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Academic year: 2022

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「発刊によせて」

著者 松岡 克尚

雑誌名 関西学院大学人権研究

号 24

発行年 2020‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10236/00028814

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 ご存知のように、2015年9月の国連持続可能な開発サミットにおいて「持続的な開発目標」(我々の 世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ)、いわゆるSDGsが採択されました。そこ では、貧困撲滅、飢餓の解消、健康と福祉などの17のゴールが設定されており、2030年までに全世界 的な取り組みを通してそれらの達成が目指されています。そのカラフルなアイコンやフラワーホールの バッジを街中で目にする機会も多くなり、その意味ではSDGsが私たちにとっても身近なものとして意 識されるようになってきたことは喜ばしいことです。

 さてSDGsといえば、やはり昨年に話題になったグレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんの活躍 もあって、特に地球温暖化との関連で注目されがちですが、気候の問題にとどまらず、先に挙げた貧困、

福祉や教育、ジェンダーの平等など、様々な人権と社会正義の課題に対する取り組みとして位置づけら れるものになっていることも、やはり皆さまにとっては重々ご周知のことだと思います。

 しかし、SDGsの進捗という点に関しては、先のグレタさんが気候変動の取り組みに関して強い批判 の声を上げていたように、決して捗々しいものではないようです。国連のアントニオ・グテーレス(António Guterres)事務総長は、Financial Times誌(2019年11月4日)への「持続可能な開発に向けた歩みは、

達成への軌道から外れている」(注)という寄稿文の中で、「seriously off-track」という言葉を使って警告 を発し、この「軌道逸脱」の背景には資金不足があること、その解消のためにはビジネスリーダーや企 業が理解と関心を深めること、そして一層の協力と参画が欠かせないことを強調しています。寄稿文に おけるグテーレス事務総長の警告と求めは、直接的にはビジネスリーダーたちに向けられたものではあ りますが、そのまま広く一般に対しても当てはまる戒めの言葉ではないかと考えています。

 先述したように、SDGsは「開発」という表記から、一般には人権とはあまり関係の中身として受け 取れられてしまいがちですが、むしろそのまま人権問題に直結した取り組みになっています。そのこと を強く銘記しつつ、私たちの人権尊重と人権文化をこのキャンパスに、そして地域社会に根付かせよう とする試みもまたSDGsと同じ方向性を有していることを覚え、せめて大学人らしく知識と情報発信の 面でSDGsと共通する目標達成への道のりに貢献していきたいものです。

 今回の『関西学院大学 人権研究』第24号には、研究論文1本、研究ノート1本そして動向3本と 合計5本の玉稿を掲載することが出来ました。それぞれ、大学や地域社会における人権文化の種蒔きに 関わる地道な活動や課題が触れられています。私たちのこうした取り組みのみならず、日本社会におけ る様々な活動が「人間の尊厳と平等」のために「on-track」な一歩になることを祈って、引き続き共に学び、

協力して活動していくことを期待したいと思います。

注 以下に寄稿文の邦訳が掲載されています。

 国連広報センター https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/35526/(2020/2/5アクセス)

人権教育研究室室長 

松岡 克尚

「発刊によせて」

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