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研究2では,心疾患患者は,退院時にフレイルを呈さない患者であっても,約30%の患
者が3か月後にフレイルを呈するようになることが示された.また退院後にHRQOLの社
会/役割的側面が低下することが明らかとなった.さらに退院時にフレイルを有する患者は,
フレイルを有さない患者と比較してHRQOLの社会/役割的側面が有意に低く,退院後も同
様の傾向となることが示された.これまで高齢心疾患患者のフレイルは,死亡率 38)39),再
入院 29),HRQOL の悪化 51)に関連すると報告されていたが,それらに加え本研究では,
HRQOL の社会/役割的側面の低下とも関連することが判明した.フレイルを有さない患者
も同様の傾向を示したが,フレイルを有する患者においては,HRQOL の社会/役割的側面
がさらに低い水準を示した.このため,高齢心疾患患者の退院時から継続的なフレイル評価
が必要であると考えられた.本研究では,フレイルの評価に質問紙を使用しており,従来の
心リハ評価に加える検査負担としては,軽微であることが臨床的に応用する場合の利点と
考えられる.また,郵送が可能であるために継続的な評価を行いやすいといった利点も考え
られる.さらにフレイルの評価によって,退院時にフレイルを有する患者は,退院後の
HRQOL の中の社会/役割的側面が低下し,フレイルを有さない患者と比較して低い水準を
示すようになることが予測可能となる.そのことで事前に地域の介護支援事業者や高齢者
サークル,老人会などと連携を取って,社会参加の機会を増やすといった対策を立てること
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ができるため,退院後のHRQOLの社会/役割的側面が低下の予防に貢献でき得ると考えら
れる.
これらの研究結果から,従来型の心リハ評価に加えて,継続的なフレイルの評価を追加す
るという 高齢心疾患患者の運動機能に基づいた心リハプログラムを 以下に提案する
(Fig.10).
まず,6MWD の結果の解釈において,従来はその距離のみを評価していたのに対して,
試案では 328m 未満の症例は転倒リスクが高いという判断を追加できる.転倒リスクが高
いと判断された症例に関しては,重心動揺計やBerg Balance Scaleなど詳細なバランス能
力評価や在宅の環境評価をすすめることで,個別の運動トレーニングや家屋改修といった
転倒への対策を講じていく.この一連の方策によって,高齢心疾患患者に多いとされる転倒
の予防が可能になると考えられた.
次に,基本チェックリスト(質問紙)を使用した継続的なフレイルの評価を追加した.フ
レイルのある患者には,HRQOL における社会/役割的側面の低下を予防する方策を立案し
た.具体的には,家族や地域の高齢者サークル,地域包括センター,介護支援専門員などと
連携し,外出機会を増やし社会との関わりが希薄にならないように退院時から準備してい
く必要性が示唆された.さらに,継続的に郵送でフレイル評価を実施することで,患者のフ
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レイルへの進行を早期に発見することが可能となり,フレイル改善のための運動トレーニ
ングへの参加を呼びかけることなどにより,その改善を図ることが可能になる.これら一連
の方策によって,高齢者に適した心リハプログラムになるものと考えられた.
つまり本研究により,既存の心リハ評価にわずかな追加を加えることで,現在そして今後
さらに心リハ対象者の多くを占めると予想される高齢心疾患患者に適した評価となり,そ
れらに基づいた心リハプログラムが実施可能になると考えられた.
本研究の限界として,研究1では,得られたcut-off値が,転倒を状態変数としていない
点があげられる.今後は,転倒をメインアウトカムとした前向き研究で得られたcut-off値
の妥当性を検証する必要があると考える.また,研究1は単一施設で行われ,症例数が少な
いことも限界としてあげられる.研究1で得られたcut-off値の信頼性を評価するためには,
無作為抽出で症例を選ぶ多施設研究で検証する必要があると考える.さらに,研究 1 の結
果を活用することで転倒率が減少するか検証できていないことも挙げられる.研究2では,
症例数が少ないため,原因疾患として心筋梗塞と心不全が混在していることが挙げられる.
さらに,HRQOLの評価を退院後 3 ヶ月後までしか行っていないことが挙げられる.今後
さらに長期的なHRQOLの評価が必要と考える.本研究全体を通しての限界として,開発
した心リハプログラムの効果に関しては未検証である.今後は,本研究で開発した心リハプ
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ログラムの介入効果を検討することで,さらに高齢心疾患患者に適した心リハプログラム
の開発を進めていくことが課題として残された.