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構内亘り線分岐器における動揺抑止対策

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Academic year: 2022

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(1)

構内亘り線分岐器における動揺抑止対策

JR

西日本 正会員 ○下野 勇希

JR

西日本 非会員  福田 勝己 1.はじめに

 山陽新幹線における軌道弱点箇所として駅構内の分岐器が挙げられるが、今まで 分岐器の弱点箇所対策として様々な対策を実施してきた。しかし、これらの対策は 高低狂い及び上下動揺を解消する対策がほとんどであり、現在進められている分岐 器の合成まくらぎ化の効果を最大限に引き出すためには、左右動揺に対する線形整 備を含めた抜本的な対策を行っていく必要がある。

 本論文では、15年度に合成まくらぎ化を実施した姫路駅構内

P52

ハニ亘り線分 岐器と隣接する

P53

イロ間において発生した最大

0.13g

の左右動揺(図-2)につい て発生原因の検討と、検討した原因に対する抜本的な対策施工を実施し、その効果 について検討を行ったのでここに報告することとする。

2.左右動揺発生原因の検討

 軌道狂いには高低、通り、平面性、水準、軌間と

5

項目あるが、左右動揺とは通 りと水準狂いが大きな要因であり、

P52

ハニ〜P53イロ間の左右動揺発生原因の検 討として通りと水準狂いの検証を行った。

 

2-1.通り狂いの検証

  図-3は、電気軌道総合試験車(以下マヤ車)の

40m

弦通り狂いの検測結果 であるが最大狂い量は

5mm

と、保守目標値の範囲内であり、また、左右レー ルの狂いにも差があることから発生原因をマヤ車による

40m

弦通り狂いから特定し難く、従来から用いてきたレーザー測 定器による絶対線形測量を実施した。その結果を図-4に示す。

このグラフに近似線を描くと

P52

ハニ付近に

115m

間の長波 長通り狂いが発生し、この

115m

という波長の振動数を算出

すると

0.72Hz

となり、列車動揺の関係の深い1〜1.5Hzの領域外であるが、左右動揺発生原因の一因と考えられる。

 

2-2.水準狂いの検証

  図-5 は絶対線形測量の通り狂い結果と静的水準狂いを重ね 合わせたものであるが、

P52

ハニ〜

P53

イロにかけて通り狂 いとは逆位相となる水準狂いが連続的に発生しており、この 区間において左右動揺の一因である複合狂いが発生している ことが判明した。つまり、この区間での左右動揺発生原因の 一因として通り狂いとは逆位相となる水準狂い、すなわち複合狂い が起因して左右動揺が発生しているものと考えられる。

3.左右動揺抑止対策の検討

 

3-1.絶対線形による線形整備の検討

 この

115m

間の長波長通り狂いを解消するためには、完全な直線 線形にすることが理想であるが、図-6、

7

に示すとおり分岐器にはあ る程度の移動量の制約が伴うので実際には分岐器全体にわたる方位 整正は無理がある。そこで、この区間を不動点と設定し、なだらか

キーワード:亘り線分岐器、左右動揺、長波長通り狂い、逆位相、上下調整式まくらぎ継手(D-TJ5)

・連絡先:姫路新幹線保線区 〒670-0914 姫路市豆腐町字水田

316

番地 

TEL(0792)82-5864  FAX(0792)82-2292

600,649

600,578 600,832

600,740

600,578 600,811

600,669 600,740

600,707 600,832 600,903600,903 601,574

600,998 601,626

600,910 600,962 601,525

601,010601,053 601,703601,632

601,543

601,010

600,998 601,525 601,543 601,632 601,703

601,470

ホーム L=417

601,268601,268 601,059 601,469ホーム

L=410

600,798

姫   路   駅

ハニ 52イロ

52ハニ 53イロ

54イロ

55 56

57イロ

58イロ 601,310 601,410 スラブ板24枚

図―1 姫路駅構内図 動揺発生

図―3 

1m

代表値復元チャート

-8 -6 -4 -2 0 2 4 6

P52ハニ・№1 42   №123

   № 95

   № 68

  №5 0   №

23溶接

P53イロ・№

5   №

32   №

59   №

86   №1

14

P53イロ

・№

132

EJ溶接 動 揺 発 生 箇 所

( 300 Km /h÷ 3 ,600 sec) ÷ 115 m = 0 .7 2Hz

図―4 レーザー測定結果

図―2 左右動揺波形

方位整正不可能

P52イロ

P52ハニ 継手まくらぎにより一体化

図―6 亘り線分岐器

P 5 3 イ ロ

P 5 5 付 帯 曲 線 の 通 り 不 良 発 生

図―7 

P53イロ〜P55

図―5 水準測定結果

-8 -6 -4 -2 0 2 4 6

P52ハニ・№142   №

123  №9 5

  №6 8

  №5 0

  №2 3

溶接 P53イロ・№5

  №32   №59

  №86   №

114

P53イロ・№132

EJ溶接

長波長通り狂い 水準 逆位 相

動揺 発生箇 所

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑69‑

4‑035

(2)

1

波長の反向曲線となるような整正基準線(図-8)を設定し、

この整正基準線を基に移動量を算出した。この移動量を基に絶 対基準による線形整備を実施することとした。

 

3-2

水準狂いに対する抜本的対策の検討

 

P52

ハニから

P53

イロにかけて逆位相となる水準狂いを解消 するためには、片開き分岐器である

P53

イロ及び

P52

ハニのポイ ント部からリード部にかけては、従来の施工方法で十分整備可能 である。しかし、P52 ハニのクロッシング部の水準整備について は、亘り線部分もこう上が必要となり、まくらぎ継手により一 体化されたこの区間では上り線の軌道状態にも影響を与えるた めに(図-9)、こう上量が大幅に制限され十分な整備を行うこと ができなかった。従来のまくらぎ継手は軌間保持のため、

2

本の まくらぎを繋ぐことのみを目的とした構造であり、この問題を 解決するため図

-10

のようなまくらぎ継手を開発した。このまく らぎ継手を約

5

ヵ月間試験敷設した結果、機能的に満足できる

ことを確認したので、亘り線部分全てにこのまくらぎ継手を敷設した後、合成まくらぎ化に伴う分岐マルタイ(以下

SMTT)によりこう上し、問題であったクロッシング部の水準狂いを整備していくこととした。

4.施工結果

 絶対基準による線形整備及び上下調整式まくらぎ継手敷設による水準整備等を 行った結果、左右動揺は図-11のように最大で

0.07g

と良化を図ることができた。

ここで、長波長通り狂い及び逆位相となる水準狂いの施工結果を個別に考察する。

 

4-1.絶対基準による線形整備結果

  図-8 により求めた整正基準線をもとに絶対基準による通り整 正を行い、施工後再度レーザーによる測量を実施した。結果を 図-12 に示す。当初問題であった

115m

間の長波長通り狂いが

310m

1

波長とするなだらかな通り狂いとなり、波長の振動数 も

0.26Hz

と延伸が図られ、1〜1.5Hzからかけ離れた振動数と なり、左右動揺が抑制されたと考えられる。

 

4-2.

上下調整式まくらぎ継手敷設及び

SMTT

による水準整備 結果

 

P52

ハニの亘り線部分に上下調整式まくらぎ継手を敷設した ことにより、クロッシング部でのこう上が上り線の軌道状態を 考慮することなくこう上量を決定することができたので、図-13

に示すとおり、通り狂いと逆位相となっていた水準狂いを±1mmに整正することができた。また、その他の逆位相と なる水準狂いが発生していた箇所についても、むら直し等により整正し、逆位相となる水準狂いが残留している箇所は、

P52

ハニ区間のみとなった。しかし、水準狂いの狂い量としては±2mm以内であり安定した軌道状態であるといえる。

5.おわりに

 今回、亘り線分岐器に発生した左右動揺の解消を目的として、絶対線形による長波長通り狂いの整備を行った。また、

亘り線分岐器のクロッシング部に逆位相として発生していた水準狂いを解消するために、上下調整式まくらぎ継手を開 発し、SMTT によりその整備を実施した。今回一番の問題であった亘り線部分のこう上については、今日に至るまで その整備に苦慮しており、今回の整備結果から、この区間での整備手法の一つが確立したといえる。今後の課題として は、通り狂い及び水準狂いの「戻り」についてトレースを行ない、必要であれば「戻り」防止を考案することである。

・参考文献:佐藤・梅原「線路工学」:日本鉄道施設協会

-12 -8 -4 0 4 8 12

EJ溶接 マクラギ №127 マクラギ№113 マクラギ№99 マクラギ№86 マクラギ№72 マクラギ№58 マクラギ№32 P52ハニ・№4 マクラギ№15 マクラギ№42 マクラギ№69 マクラギ№95 マクラギ№110 マクラギ№124 P53イロ・№132 溶接 P52ハニ頭

P52ハニ尻 No60 No60

図―8 整正基準線

下り線 渡り線 上り線

まくらぎ継手 こう上

こう上 こう上

図―9 こう上量の影響

図―12 レーザー測定結果(施工後)

-12 -8 -4 0 4 8 12

クラ №1

22 クラ №103

クラギ№

86 マク

ギ№

67 マク ギ№

50 マク

ギ№

32 マク ギ№

13

P53イ・マ№6 クラ24

クラ42 クラギ№

60 マク ギ№

78 マク ギ№

95 マク

ギ№

115 溶接

(300km/h÷3,600s ec)÷310m=0.26H z

図―10 上下調整式まくらぎ継手(D-TJ5)

-12 -8 -4 0 4 8 12

溶接 マク

ラギ  №1

22 ラギ№1

03 マク

ギ№

86 マク

ギ№

67 マク

50 マク

ラギ

32 ラギ

13

P53 ・マ6

マク ギ№

24 マク ギ№

42 マク ギ№

60 マク ラギ

78 ラギ

95 ラギ№115 溶接

長波長通り狂い 水準

逆位相

図―13 水準整備結果

図―11 施工後左右動揺波形

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑70‑

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参照

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