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輻井県鯖江地方のマラリアについて

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輻井県鯖江地方のマラリアについて

金沢大学医学部細菌学i教室(主任 谷教授)

專攻生 木  水  英

      〃盈。 Kimグjit      (昭和28年2月26日受附)

第1章 緒 言

第2章 調査及び実験方法 第3章 調査及び実験成績

 第1節 幅井県下のマラリア流行朕況

 第1項 昭和21年以前の福井県下のマラリア流行      状況

 第2項 昭和21年以後の編井県下のマラリア流行      賦況

 第3項幅井県のマラリア患者の季節的消長  第2節 シナハマダラカの季節的消長

 第1項昭和14年,15年度の福井県鯖江地方の調

次      査成績

  第2項昭和25年,26年度の福井県鯖江地方の調      査成績

 第3節 シナハマダラカの原虫親和性  第4節 鯖江中学生のマラリア罹患尊卑   第1項 中学生のマラリア罹患状況   第2項 申学生家族のマラリア罹患賦況   第3項 中学生家族の復員者のマラリア罹患状況 第4章 総括及び考案

第5章 結 論    文 献

       第1章緒

 マラリア原虫学の発達は他の原虫学の勃興と 同檬に19世紀末より漸く活発となり,1880年 フランスのC.L. A. Laveranがアフリカの Constantine陸軍病院にて,患者の血液中よリ マラリアの病原体を発見したに初まり,次V・で 1885年イタリー一一のC.Golgiはマラリアの病型 とその病原原虫の癸育との関係を明らかにし,

3種の区別のある〜ニキを提唱した.更にJ.W.

W・Stephensはアフリカでマラリアに感染した 1男子の血液より1916年異常型の原虫を発見し 1922年卵形原虫Plasmodium ovale Stephensと 命名して発表しfz.更にマラリアの伝染経路に 関する研究は:Laveranの病原原虫発見後,17

年目にR.RossがMaDS6nの指導のもとに3

力年闇の苦心の後,Anopheles蚊の中腸の細胞 内にマラリア原虫を槍出し,ヒれとは別にイタ リーのG・:B.Grassiは1898年AnoPheles蚊が

マラリア病原虫の媒介を行うことを立証した.

以上今日知られているマラリア原虫は,三日 熱原虫Plasm・dium vivax(G・翫ssi et:Feretti,

;890),四日熱原虫Plasm・dium malariae

(Laveran,1881),熱帯熱原虫Plasmodium falciparum(Welch,1892),卵形原虫Plasmodium ovale(StePhens,1922)の斗種類にて,すべて An・pbeles蚊により媒介され,分類学的に原虫 数の胞子虫類Sporozoaに属している.マラリ アは欧洲においては紀元前より知られて:おり,

,イタリe・…のTortiが1753年始めてmalariaと 命名した疾病であり,我国にては,古くは衣夜 美(エヤミ)叉は和良波夜美(ワラハヤミ)として 記載され,大宝令く701)には瘡(オコリ)の病名

がつい・てV・る.

 国内におけるマラリアの研究は明治より大正 にかけ領土が広がった関係上,各種マラリアと

[ 106 1

(2)

禧井県鯖江地方のマラリアについて 425

の接触が深まり,都築,宮島,木下等の種々研 究報告がなされ,植.民地政策の重要な役割をな した.特に第二次大戦中は南方方面への膨大な 拡大となり悪性マラリアの有瘍地が多く,ため に軍陣医学上マラリアは重要覗され,各地の土

着マラリアの流行飲況種類Anophelesの種

類及び派遣將兵の感染歌況等々種々貴重な研究 がなされ,將兵のマラリア感染の防遇対策の基 礎を作った.

 しかるに19斗5年絡職と共に割合に短期聞に,

主として南方方面の各地よりの多数の悪性マラ リアの感染將兵が復員するに至り,輸入マラリ アの国内感染による,第一次大守後に見られた 欧洲のマラリアの大流行と同じ千態が繰返えさ れるものと危惧されたものである.

 とtうが幸いなととには,予想に反し僅かの 患者発生を見たのみにて,既に1終息の徴の見え て干たととは,沢田1),大鶴物,水川3)の報告

を見ても明らかである.

 ひるがえって輻井県のマラリアは,以前は国 内で第1位の二二地であり,昭和9年より昭和 13年賦の国内のマラリア患者総数は11万人に て,その内輻井県内の患者数は38000入の最高 であり,県下においては昭和9年より昭和13年 迄の1力年聞の患者平均7727人中,今立郡が 1873人にて最高であり,〜これらの患者発生の中 心地は鯖江:地方とされていた.二二県のマラリ アに関する研究報告は居田4)が鯖江及び武生を 中心としたマラリア蚊の発生について報告し,

山田5)が鯖江地方のAnOpheles蚊の分:布及び その季節的細長を報告しているが,余は先に 1950年,1951年の鯖江地方の蚊の種類及びその 季節的消長C})7)を報告し,更に今回,輻井県の 門前,羽後のマラリアの流行歌況を調査研究し 得る機会を得たのでここに報告する次第であ

る.

第2章 調査及び実験方法

 1)調 査

 マラリア患者の統計に関しては,昭和2年より昭和 15年迄は山田「))の調査成績,昭和21年より昭和26年迄 は厚生大臣富房統計調査部の調査成績を引用し,鯖江 中学校生徒,同家族,及び同家族中の復員者のマラリ ア罹患状況はBoyd 8)の法に雷L、,(1)生徒の病歴

(2)マラリア歴(3)家族の朕況として,職業,生 活程度3家畜の種類,現佳所に移佳してからの年数,

家族の年齢別員数(4)昭和23年迄の家族のvラリア 歴(5)昭和24年度の家族のマラリア罹患肌況(6)

昭和25年度の家族のマラリア罹患状況(7)昭和26年 度の家族のマラリア罹患状況(8)復員者の外地居佳 地名,復員の年月日,外地勤務申のマラリア罹患朕 況,内地帰還後のマラリア再発IIN況,を調査し,更に

(2),(4),(5),(6),〈7),(3)についてはマラリア

治療剤を服用したか否かにつき各人に調査表を配布 し,対象人員8297名について昭和26年9月末に調査を 行った.

 2)三州方法  実験対象

 鯖江中学校生徒,1178名を実験対象とし,原虫の検 出には耳朶を穿刺し出血せしめ,血液塗抹標本を作

り,乾燥,アルコール固定,Giemsa染色法を行った 各人の身体検査を行い皮膚の色,貧血の程度,脾腫を 橡噂し,脾腫の測定はBoyd 8}の法に從つた.

 Anophe]es蚊の探集方法及び種類の決定

 昭和25年度は6月27日より9月30日迄,昭和26年度 は6月10日より10月10日陰の期間中に鯖江中学校第3 学年生徒100名に依頼して,鯖江町を中心とする東西 約10km,南北約8kmの範囲内の1町44部落(第1,

3図)を戸数面積に比例して,探集人を李等に分散配 置し,日没後30分間の間,吸虫管にて,人家内に侵入

している蚊を毎週土曜日に探集した.種類の決定に は,山ロ,:La Casseの「日本及び朝鮮産の蚊の図鑑」,

佐々の「蚊を調べる人のために」,及び徳永の「医用昆 虫学,上巻」を参考にした,

 AnOpheles蚊の剖梅

 昭和26年,昭和27年の6月より7月迄の期聞中に探 集したAnopheles蚊の吸血直後の蚊を除き,:至:部剖 検した.先ず捕獲したAnopheles蚊をエーテルで殺 し,腫の決定をなし,解剖実式9)10)に基づき中腸(胃)

より06cyst(卵嚢体),唾腋腺よりSporozoit(鎌骨 体)の検出を試み,Giemsa染色を行い樵査した.

[ 107 )

(3)

第5章調査及び実験成績

第1節 福井県下のマラリア流行歌況

 第1項昭和21年以前の暦仁県下     のマラリア流行歌況

 輻井県の・マラリアは国内において当時,沖 縄,滋賀,愛知各県と同様土着三日熱マラリア の浸淫地として数えられていた.ヒれを詳しく

第1図 幅井県鯖江地方略図

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第2図 浅井県のマラリア患者数    (昭和2年一昭和15年)

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第1表 幅井県のマラリア患者数    (昭和2年〜昭和15年)

年二二1年

:昭 2

  3   4   5   6   7   8

1  9

8950i昭

sg66 1 9263 9794 9840 9875 9269 7970

10 11 12 13 14 15

患者数 8287 1980 7751 6738 4743 2616

計1120421

第2表 府県別マラリア患者数   (昭和9年〜昭和13年)

1府県別

福 滋 愛 沖 富

井 賀 知 石  川

儲数1騨別

   Il

   F 患者数ト

38629i高剣OS9・1

30415i北海道 7S3 1

11163 i愛    緩     515 1

110221栃 木 367i 72041その他 4846

   i

5983Il総計

111856

統計により観察して見るに昭和2年より昭和15 年迄のマラリア患者は第1表,第2図の如くに して,昭和3年より訳第に増加し,昭和7年は 9875名にて最高数を示し,次第に減少し,昭和 14年よりは急激に減少している.

 この14力年間の患者総数は112,042名である.

昭和9年より昭和13年迄の全国のマラリア患者 i数は第;2表の如くにして,総it数 111, 856町中輻 井県は38,629名にて,全国の34.5%を占め第1 位であり,全国のマラリア死亡者総数は489名 にて,その内輻井県は、87名にて17.8%で沖縄に 次いでいる.次に幅井県下の郡別の患者発生数 を昭和9年より昭和15年迄の7年聞の統計より 見るに第3表の如くにして,曲折地域の今立,

南条,丹生,足羽,吉田,大野,坂井の各郡及 び幅井市は領南地域の遠敷,三方,敦賀,大飯 の各郡及び敦賀市より患者数が遙かに多く,特 に領導地域の今立郡はその患者数が目立って多 い.人口1000人に対する罹患数は今立郡29人,

南条郡19人,足羽郡13人となり,今立郡におい ては,鯖江町を中心とする近郷が最:も患者が多 い.ヒれを地形的に見ると,領北地域は海岸線

[ le8 ]

(4)

福井県鯖江地方のマラリアについて 427

第3表 輻井県各郡のマラiJア患者数     (昭和9年〜昭和15年)

「\年IHa−Ji・n 9 ・qii昭和1・年1昭和11年1昭和12年1昭和・3年 郡上市ト 一一一一一一一

今立郡i1873 南条郡L1037 丹生郡11204 足朋郡!598

吉田郡   512

大野郡1741

     坂 井君K ,  771

遠敷郡   23

三方君ピ 63

敦賀郡   112

論難lg9;

敦賀市1 35     L

1912 1058 1383 554 529 838 796  17

114 100

 8

942  36

1891 973 1165 653 520 689 858  18

136  86

 7

958  26

1805 1141ii3s 1

::; il

zxg l

72 1 161 1 6、旨  6 i

854 i 4S i

  d

l

rigg4

1i ss3  1033 552 399 425

600 幽

33 110 54  0

71Jr

50

1873 1e12 1188  589  493  682  734

 32

 116

 82

 6

 878

 42

三二稗4平和、副

1947 , 984 i 1149 i 523

920 i 568 i・

523 178 1

 94 175

 46 i O

i4

@ii

7i 31

 1 i 3 1

 30 22 i

 8    1 204 1 116 1

 70 42 i

7970 1 s2s7

798・775・673巨1772714・4引1酬

が短かく且つ海岸よりの奥行も深く,水田地,

河川の流れが多い(越前丘陵低地帯).領南地域 は海岸線が非常に長く,奥行も短かく帯状をな し,水田地,河川は二二に比して極めて少ない

(湖北山地,若狭山地).今立郡の地形並びに気 候的変化を概読すれば,今立郡は輻井県の第3 位の面積を有し,郡の北,東,南の三方は山嶽 重盤し(加賀山地,越美山地),西部は李甥にて 山地は全面積の%彊を占め,海岸線より約5里 の距離にある.河川の長大なものは日野川にて

第3図輻井県地形図

西部は南条郡の板取川と白鬼川との合流に始ま り,武生市,鯖江町を北流し,一方北i新庄村,

旧,新横江村(現,鯖江町),中河村を通り北流 する浅水川と合流し,上池田より幅井市を通る 足羽川に入り,後,九頭竜川と合流して日本海 に流れる.気候は塞暑とも甚だしくはない,風 は概して冬は西北の寒風強く,秋は西南の暴風 が時々あり,雨量は常に多く,特に五月雨,十 月雨は長い,漁度は大にして冬は陰幣である.

(第3図参照)

       第2項昭和21年以後の          輔井県下のマラリ

工越麺叱 F囑山t巴 亜鱗蹴・同苗

w邑胡二し1」tし マ蕗換己・itし

》識騨轡

   v  A L

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      弄 」9      ノ

黒こ:マ5リァ言t■sきPl Xe ・eπeL

     アの流行歌況

 第二次大職後の国内のマラリアは 国内の混乱,衛生思想及び生活程度 の低下と相通って:,外地引揚者の輸 入マラリアを感染源とする第一次大 職後にお・ける欧洲のチエゾコスロバ キアに見る如き大流行が予想されて いたにも拘わらす,僅かに引揚者の マラリアの再発を見るのみにて,と.

れも衰退の徴を示した。この原因は 内地の気候的関係によるものか,輸

[ 109 ]

(5)

入マラリア原虫の日本産Anophelesに対する 親和性の少ないためによるものか,將叉日本産 Anophelesの生物学的な変化に基因するものな るか,種:々原因が考えられるが,詳しいことは 第2章第3節及び第4章にゆする.

 昭和21年以後の輻井県下のマラリア流行歌況 は全国的なマラリア患者の減少と李齢して顯著 なる減少を示している,これを人口10万人に対 する罹患率より観察するに第4表の如くにし て,各年度とも滋賀県が群を抜いて多く,輻井

県は昭和21年,17.3,昭和22年,10.0昭和23年.

3.5にて全国の罹患率より少なく,昭和24年は 4.3にて全国の罹患率より梢ミ少なく,青森県,

鳥:取県と同率にて第3位であり,第1位の滋賀 県の瑳5である.昭和25年度は全国の罹患i率 1・2の約2倍の28にて第2位であり.滋賀県の

]/12である.昭和26年度は:全国の罹患…率05の 約2倍の1.2にて第4位であり滋賀県のt/9であ る.とれによって見るに輻井県のマラリアは昭 和13年迄は日本国内において滋賀県を凌ぐ最も

      第4表

藁ミ躍罹患率

福井県    f富山県l 石川県 滋賀県

昭和21年以後のマラリア患者数 (人ロ10万に対する罹患率)

昭和

22年

春副羅

全国2821・1(44・7)i・・8251(15・・)

104 200 340 2036

罹患率

1il…1…灘…i燭i;ii

(254.5)1 1gglii (235.1)  2258 i (282.2)

昭和

24年

罹騨羅

37P6 1 舅1

18ni

(4.5)1 1014

11:;;霞1

(1.9)1 15 1 2200 i (246.0)1 291

罹患率 26年昭和

一一一一rr}一 一 

  t

(1 .2)

(2.8)

(1.3)

(i.6) 1

(33.8) 1

476  9  5

    罹患as 1

浸淫を極めた流行地であったのであるが,何ら かの原因により全国の罹患率と略e等しい程度 に衰退じたわけである.

    第3項廓内県のマラリア

      患者の季節的消長

 マラリアがAnopheles蚊により伝搬される疾 病である以上,マラリア患者はAnol)heles蚊の 消長と挙行して上長を示すtとは当然である.

 蚊の消長は季節的影響特に気温に左右される ことは極めて多く,輻井県鯖江地方における余 の昭和25年,昭和26年の調査成績fS)7)では,4 月初旬にAnOpheles蚊の越冬成虫の覚醒が始ま り,次第に」雪加して6月,7月が最:も多く,8 月は酷暑及び降水量の減少のため一時減少し,

9月に入り再び増加して,10月初旬に人家内よ り忘失する.勿論これらの消長の闇には小さな 増加の山及び減少の谷が存在する.而して蚊の 消長に関しては他方,蚊の産卵及び壽命等の生 理的性歌も要因として重要である.即ち柴田11)

水川12)によれば蚊の成.虫の捕獲数の浩長と,同 一場所の幼虫との消長を調査して,蚊は一斉産

13 i

 t87

(O.6)

(1.2)

(O.5)

(1 .4)

(10.1)

卵を繰返えすものとなし,シナハマダラカの自 然向勺な:再三存ま当讐田13)ヒこよると6〜7月は気温

23.5〜・29.0。C, 斗鯉…1斐  86,9〜765ρ6におへ(ては

3〜4週間なりとなしている.且つ柴田恥によ るとマラリア新感染者の発生数は屋内で採集さ れる成熟しtc Anopheles雌成虫の週期的動揺よ

りも約4週間おくれて,よく似た消長を呈する 事実を指摘し,そのマラリア流行学上の意義を 強調した.

 一方マラリア患者の発生には次の事項が挙げ られている.

 蚊の密度 入間 1人に対するAnOpheles蚊の 來置数で現わし,Rossは1人1ヵ月40匹以下 ではマラリアの流行は成立しないとなし,とれ

をマラリア保持限度(malaria 111aintaill Iimit)と 称し次式で計算している.

 30x(1人当り1日4s均蚊数)=1人当り  一一藪糠油産1存iHl数   『  30日間の蚊数  自然感染…率 蚊のmalaria plasmodiumによ

る自然界における感染率にて中腸に卵嚢体

(Cyste)の初期形成を見ても唾液に鍬犬体

[ 110 ]

(6)

福井県鯖江地方のマラリアについて 429

(sicbelkeim)の出現しなV・限り感染は不可能と されており,蚊の体内の発育最低温度はGras si によると三日i熱原虫においては17.5。Cといわ れ,Janscoによると三日熱,四日熱,熱帯熱の 3腫のマラリア原虫の最適温度は22〜30。Cで あるとなし,Grassi, van der Scheerに二よると:

吸血後2日聞は少なくとも20QCにあえば10〜

15。Cに気温が低下しても発育を継続するが,

15。C以下では全く胞嚢形成はしないとなして

V、る.

 幅井県の気温並びに降水量は第5表の通りで ある{輻井測候所成績vaよる).即ち,5月は原 虫発育最低温度よりは僅かに低いが,6月より

9月迄は発育可能の温度であり,特に7月,8 月はJanScoのbう三日熱,四日熱,熱帯熱原 虫の発育最適温度領域に含まれる.Glll ls)のマ

ラリア流行学的に分けた気候型によると拠金県

は亜熱帯性マラリアに属し,との気候型は三日 熱マラリアは秋季に顯著に出現し,春季(4月.

5月)に再び第2回目の租it低度の流行があり,

熱帯熱マラリアは年1期流行で夏季(8月,9 月頃1に急激な流行の極期を示すとなしている.

 人的要因 マラリアの冤疫16)には自然冤疫,

自力耳管及び受身冤疫が存在し,自力琵疫は感 染中に量疫を獲得し(Sinton, James, Ciunea,

Boyed),再感染の予防をなすものにて,原虫を 破壊叉は原虫の生活力を減退し症歌を変化させ る(Russell, West, Manwoll).自然冤疫は浸露 地にむいて存在するが,自力琵疫よりは遙かに

少ないとされ,更に晶晶体を有する他の個体の 血清を注射することにより獲得する受身冤疫も 存在すると考えられている.

 次にマラリアに対する感受性は性には関係な く,底本來人種及び年齢に無関係であるが,し

第5表 幅井県の平均気温と降水量 (福井測候所)

!\年一

i月\■気

昭和ユ4年 昭和15年

測鰍則気劃降輝

5 6 7 8 9

16.7 21.7 27.6 26.4

55.0 [ 16.5 86.1 1 21.2 40.2 i 26.2 84.0 i 25.0

67 .0

114.1 206.3 72.4

昭和25年 昭和26年

気浬−

漉ハ気測降蝿

17.6 20.4 25.7 26.6 23.0

   98.4 1 16.5     75.5 221.0   20.9    ユ21.2 102.5: 24.1   278響1 144.5   27.1     12.9 ユ56.6 i 20.3    103.O    l

気温(。C):月李均.降水量(mm) 月の総計 かし人種的に,或いは年齢的に罹患率の多少の

あることは事実にて,liれはマラリアの冤疫に 関係するものと考えられている.概してマラリ ア浸淫地に居物する人種の泰阜は軽く,小見の 罹患率は大きいとされている.KOuri 1 りによる

とキューバーにおいセ土着の土人は白色人種よ り遙かに罹患率が少なく,症1伏も極めて軽く,

ネグロ人においては重症患者は見当らなかった と報告している.

 潜伏期 初感染患者の症}iR ft現わす迄の期闇 と第2回目以後の熱発迄の二通りが考えられ,

患者の個人的差異,マラリア冤疫性の程度,蚊

の刺理数の多少,蚊の休内のマラリア原虫の発 育状況,原虫の種類,感染め時期等に左右され る.一般tc初感染患者は再感染患者より潜伏期 は短かく,蚊の刺整感染は人工接種感染より潜 伏期は長bとされJamesの三日熱マラリアに ついての実験によればその潜伏期間は

  既往症 蚊の刺整感染 人工接種感染   再感染      18日       18・7日

  初感染   14日     11日

とされ既往症の有無により明瞭に異なり,

Grassi, Bastianelli, Bignami, Manson, Jansco,

石井等の試験では三日熱は11〜19日聞,熱帯熱

[ 111 )

(7)

は9〜12日闇,人工接種感染では,Malmaberg は三日熱は挙均11日,四日熱13〜14日聞,熱帯 熱5〜6日間といっている.叉時に自然感染の 場合,長i期潜伏が見られ,数ヵ月〜1〜2ヵ年

に及ぶときがあり,春季の三日熱マラリアは,

前年秋の感染が越冬して発病を見るものと考え

られる.

 感染予防のための内服をしてむつた場合は,

London, K:anee Schoder, Most i6)によると三 日熱マラリアの初感染患者101例中発病迄の挙 均日数は41日聞にて,短かいものは3日,長iい

ものは104日であったと報告している.

 輻井県におけるマラリアの季節的な消長を昭 和14年忌成績と昭和21年より昭和26年迄の6力 年間の届出患者数とを見るに,第6表,第:4図 の如くにして,マラリア患者の発生は年中見ら

       第6表

i∵\いレ

      ロ  け     

 昭和14年

    輻井県の月別のマラリア患者数

    341S61789回11い21計1

12 1・5;6129巨6gi67卿r[1塵91型匹k幽143281

昭和21年

  22年   23年   24年   25年   26年

 1   !

3i 21 4

i 1i

  1  :

   1

ii  Q1 11 i

Tう山国

1 3 3

 30 i 6 11i 9  6 4 4!:lli ,1

一一一一一1

271 g1221 71 s

14 ,12 i 8 ・

矧il

  ・回

(  計コ21年後)15 7 i, 21 1 ss i 4g 1 47 i 31il 1 22 1 14

9i 3

[i 31 1 3

b

 E

1illgl

 i   ・ 1 1 251

 1321

        ら

4}21}

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6  274

第4図幅井県のマラリア   患者の季節的消長

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れるが,特に5月頃より患者の増加を認め,6 月,7月,8月が多く,9月より減少し始め11 月より翌年の4月迄は少ない.昭和14年の成績 では酷暑期の8月に最:も多く,次に9月,7月,

6月の順である.10月より翌年の4月迄の患者 は特に少なく,とれらの患者は気温の関係より 見て,特別に潜伏期の長いものを除いて,大多 数は再発患者と思考するのが適当である.昭和 21年度にわいては,6月より7月に亘る高い山 があり,との患者激は,その年の54%にも及 び,8月に著明に減少して9月に叉増加してい る.昭和22年度は6月,7月,8月に多く,昭 和23年度は5月,6月に,・昭和24年度は7月,

8月に多く,昭和25年度は目立って多い月はな く,全般的に少なく,昭和26年度は8月に多く 見られた.

  第2節 シナハマダラカの季節的消長   第1項昭和1八面,15年度の耐井県       鯖江地方の調査成績

[ 112 ]

(8)

編井県鯖江地方のマラリアについて 431

 山田・5)の昭和14年,15年の元鯖江陸軍:病院及 びその付近の衛成地における調査によると第7 表の如くにして,昭和14年の元鯖江陸軍病院内 においては,7月Anophelesは全体の蚊の63

%,8月68%,9月17%にて,輻井市内の捕獲i

成績と比較して,右前市内には家蚊が最:も多 く,Anophelesは鯖江付近が最も多いとなし,

その種類はA.hyrcanus var. sinensisシナハマ ダラカ1種なりと報告・し,昭和15年度に,おや・て

は5月31日,より9月2日迄に元鯖江陸軍病院

第7表 昭和14年,15年のシナハマダラカの消長   (採集時間午後6時より同9時迄)山田淳一一

探集場所 i

探集年月日 シナハマダラカ  (o/o) 家蚊(%)

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103( 8.2)

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152(16.5)

743(53.8)

1763(72.4)

450(41.7)

701(41.5)

904(41.0)

454(31.5)

230(30.9)

280(92.7)

419(92.2)

767(82.4)

616(44.7)

648(26.6)

353(32.7)

581(34.4)

865(39.2)

522(36.2)

175(23.5)

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11( 1.i) i 19( 1.3)

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405(24.0)

433(19.6) 1 464(32.2) 1 339(45.5) 」

におヤ・て,10日毎に10回採集して,Anophelcs 5424匹を捕獲し,7月10日に最も多く1763匹を 捕獲し,一時減少して8月12日に90斗匹を捕獲

し,6月20日より7月22日に亘る高い山と,8 月12日より8月22日に亘る低V・山を作ってい る.而して7月!O日は全体の蚊の72%にて,6 月下旬より8月上旬迄は41%を下っていなV・.

 部落別の成績は中河村6月57%,7月44%,

豊村6月61%,7月49%,鯖江町村部(旧,新 横江村)6月54%,7月37%,鯖江町6月37%,

7Jj 3斗%となっており,綜合して6月下旬に Anophelesの増加が著明となり,7月上旬 An⑪phelesは最大率となり,全島数の60%を占 め,7月中旬より9月上旬に亘り 40%,9月著 明に減少し,10月上旬姿を浩すとなしている.

 厩舎では8月27日より9月9日迄の成績では 全体の86%において,牛舎では:7月94%,8月 30日より9月11日迄の成績では:95%において Anophelesが占めると報告している.

  第2項昭和125年,26年度の三井県       鯖江地方の調査成績

 余の昭和25年度6)の6月27日より9月30日迄 の日渡後,人家内での調査によると,AnOpheles は2種類にて,A. hyrcanus var .slnensisシナ ハマダラカとA.3illeroidesエセシナハマダラ

カとであり,シナハマダラカにつbての成績 は,第8表,第5図の如くにして,捕獲i総数は 雄49匹,雌542匹にて6月下旬より7月上旬迄 が最も多く,7JJ下旬と9月下旬との3個の山 を認め,春季にお・けるAnophelesの覚醒歌況

[ 113 ]

(9)

は4月初旬に既に成虫の人家内における散発を 認め,10月に入り人家内より消失しているよう である.シナハマダラカの百分率は7月が最高

に.て18.4%であり,他の月は極めて低率であ る.捕獲数より見ると山麓地が最:も多く,次に 水田地,市街地の順である.

地  域

     第8表 1950年の鯖江地方の蚊の浩長

全地域  市街地  水田地

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 なおシナハマダラカの山羊の嗜好性の調査の ため山麓地の一民家と同家屋に接する山羊小屋 内にて,全く同一条件にて採集した成績を比較

して見るに第;10表の如くにして,山羊小屋内に ては捕獲i総数579匹,人家内にては245匹にて 前者は後者の約2.3倍であり,その溝長は大体 人家内の発生消長と平行し,人家内では6月シ ナハマダラカは25.9%,7月51.6%,8月3.2

%,9月24・3%を占め,山羊小屋内にては6月 73.7%7月77.4%,8月1L7% ,9月24.2%

にて,6月及び7月は殆んど本山にて占められ

てV、る.

 昭和26年度7)の6月初めより10月10日迄の探 集成績によると第9表,第5図の如くにして

Anophelesの種類はA. hyrcan ls var. sinensis のみにて,全期問中に雄24匹,雌246匹を捕獲

17.1 20.1 18.4 16.3 7.9 1.9

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し,各地域とも昭和25年度の約置数であり,そ の季節的な消長は,大体昭和25年度と同一にて 6月下旬より7月申旬に亘る大きな高い山を作 り,8月は増加の山はなく,9月になり低い山 を作った,シナハマダラカの百分率は7月最高 にて23.4%を占め,他の月は極めて低率にて,

10月は捕獲されなかった、捕獲数より見ると昭 和25年度と同様,山麓地が最も多く,次に水田 地,市街地の順である.

 次に.本調査範囲内における家畜の飼育歌態を 町村別に調査するに第11表の如くにして,犬,

兎は町部に多く,牛,馬,鶏,猫,あひる,山 羊,豚は村部に多い.家畜とシナハマダラカと の関係は種々報告があるが,舎内での成績では 山羊,馬,牛の如き大哺乳類に著い(嗜好性を 有しているといわれており,余の蚊の探集を依

[ 114 )

(10)

編井県鯖江地方のマラリアについて 433

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頼した100家庭の人家内での捕獲成績による と,第12表の如くにして,牛を飼育している家 庭が11家,何ら家畜を飼育してない家庭が24家 にて,一家庭の捕獲数の不均は前者は後者の約

2倍の成績を示した・

  第3節 シナハマダラカ      の原虫親和性

 Rossのマラリアの蚊媒介説は 明治30年にあたるのであるが,我 国にても当時既にマラリア伝搬に ついての研究に着手され,都築は 北海道の函鮪にて,A.sinensisと 三日熱との関係につき報告をな

し,次いで明治36年に宮島が京都 近郊の淀において研究をなし,日 本内:地の三日熱はA.sinensisに

より伝搬されるととを証明した.

台湾にむけるマラリア蚊の研究は 木下が明治37年に7種を発見記載 し,羽鳥は更に新発見種:を加えて 9種とし,小泉は昭和2年に12種 なるも,確かに同定しうるものは 9種なりとし,森下は台湾産マラ リア蚊を15種なりと報告している 内地にお・hて山田は,A. iindesaii var. japoni(uf Yamada, 1918.

A. hyrcanus var. sii ensis NVieder−

mann. 1828. A. koreicus Yamada   

et Watanabe, 1918. A. sineroides Yantada. 1924. A. edwardf i     1

Yamada,1925.の5種を同定1し,

この内マラリアの伝搬性のあるも のは,A. hyrcanus var. sinensisの

みにて,内地では三日置,台湾で は三日熱と四日熱,馬來や蘭印で は各種熱,支那では三日熱は確実 であるが,四日熱では両説がある となしてV・る.即ち,実験感染i率

(健康なシナハマダラカを実験的 にマラリア患者より吸血させて 起 る感染率)は

宮島(京都)・

木下(台湾)・

三三日熱  60.4%

三日熱43・8%四日熱 6・3%

熱帯熱0%

[ 115 ]

(11)

第5図 シナハマダラカの季節的清長(成虫)

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      第10表 山羊小屋に集まる蚊の生長

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シナハマダラカ

ア カ イ エ カ コガタアカイエカ シロハシイエカ 丁字クロヤブカ そ   の  他

   計 127睡

      百

;ナ鍋㌘窮!4。.711。。。

        :  1

コガタァヵイェヵ 14.814.2 シロハシイェヵ 11.113.4 オオクロヤブカ   01.6

その他7.45.0

   671289i 91

3i26陪i眼

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111 374  1一 1 2e 14[i Oi 211 i2i ii3i i71 471

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穴沢(育湾):三日熱  59・5% 四日熱 16.8%

       熱幣熱 0%

Schwellengrebel(蘭印)=三日熱 28・2〜41%

       四日熱O・8・・》1%熱幣熱3〜3・9%

Ya(,(南京):三日熱 23・1%四日熱0%

       熱幣熱 0%

 自然感染率は第13表の如くにして,シナハマ ダラカは三日熱,四日熱に感受性を有するが,

熱帯熱に関しては多くの場合

.陰性である.ととろがかつて 第一次世界大職後,欧洲にマ  ラリアの大流行を苦した際,

当時のマラリアの伝搬蚊であ  るA.maculipennisをその成

虫の把握器,幼虫第2腹心の 掌状毛,卵の上表面の斑紋等  により,1934年8月,国際連

盟マラリア委員会において,

Christophers(英), Pitaluga

(西班牙),  James (英),

Sergant (ブルガリア),

Schwellengrebel(禾ri蘭)と Hackett(伊), Missiroli(伊)

は1Type と次の4通の変

種, .艮Pち atroparvus (傷f vatl Thiel), messae (ef Falleroni 1924), labranchiae     (イヲ}

Falleroni 1924), melanoon

(伊Hackett, Missiroli 1930)

とに分類するヒとを決定し た.ヒれらは吸血の習性を異

 にし,:或いは:人聞より (lab−

ranchiae),或いは家畜より

(Type, messae, melanoon)吸 血するも¢)と報告した.A.

hyrcanus var. sinensis セこつVO

ても1936年Baisas, H u等は 比島において支那産の本種卵 を集め,その背面の広狭から 本種を基本型,var. pseudosi−

nensis及びvar. lesteriの3 変種に再分類するヒとを提唱した.更に大副η

は1947年9月に幅岡 市箱崎で初めて,var. Ie}steri

型を発見し,続いて長崎,熊本,鹿見島からも 発見して,基本型の外に1esteri型を分離すべ きだと提唱した.宮崎1・ )はし1950年,九州八代市 内にて,var. sinensis , var lesteriと卵の表面及

び成虫の腹板の明斑,触髪の白帯等により明ら

g 116 ]

(12)

禧井県鯖江地方のVラリアについて os5

第11表町村別に見た家畜の飼育欺外

画村 町旨い・騰の鞠

世帯数

人  数

 牛  馬  鶏  犬  猫  兎 あひる

山  羊

 豚

628 3987 105

 7

2431  69

273  28  57

 9

 1

S27 1農村:町部

3075  23

 0

604 112  97  34  ユ3

 0  0

ト  ロロ

1  63  1.69

1

1 0.11

!39.20 1、.、1

! 4.40 1 0.45

1

1 0.91 i・.1・

i o。011 i    l

 58

0.44

 0

11.61 2.15 1.86 0.65 0.25

 0  0

り熱帯熱がlesterS型に陽性であり, i基本型に 陰性であると報告し,なお三日熱にむいても lesteri型に少しく感受性があると報告して,我 国の職後見られた熱帯熱の感染はvar. lesteri により媒介されたものと思われると報告してい

る.輻井県下におけるvar. lesteTi型の分布歌 態については未だ調査報告がない.

 輻井県鯖江地方のA.hyrcanus var. sinensif の自然感染…率は,昭和26年,,27年のマラリア患 者の発生期と思われる6月〜7月の時期に,昭 和26年・度は113『匹,昭和27年度は111 匹につい て中腸内の06cyste(卵嚢i体)及び唾液腺中の Sichelkeim(鎌状休)の検出を試みたが,いす         れも陰性であった.現在内地   第12表 家畜を有する家庭の家屋内でのシナハマ

     ダラカの捕獲数 (100家庭)昭和26年調査

家畜の墨家rM,数!一筋鑛ラー」誘誓言愈遜       i 6 9  !  6 9

 牛  鶏

犬, 猫

11 38 27

6 10 6

23 100 74

O.54 2.09 0.26 2.80 0.22 2.74

繕のな駅刻24

3 34

かに異なる一一新変種を発見し八代型として報一晒 した.大治17)は南支那にむいて,吸血試験によ

O.12 1.4t

で唯一の流行地である滋賀県 彦根市にむける森下19)の昭和 25年度の調査成績も陰性であ ると報告され、てv・る.1939年 山田5)の輻井県の調査成績で は,7月に0.4%の自然感染 雍を見たと報・出している.こ れは昭和14年の幅井県下のマ ラリア患者数は4743名にて,

全国で最も激しい流行地であった時の成績であ

る.

 研 Feng

Kaw

Yao Jacksan Jackon 穴 沢

   第13表

究 者 陽 所

   (1932)  臭    薯松

   (1933)南京   1(・934)i南 京   !(1934);プ・竜

  博934)1九 竜

       

  1(1937)1台 湾 山田・黒川

山田・黒川

山田淳 森 下 木 水 木 水

A.hyrcauus v. sinensisの自然感染牽

   自然鰍誌面は

蚊の総数   率(%)

       i唾液腺  464 0.431胃

 1200    0.41  ・胃  6455  i O.09   胃

         21;創 28

         2462 i O.81

i (1939)i戴家山 40110.25

耀儒塑lll l:ll

[ (1950)1彦 根 

89  0

1(1951) 1鯖    江    113       0 1(1952) 1鯖    江    111      0

;     1

口両 1両i二

方i  l

:唾液腺i

・胃

1両 1両

:両 方 方1

      一一一i 調 査 時 期 8月 7〜9月 9〜10月 1年襲爵(流行地)

1年4s均(散発地)

1年干均 7〜8月

9〜1エ月 7月 8月 7月

方i6〜7月

目 117 )

(13)

 更に余は昭和27年7月7日より発病せる三日 熱マラリア患者の周囲に集まるA,hyrcanus

var. sinensis 11匹を発病の日より14日間の間に       の捕獲して,蚊の体内のマラリア原虫の槍出を試

みたがいすれも陰性であった.とれを今少しく 詳面するに患者は37歳の農婦にて,小見期は度 々三日熱マラリアに罹患したが,最近10力直面 はマラリアの発病はなかった.昭和27年7月3 日女子を分娩し,7月7日に突然悪鳥島影があ り高熱を発し,7月9日に同様な発作が起つ た.直ちに末梢血管血液の塗抹標本を作り,

Giemsa染色により原虫の溜出を行つ:たと〜二ろ,

三日熱原虫が陽性であった.よりて経過観察の 目的にて,藥剤の投与を行わす,患者の周囲に 集まるA.hyrcanus var。 sinensisをi発病の日よ

り14日聞毎日捕獲して調査したものである.と ヒうが患者は何ら服藥をしないのに,5日目に 自然的に治癒し,血液中に原虫を見出せなくな った.家庭は貧困にて,8人家族であるが,家

:族内感染は見られなかった.

 蚊がマラリア原虫を撮取してより卵嚢体の形 成を見るまでには約48〜72時聞,唾液中に鎌面 体が出現するまでには約8〜14日間にて,好条 件の場合には4〜5日間の場合もあるとされ,叉 水川20)はマラリア原虫が蚊の体内で発育を完了

し感染可能になるまでの日数は気温28〜30。C におV・て8日間,15〜17。Cにお・いては38剛用 となしている.余の調査期間中は25〜30。Cの 挙均気温を有し,原虫の発育温度としては好適 であった.唯A.hyrcanus var. sinensisの捕獲 数が少ないため確実なことは期し難いが,との 事実より

 1.内地におけるA.hyrcanus var.9. ine ns isは

三日熱マラリア原虫に対して親和性が少ないよ うに思われる.

 2.内地の三日熱マラリアは自然治癒の傾向 を有する良性のもののようである.

 大玉2)も戦後マラリアの流行学的な観察にお いて:,日本産シナハマダラカの原虫親和性は少 なく,自然感染…率の報告も少なV・となしてV・

る.

 第4節 鯖江中学生のマラリ      ア罹患駄面

第1項申学生のマラリア罹患状況  鯖江中学校生徒(昭和13年4月より昭和16年

3月生れまでのもの)1178名につき,昭和26年 7月14日に,第1回,7月17日に第;2回と2回に 分けてマラリアの調査を行った.本人のマラリ ア病歴については9月末に調査表を配布し,昭 和23年迄のマラリア歴と昭和24年,25年,26年 度のマラリア罹患朕況を調査しfc.脾腫牽,マ

ラリア原虫保有率は第14表,第;15表の如くにし て,脾腫率は0.3%,原虫保有…率は0.59%であ り,ヒれを彦根市にお・ける昭和2斗年,25年度の 森下等21)の調査域績と比較すると,脾腫卒,原 虫保有率

第1俵 鯖江中tny校生徒の脾腫率     (昭和26年調査)

1検査、  脾 腫

人数ρ度擁睡粧1

一剰繭丁2 一義一「・一血3617月

e/a

調査 時期

 第15表 鯖江中学校生徒の原虫保有率       (昭和26年調査)

Lu

@1 一

DIL一.  DJ  rl 一一r s U  7L Ml

検査

ネ面購)i o/6調査糊

「呵一 u7一 戟ロ五些〕

    糖対象入曜讐%議の醐

昭和24年小学兇童5656 54 0・954月,5月 昭和25年小学兇弾5685 22 0・3711月,12月 昭和25年 中学校生徒2914 31 1・064月,5月 昭和25年 中学校生徒2940 12 0・4111月     樵査対象 引数 脾腫数 脾腫i率 昭和24年 小学校配意 5654 43  0・76

共に彦根市の調査成績よりは見立って低率であ る.中学生のマラリア罹患駄況は第16表の如く にして,昭和23年迄の罹患率は9.9%,昭和24 年は0.59% 昭和25年は0.25%,昭和26年は

C 118 )

(14)

幅井県鯖江地方のマラリアについて 437

第16表 鯖江中学:校生徒及び同家族のマラリア罹患率

XXX

奄奄奄奄wx.,.

1949年迄 1949年 1950年 1951年

鯖江中学校生徒

調査轍藷劃%

鯖江申学校生徒の家族

樺轍偉才ア1%

1179 1174 1174 1i74 1

117  7  3  5

9.92 0.59 0.25 0.42

7119 7ユ19 7119 7119

275 16 15 12

3.86 0.22 0.21 0.16

第17表 鯖江中学校生徒の地域別   に見たるマラリア罹患率

地 域 町 部 村 部

ラリア患者15名中,

= r一 l)を服用したと報告され,他の8名は服 用しないで治癒したものとなっている.

    第2項 中学生の家族のマラ         リア罹患状況

0.42%であり,彦根市の1950年の 調査によると中学生2914名中・マラ

リア既往者は544名にてユ5.2%で あり,鯖江中学校生徒の罹患率よ

り大である.

 罹患1伏況を町村別にして見ると.

第17表の如くにして,三部の罹患 率が大である.

 鯖江中学校生徒の3三年闇のマ    7名はマラリア治療剤(キ 調査

人数 546 628

/949年

2 5

1950年

1 2

1951年。/o 2 1 5 IO.91

3い… 59

第18表 復員者のマラリア再発歌況

方面別

ソ  聯

(満 洲)

人数

21

朝  鮮  ユ6

中  国

(台 湾)

南  方

その他

24

33

ユ5

   I    i 計  1工09    t    ;

現地にて罹患せる病型

3日熱 熱帯熱

熱型不明

帰還後の再発 再発迄の潜伏期

・回}・剛鯉三年12一三年

3日熱 熱平熱

熱型不明

1 1 e O 1 0 2 1 0 0 1 0 0 1 0 1 」 O

3日熱 熱予熱

熱型不明 1 3 6

0 1 2

o o o o o o

o o o

 3日熱 熱帯熱

3日熱,熱帯熱 熱型不明

4 1 3 8

3日半 熱帯熱

熱型不明 o o 2

1

0 0

o o o o o o    1

o o o 1

2 0 0 0

 3日熱 熱耐熱

3日熱,熱帯熱 熱型不明

61

4 3 ユ9

o o o 0 1 0 3

o o o 3 0 0 0

1 1 1 1 o o o 1 1 1

1 3 1 1

2 1

1

4

1 1

1/3

1

1

32 1 4

3141g

1 1

(その他:現地名の記入のないもの,熱型不明:Vラリア熱型の記入のないもの)

【119ユ

参照

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