九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
歯科用貴金属合金のアノード溶解機構に関する研究
中川, 雅晴
https://doi.org/10.11501/3073278
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(歯学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
2 - 2 - 3. 歯科用貴金属合金の ア ノ ド溶解挙動に 対す る合金の微視的組織の影響 ¥< 5 2 )
歯科用貴金属合金の相状態、 は、 化学的安定性の面か ら は単相であ る こ と が望ま し いが、 鋳造や時効処理に よ っ て 二相あ るい は多相と な る 場合が多い。
こ と で は、 Au-Cu-Ag、 Au-Cu-Pd、 Au-Cu-Ag-P d 合金の単 相お よ び二相合金の動的分極挙動に つい て 検討す る。
相状態と 微視的組織
実験 に 用い た合金の組成をTa b 1 e 2 - 4に 示す。 ご れ らの 合金 は、 時効処理温度を変化 さ せ る こ と に よ っ て種 々 の 相状態が得 られ る。 い ずれ も 溶体化処理状態 ( 8 0 0 OC ) で
は単相 (面心立方格子の不規則相、 α。と よ ぶ であ る。
試料 I 、 E 、 田 は、 3 0 0 OC で5 0 0 0 m i nの時効処理に よ っ て
A u C u 1 型 ( L 10型) 面心正方格子の規則相と な っ た。 と の場合、 結晶構造が面心立方格子か ら面心正方格子へ変
化す る だ け で、 合金の相状態 は単相のま ま であ る。 試料 1 - A g、 II- A g、 田- A g、 田-Ag+5Pdは、 3 0 0 OC で5 0 0 0 m i nの時効 処理に よ っ てCu-rich相 ( α1相 と よ ぶ) と Ag - r i c h相
( α2相と よ ぶ) の二相状態 と なり < 5 3 )、 相状態 はF í g . 2 - 1 7に 示す よ う に α1相と α2相が層状に 並ぶ ラ メ ラ 一組織
ヘ 変 化し た 。
草<52) J. Materials Science: Materials in Medicine (Nakagawa et a1. 199 2)
- 49 -
dト
Table 2-4 Chemical compositions of
Specimen
E 国
1 -Ag II -Ag
回一Ag
m -Ag+5Pd
the alloys used (at完)
Au Cu Ag Pd
37.0 52. 0 11. 0
46. 0 43.0 11. 0
26. 0 63.0 11. 0
37. 0 52.0 11 . 0 46.0 43.0 11 . 0
26. 0 63.0 11 . 0
24. 7 59.8 10. 5 5.0
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( 2 ) 動的分極挙動
2 ) - 1. 単相合金の動的分極曲線
F i g . 2 - 1 8お よ びFi g . 2 - 1 9は、 試料 I E、 田 の溶体化
処理状態 お よ び30 0 OC で5000 m i nの時効処理を行 っ た状態 の動的分極曲線 であ る。 ご れ らの合金は溶体化処理状態 で不規則相単相、 時効処理状態 で L 10型規則相単相と な
る。 両者の動的分極曲線を比較す ると、 3 0 0 m V付近の電涜 密度の小さ な極大の出現や70 0 m V以上での電流密度の急激
な増加の 傾向は い ずれ も同様 であ っ た。
試料 1-A g、 II -A g、 回-A g、 田-A g + 5 P d の溶体化処理状 態すなわ ち単相状態の動的分極曲線をFi g . 2 -2 0に 示す。
こ れ らの動的分極曲線 は、 貴金属度の高い 合金ほ ど電流 密度が小さ く、 Ecは高電位側ヘシ フ ト し て い る。
F i g . 2 - 1 8 � F i g . 2 -2 0の動的分極曲線に み られ る20 0 �
3 0 0 m V付近の電流密度の小さ な極大は、 合金表面に 存在す るc uの ア ノ ー ド溶解 に 対応し て い る。
2 ) - 2. 二相共存合金の動的分極曲線
Fig.2-21は、 3 0 0 OC で5000minの時効処理を施し、 二相 状態と な っ た 試料 1 -A g、 日-A g、 回一Ag、 回一Ag+5Pd の動 的分極曲線を示し て い る。 図か ら明 らか な よ う に、 一 相 共存合金の分極曲線上に は 2 つの異な る 電位 で Ecが現れ
て い る。 こ れ ら の 2 つの Ecは、 共存す る 一 相の Ec に そ れ ぞれ 対応す る も の と 考え られ る。 乙 の こ とは、 各相の
- 52 -
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組成が明 らか と なれ ば、 それ ぞれ の組成の合金を作製し 動的分極実験を行 う こ と に よ っ て 確認す る と と が で き る。
相分離に よ っ て平衡に 共存す る各相の組成お よ び それ らの体積分率は平衡状態、 図か ら 知 る こ と が で き る。 Fig.
2 - 2 2は、 Au-Cu-Ag三元系平衡状態図の3 0 0 OC に お け る断面 であ る。 こ の状態図か ら、 1 -A gお よ び 回一Ag合金を3 0 0 OC で時効し、 二相分離さ せたと き に 共存す る α1、 α2相の 組成お よ び体積分率を読み と り、 Table 2-5に 示した。
a1相、 ロ2相の組成は厳密に は、 A u、 Cu、 Agの 3 成分 で 構成され るが、 α1相 ( Cu-Au但IJ ) 中のAg お よ び α2相
( Ag-Au側) 中のCuの 固溶量は極め て少な い の で α1、
α2相の組成は簡単の ため に 二元系と 仮定した。 ま た、
田-Ag+5Pd 合金は、 田-A g合金が 相分離し た α1、 α2相に Pdが均一に 分配 され ると 仮定し て α1、 α2相の組成を決 定した。
F i g . 2 - 2 3 � F i g . 2 - 2 5は 、 そ れ ぞれ 1 -A g、 回一Ag 、 回一Ag + 5 P d合金に お け る α1相お よ び α2相合金の動的分極曲線 を示す。 α1相合金と α2相合金 では Ecの電位が顕著に 異 な っ てお り、 Cu-richな α1相合金の方がAg-richな α2相 合金よ り も高電位 側に Ecが現れ る 乙 と がわか る。
α1相と α2相が共存 す るこ相合金を分極し た 場合 も、
各相は 基本的 に はF i g . 2 -2 3 � F i g . 2 - 2 5の よ うな分極挙動 を示す と 考え ら れ る。 そ こ で、 各電{立に お け る 腐食電流 密度は各相の体積分率に 比例 す る と 考え、 二相合金の電
流密度を次式 で表し た。
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Fig. 2-22 Isothermal section at 300� of Cu-Au-Ag ternary phase diagram
- 58 -
Table 2-5 Approximated compositions and volume fractions of α 1 and α 2 si ngle-phase alloys
Composition(at完) Volume
Specimen Cu Au Ag Pd fraction
1 - Ag α 1 60. 0 40. 0 0.85
α 2 35.0 65.0 O. 15
田-Ag α 1 73. 0 27. 0 0.86
α 2 20. 0 80.0 O. 14
回-Ag+5Pd α 1 69.4 25. 6 5. 0 0.86
α 2 19. 0 76.0 5.0 O. 14
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α 工 ( 一一 ) and α 2 (ーーー) single-phase alloys of m -Ag alloy
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α1、 α2相の体積分率お よ び電流密度を表す。
乙 の仮定に 基 づく重ね合わ せの原理の模式図をF i g . 2 - 2 6に 示す。 α1相と α2相の二相共存状態、 の合金の動的分 極曲線は、 α1組成の合金と α2組成の合金の動的分極曲
線を それぞれの相の体積分率を考慮し て重ね合わ さ る 乙 と に よ っ て成り立 っ て い る。
F i g . 2 - 2 7 � F i g . 2 - 2 9は、 それぞれ 1-A g、 ill-Ag、 ill-
Ag+5Pd合金に お け る α1相お よ び α2相合金の 2 つの動的 分極曲線を重ね合わ せた曲線と実験に よ っ て得られ た動 的分極曲線で あ る。 α1相と α2相の体積分率を考慮し て 重ね合わ せた動的分極曲線は、 実験 よ っ て得られた動的 分極曲線と細部に は異な る 点も あ る も のの その傾向はか
なり よ く一致し て い る。 こ の こ と は、 二相あ る い は 多相 合金の複雑な腐食挙動 は、 合金を構成す る 各 々 の相の腐 食挙動の重ね合わ せ に よ っ て 構成 さ れ て い る ご とを 示唆 し て い る。
63 -
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Fig. 2-28 Measured(一一) and calculated(ー骨四) anodic potentiodynamic polarization curves of two-phase heat treated lli -Ag alloy
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Fig. 2-29 Measured(一一) and calculated(ーーー) anodic potentiodynamic polarization curves of two-phase heat treated m -Ag+5Pd alloy
祭事 3 主主 7 ノ ド ま容 角卒 支品 不呈 � ニヨ ユ./ l=ゴ ニz_ -一一 三?
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- 68 -
3 - 1. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デル の概要
合金の ア ノ ー ド溶解挙動を理解す る た め に は、 そ の 機 構を解明す る こ と が不可欠 で あ る。 第 2 章 では、 定電位 分極、 動的分極な ど の電気化学的な実験手段を用い て、
賞金属元素を含有す る 合金の ア ノ ー ド洛解挙動を検討し、
そ の結果、
( i ) 合金の貴金属度
( ii ) 非貴金属元素の選択的溶出に よ る貴金属元素の
表面濃縮 お よ び表面 カ パ
( iii ) 構成元素間 の原子間相互作用の 強さ
が合金表面か らの金属 イ オ ン の溶出を支配 す る重要な因 子と な っ てい る と と が示唆 さ れた。 本章 では、 貴金属を 含有す る合金か ら構成原子が ア ノ ー ド溶解反応に よ っ て 溶出す る 過程に つい て、 上述の ア ノ ー ド溶解挙動の支配 因子を 考慮した モ デルの構築を行い、 コ ン ビ ュ ー ター シ
\ ユ レ ー シ ョ ン に よ っ て実験結果を再現し、 検討す る と と を試み る。 コ ン ビ ュ タ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る ア ノ ー ド溶解挙動の再現は、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 法の妥当性 を示す だけ でな く、 モ デルの構築の際に 重要と な る ア ノ
ド溶解を コ ン ト ロ ー ルす る因子を検証 す る と と が可能 で あり、 ア ノ ー ド溶解機構を解明 す る 上 で有力な手段に な ると 考え ら れ る。
コ ン ビ ュ ー ター シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に お い て最 も 重要な フ ロ セ ス は、 ど の よ う な シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デルを構築
69
す るか、 とい う こ とであ る。 現在、 腐食挙動を再現す る モ デル とし ては、 S i e r a d i z k iらに よ っ て パー コ レ ー シ ョ ン モ デル ( 4 6 )が提唱 され てい るに 過ぎ ない。
パー コ レ ー シ ョ ン モ デル は、 原子の拡散を取り扱 う手 法の 1 つであ る。 例え ば、 2 次元の格子を原子が拡散す る 現象を考え る。 と の モ デル では、 各格子点を次の よ う な方法で 1 あ るいは O のサ イ ト に分類す る。 す なわ ち、
格子点が 1 のサ イト と な る確率を p で表し、 各格子 占 ご と に o � 1 の乱数を 発生さ せ、 そ の値が p よ り小さい格 子点、 は 1 のサ イト、 p よ り も 大き い格子点は 0 のサ イト
とし て分類す る。 お互いに 隣接す る格子点がサ イト 1 で あ る集団を ク ラ ス タ と 呼ぶ。 原子は ク ラ ス タ 内 では ラ ン ダ ム に拡散でき る もの とす る。 例え ば、 1 の サ イト に 存在す る原子は 1 のサ イ ト の中だ けを移動し、 0 の サ イト に は移動し ない。 原子の拡散の様子は サ イト 1 の占 有確率 p を変化 さ せ る と と に よ っ て変化す る。 p が小さ い とき は ク ラ ス タ の サ イ ズも小さ く、 そ れ ぞれの ク ラ ス ター は孤立す る 可能性が高いので、 原子は ほ と ん ど拡 散し ない。 p が 1 に 近い と、 ほ と ん どの格子点が 1 の サ
イ ト と なり拡散は広範囲にわ た っ て生じ る。 原子の拡散 があ る領域に 限 られ る よ う な確率と 原子が無限 に 拡散 で き る確率の境界 の確率を パー コ レ ー シ ョ ン のしき い 値
PCと呼ぴ、 そ の は 2 次元格子でo . 5 9 3、
o . 312であ る こ とが報告 さ れ てい る ( 5 4 )。
次元格子 で
S i e r a d i z k iらは、 こ の よ う な原子の拡散を考慮し た パ
70 -
ー コ レ ー シ ョ ン モデルを用い て次の よ うな腐食挙動の コ ン ビ ュ ー ター シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 っ た ( 4 6 )。 非貴金属 元素 ( A ) の濃度を p、 貴金属元素 ( B ) の濃度を 1
p とし て、 A p B l-p二元系合金を考え、 pの値を変化 さ せた 2次元お よ び 3次元の結晶格子を作製し、 非貴金属 冗素を合金内部で短範囲に拡散 さ せた。 と の過程で合金 表面に 到達した原子は直ちに溶出す る。 したが っ て、 非
貴金属元素の溶出挙動は そ の濃度 p と原子の拡散の範囲 に よ っ て 決定 され る。 こ の よ うな シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ
っ て、 貴金属を含有す る合金か らの非貴金属元素の選択 的な溶解挙動の非貴金属 (貴金属) 濃度依存性を再現し て、 と の モデルの妥当性を 示 し てい る。
パー コ レ ー シ ョ ン モデルでは、 本章の最初に 示した 3 つの因子の う ち、 ( i )の合金の貴金属度 だ け が考慮され て
お り、 原子の 種類に よ る相違や原子間相互作用は全く 考 慮 され ていな い。
本章では、 合金の ア ノ ー ド 溶解過程を原子レ ベルで検 討し、 合金表面か ら の金属元素の水溶液中への溶出を、
F i g . 3 - 1に 示す よ うに、 溶出す る 個 々 の原子が周囲の原子
との結合を 切 っ て合金表面か ら溶液中に溶出す る と 考え て モデルの構築を行 っ た。 こ の よ うな現象 を検討す る 手 法とし て そ ン テ カ ル ユノ ミ ユ レ ー シ ョ ン は有効 であ る。
ン は、 系の ミ ク ロ の状態を モ ン テ カ ル ロ シ
あ る確率法則に ー
ュ レ - シ
い て出現 せ る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 法 であ る。 例 え ば、 コ ン ビ ュ タ で乱数 を発生 さ せ、 乱
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数の値が確率 p よ り も 小さ い と き に のみ、 着目し て い る 現象を実行 さ せ る と い う手法 であ る。
溶出過程の モ デル を構築す る た め に、 次の よ うな仮定 を設け た。
仮定 1. 金属元素 ( M ) の溶出は、 その元素がイ オ ン 化し て 溶出す る 場合を 考え る (溶液中の陰 イ オ ン ( A -) と 反応し、 可溶性の化合物 イ オ ン ( M A m -) と な っ て 溶
出す る 場合を 含む)。
M → M n + + n e
M + m A 一 → M A m - + m - 1 ) e
仮定 2. 溶出可能な原子は電解質水溶液と接し て い る 原子のみ と す る。
仮定 3. 金属元素 ( M ) の溶出のし や す さ を溶出確率 P Mで表し、 P Mは O 1 の値をと る も のと す る。 例 え ば、
P M = 0 のと き →溶出し ない
P M = 1 のと き →必ず溶出す る
仮定 4. 溶出確率の値は、 ア ノ ー ド分極の電位 ( E )
と 金属元素の ア ノ ー ド溶解反応の電極電位 ( E M) に よ っ て 決定 さ れ る。 た と え ば、 元素 M 1、 M 2の溶出反応の電 極電位 お よ び溶出確率を それ ぞれ E M 1、 E M 2お よ び P M 1、
P M 2、 ア ノ ー ド分極の電位を E と す る と、 それ ら は 次の
よ うな関係に な る。
E > E M 1 > M 2のと o < P M 1く P M 2孟 1
o = P M 1く P M 2 < 1 P M 1= P M 2= 0 E M1> E > E M 2の と
E M 1 > M 7 > E のと
η、υ勺l
仮定 5. 溶出確率の値の 見積も り に は、 隣接原子と の 原子間相互作用の強さ を考慮す る。 例え ば、 構成元素を
M 1、 M 2、 M 3と し、 M 1のみが溶出す る と すれば、 結合
の種類は M 1 - M 1、 M 1 - M 2、 M 1 - M 3のみを考え れば よ い。 乙 れ ら の結合の中で M 1 - M 2と M 1 - M 3を比較し
て、 M 1 - M 3の結合が M 1 - M 2の結合よ り も強い 場合、
M 1の溶出確率は、
P M1M1> P M1M2> P M1M3
の順と な る。 た だし、 P M 1 M 1、 P M 1 M 2、 P M 1 M 3 は、 それ
ぞれM 1、 M 2、 M 3が隣接す る M 1の溶出確率を表す。
- 74 -
3 - 2. Cu-Au-Pd合金に おり る定電位分極過程の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ¥(55)
1i
ηL
qu シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デル の構築
1 ) プ ロ グ ラ ム開発基本 シ ス テ ム
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン フ ロ グ ラ ム の開発と 実行は、 パー ソ ナ ノレ コ ン ビ ュ タ N E C製p C - 980 1 D A 5 ( C P U : 1 n t e 1 8 0 3 8 6 D X、
ク ロ ッ ク周波数20MH z、 数値演算 コ プロ セ ッ サ :Cyrix CX38D87)を用い て行 っ た。
プ ロ グ ラ ム言語は、 N 8 8 - 日本語B A S 1 C ( 8 6 )イ ン タ プリ 夕、
コ ン パ イ ラ ver. 3.0 (NEC製) お よ びMi c r 0 S 0 f t B A S 1 C
P r 0 f e s s i 0 n a 1 D e v e 1 0 p m e n t S y s t e m V e r s i 0 n 7. 1 (マ イ ク
ロ ソ フ ト 製) を用い た。
2 ) 合金結品モ デル
合金結品モ デル と し て は、 3次元 の単純立方格子を考 え、 各格子点、に C u、 A u、 P dを所定 の組成と な る よ うに ラ ン ダ ムに 配列 し た。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン では、 こ の よ うな 合金結品を 3次元 の配 列変数に 対応、 さ せ、 格子点座標 (x .
y . z )に 存在す る 元素を配列変数 A LLOY (x. y. z)で表し た。
精度の高い シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 うた め に は、 合金結 聞 の サ イ ズを で き る だ け 大 き く す る こ と が望ま し い が、
草 ( 5 5 ) J . Materials Science (Nakagawa et a1.
Fhlu 勺,e
.._ー
B A S 1 Cで取り扱う ご との で き る配列変数の数に 制限があ る
た め、 5 0個 x 3 0個 x 1 1層の原子か ら な る合金結晶モ デル を想定し た。
有限の サ イ ズの結晶モ デルを取り扱う場合、 結晶格子
の両端の原子は、 内部の原子と比 べて結合し てい る原子 の数が少ない た め シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で特異な振 る舞い を す る 可能性があ る。 こ の よ う な不都合をな く す た めに、
モ デル格子の両端を 連続さ せて (周期境界条件 の導入 見かけ 上、 無限の サ イ ズの結晶格子とし て計算を行 っ た。
例え ば、 結晶の x 軸の5 0 �Ij自 の原子の隣、 す なわ ち5 1列 自にはl列目の原子を配列さ せた。
( 3 ) 配位状態の識別
隣接原子との原子間相互作用を 考慮す るた めに、 座標
( x , y , z )の原子に 隣接す る原子の種類を 調 べ、 ALLOY(x,y,
z )の値をT a b 1 e 3 - 1の よ うに 分類し た。 例え ば、 座標 ( X ,
y , z )の元素がC u原子の場合、 最隣接位置に少な く と も 1
個のPdが配位す るC u原子をALLOY(x,y, z)= 3 、 最隣接位置 に 少なく と も 1 個のA uが配位す るCu原子をALLOY(x,y.z) ::: 4とす る。
( 4 ) 浴出確率
4) - 1. 構成元素の浴出反応 の電極電位
合金を構成す る各原子の 溶解のし やす さ は、 ア ノ ー ド 分極の電位 ( E ) と そ の原子の溶出反応 の標準電極電位
76
Tab1e 3-1 C1assification of constituents
Constituents ALLOY(x,y, z)
A u atom 1
P d atom 2
c u which posesses at 1east one P d atom 3
as nearest neighbor
c u which posesses at 1east one A u atom 4
as nearest neighbor
c u whose nearest neighbors are a11 c u atoms 5
- 77 -
の差に 依存す ると 考え られ る。
Table 3-2に 合金 の構成元素であ るCu、 Au、 P dお よ び C 1ーイ オ ン が関与す る溶解反応の標準電極電位を示す。 L.
れ ら の ア ノ ド溶解反応の電位を 考慮す ると、 Cu-Au-Pd 合金に お い ては、 Cuが最も溶出し やすく、 Pd、 AuのJI頃で
溶出しに くい こ と が分か る。 し た が っ て、 こ れ ら の元素 の溶出確率 p は次の よ うな順 とな る。
p CU > P Pd> P A u
4) - 2. 隣接原子と の原子間相互作用
Cu 、Au 、Pdの 3 種類の元素問に お い て、 C u - C u、 Cu-Au、
Cu-Pd結合間 の原子問相互作用を比較す ると、 円ノ臼 つノ臼 ハノ白 で述べた よ うに、 C u - A u、 Cu-Pd合金は規則格子を形成す る傾向があり、 それ ら の結合の強 さ は、 ALCHEMI法に よ る 原子配列の詳細な解析 ( 4 8 )やCu-Au-Pd三元系の状態、 図 の
計算結果 ( 5 0‘ 5 1 )から、 次の順に 大き い と 考え られ る。
c u c u < c u - A u < C u 一 P d
し た が っ て、 同じCuであ っ て も溶出のし や す さ は、 隣 接原子がCu、 A u、 Pdの場合で異な ると 考え られ、 C u原子 の溶出確率は さ らに次の よ うにな る。
P CU-Cu> P Cu-Au> P Cu-Pd た だし、
P Cu-Cu 最隣接位 に C uのみが配位す るC uの溶出 確率
P Cu-Au 最隣接位置 に 少なく と も 1 個のA uが配位す る Cuの溶出確率
- 78 -
Tab1e 3-2 Stand ard e1ectrode potentia1 of constituents
E1ectrochemica1 re action
C u -十一4 C u -←4 一 Pd+4C Q- �さ P d -←4 一 Au+4CQ- fさ
A u ーャー 斗
A u -←4 一
C U 2+ + 2 e C u ++ e
P d C史42-+ 2 e P d 2++ 2 e
AuCQ4-+3e A U 3+ + 3 e A u ++ e
Potential (mV)
141 . 1 324.3 422.6 719. 0 796.4 1304.0 1484.0
( 3 70C ) reference e1ectrode A g / A g C Q (K C Q saturated)
79 -
P Cu-Pd 最隣接位置に 少なく と も 1 個のP dが配位す る
c uの溶出確率
( 4) - 3. Tafelの関係
一般 に、 電極反応に お け る 電流 ( i ) と 分極電位
E ) の間には、 次式に 示す よ うなTafelの関係が成立す
る 場合が多い。
E = a + b Q.og ( i a 、 b は定 数 )
電極反応の電涜値は 金属元素の ア ノ ド 溶解反応の速 度を表す パ ラ メ タ であ る の で、 定性的に溶解反応の 起 こ り や すさ、 すなわ ち溶出確率に 関係、 す る パ ラ メ ー タ
と 考え る 乙 と が で き る。 本 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン では、 分 極電位と 溶出確率の対数が直線関係にあ る と 考え、 各電 位の溶出確率と し てF i g . 3 - 2に 示す値を 用い た。
配位状態の識別に お い て、 A u 原子と P d 原子の両方 が配位す る c u の場合は、 溶出確率と し て値の 小さ い
P C u - P dを 用い た。
5 ) 溶出操作
溶液と 接し て い る 表面の原子に対し て、 そ の原子の溶 出確率を用い 溶出の判定を行 っ た。 すなわ ち、 コ ン ビ ュ
タ で乱数を発生 さ せ、 そ の乱数が溶出確率 よ り も 小 さ い と き に そ の原子を合金か ら溶出 さ せ た。 ご の よ うな 判定を、 合金表面の溶出可能 な原子に 対し て順次行 い、
以下の よ うな手順 で所定の時 間 ( t i m e s t e p ) 行 っ た。
80
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81
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1 time step : 第 1 層の原子の溶出判定を行 う。
溶出判定は第 1 層に配列す る原子の中 で溶出確率の大 き な原子か ら小さ な原子へと!頓に行 う。 ま ず最初に、
ALLOY (x, y, z) = 5 すなわ ちCu原子のみが配位す るc uに つ い て溶出確率 p Cu-Cuで溶出の判定を行 う。 次に、 A L L 0 Y
(x.y. z)= 4 すなわ ち Au原子が配位す るCuに つい て溶出確
率 P Cu-Auで溶出の判定を行 う。 そ の後、 ALLOY (x. y, z) =
3 、 2 、 1 の順に 同様の溶出判定を行 う。 Auお よ びPd原子 の溶出が生じ た 場合は、 そ の 周囲のCu原子の配位状態が
変化す るので、 そ の都度配位状態、 の識別を行 う。
表面に 存在す る す べ ての原子に つい て判定が終了し た 後に 2 t i m e s t e pへ進む。
2 time step 1 time stepで溶出せずに表面に 残留し た 第 1 層の原子の溶出判定な らびに 第 1 層 の原子の溶出に よ っ て表面に 現れ た 第 2
層の原子の溶出判定を行 う。
1 time stepと 同様な手順 で第 1 層、 第 2 層の各原子の 溶出判定を行 う。 た だ し、 第 2 層 よ り も 下層の原子に つ
い て は、 直上位置に A uあ るい はPd原子が存在し て い て も、
同じ層内の隣接位置が空位のC u原子に つい て は溶出判定 の対象 と し た。
3 t i四e step 2 time stepで溶出せずに 表面 に 残留し た
第 1 層 お よ び第 2 層の原子の溶出判定な
- 82
らびに 第 2 層の溶出に よ っ て表面に 現れ た第 3層の原子の溶出判定を行 う。
以下、 同様な操作を10 time stepま で行 う
6 ) 孤立し た表面原子の優先溶出
合金結晶か ら原子を離脱 さ せてい く過程 で、 同じ 層内 に 隣接す る原子が存在せず、 孤立し た原子が合金表面に
柱状に 直立し て 残留す る 場合が生じ る。 乙 の よ うな原子 柱は実際 には生成し ない と 考 え られ るの で、 シ ミ ュ レ ー
シ ョ ン では、 2 層以上柱状に 孤立し た原子は優先的に溶 出す る よ うに、 溶出確率の値を 2 倍に し て溶出判定を行
っ た。
( 7 ) 貴金属元素の表面濃縮
分極電位がCuの ア ノ ー ド溶解反応の平衡電位 よ り も局 く、 A uあ るい はPdの そ れ よ り も低い 場合、 Cuは 優先的に 浴出し、 A uあ るい はPdは表面に 残留す る。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で は、 表面に 残留し た Auあ るい はPd は、 溶出の進行 に よ っ て、 隣接す るCuお よ び直下の層に 位置す るc uが溶出し た 場合に下層へ移動す る ものと し、
水平方向への移動は 生 じ な い と し た。 こ の よ う な操作を
l つの層の溶出操作 が終 了す る毎に 行 っ た。 A uあ るい は
P d原子の 下層への移動に と もない、 そ の 周囲のc u原子の
配位状態 が変化す る 場合は、 関係す る原子の配位状態の
- 83
識別を そ の都度や り直し た。
8 ) 溶出 の評価
分極実験に お け る原子の溶出 は、 分極の聞の電流密 度の時間積分値 (電気 の総和) と し て 求め る こ と が で き る。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に おけ る溶出量は、 原子が イ オ ン と な っ て溶出す る と き の反応に 関与し た 電子数の総和、
す なわ ち、
の反応に おけ る
Mi→ Min1+ + nie
子の総和 L nlに よ っ て評価し た。
9 ) 合金表面の変化
分極の進行に よ っ て 合金表面が ど の よ うに変化す る か を知 る ために、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の1 t i m e s t e pが終 了す
る毎に、 ALLOY (x, y, z)を 3 次元的 に 構築し、 合金の 内部
お よ び表面の原子の配 列の様子を表示さ せた。
1 0 ) 構成元素の深 さ 方向の濃度分布
非貴金属元素の 選択的溶出、 貴金属元素の表面濃縮に よ っ て 合金表面近傍の構成元素の濃度分布が変化す る。
こ の様子を捉 え る た め に、 定電位分極 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 後の合金結晶の表面か ら深 さ 方向へ各層毎に 構成元素の 濃度を測定し た。 た だ し、 表 面 の 1 � 3 層 は 溶 出 に よ っ
て存在 す る原子数 が極端に 少ない た め、 濃度測定の 対象 か ら除外し た。
- 84
1 プ ロ グ ラ ム の実行
所定の電位 での溶出確率、 合金組成、 time stepを イ ン プ ッ ト し た後、 ン ミ ュ レ ー シ ョ ン を実行 す る。
合金結品の作製に お い ては、 B A S 1 C言語の乱数発生関数 RND関数)を用い て構成元素を ラ ン ダ ム に 配列し てい る が、 発生す る乱数が完全な一様乱数 では ない た め、 目的 の組成の合金を得 る た めに、 若干の補正を加え た。
分極 時間は、 t i m e s t e pに よ っ て 調整す るが、 合金結品 の サイ ズが小 さ い た め、 長時間 (長い ti m e s t e p ) の分極
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 うと 原子の溶出が最下層 (乙 の場 合第1 1層 ま で達し、 合金結晶に 穴があく お それがあ る。
し たが っ て、 t i m e s t e pは溶出が最下層に 達す る前に シ \ ュ レ ー シ ョ ン を終 了す る よ うな値を 選ぶ必要があ る。
以上の よ うな シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 っ て、 1 t i m e s t e p終 了毎の構成元素の溶出量 (溶出反応 に関与す る 電
子数の総和)、 合金表面の変化、 深 さ 方向の構成元素の 濃度分布を得た。 1 つの組成の合金の定電位分極 シ ミ ユ
レ ー シ ョ ン に 要 す る時間は、 N 8 8日 本語ß A S 1 Cコ ン パ イ ラ を使用し て 1 "'-' 2 時間程度 で あ っ た。
- 85
3 - 2 - 2. 結果と考察
( 1 ) CUo.7Auo.3-xPdx合金の定電位分極挙動の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
定電位分極 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン では、 F i g . 3 -2に 示す溶出 確率を用い て、 10 time stepの溶出操作を行い、 その問 に 溶出し たCuお よ びPd原子の総数を求め た。
F i g . 3 -3 � F i g . 3 -5は る定電位分極 シ ミ ュ レ
それ ぞれ300、 5 00、 7 0 0 m Vに お け シ ョ ン の結果( a )とl%NaCl水溶液 中 で10mi n定電位分極を行 っ たとき の実験結果( b )を 示し てい る。
3 0 0 m Vの分極では、 A uをPdで置換す るに つれて、 Cuの溶 出量が減少して い る。 乙 の電位では、 Au とPdはとも に ;容 出し ないので、 こ れ ら 両原子に よ る表面 カ バ の効果は
等しいと考え られ る。 し か し なが ら、 P dの方がAuに 比 べ てCuとの原子問相互作用が強い ため、 A uをPdで置換す る に つれて、 P dに よ るCu溶出の抑制効果が増加し、 Cuの溶 出量が減少し た も のと考え られ る。
5 0 0 m Vでは、 P d濃度が2 0 a t %ま では溶出量は ほ とん ど 変 化してい ない が、 こ の濃度以上では急激 に 増加しAuをす べてP dで置換し たCu-30at%Pd合金の溶出量 は最大と な っ た。
7 0 0 m Vで は、 A uを5... 1 5 a t覧のPdで置換し た合金の溶出重 はCu-30at完Au合金に 比 べて 小 さ く な っ た が、 A uをす べて
P dで置換し たCu-30at完P d合金の溶出量は最も 大き く な っ
- 86 -
。ω ω 刀
コ1600 υ
p(Cu-Cu
)=0.23 P(Cu-Au
)= 0.16P( Cu-
Pd)= 0.1P (
Pd) = 01300
G daE・・ nu
Pd (atお) Au (at%)
20 30
30 20 10 。
( a)
0.01
polarization at 300mVfor 10min
N
E
ぞ0.008
ω ω ω
<3: 0.006
、....-
0.004
。
。 da--- nu a一a &E‘一&・‘ whWA一
d一uゆP一A
20 30
30 20 --- nu
。
Fig. 3-3 Changes in the amount of Cu dissolved and the Q value with Pd content: (a)simulation of potentiostatic polarization at 300mV, (b)potentiostatic polarization test at 300mV for
10min
87 -
-
P( Cu-Cu)= 0.4
P( Cu-Au)= 0.27 P( Cu-Pd )= 0.18 P (Pd ) = 0:15 nu
nu nu
nu c
mw
-uω〉一。ωω一万
刀
c.. 3800
。コ
3600
2 0 30
。 10
Pd (atお)
。 10
30 20
( atお) Au
( a )
2
polarization at 500mV for 10min
。 (Nεο\Oω
ω・《)。
20 30
nu aEE,.
。
(atお)
4EE-- nU 。 Pd
20
30 Au
( at先)
(b)
with value
Q the and dissolved Cu
of amount the
工n Changes Fig. 3-4
polarization potent工ostatlc
(a)simulation of content:
Pd
for 500mV test at
polarization (b)potentiostatic
500mV at
88 10min
P(
Cu-Cu)= 0.7P( Cu -Au )= 0.47 P( Cu- Pd )= 0.32
P( Pd) = 0.28
8500
nu nu nu n6
3ω〉一oωω一万
nu nU 「hU3anコω
2 0 30
。 10
Pd (atお)
。 10
20
30
Au ( at先)
( a )
polarization at 700mV forîOmin
nu dE・E・
(NEO\Oωω・《)O
20 30
nu --E--
。 Pd
(atぉ)
nU 4ESE- 。 20
30 Au
( atお)
b
with value
the Q and dissolved Cu
of amount the
Changes ユn Fig. 3-5
polarization potentlostatユC
(a)simulation of content:
Pd
700mV for at
test polarization
(b)potentiostatic 700mV,
at
89 10min
た。
C uとPdの両元素の溶出が予想、 され る50 0 m Vお よ び7 0 0 m V での分極に お い ては、 基本的 に は 同様のPd濃度依存性が
不 された。 すなわ ち、 A uの一部をPdで置換す ると ア ノ ド反応量は低下 す るが、 多量のPd置換に よ っ て増大し、
A uのす べ てをPdで置換す ると反応量は最大とな る。 こ れ
ら の電位 ではCuの活発な溶出に よ り表面に はAuお よ びPd が濃縮 され るが、 Pdも 一部溶出す るた め、 表面では特に
A u濃度が高く な り、 こ れが内部か ら の溶出を抑制す る役 割を果たす こ とに な る。 したが っ て、 Au濃度が減少すれ ば ( P d濃度が増加すれ ば) 表面カ バーに よ る溶出抑制効 果は減少す る。 こ れが2 0 a t % P d ( 5 0 0 m V ) お よ び15at%Pd
7 0 0 m V ) 以上で溶出量が増大す る 理由 で あ る。
一方、 C uとの原子問相互作用を 考え ると、 Cu-Pd結合の
方がCu -A u結合 よ りも結合力が強い た め、 P d濃度が高い ほ どCuの溶出抑制効果は大き い と とに な る。 したが っ て、
表面カ バー効果をもた ら すAuが十分に 存在す る 範囲 では P d量の 増加とともに 溶出量は低下す る こ とに な り、 シ ミ
ュ レ ー シ ョ ン お よ び分極実験結果ともに 5--- lOat完Pdま で は ア ノ
ま た、
果は、
る。
ド反応は低下し て い る。
い ずれ の電位に お い て も シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の結 定性的 に 験結果を よ く 現し て い る こ と がわ か
- 90
.‘- ...
( 2 ) 定電位分極 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 後の合金元素
の分布
定電位分極を行 う と、 溶出反応 の平衡電位が分極電位
E ) よ り も低い 合金元素は 優先的に 溶出し E よ り も平衡電位が高い 元素は 表面に 濃縮す る こ と が知 られ て い る (43-45) ご の現象を確認す る た め に、 分極実験後
の試料合金の表面か ら 深 さ 方向への構成元素の濃度分布 を測定し、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 後の結品表面か ら 深さ 方向
へ の構成元素の濃度分布と 比較し た。 その結果を Fig.
3 - 6お よ びFig. 3-7に 示す。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 得られ た 濃度プ ロ フ ァ イ ル は、 定電位分極 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 っ た 後の合金格子 に つい て、 表面か ら 深 さ 方向への構成元素の濃度を 1 層 毎に 求め て プ ロ ッ ト し た ものであ る。 た だ し、 1 � 3 層 に は残留す る 原子の絶対数 が極端に 少なく、 大 き な誤差 を生じ る お それ があ る た め結果か ら除外し た。
分極実験は、 7 0 C u 2 5 A u 5 P d、 7 0 C u 1 0 A u 2 0 P d合金を用い、
1 % N a C 1水溶液中 で70 0 m Vの定電位分極を行 っ た。 分極実験
後の試料の表面か ら 深 さ 方向への構成元素の濃度分布は、
X 線光電子分光分析 ( E S C A - 100 0、 S H 1 M A D Z U、 K y 0 t 0 、
Japan) に よ っ て 求め た。 x 線光電子分光分析 に よ る X 線
分析は、 1 X lO-6Paの f ?'u で加速電圧10 k VのM g Kαを用 い て行 っ た。 試料の エ ッ チ ン グは5 x lO-4Paの真空下で加 速電序2 k Vの ア ル ゴ ン イ オ ン を用い て行 っ た。
句』ムn叫d
--,
100
,..-、、
、,._/
560
....,
CtS
を40
0 υ
820
υ
100
----
、.._..."
c o
喝.J伺
‘・
1: 40
ω υ
820
υ
70Cu-25Au- 5Pd p(Cu-Cu) =0.7 ,P(Cu-Au) =0.47 P( Cu-Pd) = 0.32 ,P( Pd) =0.28
A、
、ム、
、色、『
。
- -�- ー ー 『ー一『プ-L::.--_ Au ーー『ームーーーー
�
Pd
I
一一一 一口一一一 一口一一一一口一一一一口一一一一口一一一一口一一一一口
4
5 6 7 8 aE・E・ nu11
Layer
9
( a )
70Cu - 25Au- 5Pd
( � 仰O伽
700mV, îOmin )
A
ムム
ふU一AA山
ムA
ムム
ムム
ムA
A
OL O
Pd
口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一 一口
0.5
1Etching Time (min)
1.5
(b)
Fig. 3-6 Atomic concentration depth profiles of constituents in the 70Cu-25Au-5Pd alloy: (a)simulation of potentiostatic
polarization at 700mV, (b)potentiostatic polarization test at 700mV for 10min
- 92
100
、』ーノ
...,
ぷ40
CtS ω c ω5 20
υ
nu nu d----
.,,--、、
ミ80
C
、』ー"
560
...,
3コ40
CtS c ω υ820
υ
70Cu -10Au -20Pd p(Cu-Cu)=0.7 , P( Cu-Au) =0.47 P(Cu-Pd)=0.32 ,P( Pd ) =0.28
A、
ロ ロliム A
d一一up一←A
ロ ム
ーもロ ム
mロ
ヘムロ
口
。 7
8
91 0
1 1Layer
( a)
4
5 670Cu -10Au-20Pd (polarization1 700mV,10sec)
ム、、 、ム
、、、ム
Pd口一一口一一口一三0...,..ごE=-一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口一一口
- - �- ー -^- ー -
一心ー ー -�-ー-� ---�-
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IAu
nu nU nU 4EE--
5 15
Etching Time (min)
(b)
Fig. 3-7 Atomic concentration depth profiles of constituents in the
70Cu-lOAu-20Pd alloy: (a)simulation of potentiostatic
polarization at 700mV、 (b)potentiostat工c polarization test at 700mV for 10sec
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