっていません。はっきりとした答 えはないのかもしれません。心理士だからできる こと、というよりは自分自身だからできることを 探しながら、患者さんや職員の心理的サポートに 励んでいきたいと思います。そのために、研修会 や学会に積極的に参加し、心理士として専門性を 高めていく必要があります。同時に自分自身と向 き合い、人としての成長も欠かせません。自分自
身の気持ちに余裕がないと柔軟性に欠け他者の ケアを行うことは難しいので、仕事以外での人と の関わりや趣味を楽しむこと、自分自身に目を向 けることにより、人としての自己成長にも努める ことも常に心がけていきたいと思います。
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