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(1)5‑308. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 新幹線における防音壁の弱点箇所と疲労を考慮した対策 東日本旅客鉄道(株). 正会員. 大畑. 公嗣. 東日本旅客鉄道(株). 正会員. 松尾. 伸二. 東日本旅客鉄道(株). 志賀. 学. 東日本旅客鉄道(株). 篠原. 良治. 1.はじめに 新幹線の総合試験線区間では,騒音対策を含めて様々な形式の構造物が建設され, 中でも防音壁はかさ上げ構造など複雑なものが多い.現在,施工後約 25 年が経過 し経年劣化や構造上の弱点も多く,保守管理に苦慮している.こうした現状の中, 通常の維持管理上の対策は実施しているが,抜本的な対策をとる時期を迎えている. 本研究では,防音壁の中でも複雑なタイプを例に構造計算と列車走行時の挙動を 測定し,防音壁の現状を把握した上で弱点箇所を特定した.また,防音壁の経年劣 化と疲労の関係を示し,弱点箇所と疲労の影響を考慮した対策を検討した.. 図-1 逆 L 型(RC+PC 版+透光板). 2.構造計算による弱点箇所の推定. かさ上げ部も含めて一体構造物として所定の剛性を考慮して構造計算を行った.. 3.0(kN/m2). 打ち RC+PC 版の逆 L 型防音壁に透光板でかさ上げしたタイプ(図-1)を対象に,. - -. ボルト部. + +. ボルト部. +. -. 構造計算では標準寸法と実荷重を用いた.また,風荷重と振動・疲労の影響を明. - +. 確にするために,地震荷重等は無視し,風荷重と振動を一括した横方向からの荷重 として設計風荷重である最大 3.0kN/m2 が作用するものとして計算した.. - - +. +. 外側から. -. +. 線路側から. かさ上げ部中点. 凡例. ▼. 度計を取り付け,列車通過時の振動加速度を測定した.測定された振動加速度と所. V3. ▼. 列車通過時の防音壁の挙動を把握するため,図-3に示すような各点に振動加速. 防音壁外側中点. V2. 3.実使用状態での弱点箇所の特定. 壁面中点. ▼. 構造上の弱点箇所になると推定された.. ▼. V1. 袴ボルト部および防音壁の根元部でモーメントの変化が生じ,応力が集中するため. 透光板中点. 図-2 横からの荷重とモーメント分布. 計算の結果,図-2に示すように,風荷重の向きの変化により透光板の根元部,. セン サー 加振点. ▼. 定の剛性を考慮し,算出されたモーメントの変化を図-4に示す.これより実際の. 張出スラブ中点. V4. 使用状態においても,透光板の根元部,袴ボルト部および防音壁の根元部でモーメ. 図-3 センサー位置と加振位置. ントの変化が生じていることが確認された. これは,図-2に示す構造計算で得られたモーメント分布とほぼ一致しており,. 透光板根元部. 構造計算と実測の両面からこれらの箇所が弱点箇所になると特定された. -10. 4.防音壁に作用する外的応力 防音壁の各点に作用する実応力値について,インパクトハンマーにより図-3の 各点を加振し,その加振力により式-4.1 を用いて FFT 解析を行った.. F = m ⋅ a , F ′ = m ⋅ a′. より. F =. a ⋅F′ a′. (式-4.1). -10. ‑613‑. 0. 10. 図-4 加速度モーメント(m2/s2). キーワード:新幹線,防音壁,維持管理,経年劣化,疲労 TEL 048-643-5799. 10. 袴ボルト部. a’:ハンマー加振加速度(m/s2) ,F’:ハンマー加振力(kN)とする.. 埼玉県さいたま市大宮区錦町 630. 0. 防音壁根元部. ここに,F:作用荷重(kN) ,m:防音壁の仮想質量 ,a:実測振動加速度(m/s2) ,. 連絡先:〒330-0853. -3.0(kN/m2). -. 本研究では,潜在的な弱点箇所を特定するために,最も複雑なタイプである場所. FAX 048-649-3877.

(2) 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 表-1に各点の最大荷重を示す.透光板,袴ボルトおよび防音壁は,当初設. 表-1. 計では風荷重 3.0kN を最大として計算していたが,実際はかさ上げの影響によ. 測定部位 透光板. り,列車通過時の風圧・振動による荷重は設計荷重を上回ることがわかった. そのため,各部材では設計条件よりも厳しい応力状態であると考えられる.. 各点の最大荷重 実測荷重 ( kN). V1. 袴ボルト. V2. 4.8. 防音壁. V3. 6.4. 張出スラブ. V4. 18.0. 5.防音壁の各部材力. 設計荷重 ( kN ). 備考. 3.0. 風荷重 列車振動. 25.2. P- 19. 8.1. 表-2 弱点箇所の部材力の検討 弱点部位(部材). 各部材に作用する応力と耐力を表-2に示す.静的応力状態では実応力が部. 透光板根元ボルト. 材耐力を下回っている.これは,当初設計が許容応力度設計法であり安全率が 大きくとられているためである.しかし,実際の使用状態である動的応力状態. P C 板 袴 ボ ル ト *2. 防音壁根元. 欠損が発生し,劣化の進行が一元的でなく部材の疲労程度も異なるため,断面 欠損率を考慮し実応力状態での疲労解析を行った.. 鉄筋. 実応力 ( N /m m 2 ). 部材耐力 ( N /m m 2 ) 235. 引張. 145.0. 引張. 70.0. 226. 引張. 78.0. 190. 圧縮. 15.0. 27. : S U S 3 0 4 - M 1 2 × 6 0 , * 2 : オ ー ル ア ン カ ー B - M 1 2× 5 0 , * 3 : S D 3 4 5 , D 1 3 , * 4 : 普 通 コ ン ク リ ー ト. 防音 壁の 片側 の欠損 率. 40. 鉄筋の欠損率(%). ここで,場所打ち RC 部では,鉄筋の腐食やコンクリートの劣化に伴う断面. *3. コ ン ク リ ー ト *4 *1. を想定すると,設計荷重を上回る荷重が繰り返し作用し経年劣化も進行してい るため,風圧・振動による疲労の影響は非常に大きいと考えられる.. *1. 30. 無疲労 30年疲労 1 0 0年 疲 労. t=0. 20. 危険域. t=30 t=100. 10 安全域. 0 0. 6.場所打ち RC 部の疲労. 10. 20. 30. 40. 50. コンクリートの欠損率(%). 実測した応力を用い,鉄筋とコンクリートの断面欠損率を考慮して防音壁の. 図-5 安全率 1.3 に達する劣化状態 160. D13 200@15. 疲労解析を行った.解析は式-6.1 の鉄筋の疲労式(コンクリート標準示方書). ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. 3,000. 16 128 16. 5‑308. を用い,経年劣化が進行した状態での防音壁の安全性の変化を示した. 10. (式-6.1). 16. , α= 1.0・(0.82-0.003φ). 13. 凡例.  σ   10α  f s = 1901- s ・ k  /γs fu   N  . コンクリートの断面欠損. (単位:mm). 50. ここに,σs:鉄筋の永久応力度(N/mm2),fu:鉄筋の設計応力度(N/mm2),. 鉄筋の断面欠損. 図-6 防音壁の断面欠損. N:経験振動回数 ,γs:材料係数(=1.05) ,φ:鉄筋の直径(=13mm) ,k:定数(=0.12)とする. 図-5に疲労限界の安全率 1.3 に達する経年疲労と断面欠損率を示す.現在に相当する 30 年疲労状態(t=30)の断 面欠損率ではコンクリートで最大 39%,鉄筋で最大 17%に達した時点で安全率 1.3 を割ることがわかった. ここで,図-6に示すような断面を仮定し,疲労破壊の危険が生じる鉄筋およびコンクリートの断面欠損率を 算出した.ここに,かぶり厚さを 10mm,鉄筋の腐食を 50%とし,鉄筋腐食に伴うコンクリートの剥離が生じた場 合を仮定する.この場合,1 スパン(3m)あたりの欠損 1 箇所につき,コンクリートで 0.9%,鉄筋で 1.7%の断面欠 損に相当する.つまり,30 年疲労状態(t=30)では防音壁の根元部で 10 箇所の断面欠損により疲労限界の安全率 1.3 を割ることになる.よって,現時点で防音壁の根元部に 1 スパン(3m)あたり 10 箇所以上の断面欠損がみられてい る箇所では,数年後に疲労限界に達する危険性があると考えられ,早急な対策を講じる必要がある. 7.弱点箇所における対策 透光板の根元部では風圧と列車振動による疲労が考えられるため,ブラケットによる透 光板の制振補強が必要となる.また,袴ボルト部では引張荷重の繰り返しによる疲労が考 えられるため,アンカーボルトよりも確実に締め付けが可能な貫通ボルトへの交換が有効 な対策と考えられる.本構造の要である防音壁の根元部では応力が集中し,断面欠損によ りさらに疲労が進行することも考えられるため,有効断面を維持する補修対策の他,構造 全体の剛性を高め応力を分散させる,支柱の補強等の対策を講じる必要がある.(図-7). 図-7 補強対策の一案. 8.まとめ 構造計算と列車走行時の実応力を比較した結果,当初の設計よりも大きな荷重が作用していることが確認され た.実使用状態では透光板の根元部,袴ボルト部および防音壁の根元部が弱点箇所であると特定された.今後, 弱点箇所には疲労の影響を考慮し,構造系全体の剛性を高め応力を分散する補強等の対策を講じることが重要と なる.特に,防音壁の根元部で鉄筋腐食や断面欠損が進行している場合,早急に対策を講じる必要がある. 本研究を行うにあたり,多大なる御協力を頂きました関係者の皆様方に感謝いたします.. ‑614‑.

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