• 検索結果がありません。

考察

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 35-38)

22 第3章

3.4. 考察

30

Fig.5The ROC curve analysis showed that the most effective cut off value in 6MWD to distinguish fall risk from subjects was 328.0 m.

31

自体は一般的な心不全患者に対する運動能力評価である46).この2つの評価項目が高かっ

た理由として,運動能力の低い高齢者では,運動能力は相互関連性が有る7)ことに起因する

ものと考えられた.

次に年齢,性別,BMI,6MWDまたは脚伸展筋力を独立変数として多重ロジスティック

回帰分析を行った.その結果から,高齢心不全患者の転倒リスクの有無において,独立した

関連因子として 6MWD のみが統計学的に有意であった.オッズ比を解釈すると,6MWD

が1 m増えると転倒リスクは約4%,10m増えると約34%減少することが明らかとなった.

6MWD で転倒リスクの有無をスクリーニング可能であった理由として,6MWD は身体機

能を総合的に反映したもの47) とされていることが考えられる.米国胸部学会の6MWDに

関するガイドライン47) では,6MWDは呼吸機能,心血管系機能,骨格筋機能を総合的に評

価できる評価方法であることが示されている.転倒リスクに影響を与える身体機能として,

筋力,バランス能力など様々な機能が関与すると報告されていることから 48),総合的な身

体機能を反映するとされる6MWDは,スクリーニング項目に適していたと考えられた.

さらに,転倒リスクの有無のcut-off値とされる「BBS:45点」を推定する6MWDの

cut-off値は328 mであった.Cahalinら49) は, 6MWDが300 m未満の心不全患者の6ヶ月

以内の再入院率が高かったことを報告している.生命予後の面からも 6MWD が約 300 m

32

未満であることは,その後の介入を考える上でも重要であると考えられた.

さらに,このcut-off値での正診性を示すROC曲線のAUCは95.6% ,感度は93.3% ,

特異度は 83.3% と高値であった.このため,6MWD は転倒リスクの有無をスクリーニン

グする上で有用な因子であると判定された.

また,鳥羽ら 50) は地域在住高齢者の転倒リスクのスクリーニングとして「転倒スコア」

を開発した.これは,「つまづく」,「めまい」,「家の中に障害物がある」,「タオルがきつく

絞れない」,「杖を使っている」,「膝が痛む」,「横断歩道を青のうちに渡りきれない」の7項

目の中で3項目以上に該当する場合に転倒リスクありとしたものである.6分間歩行距離は

歩行速度と関連があるため,本研究との共通点としては,歩行速度が転倒リスクと関連して

いる点が挙げられる.また,心疾患特有の項目は認められなかった.このため,転倒リスク

に関しては,高齢心疾患患者は地域在住高齢者と同様である可能性が示唆された.

本研究では,高齢心不全患者に多く実施されている6MWDが,詳細な転倒リスク評価が

必要な患者を選別するスクリーニング評価として活用できる点を明らかにした.したがっ

て,このスクリーニングで転倒リスクが有りと判定された高齢心不全患者に対して,個別に

詳細な転倒予防のための評価を実施することで,明らかとなった問題に対する個別の運動

トレーニングや環境整備など転倒予防のためのプログラムが可能になると考えられた.

33

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 35-38)

関連したドキュメント