疏菜類の栽培 におけるポ リエテ レンマルチの
利用に関す る基礎的研究
(第
2報
)植 生 条 件 下 に お け る 地 温 効 果
田 辺 賢 二*・ 松 田 昭 美 ・ 佐 藤 一 郎
(砂 丘 利 用 研 究 施 設)
Fundamcntal Sutudics on thc UtilizatiOn Of Polycthlenc
Mulch in CrOwing Vcgctれ
les(II)
E∬
cct of polyctl■ylenc mulchcs on sOil tcmpcraturc
undcr thc condition Of plant gro、 ving
Kcnji TANABE,Akiyoshiヽ lATSUDA,Ichiro SATOH
(髭″ブD夕″珍買¢s,/¢カ イカsサ舟クル,=,じ ク′妙 げ 4g″たク′ヵ″ヮ,Tοttο/iy″ガυ♂盗ぢ″)This investigatiOn was conducted to clarify the effect o£ polyethylene film mulch on soil temperature during cOnditiOns Of plant growing.
Polyethylene mulches without plants always raise the soil temperature at 10 cm.depth higher than that o£ bAre soil. But,under the conditiOn of plant grO― wing, the rise oF soil temperature with polyethylene mulching was Observed only
in the early growing stage o£ eggplants or melon PIantS, and fehAI were observed
the middle stage to the final stage because of decline On transmissiOn coe£ ficient
of solar radiation caused by lea: exPansiOn during the grOwth Of plants, The more polyethylene mulches raised the soil temperature in the early stage, the more the leaf area index(LAl)increased in the pedod frOm middle tO final
stage, TransmissiOn coe£ £icient was inversely propOrtiOnate to LAI.
For that reason, it might be considered that the rise etCect of pOlyethylene mulch on soil temperature under the growing conditiOns of eggPlants and melon
PlantS influences the plant gro、 7th only in the carly stage,
緒
言 プ ラスチ ックマルチが地温におよぼす影 響 に つ いて は
,す
でに栽培の立場か ら,(1,2,3,4,5,612,14,15,17)ぁ るい は微気象の立場か ら(7,3910,11,16)多数の追求がなされて ヤヽる。 しか しながら作物の生育条件下におけるプラスチック マルチの長期的な地温効果に関しては,作
物の生育差を 考慮に入れずに,区
間における見かけ上の差によって論 じられているものが多 く,また無植4L条件下における地 温効果を,生
育企期に適用 している例も多い。 一般に,植
生粂件下 におけるプ ラスチ ックマルチ処理 が長期にわたる場合には,処
理後の日数が多 くなるにつ 鳥取大学農学部研究報告XXV
*現在 農学科園芸学研究室1973
れて
,処
理区間における生育差が大きくなると同時に微 気象環境の差も拡大の方向に進行する。 作物 とそんをとりまく環境 との間には,環
境が作物に 作用す る環境作用 と,作
物が環境に働 きか ける環境形成 作用 とが存在する。(珀)し
たが って作物の生育条件下に おいてマルチ処理の地温効果をみる場合,単
に無処理区 との見かけ上 の比較に止 まらず,常
に区間の生育差がも た らす環境の差を考慮 しなければな らない。 木試験はこのような見地か ら,夏
作物で伏性の代表的 な露地 メロンと,立
l■の代表種であるナスを供試 し,そ
れ らの生育に伴 う葉面積,地
表面における相対光量の変 化を調べ,植
生下におけるポ リエチ レンマルチの長期的 な地温効果をより正確にとらえよぅとしたものである。 材 料 お よ び 方 法 実験は1971年および '72年の 5∼8月に,鳥
取大学農 学部付属砂丘利用研究施設の園場で行なわれた。 1971年においては,第
1表 に示されるような性状のポ リエチ レンフィルムを供試 し,ナスおよび露地メロンの 生育条件下におけるポ リエチ レンマルチの地温効果を調 査 した。ナスの品種は長岡長ナス,露
地メロンの品種は 新芳露である。Table l Quantity Ot Polyethylene Films used in this experiment
Films Thickness TransmissiOn coefficient
o£ solar radiation
田 辺 賢 二 。松 田 昭 美・ 佐 藤 一 郎 98.1夕ど 27.5 1.2 の各深さの曲管地中温度計を挿入 し,10時 ,13時 ,16時 の地温を測定 した。 また同時に植生の影響をうけない無 植生裸地についても同じ層の地温を測定 した。 畦面における日射の透遇率は
,管
型 日射計に より測定 し,葉
面積は葉身の縦径 ×横径にさらに葉面積係数 (ナ スにおいては0,72,メ ロンにおいては0.85)を 乗じて求 めた。 1972年においては,透
明フィルムのみを供試 し,前
年 と同様の調査を行なった。地温は自動温度測定装置によ り連続測定 した。肥培管理はナスおよびメロンのいずれ も前年にな らった。 また これとは別に無植生条件におけ るポ リエテ レンマルチの地温効果をみるために,畦
巾60 cm,長さ4mの
平畦に透明,緑
色および黒色のフィルム をマルチ ングし,地
下10cmにおける地温を測定 した。灌 水はメロン,ナ
スの試験区と同時に行なった。 結果
1.無
植生条件下における地温の変動 無植生条件下 におけるポ リエチ レンマルチの地温効果を示すと,第
1 図および第 2図 のとお りである。 まず第 1図 は1972年5月11日か ら21日にか けての快晴 ・ υ 10 12 14 16 18 20 22 24 2 4 6 8 10 11 ヽ五ay 12 1Vl ay tullcFig. l Effect of mulching with pOlyethylene tilms on the soil temperature at 10 cm depth.
O Bare
× TransparentTransParent O・ 03mm
Green colored O.03 Black colored O.03
p O 筐 B d 鮨 O β E 薯 コ 。 ∽ ナスにおいては
,畦
巾を60cmと し,N, P,Kい
ずれ も成分量で25彰
/αを施用後,透
明,緑
色および黒色の 3種 のフィルムをマルチングした。植付 間 隔 は 株間50 cm,粂間90clllと し, 5月 14日に定植 した。 また露地メロンにおいては,畦
巾を 1.5mと しN, P
およびKを成分量で2.5K7/α施用 したのち,畦
全面に透 明および黒色 フィルムをマルチ ングした。植付密度は, 株間lm,条
問25mと
し5月10日に定植 した。 灌水は灌水用 チューブをフィルムの裏に施設 し,処
理 区間における土壌水分差を少な くす るために 3∼ 4日 間 隔で行な った。 地温は,メ ロンにおいては株元 より40cm外 側 の位置 に,ナスにおいては株間に,そ
れぞれ1, 5,10,20cm
△Green o Black
疏菜類の裁培におけるポ リエテ レンマルチの利用に関する基礎的研究 (第2報) の天気条件下で測定 されたものである。地 下10cmにおける最高地温はマルチ処理に よ って 8∼ 9℃ 高 まった。 フィルムの種類別 にみると緑色区が最 も高 く, 次 い で 透明 区
,黒
色区の順である。また最低地温につ いても,マ
ルチ処理区はいずれも無処理区 よりも15∼2℃ 高 く,処
理区間では最高 地温と同様に緑色区が最 も高い 傾 向 に あ る。 次に地温の長期変動 とポ リエチ レンマル チの関係をみると第 2図 のとおりである。 マルチ処理区および無処理区における地温 の順位は, 日最高,最
低, 日平均のいずれ についても同じ傾向を示 したので,ここで は最 も顕著な区間差のみ られる最高地温の 変動を示 した。なお最高地温は天気条件に よる変動がきわめて大きいため,日 射量が 4001y/day以 上の晴天 日の値 の み を 示 し ,こ。 マルチ処理区は常に無処理区より高い地温を示 し,マ
差が 2℃ 前後で比較的少ないが
,そ
れ以後になると黒色 ルチの種類間では緑色区と透明区がす ぐれている。 しか区の地温が緑色
,透
明の両区よりかな り低 くなる傾向に し処理開始か ら20∼25日 までの間は,マ
ルチ処理区間のある。 15 20
May
2.植
生条件下における地温の変動 ナスの植生条件下におけるポ リエチ レン マルチが,地
温におよぼす影響を示す と第 3図 のとおりである。マルチ処理および無 処理区の地温は,植
物体の影響を受けない 無植生裸地の地温 との差で示 した。また値 はいずれ も日射量が4001y/day以 上の晴天 日における,地
下10cmの最高地温である。 一般的な傾向として,マルチ処理区,無
処理区ともに生育が進むに伴 って,無
植生 裸地 の地温を下 回るようになる。処理間に おいては,生
育初期か ら中期にか けて,マ
ルチ処理区が 2∼ 5℃ 無処理区を上回って いる。 しか し後期には両区の差が小さくな り,マ
ルチ処理区の方がむしろ下回る傾向 さえみ られる。 」une Juし 0 一ち ∽ 。 L “ わ E o 〓 け 。 g o 臨 己 ︼ ” 占 g o 卜 35 30 25 ρ 一 E s 転 一 っ o 嘔 一ン と E ! 一 ち ∽ 。 旧 。 い オ ー‐ 16 21 26 1 6 11 16 21 26 1 6 11 16 21 26 20 25 31 5 10 15 20 25 30 5 10 15 20 25 30 May 」une JulyFig. 3 Effect ot transParent polyethylene mulch under the growth of egg plant on the soil temperature at 10 cm depth
× Bare soil without plant
o No mulched soll with egg plant
● TranSparent poly,mulched with egg plant
35 30 p o 長 ヨ ヽ 角 Φ 白 日 留 ﹁ o ∽ 11 15
Fig. 2 Changes of maximunl sOil temperature at 10 cm influenced by polyethylene mulches for long period.
次に露地 メロンの植生条件下におけるポ
depth
リエチ レンマルチの地温におよばす影響を みると第 4図 のとお りである。株間か ら40 cn外側の位置における地下10cれの最高地温 を,ナスと同様に無植生裸地との差で示 し '全 。 6 . 10 ・ 一 5 26 一 3 . 2 . . 25 26 一 30 2︲ . 25 6 一 20 ︲ 一 ・5 6 .10 ︲ ︸ 5 26 一 30 2︲ .25 6 一 20O Bare
∠蛍Green ×「FransParent ● BlaCk田 辺 賢 二・ 松 田 昭 美・ 佐 藤 一 郎
Fig, 4 Effect of transParent polyeth71ene mulch under the growth o{ melon plant on the soil temperature at 10 cm depth.
× Bar(soil without plant
o No mulched soil with melon Plant
O TranSparent poly.mulched with mdOn plant
40 35 罰 25 ︵y , ロ ミ 盛 一 磨 o 声 君 , ・磁 g 留 出 ︻o ∽ ω ■ ヽ 臼 26 一 30 2 . ” 25 6 ヵ l y ︲ 一 ︲5 J 6 . 10 ・ 一 5 26 一 30 2︲ ¨ 25 ・6 一 20 ne ︲ 一 ︲5 Ju 6 . 10 ・ ︸ 5 26 一 30 2︲ .25 6 ︸ 20 ︲ ︸ ︲5 y 6 .10 M 3 .5 40 35 30 25 ρ , g H a , β o F P 甚 . a 日 P 一ち ∽ o ︼ 硝 m 植付後約30日間は
,マ
ルチ処理区が無処理区に比べて 7∼ 9℃ 高い地温を示 している。 しか しそれ以後は,生
育が進むにつれて区間の差が少な くな り,後
期には両者 8ρ 6電 4留2g
O‐ 25 -4婆6g
-8卜 15 21 20 25May
11 16 15 20 の差が 1℃ 前後となる。 第 5図 はナスの生育条件下で測定 された,ポ リエチ レ ンマルチが地温におよぼす長期的な影響を,ポ リエチ レ ンフィルムの種類別にみたものである。 生育初期においては,マルチ処理区はい ずれ 奄無処理区より3∼ 8℃ 高い地温を示 している。 さらに種類別にみると透明区が____高
く,緑
色区が これに次いでいる。また黒 色区は前者 よりかな り劣 っている。 しか し 生育が進むにつれて,い
ずれの区も無植生 裸地の地温を下回るようにな り,同
時に区 間の差が少な くな って くる。そ して後期に おいては処理,無
処理間で,またフィルム の種類間でいずたも1℃ 前後の差 しかみら れ な くなる。 このことは第 6図 にも示されるように, メロンについても同様であ り,初
期におけ る区間の地温傾向と後 期 に お けるそれと は,全
く一致 しない。5.ナ
ス および メ ロンの 生育に 伴うLAIお
よび日射透過率の変化 ナスの Ji育に伴 う葉面積指数(LAI)お
よび 日 2︲ .25 6 一 20 ︲ 一 5 6 一 30 2︲ . 25 6 . 10 ・ 一 5 26 一 3︲ 6 11 10 15 」une JulyFig. 5 Effect of POlyethylene mulches under the grOwth Of egg plant on the soil temperatures at 10 cm depth.
O Bare SOil without plant o tto mulch
× TransParent poly.mulch 電
"Black CO10red Pory, mulch
△ Green colored Poly,mulch
徊 O の o 鳴 o わ 日 o H ﹂ o o c o H 〇 七 一” i g o 卜
疏菜類の裁培におけるポ リエチ レンマルチの利用に関する基礎的研究 (第2報
) 151
ρ 一 g 澳 缶 , 多 o F 〓 テ a g ︺ 一 5 の o 監 0 中Fig, 6 Effect of polyethylene mulches under the condition of cultivating melon Plant On the soil temperature at 10 cm depth
O Bare SOil withOut plant c)No mulch
x Transparent Poly・
mulch
● BlaCk COlored poly. mulむ h 射の透過率 の変化は第 7図 に示すとおりである。LAI
は定植後およそ30日頃か ら,マ
ルチ処理区の増加が著 し くな り,生
育が進むにつれて無処理区との差が大 きくな る。一方 畦面への 日射の透過率 は,LAIと
反比例 の 関係にあ り,■
育に伴 って減少す る。そ して,処
理・ 無 1.5 < 1.0 日 0.5 0 Orイ´スR、 ← ―R ` ヽ 4 22 5` 19 8 28May
」une Juし
Fig, 7 Changes O£ leaf area index(LAI)and transmi一
ssion coeiFicient oi sOlar radiation at the rottl surface
with the growth of egg Plant.
― LAI ___Transnission ccef£ icient
O TranSparent Polyethylene mulched
O UnmulChed
処理の間では,マ
ルチ処理区の減少が著 し い。次に地露メロンについて,生
育に伴 うLAIお
よび透過率の変化をみると第 8図 のようになる。LAIに
ついては,ナスと 同様にマルチ処理区の増加がきわめて顕者 である。 また株元 と株間における日射の透 過率 の変化をみると,株
元ではマルチ処理 区がかな り初期か ら低い値を示 している。 さらに株間では定植後50日頃か ら低下 しは じめ,特
にマルチ処理区の低下が著 しい。 第 9図 は,各
種のポ リエチ レンフィルム でマルチ処理 されたナスの生育に伴 うLA
I,透
過率 の変化を示 した も の で あ る。LAIは
,マルチ処理区が無処理区を上回 り,またマルチ区の間では透明≧緑>黒
の 順 とな っている。 この傾向は初期における 地温の高 さに概ね一致 している。一方透過 率については,LAIが
著 しく増加 しはじ める定植40日後の頃より,顕
者な減少を示 している。そ してマルチ区の減少が無処理 区に比べて者 しく,またマルチ区の間では,LAIの
値 が大 きい区ほど,透
過率が低い傾向にある。 第10,11図 はナスおよびメロンにおけるLAIと
,透
過率の関係を示 したものである。 ナスについてみると, LAIの
値が1,3を境 と して両者 の関係に相違がみ られる。LAIが
1.3 以下においては,そ
の増加に伴 って透過率 の急速 な減少がみ られる。 しか しLAIが
1.3以上にな ると, LAIの
増加に伴 う透過率の変化はきわめ て鈍 くなる。 この図か ら両者の対応値を推定する と, LA110の
とき透過率50%, LA115の
と き透過率20∼25%,ま
たLA1 2,0の
とき15∼20 %となる。 一方メロンにおけるLAIと
透過率の関係は, ナスほどに明瞭ではないが,メ ロンは伏性でしか も大型の葉である関係上,LAIが
小 さくてもか な り低い透過率 とな っている。 ρ ︻ち ∽ 0 鮨 硝 や 日 0 と 0 0 E o L 翌 指 ” 占 E O ト 8 6 4 2 0 セ 望 ・6 ・8 2︲ ¨ 25 6 一 20 ︲ 一 ︲5 y山
・
・
O
J
u
︲
︲ 一 5 26 一 30 2︲ .25 ・6 ” 20 ne ・ 一 ・5 Ju 6 .10 ・ 一 5 26 一 3︲ 2 . ︸ 25 ay 6 ¨ 郷 M ︲ 一 ︲5 ︵ ゞ ︶ ど ω 一 o 重 o o o g 役 協 一g 聖 ヽ 営 卜 ︲0 8 60 40 20︵ 韻 ︶ や E 翌 ! ■ o o o 雪 役 ∽ 瑠 日 ∽ E 、 鷺 静 ︲0 8 60 40 20 田 辺 賢 二・ 松 田 昭 美・ 佐 藤 一 郎 0.8
HO.6
く 目0.4 0。2 0 3 く2
日 1 0 10 16 22May
9 15 21 」une 9 15 」uly 1.5 2.0L A I
Fig.lo Relation between leaf are2 index(LAI)
and transmission coefticient of solar radiation on egg Plants,
Fig. 8 Changes o£ lea£ area index
(LAI)and transmission coe£ ficient of
soIュr radiation at the row surtace with
the growth of meユon PIant・
● TranSparent Poly,mulched
O UnmuIChed
―
LAI
――― Transmission coefficient at intrarow sPaCing
――・・― Transmission coef£ icient at the
hill
Fig. 9 Changes of leaf area index (LAI)and transmission coefficient of solar radiation at the row surface with
the gro私「th of egg Plant mulched by
difterent polyethylene films.
―――
LAl
・……・ Transmission coelficient
O UhmulChed
× Transparent POly, muuch
△ Green colored Poly. mulch O BlaCk CO10red Poly,mulch
V O.5 1.0 1.5 2.0 2.5
L A I
鶏・
二
総試霊
114溢
盈許托
irttlr猛
嵩誡
on melon PlantS, 10 22 June 19 」ubr 75 50 25 ︵ 求 ︶ , g 型 や 誼 ω o o E p の コ 日 ∽ E 側 ︻ 争 ︵ 求 ︶ や E や や t o o o 電 , ∽ ∽ 一日 ∽ 霞 、 皆 卜 ︵ ゞ ︶ ,g o O ︼ B o E o ︻協 〓日 ∽ c d 鷺 ↑疏菜類の裁培におけるポ リエチ レンマルチの利用に関する基礎的研究 (第2報
) 153
ヤイ 考察 砂地におけるポ リエチ レンフィルムのマルチ処理は, 無植生条件下で
,晴
天 日における地下10cmの最高地温を 8∼ 9℃,
最低地温を1,5∼2℃,また平均地温を 5∼ 6℃ それぞれ高める。さらにフィルムの種類 別 にみる と,緑
色の温度効果が最 も高 く次いで透明,黒
色の順 と なる。 この傾向は中原(10)の結果 とも一致す る。さらに 長期的にみた場合にも, 日数がたつにつれて黒色 フィル ムの効果がかな り低 くなる他は,お
およそ前述の傾向が 持続 される。 一方 これまでのプラスチックマルチの長期的な温度効 果に関する研究をみると,植
生条件下でなされたものが 多い。 しか しなが ら処理によって生 じる作物の生育差を 考慮 したものが少な く,わ
ずかに A dams(1),中 山ら(11) がぶれているにすざない。 植生条件下ではマルチ処理の影響で,処
理間に生育差 が生 じる。そして同時に処理区間における微気象環境の 差 ももた らされている。 したが って処理,無
処理間にお ける見かけ上の地温差を,マ
ルチ処理の地温効果 として とらえても,そ
れはマルチ処理の地温効果 と作物の環境 形成作用 とが相殺 された結果の値であ り,マ
ルチ処理の 地温効果そのものではない。植生条件下において長期的 な地温効果をみる場合,つ
ねに植生の影響を受 けず,天
気条件のみに影響される無植生裸地を基準 として,植
生 条件下のマルチ処理・ 無処理の地温変動をみる必要があ る。 このような見方をすれば,植
生が地温におよぼす影 響が明瞭に うかがえる。本試験の結果 (第3∼ 6図)に
よれば,マ
ルチ処理の地温効果は植付後 2∼ 3週 間の初 期にのみ認め られ,以
後は生育に伴 って漸減 している。 地温は地表面 に直達する日射量 と密接な関係にあ り, また植生条件下におけるそれは,葉
面積の多少によって 規定 される(第9,10図
)。 マルチ処理 を 施 す と,第
7, 3図
にみ られるようにLAIが
著 しく増加 し,逆
に 透過率 (地表面への直達 日射量の割合)が
著 しく減少す る。 さらに第 5図 および第 9図 より明らかなように,初
期の地温が高い区ほど,つ
ま り地温効果の高いマルチ処 理 ほど葉面積生長が促進 され,また透過率が強 く抑えら れている。 このようなことが,生
育の中後期における, 処理区間の地温差を少な くし,また無植生裸地の地温 よ りもマルチ処理区の地温の方が低 くなるものと考えられ る。中山ら31)はダイズにおけるマルチ処理 の地温効果 は,LAIが
2以 上になるとみ られな くなることを認め ている。本結果において,マ
ルチ処理の地温が無植生裸 地の地温を下回る時期を,マ
ルチの地温効果がなくなる 時期 とすれば,第
3, 5, 7ぉ
ょび 9図 より,ナ
スにお いてはLAlが
1.2∼ 1.5の頃マルチの地温効果がな くな るものと推定 される。 夏作物に対するポ リエテ レンマルチ処理がもた らす生 育促進,収
量増加などの効果は,地
温上昇 と結びつけて 解釈 されているが(1,2,3.4,5.6,14,15)本 結果 よりみれば,マ
ルチの地温効果は,処
理後 2∼ 3週 間のごく初期に限 ら れていることがうかがわれる。 また前報(17)の結果 もこ のように解釈することができる。 このことは,Adams
が述べていることとも一致する0)。 一般に夏作物の露地栽培では,生
育初期の地温が制限 要因とな っている。 したが ってマルチ処理はこの時期の 地温を最適温度に近ずけ,初
期生育を促進す ることに大 きな効果をもっているものと考えられる。 さらに地温が 制限要因とな らない生育中後期においては,一
般に地温 が高 くな り過ぎるためマルチを除去する必要があると考 え られがちであるが,本
結果 より全 くその必要がない こ ともうかがえる。 またこの時期においてもなおマルチ処 理の生育促進効果が著 しい (未発表)こ
とか ら,生
育中 後期には地温効果以外の何 らかのマルチ効果が作物の生 育を促進 させてい るものと考え られ,今
後追水 したい。 摘要 植生条件下におけるポ リエチ レンマルチの地温効果を 明 らかにす るため
,本
実験を行なった。 無植生 の条件下 におけるポ リエチ レンマルチ処理 は, 短期的にも長期的にも,常
に裸地に比べて高い地温を示 す。 しか し植生条件下においては,マ
ルチ処理による地 温の上昇は生育の初期に認め られるが,中後期において は作物体の影響が大 きくな って,ほ
とんどみ られな くな る。 このことは,ポ
リエチ レンマルチの地温効果が大 き いほど,葉
面積生長 も大 とな り,地
表面への 日射の透過 率を低 くす ることにもとずいている。 したが って,ナス,メ ロンにおけるポ リエチ レンマル チの地温効果は,生
育初期にのみ影響をおよば し,また 中後期においては他の要因が作用 しているものと考え ら 身tる。 文献
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