• 検索結果がありません。

卒業生の近況報告 医療法人三笠会所沢メンタルク リニック

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "卒業生の近況報告 医療法人三笠会所沢メンタルク リニック"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

卒業生の近況報告 医療法人三笠会所沢メンタルク リニック

著者 尾山 薫

雑誌名 東京家政大学附属臨床相談センター紀要

巻 12

ページ 67‑69

発行年 2012‑03

出版者 東京家政大学附属臨床相談センター

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010071/

(2)

東京家政大学附属 臨床相談センター紀要 第12集

-67-

卒業生の近況報告

医療法人三笠会所沢メンタルクリニック

尾山 薫

私は平成

15

年に大学院を修了し、所沢メンタ ルクリニックにて常勤心理士として勤務しまし た。勤務

10

年を前に、このたび卒業生の近況報 告という貴重な機会をいただき、当院の紹介と心 理士としての業務内容の報告と、心理士として、

チームスタッフの一人として考えてきたことや 行なってきたことの振り返りをさせていただき たいと思います。

当院は「地域の人たちの笠になりたい」という

3

人の先生方の理念の下、平成

13

11

月に開院 しました。現在のスタッフは医師、看護師、精神 保健福祉士、作業療法士、臨床心理士などから構 成されています。通院患者さんの疾患は統合失調 症、気分障害、発達障害、パーソナリティ障害、

知的障害など多岐にわたっています。心理士とし ての業務は、デイケア・カウンセリング・心理検 査があり、まずはそれぞれの業務について報告さ せていただきます。

デイケアは、主に統合失調症の患者さんが約

10

数名参加し、患者さんたちの居場所づくりを 目的としつつ、生活リズムの確認、改善や維持、

身体状態や服薬状況の把握、コミュニケーション の練習、生活技能の習得や向上、就労支援などを 行なっています。他職種からなるチームでの医療 色が最も強く出ている業務で、総合的な判断や治 療の指揮は医師、病状や身体状態の聴取や相談・

指導については看護師、福祉や就労支援、生活状 況の相談や具体的な支援の導入などは精神保健 福祉士、プログラムの企画・準備・進行などは作 業療法士が行なっています。心理士としては、新

規参加者や継続参加者との面談やプログラムの 企画・運営の補助、勉強会や会議の運営などを行 なっています。

カウンセリングは主治医からの依頼を受けて 行なっています。デイケアとは違い患者さんとの

1

1

の会話となり、医師の治療方針や患者さん 自身の希望、病状などによって方法が変わってく るため、患者さんの話を聴くことが中心となるこ ともあれば、疾患についての心理教育、気分や生 活リズムの聴き取りや検討を行っています。

心理検査は、知能検査(WAIS-R、WAIS-Ⅲ、

WISC-Ⅲ)

、投影法検査(ロールシャッハテスト、

バウムテスト、風景構成法、P-F スタディ)、質 問紙法(東大式エゴグラム、矢田部-ギルフォード 性格検査、顕在性不安尺度、コーネル健康調査表、

自己評価式抑うつ性尺度など)を 主治医からの 依頼を受けた場合やカウンセリングの際に必要 となった場合に医師の許可を得て、テストバッテ リーを組んで行なっています。テストの結果だけ でなく、予約の入れ方や検査のときの様子を観察 し、報告文書を作成する際には、分かりやすい言 葉や文章を使い、今後の治療につながるような形 になるように留意しています。

心理士としての役割については、デイケアでは ケア目標に応じた関わりが中心となるため、こち らから質問や指導、声かけをして積極的に患者さ んに働きかけつつ、その場にいる他の患者さんの 状態や生活環境、ケア目標を考えるなどデイケア に参加されている患者さん全体の流れも意識し ています。他職種に比べて心理としての仕事はあ

(3)

医療法人三笠会所沢メンタルクリニック

-68-

まり明確ではないため、当初は戸惑うこともあり ましたが、まずはチームの一員として患者さんと 関わり、プログラムの準備・企画・運営や会議で の患者さんの状態の振り返り、ケア目標の設定、

勉強会での発表などに参加していくうちに意見 を求められたり、これまで学んだことを話したり、

それらを行動に移すなどしていると、「こういっ た場合は心理に」といった流れが出来、自分の役 割が作られたように思います。

カウンセリングや心理検査は自分から何かを 働きかけるというよりも患者さんと対面し、患者 さんの様子や病状、特徴や性格傾向、患者さんの 求めていることや今現在をどのように過ごして いるのか、今後どのように過ごしていきたいと考 えているのか、治療の方針や主治医の先生の意向 も考えながら設定された時間の中でいかに聴き、

話し合うことが出来るのか注意しています。主治 医の先生と話しながらの作業ではあるものの、患 者さんの疾患の状態や現在おかれている状況か ら自分に出来ることを判断することや、患者さん の話をどこまで聴いていいのか、反対に自分の考 えや感じたことをどこまでお話しするかという ことに迷うことも多くあります。こうした状況が 続くと抱え込んでしまったり、煮詰まってしまう ため、ふだんから院外で行なわれている勉強会や セミナーに参加したり、意見交換をするなどして 自己啓発や振り返りを行なうようにしています。

患者さんとの関わり方や自分自身の動き方な どはそれぞれの業務によって異なり、当初は上手 く使い分けが出来ず、チームの中で単独行動をし てしまったり、カウンセリングの際に必要以上に 働きかけてしまったりという失敗も数多くあり、

今もそれぞれを混同しないようにチームでは報 告・連絡・相談をまめに行なうこと、カウンセリ ングでは思うことがあっても焦らず一度自分の

中でとどめてみること、患者さんの言葉を自分の 中で繰り返したり、気になった言葉は必ずそのま まにしないことなどに注意しています。しかし、

アプローチは違っても心理士として「この人は何 を求めているのか?」「何が必要なのか?」を意 識しつつ患者さんと共に考え、時には一緒に行動 する、行動計画を立てて振り返る、自分に出来る こと出来ないことを知り、分からないことは患者 さんに教えてもらいながら模索するといった過 程は共通しており、その中で少しでも患者さんの 今後の生活に役立てるようにと思っています。

9

年の勤務の中でさまざまな患者さんやスタッ フに出会い、自分の力不足を痛感したことや患者 さん同士のトラブルの解決策が見つからず悩ん だこと、患者さん個人に注目して集団としての規 律を乱してしまったこと、心理士としての役割を 見いだせずチームの中で孤独や不安を感じたこ と、不測の事態に戸惑い他のスタッフに迷惑をか けたこと、スタッフ間で患者さんへの治療目的や デイケアの意義についての意見が対立し、お互い に歯がゆい思いをしたこと、カウンセリングの中 で患者さんの気持ちが分からなかったり、言葉が 見つけられなかったりといった状況が続き、話す ことや患者さんに会うことすら抵抗を感じたこ となど苦しさや行き詰まりから心理士を辞めた い、自分には向いていないと感じたことが何度も ありました。しかし、そのような状況の中で一緒 に過ごし、活動する喜びを教えてくれたのもまた 患者さんやスタッフでした。「最近忙しそうだけ ど大丈夫?」「一緒に話せて楽しかった」と声を かけてくれたり、カウンセリングが終了し「会え てよかった」と深々とお辞儀をして部屋を退出し ていった患者さんや、担当している患者さんと上 手く関わることが出来なくなっているときに「担 当変わろうか?」と言ってくれたり、患者さんと

(4)

尾山 薫

-69-

の間で行き違いが生じた時に「自分の接し方にも 問題があったから」と間に入って患者さんと話し 合ってくれたスタッフなど数えるときりがあり ません。

あくまでも個人的な考えですが、心理士は他の 職種に比べると役割が明確に設定されていない 場合があったり、その人柄や職場によって求めら れるものが違ったりと医療の中でのポジション が曖昧になりやすい印象があります。しかし、そ の分自分の仕事を探して高めていくといった自 分の役割を開拓できるといったメリットも併せ 持った可能性のある仕事だと思います。今後もた

くさんの心理士にあらたな領域を開拓して頂き たいと願うと同時に自分自身も現状に満足する ことなく、今後もデイケアやカウンセリング、心 理検査を行ないつつ、勉強会への参加や個人での 勉強、振り返りを通じて日々精進し、活動の幅を 広げ、深めていきたいと考えています。

この近況報告を書くにあたり慌ただしい毎日 の中で過ぎていった時間を改めて振り返る機会 を頂き、自分がこれまでいかに周囲に助けてもら ったかを改めて知ることができました。このたび はありがとうございました。

参照

関連したドキュメント

そこで本研究ではまず、乗合バス市場の変遷や事業者の経営状況などを考察し、運転手不

脳卒中や心疾患、外傷等の急性期や慢性疾患の急性増悪期等で、積極的な

このような状況のもと、昨年改正された社会福祉法においては、全て

○○でございます。私どもはもともと工場協会という形で活動していたのですけれども、要

口文字」は患者さんと介護者以外に道具など不要。家で も外 出先でもどんなときでも会話をするようにコミュニケー ションを

同研究グループは以前に、電位依存性カリウムチャネル Kv4.2 をコードする KCND2 遺伝子の 分断変異 10) を、側頭葉てんかんの患者から同定し報告しています

 医療的ケアが必要な子どもやそのきょうだいたちは、いろんな

○片谷審議会会長 ありがとうございました。.