33 第4章
研究 2 高齢心疾患患者のフレイルの有無が退院 3 ヶ月後の健康関連 QOL に
4.2. 方法
(1)研究デザイン
本研究では,縦断研究を採用した.退院時に診療録および質問紙にて,患者特性(年齢,
性別,身長,体重,Body mass index(BMI),教育歴,疾患名,血清,Brain Natriuretic
Peptide(BNP),入院回数),生活習慣(独居の有無,喫煙歴,転倒歴,規則正しい食習慣,
規則正しい就寝時刻,規則正しい起床時刻,睡眠時間,ストレスの有無,地域活動の参加の
有無,就労の有無),フレイルと HRQOL の情報を収集した.さらに,運動能力として,
Timed up and go test(TUG)を最大速度と通常速度で測定し,握力,通常歩行速度(5m
歩行)を測定した.さらに,退院1ヵ月後,3ヵ月後にHRQOLおよびフレイルを,6ヵ月
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後に再入院の有無など予後を郵送法によって調査した.
(2)対象者
2016年11月から2017年12月までの間に,K医療センターならびにK病院に心筋梗塞
または心不全が原因で入院し,認知症がなく,日常生活動作がすべて自立しており,自宅に
退院した65 歳以上の患者の中で,研究参加の同意が得られた40名(男性 34 名,女性6
名)を対象とした.なお,本研究では2群(frailtyとnon-frailty)に対してHRQOLを3
回繰り返し測定した結果について,分割プロットデザインを用いて分析できるようにする
ために,必要サンプル数(Effect size: 0.25,αerror: 0.05,Power: 0.8)を40名に設定し
た.
(3)測定項目
① フレイル
フレイルの判定には,介護予防事業で用いられる「基本チェックリスト」を用いた 55).
本研究では,小川らの方法56) に従って25項目の基本チェックリストのうち,うつ予防・
支援にかかわる5項目を除く20項目を用い,合計20点満点中6点以上をフレイル,6点
未満を非フレイルとして判定した.
② HRQOL
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HRQOLの測定には,SF-36 version 2を使用した52).SF-36自己記入式の質問用紙を対
象者に記入してもらい, SF-36 version 2 日本語版スコアリングプログラム(iHope
International,京都)を使用して得点化した.SF-36 は,8 つの健康概念を測定するため
の36 項目の質問項目からなる.8 つの概念とは身体機能,身体の日常役割機能,体の痛み,
全体的健康感,活力,社会生活機能,精神の日常役割機能,心の健康である.日本人におい
て,この8つの下位尺度の上位に3つの上位概念(身体的健康,精神的健康,社会的健康)
がある.これに基づき,2011 年に開発された3 コンポーネント・スコアリング法52) によ
り,「身体的側面のQOL サマリースコア」(physical component summary: PCS),「精神
的側面のQOL サマリースコア」(mental component summary: MCS),「役割/社会的側
面のQOL サマリースコア」(role/social component summary: RCS)の3 つの構成要素を
算出した.また,それぞれの得点は,国民標準値に基づいたスコアリング得点(NBS:
Norm-based Scoring)を使用した.これは,0-100 得点を,日本国民全体の国民標準値が50 点,
その標準偏差が 10 点になるように計算し直したものである.SF-36 version 2 ではこの
NBS 得点が国際的標準得点とされている57)58 )59).
(4)解析方法
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必要症例数の計算はG*Power3.0.10を使用した.フレイル,ノンフレイル間における各指
標の比較のために,t検定,χ2検定またはフィッシャーの直接確率検定を使用した.また
SF-36の各側面の変化をフレイル,ノンフレイルの2群と調査期間の分割プロットデザイン
による分散分析を行い,post-hoc検定にはBonferrorni法を用いた.すべての統計解析には
IBM SPSS Statistics ver. 24.0を使用し,有意水準は5%とした.
(5)倫理的配慮
本研究は,京都橘大学倫理審査委員会(承認番号:16-16,16-23),九州医療センター倫 理審査委員会(承認番号:16C138),京都桂病院倫理審査委員会(承認番号:477)の承認
を得た.対象者には事前に研究依頼書を提示し,内容,目的,意義,伴う危険性などについ
て書面にて十分に説明し,同意を得た.