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主ケーブルが破断した人道吊橋の損傷調査と対策

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Academic year: 2022

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主ケーブルが破断した人道吊橋の損傷調査と対策

瀧上工業株式会社 正会員 ○松村 寿男, 正会員 上田 博士 浜松市 天竜土木整備事務所 非会員 山本 正孝, 非会員 田付 敦士

1.目的

第一弁天橋は1965年(建設後48年)に建造された国道152号を跨ぐ吊り橋の人道橋であるが,平成24年 2月10日に高校生が渡っていたところ,主ケーブル部材2本のうち下流側の1本が破断し吊り橋全体が約45 度に傾斜した(写真-1).幸いにも信号機や桁下の信号機用電線ワイヤーが橋を支えたこと(写真-2)で国 道への崩落を免れたが,中空上に不安定な状態となったため,国道通行止めとなった.破断の原因を調査した 結果,部材の至る所で残留変形が認められることから,そのままの使用は強度上問題があると判断し撤去する に至った.町の動脈である国道の分断は,地元住民の生活や輸送に支障をきたすため一刻も早く開通する必要 があった.本稿では,破断に至った原因の現地調査とその対応策について述べる.

2.破断の原因調査

本橋で使用したターンバックルは主ケーブルの調整 に使用し,経済的な理由からそのまま存置したと推測 される.ターンバックルの破断状況を写真-3に示す.

破断箇所は,写真-3(a)に示す下流側の終点部であっ た.周辺環境は,近くに河川や木々に囲まれた箇所も あり,水の溜まりやすい環境であることが示唆された.

筒の健全部の板厚3.2mmに対して,破断面は腐食に

より1.0mm以下に板厚が減少していた.写真-3(b)は,

破断面下側の筒を下に傾けて泥や雨水を取り除いた後 の状態である.筒の内面の腐食が激しく,水の溜まっ ていた直上(10mm 程度)の部分が特に板厚減少して いた.また,破断面の一部には孔が空いていた跡が見 られた.破断しなかったターンバックル 3 箇所を調査 した結果,何れもターンバックル内部に雨水が溜まっ ていた.

ターンバックルの種類は胴 の形により筒胴状のパイプ式 と枠式に分類されるが,よく使 われている枠式ではなく,写真

-4 に示すパイプ式が採用さ れていたことに特徴があった.

いずれにせよ,胴体を回転させ ることで両端の吊り環が伸縮 し,ワイヤー張力を調節するの に用いられたと推定できる.

キーワード 鋼吊橋,主ケーブル破断,腐食,調査,撤去

連絡先 〒475-0826 愛知県半田市神明町 1-1 瀧上工業株式会社 TEL0569-89-2103

写真-1 吊橋損傷状況 破断した主索

(a) 過去の破断前の状況 (b) 破断後の状況 45°傾斜

写真-2 電線ワイヤーが橋を支えた状況 床組

信号機電線 用ワイヤー

写真-3 ターンバックルの破断状況

(a) 破断面上側 (b) 破断面下側(泥や雨水を取り除いた後)

内面は泥や雨水が 溜った腐食環境下

板厚3.2mmの破断部 は1.0mm以下 破断箇所

下流側

水溜り直上10mm 程度が激しく減厚 一部に孔が空いていた

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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3.推定される腐食メカニズム

ターンバックルの筒胴体は 20φ の回転棒 差込孔があるため,雨水はここから侵入し滞 留したと考えられる.そして,筒内における 長期の湿潤環境下で,特に溶存酸素量の多い 水面付近は鋼材の腐食を特に進行させ,純断 面積を減少させたと推察できる.現時点では 孔の位置などによる影響は明らかではない.

さらに歩行者による活荷重が載荷され,許 容耐力を超過して破断に至ったことが原因 として推測できる.図-1にこれらの推定さ れる腐食メカニズムを示す.

破断に伴いターンバックルの先にある主 ケーブルが垂れ下がることで床組部材が約 45 度に傾斜したという,損傷の変形状態が 説明できる.

4.撤去計画

今回の損傷により国道が通行止めとなり,撤去にあたっては急速 施工が求められた.破断の原因が現地調査により明らかになったた め,撤去計画においては吊り橋の破断部分の取り扱いをどうするか が重要な着眼点となった.

現地の周辺状況および国道の早期解放が要求性能として求めら れた.この条件下では吊り橋を地上に降ろすことができないため,

破断した主ケーブルをアンカー部から引込み,吊り橋を元の安定し た形状にする.その後は図-2に示すように,橋体のバランスに留 意しながら手すりや床組み部材を切断撤去する工法を採用し,その 後,ハンガー,主ケーブルおよび塔の順序で撤去を完了した.

5.予防措置

本橋の損傷を受けて,市が管理する吊橋約40 橋について一斉点 検を行い,同形式のターンバックルを使用している吊り橋について は,写真-5に示すように補助ワイヤーを設置する応急の崩落予防 対策を実施した.加えて,平成25年度末までに内側に水の溜まる 恐れのある筒胴状のパイプ式ターンバックルは,全て枠式ターンバ ックルに取り換えた.また,撤去したターンバックルを劣化が生じ た教材として,名古屋大学構内のニュー・ブリッジ(N2U-BRIDGE)

に提供し,点検技術者の養成に役立てている.

6.まとめ

主ケーブルの腐食破断の調査から対応方法の事例を紹介した.同 種の事象への対応の参考になれば幸いである.

謝辞:主ケーブル破断に対応するため,撤去対策工事は損傷から全面 通行止め5日間で現場作業を終え開通した.技術支援を頂いた中部地 方整備局関係各位に謝意を表します.

STEP2.筒胴体内部で腐食進行

許容耐力超過し破断 STEP1.回転棒差し込み孔

から雨水浸入

水面直上で 激しく腐食 破断

図-1 推定される腐食メカニズム 長年の雨水や周囲

の腐食環境で筒内 に水分が溜まる

STEP1 床組み切断

起点 終点

STEP4 起点側ブロック撤去

起点 終点

STEP3 終点側ブロック撤去

起点 終点

ベントで床組の 垂れ下がりを防止 STEP2 中央ブロック撤去

起点 終点

床組の挙動を小さくする ため中央ブロックから撤去

図-2 吊り橋の床組み部材の分割と撤去順序

写真-5 同形部材の応急崩落予防対策 補助ワイヤー

回転棒差込孔(20φ)

パイプ式は中が空洞

伸縮

回転

胴体を回転させ 吊り環を伸縮

写真-4 パイプ式ターンバックル

(a) 破断していない部材 (b) 機能の説明 吊り環を伸縮

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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[参考文献] 1) Martin Achmus et al.;Numerical Simulation of the Tensile Resistance of Suction Buckets in Sand , Journal of Ocean and Wind Energy,

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