33 第4章
研究 2 高齢心疾患患者のフレイルの有無が退院 3 ヶ月後の健康関連 QOL に
4.4. 考察
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しかしRCSでは,フレイルの有無,調査期間ともに主効果が認められ(p=0.003,p=0.008),
交互作用は認められなかった(p=0.33).調査期間においては,退院時と比較して退院1ヵ
月後,退院3ヶ月後は有意に悪化を示した(p=0.03,p=0.04,Fig. 9).
Fig. 9 Changes in role/social component summary component summary
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のHRQOLに関して,PCS,MCSは両群間に有意な差はなく,経過時間による有意な差は
認められなかったが,RCSは,フレイルの方が有意に低く,両群ともに退院1ヵ月後,3ヶ
月後は有意に悪化を示した.また,退院時にフレイルではなかった患者の約3割の患者が3
ヵ月後にフレイルを呈した.
ヨーロッパで心不全患者 100 名を対象とした横断研究では,フレイルを呈した患者は,
89%存在し,有意にPCS,MCSが非フレイルであった患者と比較して低いことが報告され
た 53).本研究の結果とは,その原因として対象者の主疾患が異なる点が挙げられる.先行
研究では心不全のみ対象にしていることに比較して,本研究では心不全に加えて心筋梗塞
も対象に含んでいる.一般的に心不全患者に比較して心筋梗塞患者は若年であることが多
く,加えて本研究では独歩可能な自宅退院者を対象としたため,フレイル患者の中でも低い
日常生活能力の患者が除外された結果,フレイルの出現率(85% vs. 45%)に差が出たもの
と考えた.同様の原因から,本研究においてフレイルと非フレイルの患者における PCS,
MCSに有意な差が認められなかったと推察された.
本研究では,通常速度のTUGを除いて,フレイル群と非フレイル群間に患者特性,生活
習慣,運動能力において,両群間に有意な差は認められなかった.これも,独歩可能な自宅
退院者という比較的身体能力の高い対象者をリクルートしたことに起因すると考えられる.
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また,HRQOLに関して,RCSのみフレイル群が有意に低値を示し,両群ともに退院時に 比較して,1ヶ月後,3ヶ月後で低値を示した.急性冠症候群(急性心筋梗塞および不安定
狭心症)患者でも,心リハ終了後にSF-36の RCSが低下することが報告されている 60).
この原因として,慢性疾患患者やその家族は疾患とその管理のために社会的な接触が減少
し61),その社会的な接触の減少がRCSの低下をもたらした可能性が考えられた.
RCS に関して,フレイルである患者は非フレイルの患者と比較して,有意な低下が観察
された.心リハは,HRQOLを改善する 3) ことから,高齢心疾患患者の全症例に外来心リ
ハを実施することが必要であると考えられる.また,退院時にフレイルを呈する患者のRCS
が低い水準で推移することを考慮すると,特にそのような患者に対しては社会参加の機会
を設けるような退院時支援の必要性が示唆された.
フレイルの進行に関して,537人の65歳以上の地域在住高齢者を対象としたスペインの
研究62)では,非フレイルであった地域在住高齢者の 42.9%がプレフレイルに移行したと報
告された.さらに,フレイルへの悪化因子として,聴覚障害 (オッズ比 3.180; 95%信頼区 間 1.078–9.384),心不全 (オッズ比 10.864; 95%信頼区間 1.379–85.614),多剤内服 (オッ ズ比 2.572, 95%信頼区間 1.096–6.037)が示された.これより心不全患者であるというだけ
で,フレイル悪化のリスクが高いことが考えられるため,退院時のフレイルの評価が必要で
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あることが示唆された.
本研究により,高齢心疾患患者のHRQOLの役割/社会的側面は,退院後1ヶ月以降に
低下し,退院時にフレイルを呈する患者はフレイルを呈さない患者に比較して低い水準で
推移する可能性が示唆された.また,退院時にフレイルを呈さない患者においても,約30%
の患者が3か月後にフレイルを呈していた.このため退院時のフレイルを評価することは、
退院時支援を検討する上で重要であることが示唆された.