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戸 籍 制 度 と ジ ェ ン ダ ー

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戸 籍 制 度 と ジ ェ ン ダ ー

星 野 澄 子

目 次

1戸 籍 制 度VS,個 人 別身 分 証 書 制 度 H戸 籍 編 製 の テ クニ ッ ク と ジ ェ ン ダー

(1)氏 (2)本 籍

(3)戸 籍 筆 頭 者 (4)続 柄

m戸 籍 に よ る 二分 法 とジ ェ ン ダー (1)日 本 人 と外 国 人 との 二分 法 (2)婚 内子 と婚 外 子 との 二分 法 (3)性 の二 分 法

1戸 籍 制 度vs.個 人 別 身 分 証 書 制 度

この 地 球 上 に一 人 の人 間 が 誕 生 す る。 す る とそ の 瞬 間 、 そ の 個 人 は 親 の 血 統 に従 い 、 あ る い は そ の 領 土 内 で生 ま れ た とい う事 実 に従 っ て、 通 常 、

  く1)くZ)

い ず れ か の 国 籍 を取 得 す る 。 前 者 の原 理 に も とつ く国 籍 法 が 血 統 主 義 国 籍 法 であ り、 後 者 は 生 地 主 義 国 籍 法 と呼 ば れ る。

国 際 社 会 に お い て 、 出 生 に も とつ く個 人 の 国 家 へ の 登 録 の しか た に は、

大 き く二 つ の 異 な る装 置 が 用意 され て い る。個 人 を単 位 と して登 録 す るか 、

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一定範 囲 の 人 び とを … 括 して登 録 す る か で あ る

欧 米諸 国 を は じめ 世 界 の 多 くの 国 ぐに で は 、個 人別 の身 分 証 書 制 度 が 採 用 さ れ て い る。 す な わ ち 、 出 生 す る と そ の 個 人 の 出 生 証 書(Birth Certificate)が 作 成 さ れ 、 そ の 後 に 結 婚 す る と夫 妻 の 婚 姻 証 書 が、 ま た 、

死 亡す る とそ の 人の 死 亡 証 書 が 、 そ れ ぞれ の 事件 発 生 地 で作 成 され る。 三 種 類 の身 分 証 書 は 、 そ れ ぞ れ 独 立 の もの と して保 存 され る。 婚 姻 締 結 の と き に交 付 され る フ ラ ンス の 家 族 手 帳 に は、 夫 妻 そ れ ぞ れ の 出 生証 書 か らの 抜 粋 が 書 き込 まれ 、 時 の 経 過 と とも に子 ども一 人 ひ と りの 出 生証 書 か らの 抜 粋 が書 き込 まれ て ゆ き、 相 互 の 連 関 性 を 図 る工 夫 が な され て い る。

それ に 対 し、 戸 籍 制 度 を 採 用 す る国 は 日本 、 韓 国 、 台 湾 に留 ま り、 む し ろ例 外 的 で あ る。 韓 国 の 場 合 、 「同姓 同 本 であ る 血族 の 間 で は、 婚 姻 を す る こ とが で き な い」(大 韓 民 国 民 法809条1項)と い う条 文 に示 され て い る よ うに 、 先祖 を 同 じ くす る同 姓 の 人 同 士 の 結 婚 を 禁 じる 「同姓 不 婚 」 の 原 則 が あ る 。 それ に抵 触 して い な い か ど うか を チ ェ ッ クす るな ど、 家 族 登 録 の機 能 と して戸 籍 制 度 を維 持 す る 一方 で 、個 人 に つ い て の コ ン ピュー タ 管 理 も行 わ れ て い る。 台 湾 の 場 合 、 戸 籍 は住 民 登 録 の 役 割 も担 う。 韓 国 ・ 台 湾 と比 較 してみ て も 日本 の戸 籍 制 度 は 、独 特 の登 録 シス テ ム を 具 え た も

の とな って い る。

言 うま で もな く こ こに い う戸 籍 は 、歴 史 上 、 限定 さ れ た 地域 で編 成 され 機 能 して き た 土 地 台 帳 と して の戸 籍 を指 して い るの で は な い(ち な み に 2001年11月9日 に訪 れ た正 倉 院展 で は、96人 の大 世帯 もみ られ る 大 宝2年(702)、 日本 最 古 の御 野 国 戸 籍 も展 示 され てい た。 そ の 中 に は 「奴

○ ○ 」、 「碑 ○ ○ 」、 「寄 人○ ○ 」 な ど と称 され る奴 隷 の身 分 の 土地 の 耕 作 人 た ち も含 まれ て い た 正 倉 院 古 文 書 正 集 第26巻 中 倉)。

そ れ は 、 全国 一 元 的 な 国民 登 録 の シ ス テ ム と して明 治 維 新 後 間 もな い 時 期 につ く られ た1871(明 治4)年 戸 籍 法 に は じま り、 現 在 も施 行 され

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戸籍制度とジェンダー27 てい る戸 籍 制 度 を 意 味 す る もの で あ る。

な お、 天 皇 お よ び皇 族 は 「氏 」 を持 つ こ とが な く、 そ の身 分 関係 は 《皇 統 譜 》 に登 録 され る。 日本 の 戸籍 を 考 え る と き、 これ らを 看過 す る こ とは

で き な い 。

n戸 籍 編 製 の テ クニ ック とジ ェ ン ダー

戸 籍 は 、 個 人 を 単 位 と して身 分 証 書 を作 成 す る方 式 と比 較 す る と、 構 造 上、 錯 雑 にな らざ るを 得 な い 。 なぜ な ら、一 定 の 人 一明 治 民 法 の も とで は 《戸 主 》、現 行 法 では 《戸 籍 筆 頭 者 》一一 を 中心 に、そ の人 との続 柄(つ づ き が ら)を もっ て… 定 範 囲 の他 の 人 び とを と らえ 、 そ うや って と ら えた 0塊 の 同籍 者 につ い て 出生 ・婚 姻 な どの身 分 事 項 を 、 本籍 地 で編 製 す る戸 籍 に 一括 記 載 す る方 式 とな って い る か らで あ る(注 戸籍 につ い て は 「編 製 」 の 文 字 を 用 い る)。 この よ うに 、 一 定 範 囲 の親 族 的 身 分 関係 に あ る人 び とを0つ の戸 籍 に ま とめ る とい う要 請 か ら、 そ の 編 製 に際 し四 つ の テ ク ニ ッ クが 用 い られ て い る。 そ れ らは 、 氏(う じ)、 本 籍 、 戸 籍 筆 頭 者 、 続 柄 で あ る。 これ らの 戸籍 の テ クニ ッ ク と戸 籍 の 形 式 に は、 ジ ェ ン ダー の問 題 が 如 実 に投 影 す る。

(1)氏(う じ:姓 ・名 字 の 法 律 用 語)

新 し く戸 籍 を 編 製 す る場 合 、 そ の 基 準 とされ てい るの が 氏 であ る。 た と えば 、婚姻 の届 出 が な され る と新 戸 籍 がつ く られ る こ とに な る が(た だ し、

再 婚 の場 合 な どに新 戸 籍 が つ く られ な い場 合 もあ る)、 夫 ・妻 どち らの 氏 を基 準 とす るの か が 問題 とな る。 そ こで 、婚 姻 後 に夫 妻 が 名 乗 る こ とにな る共 通 の 氏 を 《夫 の 氏 》 とす るか 、《妻 の 氏 》 とす る か を 協 議 の う え で選 定 し、 これ を婚 姻 届 書 に記 載 しな けれ ば な らな い。

実 際 に私 の 従 姉 が そ うで あ った よ うに 、妻 に な る人 が伊 藤 で 、 夫 に な る

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人 もた また ま伊藤 で あ る場 合 で あ って も、 妻 ・夫 どち らの 伊藤 を 《夫 婦 共 通 の 氏 》 とす るか につ い て の 選 定 が 求 め られ るの で あ る。 た とえ ば 仮 に 、 妻 の 氏 を 選 ん だ とす れ ば 妻 の 伊 藤 を 基 準 に 新 戸 籍 が つ くら れ る こ と とな

り、 当然 に妻 が戸 籍 筆 頭者 とな る。 さ らに これ は離 婚 な どの場 合 と も連 動 して ゆ き、 た とえ ば離 婚 の 際 に 復 氏 して別 の戸 籍 に移 るべ き人 は 「婚 姻 の 際 に氏 を 改 め た者 」 と決 め られ て い る。 離 婚 後 に 《婚 氏 》 を 続 称 す る 旨 の 届 出を した場 合 で も、 この事 情 は 変 わ らな い 。

話 は 前 後 す るが 、 日本 で は今 まで の と こ ろ、夫 婦 同 氏 が 義 務 づ け られ て い る(民 法750条)。 た だ し、 婚 姻 に 際 して 当然 に 夫 の 氏 が 強 制 され て い るわ け で は な く、 夫 ・妻 どち らの 氏 を選 ぶ こ とも で き る形 に な って い る。

そ うで あ る に もか か わ らず 、 現 状 で は お よ そ98%の 割 合 で 夫 の 氏 が 《夫 婦 共 通 の 氏 》 と され 、 したが っ て、 お よ そ98%の 妻 が 《結 婚 改 姓》 を し て い る。 そ れ ゆ え、 《結 婚 改 姓 》 強 制 制 度 は、 ジ ェ ン ダ ー に か か わ る重 要 な テー マ の 一つ とな ら ざ るを 得 ない 。

(2)本 籍

個 人(日 本 人)は 必 ず 本 籍 を 定 め な けれ ば な らな い 。 本 籍 とは現 実 の住 所 で は な く、戸 籍 の所 在 地 を 表 わ す 抽 象 的 な 場 所 であ る。 場 所 を も って定 め られ て は い る もの の 、 そ の場 所 は 当 該 土地 と何 らの 関連 も持 たな い もの で、た ん に戸 籍 を 表 示 す る符 号 と して の役 割 を 持 つ に と どま る もの で あ る。

日本 国 内 で地 番 が 与 え られ て い る と こ ろで あ れ ば 、個 人 は 自 由 に ど こに 本 籍 を 定 め る こ と もで き る(ち なみ に 、 富士 山 頂 に は地 番 が な い の で 、 本 籍 と して選 定 す る こ とは で き な い)。 そ れ に もか か わ らず 、 い まな お 本 籍 とは、 「夫 の 本 家 の 地 」 な い し 「夫 の 先 祖 代 々 の 墳 墓 の 地 」 と しか 考 え ら れ な い 人 び とも少 な くない 。 そ こに は 、 男系 血 統 を重 視 す る 「家 」 意 識 と 結 び つ い て い る要 素 が あ る こ とは否 定 で き な い し、 ジ ェン ダ ー の 問題 も反

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戸 籍 制 度 と ジ ェ ン ダー29

映 す る 。

(3)戸 籍 筆 頭 者

戸 籍 筆 頭 者 の氏 名欄 は、 本 籍 欄 と併 せ て 戸籍 の イ ンデ ッ クス(索 引)と して の機 能 を果 た して い る。 単 な る イ ンデ ッ クス と考 えれ ば 、 妻 が な って も夫 が な って も構 わ な い は ず で あ る。 しか し現 実 に は 、 《戸 籍筆 頭 者 》 に つ い て も明 治 民 法 ・旧戸 籍 法 の も とで の 《戸 主 》 と同様 、「代 表 者 」 や 「主 」 の 立 場 と一 般 的 に受 け 止 め られ て お り、そ うで あ る以 上 、人 び との 間 で 《男 の領 分 》で あ る とす る こだわ りが 強 い。 日本 語 で 、"master"と"husband"

とに 同 じ 《主 人 》 とい う言 葉 が 使 わ れ る こ とが 今 なお 多 い の も、 夫=主 た る人 、 妻=従 た る人 とい う関 係 構 造 を 支 え る経 済 的 利 害 関 係 や 社 会 通 念 が あ るか らであ ろ う。

ひ とた び一 定 の 人(た とえば 夫)を 基 準 と した戸 籍 が 編 製 され る と、そ の個 人(夫)が 死 亡 した と き妻 が 代 わ っ て戸 籍 筆 頭 者 に な る 、 とい う こ と はな い 。 夫 死 亡 後 の 妻 は 旧 姓 に戻 らない 限 り、 自立 した個 人 と して生 き て い て も一 人 の 独 立 した戸 籍 を つ くる方 法 はな く、 亡 き夫 を戸 籍 筆 頭 者 と し

た ま まの 、 い わ ゆ る 「未 亡 人 戸 籍 」 の 中 に留 めお か れ る こ とにな る。

住 民 基 本 台 帳 法 が 定 め る住 民 票 の 《世 帯 主 》 を め ぐっ て も、 住 宅 手 当の 支給 や 世 帯 別 調 査(た と えば お 墓 に対 す る意 識 調 査)な どさ ま ざ ま な場 面

で、 ジ ェ ン ダー の 問 題 が 影 を 落 と してい る。

(4)続 柄(つ づ き が ら)

戸 籍 制 度 を 採 る 日本 で は 、 婚 内 子(嫡 出 子)と して 生 まれ た子 に は、 親 (一 組 の 夫 婦)か ら見 て 、 長 男 、 二 男 、 長 女 、 二女 な ど とい う順 番 が つ け られ る。 同 じ日に 僅 差 の 時 間 で 生 まれ た双 子 も五 つ 子 も例 外 で は な い 。 子 の続 柄 とい う発 想 は 、個 人 別 の身 分 証 書 制 度 を 採 る国 で は無 縁 で あ る。

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英 会 話 の 外 国 人 講 師 が 、"Mybrother..."と 話 しは じめ る と、 日本 人 の 受 講 生 た ち は どの教 室 で も必 ず と言 っ て よ いほ ど間髪 を入 れ ず に 、"elder"

か"younger"か を 訊 ね る の で 不 思 議 だ 、 と語 っ て い た こ と を 思 い 起 こ す 。 ま た、 日本 の母 親 が 自分 の息 子 や 娘 の こ とを 他 人 に話 す とき、 そ の 子 の"ビ ュー テ ィ フル ・ネ ー ム"*㈲ を 言 う代 わ りに 「うち の お 兄 ち ゃん が

… … 」 「お 姉 ち ゃん が ・・… ・」 と表 現 す る こ とが 多 い の も

、 戸 籍 の 続 柄 の 発 想 が 人 び との 意 識 を 日常 的 に支 配 して い る か らであ ろ う。

男 系血 統 に よ る戸 主 相 続 が 行 わ れ て い た 旧法(明 治 民 法)の も とで 、 子 の続 柄 は 、 姉 妹 の 中 に どの よ うな 順 番 で男 の子 が 生 まれ よ う と も、 後 継 ぎ と して の 「長 男」 を確 実 に 掌 握 す る た め に必 要 不 可 欠 で あ った。 そ の 意 味 で 、子 の続 柄 に も ジ ェ ン ダー の 問題 が 深 くか か わ って い る。

皿 戸 籍 に よ る二 分 法 とジ ェ ン ダー (1)日 本 人 と外 国 人 との 二 分 法

① 国籍 と戸 籍 の連 動

日本 の 戸 籍 は、 まず 、 国籍 登 録 簿 で あ る 。 の み な らず 、 親族 登 録 簿 で も あ る とい う二 つ の 性 格 を併 有 して い る(国 籍 ・戸 籍 一 致 の 原 則)。 そ の う

え で、 これ ら二 つ が 抵 触 す る場 合 に は 、つ ね に前 者(国 籍 登 録 的 機能)が 優 先 し、 後 者(親 族 登 録 的 機 能)は 抑 え られ る とい う特 色 を持 って い るの で あ る。

この原 則 に よ り、 外 国 人 を 配 偶 者 とす る 日本 人 一 い わ ゆ る国 際結 婚 一 の 場 合 は 、 戸 籍 は親 族 登 録 的 機 能 を 果 た す こ とは で き な い。 法 律 上 の婚 姻 の 成 立 に よ り、 日本 人 で あ る夫 な い し妻 につ い て、 そ の 人 を戸 籍 筆 頭 者 とす る単 独 の新 戸籍 が つ くられ る。 他 方 、 外 国人 であ る配 偶 者 に は全 国一 連 番 号 が付 さ れ 、 コ ン ピ ュー タで 管理 され る こ とにな る。

さ らに 、 日本 の 国籍 法 は血 統 主 義 国 籍 法 を 採 用 して い る ため に、 親 子 関

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戸 籍 制 度 と ジ ェ ン ダ ー31

係 の発 生 は 民 法 上 の 問題 に と ど ま らず 、国 籍 法 上 の 問題 と もな る の であ る。

子 ど もが 生 まれ る と、 父母 両 系 血統 主 義 の 国 籍 法 の 規 定 に よ り、 そ の 子 は 日本 の 国 籍 を取 得 し、同 時 に外 国人 で あ る も う一 方 の親 の 国籍 も取 得 す る。

そ の 際 、 日本 の 国 籍 を 有 す る子 どもは 日本 人 親(母 な い し父)の 戸 籍 に入 籍 され るの であ る。 なお 、 戦 後1950年 に制 定 され た新 国籍 法 は ジ ェン ダー ・バ イ ア ス の強 い 父系 優 先 血 統 主 義 で あ った が、1984年 の 国籍 法 改 正 に よ り父母 両 系 血 統 主 義 とな っ た経 緯 が あ る 。

この よ うに して 国籍 と戸 籍 は連 動 し、 さ らに戸 籍 を 有 す る者 につ い て の み 住 民 登 録 が行 わ れ て い る。

② 住 民 と在 留

市 区 町村 長 は 住 民 基 本台 帳法 に も とつ い て 、住 民 に 関 す る公 文 書 を作 成 す る 。 そ れ が住 民 票 であ る。 住 民 票 は原 則 と して 個 人 を 単位 と して記 載 さ れ、それ を世 帯 ご とに編 成 して 、住 民 基 本 台 帳 が作 成 され る。 住 民 票 に は、

住 民 の居 住 関係 や 、 選 挙 人 名 簿 の登 録 、 国 民 健 康 保 険 ・国民 年 金 の被 保 険 者 の資 格 、 児 童 手 当 の受給 資格 な どが 記 載 され る とい う仕組 み に な っ てい

る。

外 国 人 が 日本 で 居 住 す るた め に は 、 どの よ うな 手 続 を 取 る こ とが必 要 な の か 。 日本 では 、 諸 外 国 の よ うに 外 国 人 も住 民 登 録 を して、 制 度 上 、 完 全 に住 民 と して処 遇 され る とい うこ と にな っ て はい ない 。住 民 基 本 台 帳 法 は、

日本 国籍 を 持 つ者 につ い て の み適 用 され るか らで あ る。 こ う して 日本 に在 留 す る外 国人 は 、 戸 籍 に よ って 管 理 され てい る 日本 人 とは別 枠 の 管 理 シス テ ム の も とに置 か れ 、外 国 人 は 《住 民 》 で は な く、 外 国人 登 録 法 に従 って

《在 留 》 を登 録 す る こ と と され て い る。

さ らに、 日本 人 に は住 民 票 の 常 時 携 帯 義 務 は な い に もか かわ らず 、 外 国 人 に は 外 国人 登 録 証 明 書 の常 時 携 帯 義 務 が課 せ られ(外 国 人登 録 法13条

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1〜3項)、 不 携 帯 に は20万 円 以 下 の 罰 金 を 伴 うな どの 重 い 罰 則(同 法 18条)も あ る。

戸 籍 制 度 に は、 《内 の 人 》 と 《外 の 人 》 とを異 な っ て扱 う二分 法 の 思 想 が 込 め られ て い る。

(2)婚 内 子 と婚 外 子 との 二分 法

子 を産 ん だ母 が 法律 上 の 夫 を 持 っ てい る とき、 一 厳 密 に い えば 、 妻 が 婚 姻 中 にそ の夫 に よ って懐 胎 して 出産 した とき一 一生 まれ た子 に は 婚 内 子 (嫡 出 子)の 地 位 が 与 え られ る。 そ れ に 対 し、子 を 産 ん だ 母 が 法 律 上 の 夫 を持 って い な い とき、 生 まれ た子 は婚 外 子(非 嫡 出子)と な るの で あ る。

考 え て み れ ば 女 性 に とっ て は 、す べ て の 子 が嫡 出 子 であ る。 しか し、現 在 の 法律 制 度 や 社 会 慣 習 は男 性 を 中心 と して展 開 され 、 さ ま ざ まな 仕 組 み が用 意 さ れ て い るの で、 子 の 立 場 か らみ て法 的 父 の獲 得 の しか た に よ っ て 婚 内子(嫡 出 子)と 婚 外 子(非 嫡 出 子)と の 二 分 法 が 発 生 す る こ とに な る。

生 まれ た子 の戸 籍 へ の登 録 の しか た も、 婚 内子(嫡 出子)コ ー ス と婚 外 子(非 嫡 出子)コ ー ス との 二分 法 に 区 分 され る。 婚 姻 の届 出 を し、 多 くは 父 が 戸 籍 筆 頭 者 とな って 父 母 が 揃 っ た戸 籍 に 入 籍 され る婚 内 子(嫡 出 子) と、母 が戸 籍 筆 頭 者 とな って 母 の み の 戸 籍 に入 籍 され る婚 外 子(非 嫡 出 子) とで は 形態 上 も明 白 に二 分 され て い る。 個 人 を単 位 とす る身 分 証 書 制 度 の も とで は 、 戸籍 の よ うな 明 白 な差 は現 れ な い。

日本 で婚 外 子(非 嫡 出子)の 出 生率 が 国 際 的 に 見 てケ タ違 い に低 い の も、

一 ヨ0ロ ッパ 各 国 が10〜50%で あ る の に 対 し

、 日本 は1%強 一 一 い か に婚 姻 外 で子 ど もを産 み 育 て る こ とが 困 難 な 社 会 で あ る か を示 す もの

とい え よ う。

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戸 籍 制 度 と ジ ェ ン ダ ー33

(3)性 の 二分 法

人 は 出 生 の瞬 間 、 そ れ は まだ 、 個 の 自覚 も性 別 の 自覚 も芽生 え て は い な い段 階 で 、 直 ち に 《男 か/女 か 》 を 医師 や 助 産 婦 に よ っ て 外性 器 形 態 のみ か ら判 定 され る。 そ の 後14日 以 内 に 命 名 され 出生 届 が 提 出 され る と、続 柄(婚 外 子 の 場 合 は性 別)が 付 され て 《戸 籍 》 とい うジ ェ ン ダー の 装 置 に 登 録 され る。 こ う して 新 生 児 は 、 自己 の 内 な る生 物 的 性(Sex)も 性 的指 向(Sexuality)も 分 か らな い う ち か ら、 社 会 的 ・文 化 的 性(Gender)と 向 き合 うこ とに な るの で あ る。

《男 か/女 か 》一一一戸 籍 は 二 つ の 選 択 肢 しか 持 ち合 わ せ て は い な い 。 こ こには 、「人 は男 性 と女 性 と して しか 生 まれ て こない 」とい う大 前提 が あ る。

しか しなが ら、 ヒ トの性 は それ ほ ど単 純 な もの で はな く、 先 天 的 に獲 得 す る胎 生 期 の性(後 記 ① 〜 ④)と 後 天 的 に獲 得 す る性(⑤ 〜 ⑨)と が 複 雑

に重 な り合 っ た九 つ の性 か ら成 り立 って い る。

す なわ ち、 ① 性 染 色 体 の構 成 ② 性 腺 の構 成 ③ 内性 器 形 態 ④ 外 性 器 形 態 ⑤ 出生 時 に 医師 が 判 定 す る性 ⑥ 戸 籍 記 載 の性 ⑦ 二 次 性 徴 ⑧ 性

自認 ⑨ 性 的 指 向 で あ る。

こ こで新 た な 問題 が提 起 され る。 出 生時 に、 男 の子 と も女 の子 と も判 断 がつ き に くい外 性 器 を も って 生 まれ て くる子 ど も 半 陰 陽 児(イ ンター セ ッ クス ・チ ル ドレ ン)の 存 在 で あ る。 原 因 と して は 大 き く分 け て 、 性 染 色 体 の 変 異 型 と性 ホ ル モ ン の 変 異 型 とが あ る よ うだ。 そ の な か で も、

46XXY型 は500人 に1人(0.2%)の 発 生 率 で あ る とい う。 そ の 他 の タイ プ も一 定 の 発 生 率 を 伴 って い る こ とを 考 え る と、 「人 類 の 性 は 男 性 と女 性 しか存 在 しな い」 とい う前 提 そ れ 自体 が ジ ェ ンダー ・バ イ ア ス に

よ る刷 り込 み な の で は な い か。

r男 で も女 で もな い性 』 の 中 で 、 橋 本 秀 雄 氏 は次 の よ うに 指 摘 す る。

「人 類 の 性 は 男 性 と女 性 しか 存 在 しな い 」、 言 い 換 え れ ば 、 「勃 起 して 射

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精 す る男 と、 子 どもを 産 む 女 以 外 は変 異 で あ り、 性 の 多様 性 は 絶 対 認 めな い 」 とい う西 洋 医 学 の 「優 生 思 想 」 に よ って 、 半 陰 陽 児 の治 療 は 実 行 され てい るの だ。 他 者 に よ っ て子 ど もの性 が翻 弄 され て い る。 現 在 も!(同 書

101ペ ー ジ)

多 くの 人 び とは、 男 性(46XY型)な い し女 性(46XX型)と して 生 まれ て くるの で あ ろ うが 、 そ の 間 に は 多様 な 中 間 の性(46XXY型 ほ か)が 存 在 す る こ と も認 め て ゆ くこ とが 肝 要 で は な か ろ うか 。 性 同一 性 障 害(TS:ト ラ ンス ・セ クシ ュ アル/TG:ト ラ ン ス ・ジ ェ ン ダ ー)の 問 題

を考 え る前 に 、 中 間 の性 の 問題 を 考 えた い 。

性 の二 分 法 とい うジ ェ ン ダー 秩 序 は 、 男 性 な い し女性 に とって も 、 中 間 の性 に と って も生 き に くい もの とい え よ う。

*{1}

*(2)

*{3}

300人 も の 移 民 た ち を 乗 せ て ヨ ー ロ ッ パ 大 陸 か らN.Y.へ 向 か う豪 華 客 船 内 に 生 み 捨 て られ た 、 「海 の 上 の ピ ア ニ ス ト〆1999年 、 米 ・伊 合 作 映 画) の ヒ ー ロ ー"1900"は 、 出 生 登 録 も さ れ ず 、 国 籍 も な く 、 一 度 も 領 土 と い

う も の を 踏 ま ず に 、 爆 破 に よ っ て 廃 棄 処 分 さ れ る 船 体 と と も に そ の 生 涯 を 終 え て い る(ジ ュ ゼ ッ ペ ・ トル ナ トー レ監 督 、 テ ィ ム ・ロ ス 主 演)。

旧 国 籍 法 の 下 で 、 日 本 人 の 母 と ス ウ ェ ー デ ン 人 の 父 と の 間 に 生 ま れ た ピ ア ニ ス トの フ ジ 子 ・ヘ ミ ン グ は 、 父 の 国 に 居 住 し た こ と が な か っ た た め に 国 籍 を 喪 失 し、 無 国 籍 と な っ た 。 「私 に は 祖 国 は な い 」 と 彼 女 は 語 っ て い る 。

国 際 児 童 年(1979年)の テ ー マ ソ ン グ と し て 、 「名 前 そ れ は 燃 え る 生 命/ひ と つ の 地 球 に ひ と りず つ ひ とつ/Everychildhasabeautifulname」

と 歌 わ れ た こ と が あ る 。

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戸 籍 制 度 と ジ ェ ン ダ ー35

【参 考 文 献 】

・星 野 澄 子 「国家 法 に よ る家 族 の 把 握 」 利 谷信 義 編 『現 代 家 族 法学 』 法 律 文 化 社 ・1999年

・星 野 澄 子 「結婚 ・家 族 と戸 籍 」 浦 田 賢 治 ・新 倉 修 ・吉 井蒼 生 夫 ・中村 芳 昭i編 『い ま 日本 の法 は』 日本 評 論 社 ・2001年

・浅 井 晴 夫 『セ クシ ュ アル ・ラ イ ツ 入 門一 子 ど もの性 的 人 権 と性 教 育 の た め の20章 』 十 月 舎 ・2000年

・村 瀬幸 浩編 著rニ ュー ・セ クソ ロ ジー ・ノー ト』 十 月舎 ・2001年

・橋 本 秀 雄 『男 で も女 で もない 性 イ ン ター セ ッ クス(半 陰 陽)を 生 き る』

青 弓社 ・2001年

・角 田 由紀 子 『性 差 別 と暴 力』 ゆ うひか く選 書 ・2001年

・利 谷 信 義(他)編r戸 籍 と身 分 登 録 』 早 稲 田大 学 出 版 部 ・1996年

参照

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