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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

高齢心疾患患者のための転倒リスクおよびフレイル 評価に基づく心臓リハビリテーションプログラムの 開発

内藤, 紘一

https://doi.org/10.15017/4059971

出版情報:九州大学, 2019, 博士(人間環境学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

博士論文テーマ

高齢心疾患患者のための転倒リスクおよびフレイル評価に基づく 心臓リハビリテーションプログラムの開発

九州大学大学院人間環境学府 行動システム専攻 健康・スポーツ科学コース

3HE15017K 内藤 紘一

主指導教員:熊谷 秋三 教授

副指導教員:内田 若希 講師

村木 里志 教授

(3)

2

目次

第1章 研究背景と本論文の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

第2章 文献考証

2.1. 高齢心疾患患者の疫学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

2.2. 高齢心疾患患者の運動機能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

2.3. 高齢心疾患患者の身体的フレイル ・・・・・・・・・・・・・・・ 12

2.4. 本章のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

第3章 研究1 入院高齢心疾患患者の転倒リスクを推定する指標の検討(横断研究)

3.1. 背景と目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

3.2. 方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

3.3. 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

3.4. 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・ 30

第4章 研究2 高齢心疾患患者のフレイルの有無が退院3ヶ月後の健康関連QOLに及

ぼす影響(縦断研究)

4.1. 背景と目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

4.2. 方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・ 34

(4)

3

4.3. 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37

4.4. 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41

第5章 統合考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・ 45

引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50

謝辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65

(5)
(6)

1 第1章

研究背景と本論文の目的

我が国の総人口は,2015年10月1日現在,1億2,711万人,65歳以上の高齢者人口は,過 去最高の3,392万人,総人口に占める割合(高齢化率)も過去最高の26.7%と報告された

(内閣府)1).さらに,この社会の高齢化の中で心疾患患者の高齢化も報告されている2)

したがって,心疾患患者を対象としたリハビリテーション(心臓リハビリテーション;以

下,心リハ)は高齢者に対応したプログラムにする必要がある.

一般的に,リハビリテーションは運動機能などの評価を行い,問題点を抽出し,リハビ

リテーションプログラムを作成し実施する.人は加齢によって様々な運動機能が低下する

ため,高齢者は様々な運動機能の評価が必要である.しかし「心血管疾患におけるリハビ

リテーションに関するガイドライン」3) において,推奨される運動機能評価の項目は運動

耐容能と筋力のみであり,高齢者を対象とした場合には不十分である可能性が考えられ

る.一般的なリハビリテーションでは,患者1人に対してセラピスト1人が対応するため,

運動機能評価に多くの時間を費やすことが可能である.しかし,心リハでは集団運動療法

が基本であり,セラピスト1人が患者5-8人の対応をしなければならず,運動機能評価にガ

(7)

2

イドラインで推奨される項目以上の時間を費やすことは難しい.したがって,従来の運動

機能評価項目や患者情報,簡便なアンケート情報などから患者の転倒リスクや高齢者に多

く認められる身体的フレイルの評価を実施し,それらに基づく高齢心疾患患者に対応した

心リハプログラムを作成することが必要と考えた.そこで本研究は,高齢心疾患患者に対

応した心リハプログラムを作成することを目的とした.

本研究は,以下の2つの研究から構成される.

1)高齢心疾患患者の転倒リスクを既存の心リハプログラムにおいて行われている運動

機能評価や患者情報からスクリーニングできるような項目を検討する(研究1).

本研究により,これまで判別されていなかった転倒ハイリスクである患者を判別す

ることが可能になると考えた.

2)高齢心疾患患者の身体的フレイルを質問紙で判定し,退院後3ヶ月間の健康関連

QOL(Health-related quality of life: HRQOL)に与える影響を検討する(研究2).本

研究により,高齢者に多く認められる身体的フレイルが高齢心疾患患者のHRQOLに

与える影響が明らかとなり,評価項目に身体的フレイルを追加する必要性の有無の

検討に寄与すると考えた.

(8)

3

60.2%

74.7%

27.5%

42.8%

6.2%

13.5%

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

1996 1999 2002 2005 2008 2011 2014

Total number of patients with cardiovascular disease

Ten thousand people

第2章

文献考証

2.1. 高齢心疾患患者の疫学

厚生労働省の患者調査2)によると,2014年現在,心疾患患者数(脳血管疾患除く)

は,過去最高の約1,216万人,心疾患患者の高齢化率も,過去最高の74.7%と報告された

(Fig1.).また, 米国のFramingham研究4)によると,50歳と80歳以上を比較すると,80

歳以上の心不全発症率は10倍に上昇することが報告されている.このように心不全は老

年期に急増することから,正確な疫学データは不足しているが,高齢心不全患者の増加

が,心疾患の高齢化の一因となっていることが予想される.

Fig1. Changes in the proportion of elderly people in patients with cardiovascular disease (“Patient survey” 2), Ministry of Health, Labor and Welfare)

(9)

4

日本心不全学会作成の「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」によると,高

齢心不全患者の特徴として,①併存疾患が多い,②運動機能障害を有することが多い,③

身体的フレイル(虚弱)の存在が挙げられている5).この中で併存疾患が多いことは,心

不全の急性増悪が生じやすいことを意味する.非高齢者であっても,完全な臥床状態が継

続すると,運動耐容能は一日に約0.2メッツずつ低下するとされている6).心不全の急性

増悪による安静臥床は,容易に高齢心不全患者の運動耐容能を低下させることが予測でき

る.さらに高齢者の運動機能の各指標は互いに関連が強く,ひとつの運動機能の低下が他

の運動機能の低下を惹起することが報告されている7).これらによって引き起こされる身

Fig2. Relationship between exacerbation of heart failure and muscle function 8)

(10)

5

体不活動や骨格筋機能低下は,心不全のさらなる増悪を助長する8)(Fig2.).この悪循環を

断ち切るために,可及的早期から心リハを開始する必要があると考えられる.

心大血管疾患リハビリテーションの実施状況を推定するものとして,社会医療診療行為

別調査が利用できる.社会医療診療行為別調査9) は1955年から実施されているもので,6

月診療分の診療行為内容の調査である.これは,医療費がどのように使用されているかの目

安となる.心大血管疾患リハビリテーション料は,2016年6月において,総件数611,169件

(153,943時間)と報告された.その内訳は,75歳未満の一般医療は36%(222,226件,74,075

時間),75歳以上の後期高齢者医療は64%(388,943件,129,648時間)であった.さらに総

件数において,2016年6月は2009年6月の約6.1倍に増加し,2016年6月の後期高齢者医

療の割合は,2009年6月と比較して約19%増加していると報告され(FIg3.)9),心大血管疾

患リハビリテーション対象者の高齢化も示された.

(11)

6

Fig3. Changes in the number of cardiac rehabilitation9)

2.2. 高齢心疾患患者の運動機能

1) 筋力について

高齢者の筋力低下として,サルコペニア(Sarcopenia)が広く知られている.このため高

齢心疾患患者の筋力低下に関して,心疾患特有の筋力低下に加えてサルコペニアも考慮す

る必要があると考えられる.

サルコペニアとは,ギリシャ語で筋肉を表す”sarx (sarco) ”と減少を表す”penia”を合わせて

作られた造語である.欧州サルコペニアワーキンググループ(European Working Group on

(12)

7

Sarcopenia in Older People: EWGSOP)のコンセンサスでは,「筋量と筋力の進行性かつ全身

性の減少に特徴づけられる症候群で,身体機能障害,生活の質(Quality of Life: QOL)の低

下,死亡の危険を伴うもの」と定義されている10)

心疾患患者特有の骨格筋の変化は,まず骨格筋におけるtypeⅠ線維のtypeⅡa線維およ

びtypeⅡb線維への変化が挙げられる.これは嫌気性代謝閾値や最高酸素摂取量の低下を

引き起こすことが報告されている11), 12).次に,心疾患特有の骨格筋萎縮が挙げられる.こ

の原因として,心筋細胞と同様に骨格筋に対してもTumor Necrosis Factor-α(以下,TNF-

α)などの炎症性サイトカインの活性化と同時に細胞死が生じることが報告されている

13).これらの変化は,心疾患によって引き起こされたサルコペニアと考えられるが,未だ

に十分に解明されていない.これらに加えて,高齢心疾患患者は加齢によって生じたサル

コペニアの影響も強く受ける.加齢によって生じたサルコペニアにおいて,谷本ら14)

18歳以上の日本人4,003 人を対象に筋肉量を調査した.この結果,最も筋肉量が多い年齢

は,男性45歳,女性50歳であり,その年齢時と80歳時をそれぞれ比較すると,男性で

は 13%,女性では 7% の減少を認めたと報告された.また,森尾ら15) は,入院心リハ

(13)

8

を実施した心疾患患者162例の退院時の運動機能を測定した結果,膝伸展筋力は年代とと

もに低下することに加え,女性では70歳代,男性では80歳代で院内歩行自立のために必

要な最低限のレベルまで低下していると報告した.

以上から,高齢心疾患患者では加齢によって生じたサルコペニアに加えて,心疾患によっ

て引き起こされたサルコペニアを合併することによって,筋力低下が生じやすい状況にあ

ることが推察される.

2)運動耐容能について

「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)」で

は,心疾患患者における運動耐容能の低下の要因に関して以下のように報告されている.

運動耐容能低下の疾患別要因として,虚血性心疾患においては,主に運動誘発性心筋虚血

によって運動耐容能の低下が出現すること,また心不全においては心機能低下に基づく中

枢性および末梢性の循環障害に加えて,慢性的な低灌流や身体活動低下によって惹起され

る骨格筋の機能障害や換気機能障害などの総和として運動耐容能低下が出現するとしてい

3).病状の安定した心疾患患者の運動耐容能低下に関して,先に述べた骨格筋の変性や

(14)

9

萎縮の他,血管拡張能低下,およびエルゴ受容体反射低下など末梢因子が主要な機序を担

っていると考えられている16).これに加えて,高齢心不全患者では各運動機能の低下によ

る影響を考慮する必要がある.

森尾ら17) は,急性心筋梗塞または心臓外科手術後に急性期心リハを受けた108例を65歳

以上(高齢群)と未満(壮年群)で2群に分けて,筋力,バランス能力,歩行能力と運動耐

容能が因果的関係性を有するという因果モデルについて共分散構造分析を行い検討した.

その結果,壮年群では筋力→歩行能力,筋力→運動耐容能間では有意な因果的関係性が示さ

れた.つまり,壮年群では筋力の増減が運動耐容能に直接的に影響する可能性が示唆され

た.一方,高齢群では歩行能力→運動耐容能,筋力→歩行能力,バランス能力→歩行能力間

では有意な因果的関係性を示していた.つまり,高齢群ではバランス能力と筋力が,歩行能

力を介して運動耐容能に間接的に影響する可能性が示唆された.

以上の報告から,高齢心疾患患者の運動耐容能に関して,心機能や骨格筋力に加えて,バ

ランス能力の影響も受けている可能性が示唆される.

(15)

10

3)バランス能力について

「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」では,高齢心不全患者の特徴として,

バランス能力の低下が挙げられている5) .山本ら18) は,入院期心リハを終了した65歳以

上80歳未満の高齢虚血性心疾患患者363例と,同年代の地域在住高齢者75例の運動機能

を比較した.その結果,高齢虚血性心疾患患者は地域在住高齢者に比較して,筋力・バラン

ス能力が有意に低下していた.特に上肢よりは下肢の筋力低下が大きく,全体としてバラン

ス能力の低下が著しいことがその特性として報告された.

さらに,根本ら19) は,入院期心リハを終了した65名の虚血性心疾患患者を65歳以上(高

齢群)と未満(壮年群)で2群に分けて,退院後2週間の中強度以上(3メッツ以上)の身

体活動時間と運動機能との相関を検討した.その結果,壮年群では,中強度以上の身体活動

時間は下肢筋力とのみ有意な相関を示したのに対し,高齢群では下肢筋力の他にバランス

能力とも有意な相関が認められたと報告された.

(16)

11

これらの報告から,高齢心疾患患者のバランス能力は,同年代の健常高齢者や壮年期の心

疾患患者と比較して,低下しており,そのことは身体活動の減少に関連している可能性が示

唆される.

4)転倒について

健常高齢者の転倒に関わる因子について,筋力低下,バランス障害,歩行障害がある人は

ない人に比べて,3-5倍転倒しやすくなり,これらは高齢者の主な転倒危険因子であること

が報告された 20).日本の健常高齢者を対象とした他の報告では,高齢者において,サルコ

ペニアである人はサルコペニアではない人と比較して,1.81 倍転倒しやすいことが判明し

21)

また,高齢女性を対象とした研究では,心疾患の保有者は,非保有者に比べて,約2倍,

年齢や体格,併存疾患などを調整した後でも1.6倍転倒しやすいと報告された22)

さらに高齢者の運動機能は相互関連性が有り,ひとつの運動機能の低下が他の運動機能

の低下を引き起こすという悪循環を形成しやすい7)ことから,運動機能全般の低下が生じや

すく,転倒を生じ易いものと考えられる.

(17)

12

2.3. 高齢心疾患患者の身体的フレイル

1)身体的フレイルとは

フレイルとは,加齢に伴う種々の機能低下や予備能力の低下によって,健康障害に対す

る脆弱性が生じた状態とされ,高齢者が要介護状態に陥る過程の中段階的な状態とされる

23).また,フレイルには身体的フレイル,認知的フレイル,社会的フレイルがある.本稿

では,心疾患患者の予後と身体的フレイル(以下,フレイル)について概説する.

Friedらは,「フレイルサイクル」という仮説を提唱している24).フレイルサイクルと

は,フレイルの症状が互いに関連し合いながら悪化していく悪循環と提唱された.その中

核を成すのがサルコペニアである.まず筋肉量の減少に伴い筋力が減少し,歩行機能の低

下を惹起する.これは活動量の低下をもたらし,サルコペニアによる基礎代謝量の減少に

加えて,エネルギー消費量が減少する.このため,食欲が減退し慢性的な低栄養となりサ

ルコペニアが悪化するという悪循環に陥る.この一連の流れがフレイルサイクルであり,

サルコペニアを出発点としたフレイルの発症機序である(Fig4.).

(18)

13

Fig4. Frailty cycle24)

フレイルの診断基準として最もよく用いられている基準として,Friedらの基準24) があ

る.これは,①意図しない体重減少,②易疲労,③身体活動量減少,④歩行速度低下,⑤

筋力低下の5つの主要症状の中で,3個以上該当するものをフレイル,1-2個該当するもの

をプレフレイル(フレイルの前段階)として判断するものである.この診断基準は,比較

的簡便に診断可能であり,患者負担が少なく,臨床現場で使用しやすい.Friedらの基準

は,地域在住高齢者の障害発生や死亡を予測することが次のように示されており,その妥

当性が確立されている24)

(19)

14

Friedら24) は,5,317人の65歳以上の高齢者が参加したCardiovascular Health Study

(CHS)において,参加者をベースライン調査時で健常群とフレイル群に分けて,健康関 連イベントを7年間追跡調査した.その結果健常群の3年間での死亡が3%,転倒の発生が

15%,日常生活動作(Activity of Daily Living: ADL)障害の発生が8%,7年間での死亡が

12%,転倒の発生が27%,ADL障害の発生が23%であったことに対して,フレイル群の3

年間での死亡は18%,転倒の発生が28%,ADL障害の発生が39%,7年間での死亡が 43%,転倒の発生が41%,ADL障害の発生が63%であったことが報告された.

2)心疾患と身体的フレイル

心不全は病態の重症化に伴い,フレイルが生じることが知られている.この機序の一つ

として,心不全の重症化による腸管のうっ血により,腸管の透過性が亢進し,腸内バクテ

リアが腹腔内に移動することによる炎症性サイトカインの産生が考えられている.実際,

心不全の重症化によって,腸内細菌叢の細菌数が増加することが報告された25)

またフレイルは,高血糖26)やインスリン抵抗性27),慢性炎症27),Interleukin-6 (IL-

6)27) などの炎症性サイトカインなどとの関連も報告されている.これらは,フレイルと

(20)

15

心疾患に共通の病態であり,相互に悪影響を及ぼしている可能性が考えられる.これらの

報告から,フレイルと心不全などの心疾患との関連が指摘されている23)

このため,心疾患におけるフレイルの発生機序は,Friedらの提唱する健常高齢者のフ

レイルの発生機序に,心疾患特有の要因が加わっている可能性が高いことから,今後は心

疾患に特化した診断基準が必要であると思われる.この問題に対して,山田ら28) によっ

て,2015年から心不全フレイル診断基準開発を主目的とした大規模コホート研究(The

Frailty-based Prognosis Criteria in Heart Failure Patients: FLAGSHIP)が開始され

た.これは,2015年11月から2年間を症例登録期間とし,3000例の症例登録を目標とされ ており,退院後2年間の追跡調査が行われている.研究終了時には,心不全の病態・病型 に特異的なフレイル基準を明らかにすることが予定されている.

3)身体的フレイルと心疾患の予後

近年,歩行速度低下などのフレイルと高齢心疾患患者の予後に関する報告において,心

疾患や心不全といった枠組みでの報告に加えて,重症心不全,心室再同期療法といった疾

患の重症度や治療内容により細分化された報告も散見される(Table 1)29)-36). ここで

(21)

16

は,高齢者におけるフレイルと,心疾患全般や心不全,虚血性心疾患といった大枠での疾

患区分による心疾患の予後について概説する.

Newmanら37) によって,アメリカ合衆国において1,047人の心疾患既往患者を含む4,735

人を対象にコホート研究が行われた.その結果,フレイルは2.5倍の冠動脈疾患リスク,

7.5倍の心不全リスクと関連し,逆に臨床的な心疾患患者を除外した対象者において,無症

候性の心疾患検査異常は,フレイルのリスクを上昇させたと報告している.さらに,

Afilaloら38) の9つの研究をまとめたシステマティックレビューによって,60歳以上の地域

在住高齢者54,250人を平均6.2年間追跡した結果,心血管疾患を有する高齢者にフレイルが

存在すると,年齢,性別,治療内容,心不全の重症度,合併症などとは独立して,死亡率

が1.6倍になったと報告された.

また心不全とフレイルの関連について日常生活が自立した地域在住高齢者2,825人を平 均11.4年間追跡調査された.その結果,フレイル高齢者は非フレイル高齢者と比較して,

年齢,性別,心不全リスクスコア,炎症性サイトカイン,呼吸機能および過去の心疾患の

既往などと独立して心不全発症リスクが高い(ハザード比:1.24)ことが報告された35)

(22)

17

虚血性心疾患とフレイルとの関連について,虚血性心疾患に対して経皮的冠動脈形成術

を受けた65歳以上の629人を調査され,3年間の死亡率が非フレイル高齢者では6%,フレ イル高齢者では28%であったことが報告された39).また,日本において,急性心筋梗塞で 入院した472人の患者を平均5.5年間,追跡調査された36).その結果,歩行速度の遅い群

は,心血管イベントが,動脈硬化危険因子,併存疾患,内服薬,心筋梗塞サイズ,心機

能,リハビリテーション回数とは独立して有意に増加していたと報告された.同時に,非

高齢者は,歩行速度と予後に有意な関連が認められなかったことに対し,高齢者では強い

有意な相関が認められたと報告された36).尚,急性心筋梗塞患者の予後とフレイルの関連

に関しては,SILVER-AMI trial(NCT01755052)40) が継続中であり,75歳以上の高齢

心筋梗塞患者の予後におけるフレイルの重要性が評価される予定である.フレイルの前段

階であるプレフレイルと心疾患の関連に対しては,イタリアでベースライン調査時に心疾

患ではなかった65歳以上の白人高齢者3,099人が平均4.4年間,追跡調査された34).その結

果,プレフレイルは炎症マーカーや心疾患危険因子などで調整しても有意に心疾患発症率

が高かったと報告された.この研究では,Friedらの基準24) を基にプレフレイルが判定さ

れており,その要因別に心疾患発症との関連が検討された.心疾患発症を有意に増加させ

る因子として,身体活動量低下(ハザード比:1.70),易疲労(ハザード比:1.53),歩行

(23)

18

速度低下(ハザード比:1.28)が挙げられたが,筋力低下と意図しない体重減少は含まれ

なかったと報告された34).このように,心不全や虚血性心疾患をはじめとする心疾患を有

する高齢者が,フレイルを有すると,予後に悪影響を及ぼすことが注目されている.

Table 1 Report on prognosis of elderly heart disease patients with physical frailty for the past 3 years

References year Design sample n Patients Frailty measure Prevalence Outcome

Madan, S.

A., et al. 29) 2016 Prospective cohort study

Outpatients

with CHF 40

Mean age of 74.9 ± 6.5 years, 58% female NYHAclass IV, LVEF 25.6 ± 6.4%, 6MWT 195.8 ± 74.3 m, and Charlson Comorbidity Index (CCI) score of 4.9 ± 1.9

CHS Index

Not frail:0%

Prefrail: 35%

Frail: 65%

All-cause hospitalization or death (Prefrail vs.

frail): cumulativeHR 1.93, 95% CI 1.15–3.25, p = 0.013

Salinas, G.

L. A., et al.

30)

2016

Prospective, observational study

Inpatients with

MI 190

Non frail: mean age of 84 ± 4 years, 38%

female

Frail: mean age of 84

± 6 years, 37% female

SHARE-FI score Frail: 37.9%

Major bleeding (non frail vs. frail): 11.9% vs. 26.4%

Mortality (non frail vs.

frail): 3.4% vs. 8.3%

Dominguez- Rodriguez, A., et al. 31)

2015 Prospective cohort study

Patients scheduled to undergo CRT-D

102 Mean age of 73 ± 3 years, 47% female

Fried Frailty

Index Frail: 28%

Mortality and decompensated HF : HR 4.6, 95% CI 1.7–12.0, p = 0.002

Kang, L., et

al. 32) 2015 Prospective cohort study

Inpatients with

ACS 352 Median age of 74,

42.3% female

Clinical frail scale

Moderately or severely frail:

26.4%

short-term(30days) risks of all-

cause mortality, HR = 5.4 (95% CI: 1.5-19.7, p = 0.011) and unscheduled return visit, HR = 2.8 (95% CI: 1.1-7.0, p = 0.025)

Pulignano,

G., et al. 33) 2015 Prospective cohort study

Community-

living patients 331 Mean age of 78 ± 6

years, 43% female Gait speed

(Severely reduced gait speeds (≦0.65

m/s) : 34.7%)

all-cause death(slow vs.

fast): HR 0.62; 95% CI:

0.43 - 0.88

Sergi, G., et

al. 34) 2015 Prospective cohort study

community- dwelling in- dividuals

3,099 Mean age of 73.6 ± 6.7 years, 61% female

Fried Frailty Index

Prefrail: 45%

Nonfrail: 55%

Onset of new CV events(non frail vs.

prefrail): HR = 1.05 (95%

CI: 1.03-1.07, p < 0.0001)

Khan, H., et

al. 35) 2014 Prospective cohort study

community- dwelling in- dividuals

2,825 Mean age of 74 ± 3 years, 52% female

Gill index &

Health ABC physical performance battery

Frail: 50.5%

Heart failure risk(non frail vs. frail): HR = 1.24(95% CI: 1.13-1.36)

Matsuzawa,

Y., et al. 36) 2013 Prospective cohort study

Inpatients with

MI 472

Slowest: Mean age of 69 years, 82% male Middle: Mean age of 61years, 82% male Fastest: Mean age of 59 years, 82% male

Gait speed

Slowest: 33%

Middle: 34%

Fastest: 33%

Cardiovascular events: HR for increasing 0.1 m/s of gait speed: 0.71, 95% CI:

0.63 - 0.81, p < 0.001 Cardiovascular death: (HR for increasing 0.1 m/s of gait speed: 0.67, 95% CI:

0.55 - 0.81, p < 0.001 All-case death: HR for increasing 0.1 m/s of gait speed: 0.71, 95% CI: 0.62 - 0.82, p < 0.001 CHF: Chronic Heart Failure, NYHA class: New York Heart Association Functional Classification, LVEF: Left ventricular ejection fraction, 6MWT:

Six minutes walking test, HR: Hazard Ratio, CI: Confidence Interval, CHS Index: modified version of the Fried Frailty Index as defined in the Cardiovascular Health Study, MI: Myocardial Inferction, CRT-D: Cardiac Resynchronization Therapy-Defibrillator, ACS: Acute Coronary Syndrome, CV event: Cardiovascular event,

(24)

19

2.4. 本章のまとめ

高齢心疾患患者の疫学,および近年報告されている運動機能とフレイルに関する文献を

要約し,高齢心疾患患者の運動機能とフレイルの実態を概説した.人口の高齢化とともに,

心疾患患者も急速に高齢化し,心リハを受ける患者も高齢化していることが示された.この

結果,高齢心疾患患者に対する心リハがさらに重要となり,高齢心疾患患者の運動機能やフ

レイルに関する知見が重要であることが確認された.

また,高齢心疾患患者の運動機能は壮年心疾患患者と比較して,全般的に低下しており,

特にバランス機能の低下が著明であることが示された.さらに,各運動機能が相互に依存し

合い,一つの運動機能の低下が他の運動機能の低下を惹起し,運動機能の低下が進行する悪

循環に陥る可能性が高く,転倒リスクも増加すると考えられた.このため高齢心疾患患者

は,壮年心疾患患者とは別の心リハプログラムおよび運動機能評価の必要性が示唆された.

さらに,高齢者全般の課題であるフレイルに関して,心疾患はフレイルの増悪因子である

とともに,フレイルも心疾患の増悪因子であることから,生命予後,再入院,転倒および日

常生活機能などに悪影響を及ぼすことが示された.この結果,高齢心疾患患者のフレイルへ

の対策の重要性が確認された.

高齢心疾患患者の運動機能低下に伴い,転倒リスクが上昇することが示唆され,その対策

(25)

20

に心リハが重要であることは明らかであるが,現在の心リハの運動機能評価では,転倒リス

クに関して特別な項目は含まれていない3).このため,既存の運動機能評価から転倒リスク

をスクリーニングできるような項目の検討が必要と考えられる.このようなスクリーニン

グが可能となれば,転倒リスクが高い高齢心疾患患者に対して,個別に詳細なバランス能力

評価(重心動揺計を使用した平衡機能検査やBerg balance scaleを用いた動作から判定す

るバランス能力評価,家屋調査などの患者の周辺環境調査など)を実施することで,将来的

な転倒のリスクを軽減させることができる可能性があると考える.

また,フレイルに関して,これまで述べてきた様に生命予後に影響することが示されてい

るが,生活の質(Quality Of Life: QOL),特にHRQOLとの関連については明らかにされ

ていない.HRQOLに関して,Medical Outcome Study 36-Item Short Form Health Survey

(SF-36)がよく用いられる.日本人において,その概念の構造は8つの下位尺度の上位に

3つの上位概念(身体的健康,精神的健康,社会的健康)があるとされている41).これらと

高齢心疾患患者のフレイルの関連が明らかになれば,包括的心リハの観点からのきめ細か

い対策が可能になると考えられる.つまり,身体的健康に対しては運動療法を,精神的健康

に関しては臨床心理士などによる心理カウンセリングを,社会的健康に関しては地域包括

支援センターやケアマネジャーなどとの協力などが,その対策として挙げられる.このた

(26)

21

め,高齢心疾患患者のフレイルとHRQOLの関連性を検討する必要性は高いと考えられる.

(27)

22 第3章

研究1 入院高齢心疾患患者の転倒リスクを推定する指標の検討(横断研究)

3.1. 背景と目的

第2章でも述べたように,高齢化率の上昇に伴う高齢心不全患者の増加は,循環器疾患の

高齢化の一因となっていることが予想される. 一般的に,加齢によって運動機能が低下す

ることは良く知られている.このため高齢不全患者の包括的な疾患管理には,病状だけでは

なく,運動機能の評価も重要である.高齢心不全患者の運動機能は,壮年心疾患患者と比較

して,全般的に低下しており,特にバランス機能の低下が著明である 18).さらに,各運動

機能が相互に依存し合い 7),運動機能の低下が相加的に進行する悪循環に陥る可能性が高

く,転倒リスクの増加が示唆される.

転倒リスク増加の対策に心リハが重要であることは明らかであるが,現在の心リハにお

ける運動機能評価において,転倒リスクに関する評価項目は存在しない3).転倒リスクの判

定として代表的な評価方法にBerg balance scale(BBS)がある.BBSは信頼性,妥当性

ともに高いことが報告されている 42).米国老年医学会が 2010 年に発表した転倒予防ガイ

ドラインにおいても,BBSは転倒リスクの判定として推奨されている43).しかし,複数の

動作課題の検査であることから,使用頻度は低いとの報告がある44) .このため,既存の心

(28)

23

リハの運動機能評価から転倒リスクをスクリーニングできるような項目の検討が必要と考

えられた.このようなスクリーニング方法が明らかになれば,転倒リスクの高いと判定され

た患者に対してのみ,BBSのような詳細な評価の実施が可能になると予想される.

そこで,本研究では高齢心不全患者において,既存の心リハプログラムにおいて行われて

いる運動機能評価や患者情報から,転倒リスクの有無をスクリーニングできるような項目

を検討することを目的とした.

3.2. 方法

1)対象

K病院心臓血管センターに慢性心不全急性増悪で入院し,心リハが処方された60歳以上の

患者のうち除外基準(Table 2)を除く,33例(男性12例,女性21例,平均年齢74.6 ± 9.9 歳)を対象とした.なお,本研究は京都桂病院倫理審査委員会で承認(承認番号220号)を 得て,本研究の内容について被験者に口頭と書面で説明し,同意のもとに実施した.

(29)

24

2)測定項目

対象者の病棟歩行が許可された時点(入院から7.1±3.2日)で,BBS,6分間歩行距離(six-

minute walk distance: 6MWD),脚伸展筋力を測定した.転倒リスクの判定として,BBS

を使用した.BBSは,「姿勢保持」「立ち上がり動作」などの簡単なバランス機能から「ファ

ンクショナルリーチテスト」「継ぎ足」「片脚立位テスト」などの高度なバランス機能まで計

14項目の検査項目があり,各項目を「0点から4点」で評価し,最大スコアは「56点」とな

42).BBSにおける転倒のcut-off値は45点とされるため42),45未満を“転倒リスク有”,45

点以上を“転倒リスク無”と定義した.6MWDはATSの基準45) に従い測定を行った.歩行 路は30mの直線を用い,往復歩行を行った.測定中は心拍数と酸素飽和度を記録し,終了時 にBorg Scaleを使用して呼吸困難感と下肢の疲労感を確認した.脚伸展筋力の評価には能

Table 2 Exclusion Criteria

1. Those with orthopedic and its sequelae-cerebrovascular disease causing gait disturbance

2. Non-ambulatory person from prehospital 3. Chronic obstructive pulmonary disease patients 4. Depressed patients

5. Who maintain dialysis is required

6. Persons with visual disabilities hinder significant in everyday life 7. Those who had more than 5 days bed rest period during hospitalization 8. Who each evaluation is difficult to implement

(physical function and cognitive function)

(30)

25

動型展伸・屈伸回転運動装置(StrengthErgo240,三菱電機エンジニアリング株式会社)を 使用し,下肢全体での伸展筋力を評価した.脚伸展筋力の測定は等速運動(50回転 / 分)

を最大筋力の70% 程度の力で5回転練習をした後に最大努力による回転運動を5回実施し

た.測定で得られた最大値を体重で除し,正規化した値を脚伸展筋力とした.また,年齢,

性別,BMIを調査し,心不全の重症度として,心不全の生化学的マーカーとして広く臨床現

場で用いられている脳性ナトリウム利尿ペプチド(Brain Natriuretic Peptide: BNP)を診 療記録より得た.さらに左室駆出率(Left Ventricular Ejection Fraction: LVEF)に関して も同様に診療記録より得た.

3)統計解析

高齢心不全患者の転倒リスクの有無に関連のある要因を検討するための多重ロジスティ

ック回帰分析を行うために,2群間でMann-Whitney U 検定もしくは,χ2検定を行い,p <

0.20であった項目を独立変数の候補とした.次に多重共線性を防ぐために,有意差を認めた

項目間の相関行列から,相関係数が0.7以上あった一方の項目を除外した.選択基準は,高

齢心不全患者の転倒リスクの有無をスクリーニングできるような項目を検討することを目

的とするため,測定が簡便な項目を残し他方を削除した.この2つの解析から得られた指標 を独立変数,BBSによる転倒リスクの有無を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析

(31)

26

を行い,転倒リスクの有無に独立して関連する要因について解析した.変数選択法はステッ

プワイズ法(尤度比による変数増加法)を使用した.

さらに,転倒リスクの有無を状態変数として,多重ロジスティック回帰分析によって選択

された因子での受信者動作特性曲線(Receiver Operating Characteristic curve: ROC曲線)

を用いて,CHF患者の転倒リスクの有無を最適に分類するためのcut-off値を求めた.cut-off

値は,「感度 -(1 - 特異度)」を最大にする値を採用した.正診性をArea under the curve

(AUC)を用いて評価した.クロス集計表により得られたcut-off値での感度と特異度を算 出した.

全ての統計解析はDr. SPSS II for Windowsを用いて行い,有意水準を5% 未満とした.

Hosmer-Lemeshow testに関しては,p > 0.05で,回帰式は適合していると判定した.

3.3.結果

対象者の63.6%が女性であった.各指標の中央値は,年齢:76.0歳,BMI:21.6 kg / m2

BNP:573.1 pg / ml,LVEF:45.0%,BBS:43.0,6MWD:336.0 m,脚伸展筋力:0.8 Nm

/ kgであった.BBS評価で「転倒リスク有」と判定されたのは54.5%であった.慢性心不

全の急性増悪の原因となった基礎疾患は,虚血性心疾患24.2%,高血圧症39.4%,心臓弁膜

症12.1%,心筋症9.1%,不整脈6.1%,およびその他9.1%であった.併存疾患として,高

(32)

27

血圧症は64%,糖尿病と脂質異常症はそれぞれ30%,左室拡張障害は36%,心臓弁膜症は

18%,心筋症は15%に認められた(Table 3).また, NYHA心機能分類に関しては,入院時

は全例Ⅳ度,病棟歩行が許可された時点では全例Ⅱ度であった.

BMI: Body Mass Index, BNP: Brain Natriuretic Peptide, LVEF: Left Ventricular Ejection Fraction, BBS: Berg Balance Scale, 6MWD: six-minute walk distance

単変量解析では,2群間で有意差が認められたのは年齢(p < 0.01),性別(p < 0.01),

BMI(p < 0.05),6MWD(p < 0.01),脚伸展筋力(p < 0.01)であり,BNP(p = 0.33)

とLVEF(p = 0.31)には有意差は認められなかった(Table 4).2群間でp < 0.20であっ

た項目の中で,6MWD,脚伸展筋力は互いに相関が高かった(r = 0.75,p < 0.01).そこで

多重共線性を考慮して年齢,性別,BMI,6MWDを独立変数,転倒リスクの有無を従属変

Age (y.o.) 76.0 (66-83)

Female 63.6%(21)

BMI (kg / m2) 21.6 (20.1-25.6)

Hypertension (%, n) 63.6% (21)

Diabetes (%, n) 30.3% (10)

Dyslipidemia (%, n) 30.3% (10)

left ventricular dilatation (%, n) 36.4% (12)

Valvular disease (%, n) 18.2% (6)

Cardiomyopathy (%, n) 15.2% (5)

BNP (pg / ml) 573.1 (363.2-1168)

LVEF (%) 45.0 (26-59)

BBS (point) 43.0 (31-55)

6MWD (m) 336.0 (236-408)

Leg extensor muscle strength (Nm / kg) 0.78 (0.57-1.13) Table 3 Characteristics of the subject (n = 33)

Median (interquartile range) or population(%)(number)

(33)

28

数としたモデル(モデル1)とモデル1の6MWDを脚伸展筋力に変えたモデル(モデル2)

の2つのモデルで多重ロジスティック回帰分析を行った.モデル1のModel χ2 testの結

果は,p < 0.01で有意であり,選択された因子は6MWD(p = 0.03)のみであった.Hosmer-

Lemeshow testは, p = 0.97と良好であった.判別的中率は84.8%であった.また,6MWD

(1 m毎)のオッズ比は0.96であった(Table 6).モデル2では統計学的に有意な因子は

選択されなかった(脚伸展筋力 p = 0.09).さらにBBSの各ドメインと6MWDにおいて,

「椅子からの立ち上がり」以外の項目で有意な相関が認められた。相関係数が一番大きかっ

たのは総得点であった(Table 7).

転倒リスクの有無を状態変数とした6MWDのROC曲線の評価では,「感度-(1-特異

度)」を最大にするcut-off値は328mであった.このROC曲線での正診性を示すAUCは

95.6%であった.このcut-off値での感度は93.3% ,特異度は83.3% であった(Fig. 5).

BMI: Body Mass Index, LVEF: Left Ventricular Ejection Fraction, BNP: Brain Natriuretic Peptide, 6MWD: six-minute walk distance

without fall risk (n = 15)

with fall risk

(n = 18) p value

Age (y.o.) 68 (63-74) 82 (76-87) < 0.01

Sex (male / female) 10 / 5 2 / 16 < 0.01

BMI (kg / m2) 24.3 (21.0-26.0) 21.1 (18.1-22.0) < 0.05

LVEF (%) 41 (28-53) 47 (27-66) 0.31

BNP (pg / ml) 857.0 (426.8-1229.1) 496.1 (367.9-864.6) 0.33

6MWD (m) 414 (386-430) 238 (217-305) < 0.01

Leg extensor

muscle strength (Nm / kg) 1.18 (1.05-1.49) 0.58 (0.47-0.74) < 0.01 Table 4  Result of t test between with and without fall risk

Median (interquartile range) or population (%) (number)

(34)

29

BMI: Body Mass Index,6MWD: six-minute walk distance

Table 6 Result of Logistic regression analysis for predicting risk of falls

Predictor Odds ratio 95% confidence interval p value

6MWD (1m) 0.96 0.94-0.99 0.03

Hosmer-Lemeshow test χ2 = 2.22 0.97

Model χ2 test: p < 0.01, Discrimination Rates: 84.8%

6MWD: six-minute walk distance

Score r p value

Sitting to standing 4 (4 - 4) 0.297 0.093

Standing unsupported 4 (4 - 4) 0.599 < 0.001

Sitting unsupported 4 (4 - 4) 0.527 0.002

Standing to sitting 4 (3 - 4) 0.689 < 0.001

Transfers 4 (3 - 4) 0.679 < 0.001

Standing with eyes closed 4 (2 - 4) 0.751 < 0.001

Standing with feet together 4 (2 - 4) 0.826 < 0.001 Reaching forward with outstretched arm 4 (2 - 4) 0.776 < 0.001 Retrieving object from floor 4 (3 - 4) 0.617 < 0.001

Turn to look behind 4 (2 - 4) 0.779 < 0.001

Turn 360 degrees 4 (2 - 4) 0.768 < 0.001

Placing alternative fot on stool 4 (0 - 4) 0.778 < 0.001 Standing with one foot in front 4 (0 - 4) 0.794 < 0.001

Standing on one foot 4 (0 - 3) 0.814 < 0.001

Total score 43 (31 - 55) 0.863 < 0.001

Score: Median (interquartile range) Table 7 Correlation between each domain of Berg Balance Scale and 6MWD

Age Sex BMI 6MWD Leg extensor

muscle strength Age 1.000 -0.320 -0.441** -0.524** -0.412**

Sex 1.000 0.390** 0.609** 0.553**

BMI 1.000** 0.391** 0.241**

6MWD 1.000** 0.745**

Leg extensor

muscle strength 1.000**

Table 5  Speaman's rank correlation coefficient

**p < 0.01 *p < 0.05

(35)

30

Fig.5The ROC curve analysis showed that the most effective cut off value in 6MWD to distinguish fall risk from subjects was 328.0 m.

3.4.考察

本研究では,高齢心不全患者において,既存の心リハプログラムにおいて行われている運

動機能評価や患者情報から転倒リスクの有無をスクリーニングできるような項目を検討し

た.その結果,6MWDが328 m未満では転倒リスクが高いことが判明した.

転倒リスクの有無と他の評価項目間での単変量解析の結果,高齢心不全患者の転倒リス

クの有無において,独立した関連因子の候補として,年齢,性別,BMI,6MWD,脚伸展

筋力が挙げられた.これらの項目の中で,6MWD,脚伸展筋力は互いに相関性が高かった.

6MWDは日本循環器学会作成の慢性心不全治療ガイドライン(2010 年改訂版)46) に運動

能力評価として挙げられている.また脚伸展筋力は特殊な機械を用いた測定であるが、筋力

(36)

31

自体は一般的な心不全患者に対する運動能力評価である46).この2つの評価項目が高かっ

た理由として,運動能力の低い高齢者では,運動能力は相互関連性が有る7)ことに起因する

ものと考えられた.

次に年齢,性別,BMI,6MWDまたは脚伸展筋力を独立変数として多重ロジスティック

回帰分析を行った.その結果から,高齢心不全患者の転倒リスクの有無において,独立した

関連因子として 6MWD のみが統計学的に有意であった.オッズ比を解釈すると,6MWD

が1 m増えると転倒リスクは約4%,10m増えると約34%減少することが明らかとなった.

6MWD で転倒リスクの有無をスクリーニング可能であった理由として,6MWD は身体機

能を総合的に反映したもの47) とされていることが考えられる.米国胸部学会の6MWDに

関するガイドライン47) では,6MWDは呼吸機能,心血管系機能,骨格筋機能を総合的に評

価できる評価方法であることが示されている.転倒リスクに影響を与える身体機能として,

筋力,バランス能力など様々な機能が関与すると報告されていることから 48),総合的な身

体機能を反映するとされる6MWDは,スクリーニング項目に適していたと考えられた.

さらに,転倒リスクの有無のcut-off値とされる「BBS:45点」を推定する6MWDのcut-

off値は328 mであった.Cahalinら49) は, 6MWDが300 m未満の心不全患者の6ヶ月

以内の再入院率が高かったことを報告している.生命予後の面からも 6MWD が約 300 m

(37)

32

未満であることは,その後の介入を考える上でも重要であると考えられた.

さらに,このcut-off値での正診性を示すROC曲線のAUCは95.6% ,感度は93.3% ,

特異度は 83.3% と高値であった.このため,6MWD は転倒リスクの有無をスクリーニン

グする上で有用な因子であると判定された.

また,鳥羽ら 50) は地域在住高齢者の転倒リスクのスクリーニングとして「転倒スコア」

を開発した.これは,「つまづく」,「めまい」,「家の中に障害物がある」,「タオルがきつく

絞れない」,「杖を使っている」,「膝が痛む」,「横断歩道を青のうちに渡りきれない」の7項

目の中で3項目以上に該当する場合に転倒リスクありとしたものである.6分間歩行距離は

歩行速度と関連があるため,本研究との共通点としては,歩行速度が転倒リスクと関連して

いる点が挙げられる.また,心疾患特有の項目は認められなかった.このため,転倒リスク

に関しては,高齢心疾患患者は地域在住高齢者と同様である可能性が示唆された.

本研究では,高齢心不全患者に多く実施されている6MWDが,詳細な転倒リスク評価が

必要な患者を選別するスクリーニング評価として活用できる点を明らかにした.したがっ

て,このスクリーニングで転倒リスクが有りと判定された高齢心不全患者に対して,個別に

詳細な転倒予防のための評価を実施することで,明らかとなった問題に対する個別の運動

トレーニングや環境整備など転倒予防のためのプログラムが可能になると考えられた.

(38)

33 第4章

研究 2 高齢心疾患患者のフレイルの有無が退院 3 ヶ月後の健康関連 QOL に

及ぼす影響(縦断研究)

4.1.背景と目的

第1章でも述べたように,心リハ対象者も高齢化しており,その実施に際し,高齢者への

対応の重要性が高まってきている.高齢者特有の問題として,加齢に伴うフレイルはその主

要なものの一つである.フレイルは年齢とともに高い有病率を示し,死亡率,転倒,日常生

活動作障害などの危険が高いと報告されている 24).また,高齢心疾患患者のフレイルは,

死亡率38)39),再入院29) に関連することが報告されている.さらに,フレイルは心不全の悪

化に関連する因子であり,心疾患はまた,フレイルの悪化に関連する要因であることも報告

されている37)

高齢心疾患患者に対する心リハにおいて,個人の健康観を示すHRQOLは,再入院や死亡

率といったアウトカムと同等,もしくはそれ以上に重要である.フレイルがHRQOLの悪

化に関連することについて報告されており 51),さらに高齢心疾患患者においても同様であ

ることも報告されている52)53)

HRQOLの評価では,SF-36 54) がよく用いられる.日本人において,その概念の構造は

(39)

34

8つの下位尺度の上位に3つの上位概念(身体的健康,精神的健康,社会的健康)があると

されている41).しかし,高齢心疾患患者のフレイルがHRQOLの3つの側面に与える影響

はよく知られていない.退院時のフレイルが退院後のHRQOLの3つの側面に与える影響

が明らかになれば,退院時から,適切な包括的心リハが可能となると考えられる.

そこで本研究の目的は,高齢心疾患患者における退院時点でのフレイルの有無が退院3か

月後のHRQOLの変化に与える影響を検討することとした.

4.2.方法

(1)研究デザイン

本研究では,縦断研究を採用した.退院時に診療録および質問紙にて,患者特性(年齢,

性別,身長,体重,Body mass index(BMI),教育歴,疾患名,血清,Brain Natriuretic

Peptide(BNP),入院回数),生活習慣(独居の有無,喫煙歴,転倒歴,規則正しい食習慣,

規則正しい就寝時刻,規則正しい起床時刻,睡眠時間,ストレスの有無,地域活動の参加の

有無,就労の有無),フレイルと HRQOL の情報を収集した.さらに,運動能力として,

Timed up and go test(TUG)を最大速度と通常速度で測定し,握力,通常歩行速度(5m

歩行)を測定した.さらに,退院1ヵ月後,3ヵ月後にHRQOLおよびフレイルを,6ヵ月

(40)

35

後に再入院の有無など予後を郵送法によって調査した.

(2)対象者

2016年11月から2017年12月までの間に,K医療センターならびにK病院に心筋梗塞

または心不全が原因で入院し,認知症がなく,日常生活動作がすべて自立しており,自宅に

退院した65 歳以上の患者の中で,研究参加の同意が得られた40名(男性 34 名,女性6

名)を対象とした.なお,本研究では2群(frailtyとnon-frailty)に対してHRQOLを3

回繰り返し測定した結果について,分割プロットデザインを用いて分析できるようにする

ために,必要サンプル数(Effect size: 0.25,αerror: 0.05,Power: 0.8)を40名に設定し

た.

(3)測定項目

① フレイル

フレイルの判定には,介護予防事業で用いられる「基本チェックリスト」を用いた 55)

本研究では,小川らの方法56) に従って25項目の基本チェックリストのうち,うつ予防・

支援にかかわる5項目を除く20項目を用い,合計20点満点中6点以上をフレイル,6点

未満を非フレイルとして判定した.

② HRQOL

(41)

36

HRQOLの測定には,SF-36 version 2を使用した52).SF-36自己記入式の質問用紙を対

象者に記入してもらい, SF-36 version 2 日本語版スコアリングプログラム(iHope

International,京都)を使用して得点化した.SF-36 は,8 つの健康概念を測定するため

の36 項目の質問項目からなる.8 つの概念とは身体機能,身体の日常役割機能,体の痛み,

全体的健康感,活力,社会生活機能,精神の日常役割機能,心の健康である.日本人におい

て,この8つの下位尺度の上位に3つの上位概念(身体的健康,精神的健康,社会的健康)

がある.これに基づき,2011 年に開発された3 コンポーネント・スコアリング法52) によ

り,「身体的側面のQOL サマリースコア」(physical component summary: PCS),「精神

的側面のQOL サマリースコア」(mental component summary: MCS),「役割/社会的側

面のQOL サマリースコア」(role/social component summary: RCS)の3 つの構成要素を

算出した.また,それぞれの得点は,国民標準値に基づいたスコアリング得点(NBS:Norm-

based Scoring)を使用した.これは,0-100 得点を,日本国民全体の国民標準値が50 点,

その標準偏差が 10 点になるように計算し直したものである.SF-36 version 2 ではこの

NBS 得点が国際的標準得点とされている57)58 )59)

(4)解析方法

(42)

37

必要症例数の計算はG*Power3.0.10を使用した.フレイル,ノンフレイル間における各指

標の比較のために,t検定,χ2検定またはフィッシャーの直接確率検定を使用した.また

SF-36の各側面の変化をフレイル,ノンフレイルの2群と調査期間の分割プロットデザイン

による分散分析を行い,post-hoc検定にはBonferrorni法を用いた.すべての統計解析には

IBM SPSS Statistics ver. 24.0を使用し,有意水準は5%とした.

(5)倫理的配慮

本研究は,京都橘大学倫理審査委員会(承認番号:16-16,16-23),九州医療センター倫 理審査委員会(承認番号:16C138),京都桂病院倫理審査委員会(承認番号:477)の承認

を得た.対象者には事前に研究依頼書を提示し,内容,目的,意義,伴う危険性などについ

て書面にて十分に説明し,同意を得た.

4.3.結果

研究に参加した患者40名の平均年齢は,75.1±6.6歳,性別は男性85%(34名),女

性15%(6名)であった.退院時にフレイルと判定された患者は,45.0%(18名)であり,

非フレイルと判定された患者と比較して,快適速度でのTUGの時間が有意に短かった以外

は患者特性,生活習慣,運動能力,退院時のHRQOL,6ヶ月予後において,両群間に有意

(43)

38

な差は認められなかった(Table 7).

Table 7 Comparison of non-frailty group and frailty group

退院時にフレイルと判定された患者の中で,3 ヶ月後に非フレイルであった患者は 40%

程度であり,60%程度はフレイルのままであった.また,退院時に非フレイルと判定された

Non-frailty Frailty p value

(N=22, 55.0%) (N=18, 45.0%)

Subjects’ characteristics

Age (y.o.) 74.0 ± 5.7 76.3 ± 7.3 0.29

Female (%) 13.60% 16.70% > 0.99

Height (m) 1.6 ± 0.1 1.6 ± 0.1 0.9

Weight (kg) 61.3 ± 5.9 60.1 ± 10.6 0.68

BMI (kg/m2) 23.1 ± 2.0 22.4 ± 2.8 0.39

Education (years) 12.8 ± 2.3 11.6 ± 1.1 0.06

Disease (HF(%):MI(%)) 36.4% : 63.6% 44.4% : 55.6% 0.75

BNP (pg/ml) 420.4 ± 315.3 447.4 ± 451.8 0.85

Number of hospitalizations (times) 1.9 ± 1.0 1.8 ± 1.0 0.94

Lifestyle habits

Living alone (%) 95.5% 77.8% 0.16

Current smoker (%) 9.1% 16.7% 0.64

Fall experience (%) 9.1% 16.7% 0.65

Eat regularly everyday (%) 90.9% 100.0% 0.49

Regularly go to bed (%) 86.4% 94.4% 0.61

Regularly wake up (%) 90.9% 100.0% 0.49

Sleeping time (hours/day) 7.9 ± 1.8 7.9 ± 1.7 0.93

Day-to-day strong stress (%) 27.3% 50.0% 0.19

Participation in community activities (%) 72.7% 44.4% 0.11

Employment (%) 45.5% 27.8% 0.33

Motor functions

TUG at the normal speed (sec) 8.1 ± 2.3 10.4 ± 2.3 0.004

TUG at the maximum speed (sec) 7.8 ± 5.0 8.0 ± 2.1 0.83

Grip (kg) 32.4 ± 10.2 33.1 ± 11.3 0.85

Walking speed (sec) 5.3 ± 2.0 5.4 ± 1.4 0.8

HRQOL (SF-36 summary scores)

PCS at discharge 41.7 ± 10.4 35.2 ± 13.1 0.1

MCS at discharge 56.4 ± 11.7 54.6 ± 6.2 0.08

RCS at discharge 47.8 ± 13.4 39.8 ± 15.5 0.1

Prognosis

  mortality (6 months) 4.5% 16.7% 0.31

HF re-admission (6 months) 0.0% 11.1% 0.2

Values are mean ± standard deviation or proportion (%)

(44)

39

患者の中で,3ヶ月後にフレイルとなっていた患者も30%程度存在していた(Fig. 6).

Fig. 6 Three months progress in frailty

また,SF-36 の各側面の変化をフレイル,ノンフレイルの 2 群と調査期間の分割プロッ

トデザインによる分散分析した結果,PCS ではフレイルの有無,調査期間ともに主効果は 認められず(p=0.08,p=0.11),交互作用も認められなかった(p=0.91,Fig. 7).

Non-Frailty: n=8 Upon discharge One month after discharge

Frailty: n=3 Non-Frailty: n=4

Non-Frailty: n=1 Three month after discharge

Frailty: n=7

Non-Frailty: n=3

Frailty: n=4 Frailty: n=18

Frailty: n=10

Non-Frailty: 15 Non-Frailty: n=22

Frailty: n=4

Non-Frailty: N=18

Frailty: n=3

(45)

40

Fig. 7 Changes in physical component summary

MCSでも同様に,フレイルの有無,調査期間ともに主効果は認められず(p=0.38,p=0.17),

交互作用も認められなかった(p=0.15,Fig. 8).

Fig. 8. Changes in mental component summary 0

10 20 30 40 50 60 70 80

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

Score by scoring based on national standard value

non-Frailty Frailty

At discharge after1 month after 3 months

0 10 20 30 40 50 60 70 80

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

Score by scoring based on national standard value

軸ラベル

non-Frailty Frailty

At discharge after1 month after 3 months

Table 1 Report on prognosis of elderly heart disease patients with physical frailty for  the past 3 years
Table 2 Exclusion Criteria
Table 6 Result of Logistic regression analysis for predicting risk of falls
Table 7 Comparison of non-frailty group and frailty group
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参照

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