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卒業生の近況報告 医療法人社団光洋会 光洋クリニ ック

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卒業生の近況報告 医療法人社団光洋会 光洋クリニ ック

著者 諏訪 裕子

雑誌名 東京家政大学附属臨床相談センター紀要

巻 9

ページ 79‑81

発行年 2009

出版者 東京家政大学附属臨床相談センター

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010057/

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東京家政大学附属 臨床相談センター紀要 第9集

卒業生の近況報告

    医療法人社団光洋会 光洋クリニック

諏 訪 裕 子

 私は、現在、東京都内にある精神科・心療内科 のクリニックの 光洋クリニック に勤務してい る。平成16年3月に東京家政大学大学院を卒業 し、翌4月より常勤職として勤め始めた。それ以 前の平成14年1月、まだ東京家政大学の学部生

であった頃から受付事務のアルバイトとして働 いていたこともあり、当クリニックに携わるよう になってから、かれこれ6年半になる。今回は、

学部生時代からの恩師である東京家政大学附属 臨床相談センター所長の近喰先生より、近況報告 の機会をいただいたので、「光洋クリニック・光 が丘」および「御茶ノ水医院」について、また自 身の心理職としての現状や最近考えていること について、話したい。

 「光洋クリニック」は、平成元年にスタートし、

平成8年より「光洋クリニック・光が丘」として 新たに開院した。その後、「光洋クリニック・四 谷」「光洋クリニック・人重洲」と都心部へ拡大

し、平成19年11.月には四谷と八重洲のクリニッ クを統合・移転し、「御茶ノ水医院」となった。

現在は、「光洋クリニックL光が丘」と「御茶ノ 水医院」の2ヶ所で、精神科・心療内科のクリニ

ックとして、医師による外来治療と臨床心理士に よるカウンセリングを行っている。まず、クリニ ックがある光が丘と御茶ノ水の地域性とその特 徴について簡単に説明したいと思う。

 光が丘パークタウンは、終戦までは陸軍成増飛 行場であったが、その跡地へ光が丘公園を配した

医療法人社団光洋会 光洋クリニック

住宅地となり、現在、約12,000世帯、30,000人 強の人口となっている。また、平成9年の地下鉄 大江戸線光が丘一新宿間の開通に伴い、隣接地区 の世帯数と人口は、ともに増加している。そのた め、「光洋クリニック・光が丘」は、光ヶ丘団地 周辺および隣接地区の住民の日常生活に浸透し た ホームドクター として機能している。

 一方、御茶ノ水は、数々の大学、予備校、書店・

古書店街などを有する地区であり、病院や企業も 多く、知識労働者の集合する街でもある。「御茶 ノ水医院」は、最寄の御茶ノ水駅、神保町駅から 徒歩5分圏内で利便性もよいため、学生や会社員 の方々が通院しやすい環境となっている。

 診療内容としては、心身の不調や不安・抑うつ、

不眠等に悩み、来院した方に対して、予約制で診 療やカウンセリングを行なっている。対象は、主 にうつ病、神経症(不安神経症・パニック障害、

対人恐怖、強迫神経症)、ストレス反応、不眠症、

児童・思春期の神経症への治療が中心となってお り、抗不安薬・抗うつ薬等による薬物療法を軸に、

不安・緊張・抑うつに対して精神療法が行なわれ ている。その中でも「御茶ノ水医院」では、神経 症に対して森田療法の専門医による外来森田療 法を実施しているところが特色である。

 当クリニックは、外来治療のみであるため、社 会生活に著しく支障をきたしている方々には、入 院治療等、より適切な治療が行える大学病院や総 合病院といった医療機関と連携する場合もある。

しかし、通院される方のほとんどは、心に負担を 抱えながらも仕事や家事をなんとかこなしてい

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医療法人社団光洋会 光洋クリニック

る。そのため、企業の医務室・健康管理センター、

EAP(Employee Assistance Program;従業員支 援プログラム)サービス会社、大学の医務室・学 生相談室等とのネットワークや、保健所、地区セ

ンターの各種機関とも連携をはかりながら、メン タルヘルスのための支援を幅広く行っている。

 私の主な業務は大きく分けると2つあり、その ひとつが医療事務業務である。医療事務業務では、

電話対応、コンピューターによる会計処理、レセ プト(診療情報明細書)作成等を行っている。

 そして、もうひとつの主な業務が、カウンセリ ング(心理相談面接)を中心とした心理臨床業務 である。カウンセリングの対象は小中学生から高 齢者まで幅広く、私はそこで、クライエントー人 ひとりの問題を踏まえて各種心理療法を取り入 れながら、症状の改善や問題の解決に取り組んで いる。特に最近は、働き盛りの30代、40代の方 がメンタルの不調を訴えて来院するケースが増 加している。新聞や雑誌でも会社員のうつ病やス

トレス関連障害について取り上げている記事を 目にすることが多く、その関心の高さがうかがえ

る。

 働く人のメンタルヘルスへの関わりでは、職種、

職位、職場の人間関係、家庭の状況等、一人ひと りの心理社会的状況を考慮に入れた面接を行う ことが必要であり、さらに身体面、精神面双方か らのアプローチをすることが大切である。こうし たストレス関連疾患を有する会社員は、今後ます ます増加していくことが予測され、その対応が重 要な課題となっている。

 私自身は、昨年、シニア産業カウンセラーと心 理相談員(中央労働災害防止協会認定)の資格を 取得した。まだ研鎭を続けている段階ではあるが、

医療の視点のみならず産業の視点も取り入れ、視 野を広げて関わることを心がけている。クリニッ

クの中では、医師の治療を受けている休職者やE APサービス会社から紹介された会社員への対 応をする機会があり、その症状の背景には 仕事

と自分 のアイデンティティのギャップが、大い に関係しているように思われる。そのようなとき に、対話を通してクライエントのキャリアを見直 していくと、クライエントの葛藤が整理されてい く場合があった。

 また、近年では、LD、 ADHD、軽度発達障害と いった言葉や概念が広く一般に認識され、それに 伴い、職場不適応が起こっている方への見方も変 わってきた。はじめは、性格的な問題として取り 扱うこともあったが、それだけではなく、発達障 害的な要素が問題のべ一スにあるのではないか

といった視点をもつようにもなってきた。その場 合には、心理査定として、ロールシャッハテスト、

WAIS一皿、その他各種質問紙等いくつかのテ ストを組み合わせ、医師の診断や治療の補助に使 用したり、あるいは、その特徴を本人へ直接フィ ードバックしたり、自己理解を深めてもらいなが

ら就労支援を行っている。

 このように、社会の変化への対応を意識したり、

自身の課題に取り組んだりしつつも、最近、私自 身が大切にしていることは、物事に対する「バラ ンス感覚を意識すること」と「柔軟性をもつこと」

である。昨年あたりから世間で話題になり始めた ワーク・ライフ・バランスの考え方を自分自身で も取り入れるようになってきた影響もあり、この ことをとても大事であると考えるようになった。

 きっかけは、昨年春ごろから独り暮らしを始め たことで、仕事と私生活の両立のため、自己調整 せざるを得ない状況に直面した。その中で、まず 気がっいたことは、何事にも限界があるというこ とであった。限りある時間や金銭、自分の体力や 能力を、どこにどのぐらい配分していくのかとい

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諏 訪 裕 子

うバランスを考えなければ相談者の語りを真に 聞くことは難しいということをあらためて認識

したのである。

 情報化が進んだ社会においては、各個人が膨大 な情報の中から、取捨選択を行わねばならない。

また、選択肢そのものが増えることで、ますます 物事が多様化することが想像される。このような 時代の中で、問題解決能力をあげていくためには、

先を予測して対策を立てるスキルを研いていく と同時に、どんな事態になっても臨機応変に行動 できるスキルを研いていかねばならない。

 物事に対する「バランス感覚」や「柔軟性」は、

実生活の中からも、今後の社会を想像する上でも、

大事なことである。また、どんな風が吹き荒れよ うとも やじろべえ のように倒れないためには、

中心をしっかりと保っていく必要があり、その根 底には、やはり自分自身の考えや方向性をしっか

りともつことが重要である。そのためにも、折を みて、自分を省みることを心がけていきたいと思

っている。

 最後になったが、本報告を書くにあたり、日々 流れそうになる日常を振り返ることができ、こう した機会を与えていただいたことに、心から感謝 申し上げたい。そして、これからのいっそうの研 鎭の決意を新たにした次第である。

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