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営業線分岐器軌道の工事桁による一括移動実績(回転・横取)

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Academic year: 2022

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(1)

営業線分岐器軌道の工事桁による一括移動実績(回転・横取)

―〔京急蒲田駅付近連続立体交差事業〕第4工区工事報告 ―

京浜急行電鉄株式会社 鉄道本部 吉住 陽行 内田 康一 矢野栄二郎 鹿島建設株式会社 東京土木支店 正会員 小沢 徹

正会員 松井 修治 正会員 ○板野 次雅

1.はじめに

京急蒲田駅付近連続立体交差事業は、都市高速鉄道京浜急行本線 の平和島駅から六郷土手駅までの延長約4.7kmの区間、及び同空港 線の京急蒲田駅から大鳥居駅までの延長約1.3kmの区間を連続的に 立体交差化することで、交通の円滑化と安全性の向上を図るとともに、

京急蒲田駅を2層構造として空港線の輸送力増強を図ることを目的と している(図-1)。

このうち、第4工区鹿島・錢高建設共同企業体では空港線分岐を含 む京急蒲田駅部の施工を担当し、環状8号線の仮立体化にあわせて、

シングルスリップ付の渡り線分岐器(以下、特殊分岐器)を軌道バラスト ごと45′時計回りに回転し、約4m軌道直角方向に移動させた。

特殊分岐器は横浜方から京急蒲田駅を経由して羽田空港駅へ入替 えるための分岐器であり、工事によりポイント不転換となった場合は社 会的に大きな影響を与えてしまう。非常に厳しい要求品質・施工時間・

施工条件の中で実施された分岐桁の移動工事について施工実績を 報告する。

2.工事概要

(1)全体工事概要

工事名:〔京急蒲田駅付近連続立体交差事業〕第4工区 事業者:東京都・大田区・京浜急行電鉄株式会社

発注者:京浜急行電鉄株式会社 施工者:鹿島・錢高建設共同企業体

工 期:2002(H.14).1.8~2015(H.27).3.31(予定)

本工事の構造形式は、本線が2層式鋼製ラーメン5基とラーメン間に 架設される桁構造で、基礎は場所打杭とRC地中梁である。空港線は 橋梁形式で、場所打杭に鋼製橋脚・合成桁(3スパン)であり、R=100m の急曲線で2層の複線構造である。

3.施工概要

(1)分岐桁の概要

分岐桁とは特殊分岐器を載せた、長さ約60m、幅約10m、総重量710 t(バラスト重量含む)の有道床工事桁である (写真-1) 。工事桁に分 岐器を載せるという構造は他に例が無い。施工中に軌道の勾配変更 (6.6‰→9.0‰)が予定されたため、有道床として計画された。移動用の 横桁の上に縦方向の分岐桁を組んだ構造となっており、分岐器を載 せているということから、活荷重たわみが2mm以内に収まるような横桁 の配置とした。滑り支承として、縦桁下面にはテフロン板、横桁上面に はステンレス板を配置し、両者間には二硫化モリブデンを塗布した。

図-1 全体概要図

至 品川

京急蒲田駅 至 横浜 至 羽田空港

梅屋敷駅

大森町駅 雑色駅

六郷土手駅 糀谷駅

大鳥居駅

平和島駅

キーワード:工事桁, 京急蒲田, 分岐器, 横取, センターホールジャッキ

連 絡 先:〒144-0031 東京都大田区東蒲田2-1-13 アストラルHTKビル2F 鹿島・錢高建設共同企業体 TEL 03-3739-9977 写真-1 分岐桁全景

#28分岐

#29分岐

#30分岐

10m 60m

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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(2)

縦桁上には補強も兼ねた鉄板が有道床の底板として配置されてお り、バラストマットとバラストで分岐器及び軌道を支える構造となってい る(図-2)。分岐桁の構築は仮線の切替に合わせて3回に分けて行わ れたため、施工期間は2年にも及んだ。

分岐桁の移動工事は、写真-1に示す#28~#30の特殊分岐器を載 せたまま、水平に配置したジャッキ8台を連動させることにより時計方 向に45′、軌道直角方向に約4m移動させる前例の無いものである(図

-3)。

(2)施工条件

分岐桁の移動に当たり分岐器の機能を損なわない目的から、10m当 たりの桁変形量の許容値を移動中で6mm以内、移動完了時で2mm以 内と定めた。この非常に厳しい条件をクリアするため、「桁剛性の確 保」と「横取ジャッキの連動性」がポイントとして考えられた。

営業線終了後から始発までの約4時間の中で確実に移動させるた め、「時間の制約」も大きなポイントとなった。分岐桁の移動は回転と横 取の2回に分けて実施することにし、軌道・電力・通信・ホーム移設等 の他工種の作業時間も考慮すると、費やせる時間は40分であった。

4.実験工事による事前確認

ジャッキ連動性と移動時間等を確認するため、鹿島機械技術センタ ーで実物大のモデルを使用した実験工事を行い、事前確認とした(写

真-2)。

実験工事に用いるジャッキは実施工に用いるものと同じ仕様とし、3 機種を比較検討して機種を選定することにした。

実験桁は分岐桁とほぼ同じサイズ、重量で計画し、剛性を分岐桁よ りも小さくすることにより、ジャッキ連動性の確認を行った。

実験工事の結果、センターホールジャッキ(ストローク500mm、能力 500kN)を使用することにより、所定の条件(変形量、時間)を満足して施 工可能と判断した。

5.施工実績

(1)回転移動結果(45′回転、最大移動量800mm)

2008年3月22日に実施した回転移動(写真-3 ジャッキ配置状況)

は、計64人の社員および作業員を動員し、移動を8分で終えることが

できた。分岐桁の桁変形量も移動中0.8mm、移動完了後0.6mmと非 常に精度の良い結果となり、予定移動時間の10分と桁変形量の許容 値である移動中6mm、移動完了後2mmを満足した。また、滑り支承の 摩擦係数は0.08であった(表-1)。

(2)横取移動結果(3,994mm平行移動)

写真-4に示す2008年5月17日の横取移動では、計73人の社員 および作業員を動員した。移動に36分を要して終了した。分岐桁の桁 変形量は移動中2.3mm、移動完了後1.2mmと許容値を満足した(表-

1)。

両切替工事とも、軌道・ホーム切替を含め、時間内に無事に作業を 終了することができた。

6.まとめ

今回の分岐桁移動工事は、特殊分岐器を載せた工事桁を非常に高 い精度を保ったまま移動させるという前例の無い工事であったが、実 験工事を通してジャッキ制御の設定、桁の挙動等不確定要素を取り除 き、無事に成功させることができた。この成功は、各種の鉄道工事で 予め架空線やレールを設置しておくスペースの無い環境において非 常に意義のある結果である。今後、同様な施工が計画された際の検討 の助けとなることができれば幸いである。

項 目 単位 回転移動 横取移動 ストッパー撤去、各部点検 min 18 13 PC鋼線予備緊張 min 2 4 移動時間(盛替え含む) min 8 36 移動速度(盛替え含む) cm/min 9.5 11.1

横取能力 kN 3,500 4,000

総横取力(最大値) kN 552 517

摩擦係数 0.08 0.07

移動開始時 桁変形量 mm 0.8 ※1 1.6 ※2 移動中 桁変形量 mm 0.8 2.3 移動完了後 桁変形量 mm 0.6 1.2

※1 : 10mm程度移動時

※2 : 2回目盛替え後再スタート時

表-1 分岐桁移動工事実績

写真-2 実物大実験工事 写真-3 ジャッキ配置状況 写真-4 横取移動当夜 図-3 回転及び横取移動概要図

STEP4線形 仮上り線 STEP4線形 仮下り線 STEP4線形

回転中心

3. 5回 線形 仮下り線 3.5回線 形 仮上り線 3.5回線形 仮下り線 3.5回線形 仮上り線 STEP3線形 仮下り線 STEP3線形 仮上り線 回転中心

回転移動

45′回転

横取移動

図-2 分岐桁断面図

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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