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Academic year: 2021

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発刊によせて

著者

舟木 讓

雑誌名

関西学院大学人権研究 = Kwansei Gakuin

University journal of human rights studies

17

発行年

2013-03-31

(2)

「発刊によせて」

人権教育研究室室長 

舟 木   讓

「関西学院大学人権教育研究第 17 号」をお届けします。2012 年は「水平社宣言」が出されてちょう ど 90 年にあたる記念の年でありました。「水平社宣言」が産み出された原因が「被差別部落」とされた 地域に居住されたりその地域の出身であったりした人々に対する積年の人権侵害であり、またこの宣言 が日本における本格的な人権問題に対する様々な取り組みが始まるきっかけにもなったと言えます。そ して、本研究室もまさに 1971 年に本学で起こった「部落差別発言」が契機として生まれた「同和対策 プロジェクト・ティーム」がその前身であります。そういう意味において、本研究室が産まれた原点に 改めて立ち戻り、当初の目的を十分に果たし得ているか否かの検証を改めて迫られております。 また、2012 年は東日本大震災と原発事故から 2 年目の年でありましたが、報道数の激減もあって「復 興」の部分に注目が集まり過ぎ、今もなお苦難の渦中にあったり、被災による健康被害や経済的被害 で困窮させられたりしている人々の存在を身近に感じられなくなる状況が発生しているように思われ ます。さらに、国内では「いじめ」や「体罰」に関する問題、国際間では領土問題をはじめとした緊 張の高まり等々、本来は関わることなく通り過ぎることが出来ないはずの問題であるにも関わらず意 識されたり顕在化することがあまりなかったりした事柄が日々私たちの眼前に浮かび上がってきてお ります。 近代に入って日本のみならず欧米も含めて、これまで様々な意味において世界に影響を及ぼしてき た国々が一様に経済的な行き詰まりと社会のあり方に戸惑いを覚える中、これまでの枠組みや思考方 法では対処できない様々な問題が日々明らかになってきております。そうした変化の只中にあって、 私たちはまた、「人権」という概念そのものへの新たな問いかけもなされていると言えます。そして、 特に教育機関というある種「特殊な社会」の中に身を置きながら、そこからしか見えてこない問題に 敏感になることによって、何らかの発信や提言を本研究室が行っていかなければならないという大き な使命を感ぜずにはおれません。またそのためのアンテナを張り巡らし、鋭敏な感性を養うために不 断の努力が必要であることも痛感しております。今回の『人権研究』が少しでもその課題に応えるも のになっておれば幸いです。また、皆様からの忌憚ないご意見、ご批判をお待ちしております。

参照

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