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太平洋沿岸におけるうねりに関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

太平洋沿岸におけるうねりに関する研究

松藤, 絵理子

http://hdl.handle.net/2324/4110496

出版情報:九州大学, 2020, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

太平洋沿岸におけるうねりに関する研究

令和 2 年 7 月

松藤 絵理子

(3)
(4)

目 次

1. はじめに ... 1

1.1 研究の背景と目的 ... 1

1.2 研究の方針 ... 2

1.3 論文の構成 ... 2

2. 太平洋沿岸におけるうねりの出現特性 ... 5

2.1 波浪観測データによるうねりの出現特性解析 ... 5

2.1.1 成分波浪の算定 ... 7

2.1.2 うねりの特性解析 ... 8

2.2 波浪推算によるうねりの出現特性解析 ... 14

2.2.1 波浪モデルの概要 ... 14

2.2.2 波浪推算の計算条件 ... 18

2.2.3 波浪推算の精度検証 ... 27

2.2.4 うねりのデータセット作成 ... 32

2.2.5 うねりの出現特性解析 ... 32

2.3 まとめ ... 44

3. 太平洋沿岸に到達するうねりの発生源 ... 47

3.1 既往研究の整理 ... 47

3.2 波浪推算によるうねりの発生源解析 ... 49

3.3 まとめ ... 60

4. うねりの推算精度向上に向けた検討 ... 62

4.1 うねりの推算における課題 ... 62

4.2 うねりの推算精度向上に向けた検討 ... 66

4.2.1 波浪推算の条件 ... 66

4.2.2 基本条件による推算 ... 70

4.2.3 GMDを用いた推算 ... 73

4.2.4 方向分割を高解像度化した推算 ... 75

4.3 まとめ ... 82

5. 港湾におけるうねりの情報利活用 ... 84

5.1 うねりを考慮した設計波算定 ... 84

5.1.1 現状と課題 ... 84 解決に向けた考察

(5)

5.2 うねりの予測 ... 94

5.2.1 現状と課題 ... 94

5.2.2 解決に向けた考察 ... 95

5.3 まとめ ... 96

6. まとめ ... 98

6.1 各章の要旨 ... 98

6.2 今後の展望 ... 99

6.2.1 うねりの出現特性について ... 99

6.2.2 うねりの発生源解析について ... 100

6.2.3 うねりの推算精度向上について ... 100

6.2.4 港湾におけるうねりの情報利活用について ... 100 謝辞

(6)

1. はじめに

本章では,研究の背景と目的を述べるとともに,研究の方針と論文の構成を示す.

1.1 研究の背景と目的

近年,台風0612号による久慈港や台風1326号による鹿島港の被災等,波高は設計波高よ り低いものの周期が長いうねりによって港湾施設が被災する事例が相次いでいる.従来の 港湾構造物の設計波は,風波とうねりを区別せずに抽出した極大値資料を用いて算定され ていたため,相対的に波高が高い風波が極大値資料を占めることになり,結果的に設計波 は風波相当となることが多かった.このため,従来の設計波で設計された港湾構造物では,

うねりの波力に対する強度が不足していたことが被災の一因として考えられる.

このような背景から,平山ら(2015)1)は,うねりを「波形勾配(=波高/波長)が0.025未 満かつ周期が8秒以上の波」と定義し,それ以外の波浪を風波として,それぞれの50年確率 波を算定することを提案し,設計沖波はうねりに対するものも算定すべきであることを示 した.また,高嶋ら(2015) 2)は,鹿島港を対象として,うねりと風波を区別しない従来の設 計波に加えうねりのみを考慮した設計波を設定し,うねりの設計波の方が港湾構造物に対 してより厳しい条件になる場合があることを示した.松藤ら(2017)3)は全国港湾海洋波浪情 報網( NOWPHAS : Nationwide Ocean Wave information network for Ports and HArbourS ) の波浪観 測データを解析してうねりが卓越する海域を把握するとともに,うねりを考慮した設計波 の設定において留意すべき点を示し,さらに,うねりを考慮した設計波が防波堤の安定性 照査に及ぼす影響について概略的な評価を行った.

これらの知見を踏まえ,2018年に改訂された「港湾の施設の技術上の基準・同解説(平 成30年改訂版)」4)では,設計に用いる波浪にうねりに関する記述が新たに追加された.11 年ぶりに改訂されたこの新しい基準・同解説では,平山ら(2015)に倣い有義波周期8秒以上,

波形勾配が概ね0.025未満の波浪をうねりと定義し,「従来の設計において一般的に考慮さ れてきた波浪よりも周期が長いうねりに対しても適切に対応するために,波浪の再現期間 はうねりに対しても設定するのがよい」とされている.

港湾構造物の被災に限らず,うねりは港湾・海岸における活動にも大きな影響を与える.

うねりは,発生域が現場から遠く離れており,現場では風が弱く風波が低い場合でも突然 高いうねりが来襲することがある防災上のリスクが高い現象である.また,うねりは波高 が低い場合でも,船舶の固有振動によっては船舶の係留や荷役に影響を及ぼす.海岸で越 波を発生させ沿岸道路に被害を与えることもある.このため,精度の高いうねりの予測情 報が重要となる.

上述のように,沿岸防災や港湾管理,港湾・海岸工事の安全管理や効率化の面から,うね

(7)

りの出現特性の把握やうねりの推算の高精度化が重要な課題となっている.

そこで本研究では,既往研究により特にうねりの出現頻度が高いことが明らかになって いる我が国の太平洋沿岸を対象とし(平山ら(2015)1),松藤ら(2017)3),観測データや波浪 推算結果の解析を通して太平洋沿岸に到達するうねりの特性を把握するとともに,うねり の推算精度向上と情報利活用に資する知見を得ることを目的とした.

1.2 研究の方針

本論文では,最初に,NOWPHAS観測値と波浪推算値の解析により太平洋沿岸のうねり の出現特性を把握する.解析においては,有義波等の既往の波浪諸元に代わるものとして,

方向スペクトルをWatershedアルゴリズムにより分割して算定した波浪諸元(以下,成分 波浪と呼ぶ)を指標とする.

次に,太平洋沿岸に到達するうねりの発生源について,波浪を時空間的に追跡するWave

system tracking5)を用いた解析を通して論じる.

さらに,うねりの推算の課題を整理したうえで,推算精度向上のための検討を行う.

最後に,港湾におけるうねりの情報利活用について,港湾構造物の設計を決める大きな 要素のひとつである設計波と,港湾施設運用や港湾工事にとって重要となるうねりの予測 について,その現状と課題を整理し,解決に向けた考察を行う.

1.3 論文の構成

第2章では,2017年1年間の観測データと波浪推算結果を用いて,太平洋沿岸のうねり の出現特性を把握する.まず,太平洋沿岸に位置するNOWPHAS観測地点(13地点)の 観測波形データを入力として方向スペクトル解析を行い,partitioningにより特性が異なる 複数の波浪に分割し,成分波浪を算出する.求めた成分波浪の統計解析によりうねりの出 現特性を把握する.さらに,WAVE WATCH III(以下,WW3)を用いて同期間の波浪推算 を行い,波浪推算で得られた方向スペクトルを用いて観測値と同様の解析を行う.ここで,

partitioningは,Watershedアルゴリズムを用いたTracy et al.(2007) 6)の方法を採用する.

第3章では,発生源の推定が難しい遠方からのうねりに着目し,Wave system trackingを 用いて発生源を解析する.この方法は成分波浪を入力として対象格子と隣接格子の諸元の 差を定量化したGoF(Goodness of Fit)を計算し,GoFが最小となるWave System(発生源を 同じとする波のグループ)を対象格子に割り当てて時空間的に追跡するものである.

第4章では,うねりの推算における課題について整理し,推算精度向上に向けた検討を 行う.波浪推算の計算条件のうち,非線形相互作用の項と方向分割数を変えて波浪推算を 行い,観測値と推算値の成分波浪を用いて比較検証する.

第5章では,港湾におけるうねりの情報利活用として,設計波算定と波浪予測をテーマ

(8)

に現状と課題を整理し,解決に向けた考察を行う.設計波算定については,鹿島港の試設 定例を参考に,うねり設計波の算定手順を整理し,設定上の留意点を取りまとめる.さら に,課題の解決に向けた方策について考察する.うねりの予測に関しては,既存のうねり 予測システムを紹介し,港湾管理者向けのうねり予測情報の在り方について論じる.

第6章では,本研究の主な内容を総括するとともに,今後の展望について論じる.

(9)

参考文献

1)平山克也,加島寛章,伍井稔,成毛辰徳(2015):うねりによる高波の発生確率とその地域特性に 関する考察,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 71, No.2, pp.I_85-I_90.

2)高嶋宏,坪川将丈,遠藤敏雄,高橋康弘,宇都宮好博,松藤絵理子(2015):うねり性波浪を考慮し

た設計沖波算定手法について,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 71, No. 2, pp.I_91-I_96.

3)松藤絵理子,高山知司,宮田正史,平山克也,河合弘泰,鈴木善光,宇都宮好博,福永勇介(20 17):うねり性波浪を考慮した設計波の設定法について,土木学会論文集B2(海岸工学), Vol.73,No.2,pp.I_1153-I_1158.

4)社団法人日本港湾協会(2018):港湾の施設の技術上の基準・同解説(平成30年改訂版),4423pp.

5)The WAVEWATCH III Development Group(2019):User manual and system documentation of WAVEWATCH III version 6.07,320pp.

6)Tracy, B.,Devaliere,E.,Hanson,J.,Nicolini,T.and,Tolman,H.(2007):Wind Sea and Swell Delineation for Numerical Wave Modeling.,10th international workshop on wave hindcasting,forecasting and coastal hazards symposium,15pp.

(10)

2. 太平洋沿岸におけるうねりの出現特性

本章では,NOWPHAS観測データと波浪推算結果を用いて,太平洋沿岸のうねりの 出現特性を把握した.本章の流れを図 2-1に示す.

2.1 波浪観測データによるうねりの出現特性解析

本節では,NOWPHASの観測波形データを入力として方向スペクトル解析を行い,

その結果をpartitioningにより分割して求めた成分波浪の統計解析により,うねりの出 現特性を調査した.対象地点は,太平洋沿岸を網羅するように,NOWPHAS観測地点 13地点を選択した.対象とした地点を図 2-2,表 2-1に示す.

図 2-1 解析の流れ

(11)

図 2-2 解析対象地点位置図

表 2-1 解析対象地点一覧

度 分 秒 度 分 秒 釧路港 50.1 0.9 42 54 38 144 23 50 十勝港 23.0 0.9 42 39 6 143 41 8 八戸港 26.5 0.7 40 33 39 141 34 6 久慈港 49.5 1.1 40 13 4 141 51 36 小名浜港 23.8 1.6 36 55 4 140 55 18 常陸那珂港 30.3 2.4 36 23 42 140 39 12 鹿島港 24.6 0.9 35 53 55 140 45 14 下田港 51.1 1.0 34 38 48 138 57 11 御前崎港 22.8 0.6 34 37 17 138 15 33 潮岬港 54.7 0.6 33 25 59 135 44 50 室津港 27.7 0.2 33 16 18 134 8 50 高知港 24.1 0.5 33 28 57 133 35 13 中城湾港 39.6 0.5 26 14 32 127 57 55

地点名 水深 経度

(m) 設置高

(m)

緯度

十勝港 八戸港 久慈港 小名浜港 常陸那珂港

鹿島港 下田港 御前崎港 潮岬 室津港 高知港

中城湾港

釧路港

(12)

2.1.1成分波浪の算定

NOWPHAS観測値の方向スペクトルは,海象計の観測値(鉛直方向,上層の水粒子

速度3成分)に推定精度が高いベイズ法(橋本(1987)1)を適用し求めた.

また,partitioning の方法は,Watershedアルゴリズムに基づくTracy et al.(2007) 2の 方法を用いた.この方法は方向スペクトルを地形と見立て,分水嶺で機械的に分割す る方法であり,藤木ら(2018) 3が指摘しているように,複数のピークが近接している 場合などに適切な分離ができない可能性がある.また,観測誤差やスペクトル推定誤 差に由来する微小なピークを多数検出する場合がある等の問題点がある.しかし,概 ね良好な分割結果が得られることからWW3やSWAN等の波浪推算モデルにも実装さ れ,海外においては広く利用されている方法である.本研究では,誤差に由来する微 小なピークの利用を回避するため,波高が低い成分波浪(波高0.3m未満)は解析対象 外とした.

partitioning 結果の例を図 2-3 に示す.このケースは,有義波でみると波高4.16m,

周期8.7秒,波向NNEの風波であるが,実際は5つの成分波浪が重合しており,北北 東からの風波と東からのうねりが卓越していることがわかる.

以上の方法により,対象地点の成分波浪(波高,ピーク周期,平均波向)を求めた.

対象期間は,2.2節の波浪推算の期間に合わせ,2017年の1年間(毎時値)とした.

図 2-3 partitioningの例

(有義波:波高4.16m,周期8.7秒,波向NNE)

波高:3.28m

周期:8.5秒 波向:NNE

波高:1.89m

周期:12.8秒 波向:E

波高:1.56m 周期:6.4秒 波向:NNE

波高:0.70m

周期:5.1秒 波向:SW

波高:0.68m 周期:4.9秒 波向:E

(13)

2.1.2うねりの特性解析

算定した成分波浪を用いうねりの特性解析(頻度解析及び事例解析)を行った.頻 度解析では成分波浪の発生数を用いた.例えば,前出の図 2-3の場合,1観測で5回とカ ウントした.

(1) 頻度解析

図 2-4は,波高0.3 m以上の成分波浪全て(全波浪)と波形勾配0.025未満かつ周期8 秒以上の成分波浪(うねり)の出現回数である.地点によって測得率が異なるため,

本来であれば地点間の比較は難しい.ここでは,厳密には季節により波浪の出現状況 は異なるところを欠測期間も測得期間と同じ割合で波浪が出現すると仮定して,測得 率100%となる回数に換算している.したがって,図 2-4では,測得率が低い地点は信 頼性も低いことに留意しなければならない.

図 2-4から,全波浪,うねりともに東北沿岸の久慈港,小名浜港,常陸那珂港,鹿 島港で特に出現回数が多いことがわかる.反射波や冬季風浪によるものと考えられる 陸方向からの波も含まれるが,それを除いても出現回数が多い.全波浪の出現回数が 多いということは,すなわち,これらの地点は多峰性の波浪が出現しやすいことを示 唆するものである.以下の解析では,上記4地点に着目することとする.

図 2-5は,比較的周期が短いうねり(周期8~14秒)と長いうねり(周期14秒以上)

の波向別波高別出現頻度である.各港の頻度が高い波向は,それぞれの海岸法線方向 に対応しており,特に周期14秒以上の場合にその傾向が強い.久慈から鹿島に至る東 北から北関東までの海域では,東方沖,千島列島,アリューシャン列島等で発達した 低気圧,北高型,台風からのうねりの到達等が想定され,北東~南東の波向の多様な 性質のうねりが卓越すると考えられる.各港,14秒未満のうねりは10,000回前後,周 期14秒以上のうねりは600~1,000回程度到達している.

また,図 2-5から小名浜港,常陸那珂港では陸方向からの西寄りのうねりが多く出

現していることがわかる.これは反射波によるものと推察される.反射波が観測され た解析例は,(2)事例解析②で後述する.

(14)

図 2-4 成分波浪の出現状況(2017年)

全波浪

測得率

うねり

(15)

図 2-5 波向別成分波浪の出現回数

(2017年1年間,波高0.3 m以上)

【8秒≦Tp<14秒】 【14秒≦Tp】

小名浜港

常陸那珂港

鹿島港

11,156

11,795

9,912

865

612

937

久 慈久慈港

10,335 840

(16)

(2) 事例解析

① 台風1721号

2017 年に太平洋沿岸に高波をもたらした台風1721 号通過時の波浪の状況について 解析した.台風1721号の経路図を図 2-6に示す.

図 2-7は波高が1.5 m以上(全国港湾海洋波浪観測年報の高波基準)の時刻について 各港の成分波浪の波高と周期の関係をプロットしたものである.周期14秒以上のうね りが各港に到達しているが,特に鹿島港において周期16秒以上の高波浪が出現してい ることがわかる.

そこで鹿島港で周期が特に長く波高も高い 2時刻(23日8,9時,図 2-7のオレン ジ色破線内)について詳細に見てみる.対象時刻の partitioning の結果を図 2-8 に示 す.両時刻とも第1ピークの波向は東南東であり,海岸線(北西-南東)との角度が 小さい方向からうねりが到達している.このうねりについては「4.2うねりの推算精度 向上に向けた検討」で詳述する.

なお,図 2-8左図の8時のpartitioning結果をみると,目視では第1ピークの他によ り短い周期の波が判別できるが,解析結果では一つの成分波浪となっている.9 時の 解析(図 2-8右図)では台風の強風域から到達したと考えられる周期11.6秒(波向:

東)のうねりが抽出されている.本研究で用いたpartitioningの方法は,エネルギーの 分布を地形に見立て分水嶺で機械的に分割する方法であるため,谷が検出できないと 正確に分割できないことがある.これは本手法の限界であり,利用の際には留意する 必要がある.

図 2-6 台風1721号の経路

230

239 236

(17)

図 2-7 台風1721号時の成分波浪の波高と周期

図 2-8 台風1721号時のpartitioning結果

〇:鹿島港

□:常陸那珂港

:小名浜港

✖:久慈港

Hmo:5.28m Tp:16.0秒 Dir:ESE

Hmo:3.53m Tp:18.3秒 Dir:ESE

Hmo:2.30m Tp:11.6秒 Dir:E

第1ピークより 短周期の波

(18)

② 冬型の気圧配置

冬型の気圧配置時(2017年1月21日6時)の成分波浪を解析した.この時の天気図を 図 2-9,常陸那珂港のpartitioning結果を図 2-10に示す.

この時間帯は銚子地方気象台で風速15 m/sを超える北西~北北西の風が観測されて いる.常陸那珂港では,東方沖の低気圧からの波(成分波浪(a))が卓越しており,そ の反射波(成分波浪(b)),東方の低気圧から(a)より短い周期の波(成分波浪(c))及び 強い北西風による風波(成分波浪(d))が解析されている.この例のように,partitioning を用いて風波や反射波を分離した結果を用いることにより,より正確にうねりの波浪 特性を把握することが可能となる.

図 2-9 2017年1月21日9時の天気図

(出典:気象庁HP,「日々の天気図」)

図 2-10 冬型気圧配置時のpartitioning結果

成分波浪(a) Hmo3.25m Tp9.1 DirENE 成分波浪(d)

Hmo0.99m Tp5.6 DirNW

成分波浪(c) Hmo:1.78m Tp:6.4 Dir:NE 成分波浪(b)

Hmo1.87m Tp9.1 DirWNW

常陸那珂港:2017年1月21日6時

(H1/3:4.07m,T1/3:8.7秒,Dir:ENE)

(19)

2.2 波浪推算によるうねりの出現特性解析

第三世代波浪推算モデルWW3を用い,1年間(2017年1月~2017年12月)のうねりの データセットを作成し,うねりの出現特性を解析した.対象期間は,検証のために利 用するNational Data Buoy Center(以下,NDBC)のブイ観測データの近年の測得率を 考慮し,2017年とした.

2.2.1 波浪モデルの概要

うねりの波浪推算においては,周期の予測精度が重要となる.そこで,本研究では,

鈴木ら(2016) 4や間瀬ら(2017) 5により周期の再現性が良いと報告されているWW3を

用いた.WW3の概要を以下に示す.

WW3は,NOAA(アメリカ大気海洋局)で開発されたモデルである.外洋波浪の推 算を対象として開発されたが,現在では浅海域にも拡張され,浅水変形,屈折,海底 摩擦,地形砕波等を考慮することができる.

基礎方程式は,波作用量の平衡方程式である(式(2-1)).波作用量とは,エネルギー 密度を相対角周波数で除したものであり,波作用量を用いることによって流れ共存場 での計算を簡単にすることができる.波作用量の基礎方程式を以下に示す.

𝜕𝜕𝑁𝑁

𝜕𝜕𝑡𝑡 +∇𝑥𝑥𝐱𝐱̇𝑁𝑁+ 𝜕𝜕

𝜕𝜕𝜕𝜕 𝜕𝜕̇ 𝑁𝑁+ 𝜕𝜕

𝜕𝜕𝜕𝜕 𝜕𝜕̇𝑁𝑁=𝑆𝑆 𝜎𝜎,

𝐱𝐱̇=𝐜𝐜𝐠𝐠+𝐔𝐔,

𝜕𝜕̇=−𝜕𝜕𝜎𝜎𝜕𝜕𝜕𝜕

𝜕𝜕𝜕𝜕𝜕𝜕𝜕𝜕 −k∙𝜕𝜕𝐔𝐔

𝜕𝜕𝜕𝜕

𝜕𝜕̇=−1

𝜕𝜕�𝜕𝜕𝜎𝜎

𝜕𝜕𝜕𝜕

𝜕𝜕𝜕𝜕

𝜕𝜕𝜕𝜕+k∙𝜕𝜕𝐔𝐔

𝜕𝜕𝜕𝜕�

𝜕𝜕k

𝜕𝜕𝑡𝑡 +∇ω= 0

(2-1)

ここで,𝑁𝑁:波作用量,𝜕𝜕:波数,θ:波向,S:ソース項,𝐜𝐜𝐠𝐠:群速度ベクトル,

k:波数ベクトル,𝜎𝜎:相対角周波数(=ω−k・𝐔𝐔),𝐔𝐔:流速ベクトル,s:波向θの 軸,msに直交する軸,d:平均水深,ω:角周波数である.

上式の左辺第 1 項は波作用量の時間微分,第 2 項は空間における波作用量の移流,

第3項は水深や流れによる相対角周波数への影響,第4項は水深や流れによる屈折,

右辺はソース項を表す.

(20)

ソース項は,式(2-2)で表される.

𝑆𝑆=𝑆𝑆𝑙𝑙𝑙𝑙+𝑆𝑆𝑖𝑖𝑙𝑙+𝑆𝑆𝑙𝑙𝑙𝑙+𝑆𝑆𝑑𝑑𝑑𝑑+𝑆𝑆𝑏𝑏𝑏𝑏𝑏𝑏+𝑆𝑆𝑑𝑑𝑏𝑏+𝑆𝑆𝑏𝑏𝑡𝑡+𝑆𝑆𝑑𝑑𝑠𝑠+𝑆𝑆𝑖𝑖𝑠𝑠𝑖𝑖+𝑆𝑆𝑡𝑡𝑖𝑖𝑟𝑟+𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥

(2-2)

ここで,

𝑆𝑆𝑙𝑙𝑙𝑙:線形発達項

𝑆𝑆𝑖𝑖𝑙𝑙:風からのエネルギー入力 𝑆𝑆𝑙𝑙𝑙𝑙:4波共鳴(非線形相互作用)

𝑆𝑆𝑑𝑑𝑑𝑑:白波砕波

𝑆𝑆𝑏𝑏𝑏𝑏𝑏𝑏:海底摩擦

𝑆𝑆𝑑𝑑𝑏𝑏:地形性砕波 𝑆𝑆𝑏𝑏𝑡𝑡:3波共鳴

𝑆𝑆𝑑𝑑𝑠𝑠:海底による散乱

𝑆𝑆𝑖𝑖𝑠𝑠𝑖𝑖:海氷の影響

𝑆𝑆𝑡𝑡𝑖𝑖𝑟𝑟:海岸や海氷の反射

𝑆𝑆𝑥𝑥𝑥𝑥:ユーザー定義 である.

各ソース項には,複数のswitchが用意されており,波浪推算の目的や海域特性など によって選択できるようになっている.表 2-2,表 2-3に一覧を示す.

(21)

表 2-2 switch一覧(その1)6)

pr0 No propagation scheme / GSE alleviation used.

pr1 First order propagation scheme, no GSE alleviation.

pr2 Higher-order schemes with Booij and Holthuijsen (1987) dispersion correction.

pr3 Higher-order schemes with Tolman (2002a) averaging technique.

prx Experimental (user supplied).

uno Second-order (UNO) propagation scheme.

uq Third-order (UQ) propagation scheme.

flx0 No routine used; flux computation included in source terms, flx1 Friction velocity according to Eq. (2.56).

flx2 Friction velocity from Tolman and Chalikov input.

flx3 Idem, with cap of Eq. (2.78) or (2.79).

flx4 Friction velocity according to Eq. (2.138).

flxx Experimental (user supplied).

ln0 No linear input.seed Spectral seeding ln1 Cavaleri and Malanotte-Rizzoli with filter.

lnx Experimental (user supplied).

st0 No input and dissipation used.

st1 WAM3 source term package.

st2 Tolman and Chalikov (1996) source term package. See also the optional stab2 switch.

stab0 No stability correction. Compatible with any source term (st) package. Including this switch has no effect.

stab2 Enable stability correction (2.95) - (2.98). Compatible with st2 only.

st3 WAM4 and variants source term package.

stab3 Enable stability correction from Abdalla and Bidlot (2002).Compatible with st3 and st4 only.

st4 Ardhuin et al. (2010) source term package.

st6 BYDRZ source term package.

stx Experimental (user supplied).

nl0 No nonlinear interactions used.

nl1 Discrete interaction approximation (DIA).

nl2 Exact interaction approximation (WRT).

nl3 Generalized Multiple DIA (GMD).

nl4 Two-scale approximation (TSA).

nlx Experimental (user supplied).

bt0 No bottom friction used.

bt1 JONSWAP bottom friction formulation.

bt4 SHOWEX bottom friction formulation.

bt8 Dalrymple and Liu formulation (fluid mud seafloor).

bt9 Ng formulation (fluid mud seafloor).

btx Experimental (user supplied).

(22)

表 2-3 switch一覧(その2)6

ic0 No damping by sea ice.

ic1 Simple formulation.

ic2 Liu et al. formulation.

ic3 Wang and Shen formulation.

ic4 Frequency-dependent damping by sea ice.

is0 No scattering by sea ice.

is1 Diffusive scattering by sea ice (simple).

is2 Floe-size dependent scattering and dissipation.

ref0 No reflection.

ref1 Enables reflection of shorelines and icebergs db0 No depth-induced breaking used.

db1 Battjes-Janssen.

dbx Experimental (user supplied).

tr0 No triad interactions used.

tr1 Lumped Triad Interaction (LTA) method.

trx Experimental (user supplied).

bs0 No bottom scattering used.

bs1 Magne and Ardhuin.

bsx Experimental (user supplied).

xx0 No supplemental source term used.

xxx Experimental (user supplied).

wnt0 No interpolation.

wnt1 Linear interpolation.

wnt2 Approximately quadratic interpolation.

wnx0 Vector interpolation.

wnx1 Approximately linear speed interpolation.

wnx2 Approximately quadratic speed interpolation.

crt0 No interpolation.

crt1 Linear interpolation.

crt2 Approximately quadratic interpolation.

crx0 Vector interpolation

crx1 Approximate linear speed interpolation.

crx2 Approximate quadratic speed interpolation.

nogrb No package included.

ncep1 NCEP GRIB1 package for IBM SP.

ncep2 NCEP GRIB2 package for IBM SP.5.9.2 Optional switches

(23)

2.2.2波浪推算の計算条件

表 2-4に本研究の波浪推算で使用したswitchをまとめた.また,波浪推算で用いた主 な計算条件を表 2-5に示す.

計算領域は図 2-11に示したとおり,太平洋全域とした.太平洋沿岸に到達するうね りは,台風や本州東方沖からアリューシャン近海にかけての海域で発達した低気圧に 起因するものが卓越する.一方で,琴浦ら(2011) 7は南太平洋の擾乱が太平洋沿岸に おける波浪推算の精度に影響を与えると報告しており,港湾における荷役や海洋工事 の施工の上で無視できないレベルのうねりが南太平洋から到達している可能性がある.

このため,波浪推算では南北太平洋を計算領域に含めることとした.

表 2-4 選択したswitch

項目 switch 概要

数値計算法

DIST 並列計算する

MPI 〃

PR3 GSE:高次スキーム,Tolman (2002a) averaging technique.

UQ 伝搬: ULTIMATE QUICKEST

ソース項 ST6 Sin+Sds:BYDRZ source term package.

FLX0 ソース項に含まれるフラックス計算を利用

LN1 線形入力項:Cavaleri and Malanotte-Rizzoli with filter NL1 非線形相互作用:DIA

XX0 ユーザー定義のソース項:なし BT1 海底摩擦:JONSWAP

DB1 地形性砕波:Battjes-Janssen

MLIM 波浪変形時のリミタ―:Miche-style

TR0 三波共鳴:なし

IC2 海氷による減衰: Liu and Mollo-Christensen (1988), Liu et al.(1991) and Ardhuin et al. (2015)

IS2 海氷による散乱:Floe-size dependent scattering and dissipation.

BS0 bottom scattering:なし

その他 WNX1 風データの時間内挿:線形

WNT1 風データの空間内挿:線形

(24)

表 2-5 主な計算条件

項目 内容

波浪推算モデル WW3(Version5.16) 入力風、海氷

(密接度、氷厚)

NCEP CFSv2 hourly time-series 周波数範囲 0.04~0.394Hz(25分割)

方向分割数 36(10度)

水深 ETOPO1

図 2-11 計算領域

(25)

波浪推算の精度を大きく支配する「風からのエネルギー入力項𝑆𝑆𝑖𝑖𝑙𝑙」と「減衰項𝑆𝑆𝑑𝑑𝑑𝑑」 の組み合わせ,及び海氷の考慮𝑆𝑆𝑖𝑖𝑠𝑠𝑖𝑖については,以下に詳述する.

(1) 風からのエネルギー入力項𝑆𝑆𝑖𝑖𝑙𝑙及び減衰項𝑆𝑆𝑑𝑑𝑑𝑑

「風からのエネルギー入力項Sin」と「減衰項𝑆𝑆𝑑𝑑𝑑𝑑」の組み合わせは,うねりをわずか に過小評価するが最も正確に推算するとの報告(Stopa et al.(2016) 8)があるST6(Zieger

et al. (2015) 9)を選択した.各項の基礎方程式を以下に示す.

a) 風からのエネルギー入力項𝑆𝑆𝑖𝑖𝑙𝑙

𝑆𝑆𝑖𝑖𝑙𝑙(𝜕𝜕,θ) = 𝜌𝜌𝑎𝑎

𝜌𝜌𝜎𝜎𝜎𝜎(𝜕𝜕,θ)𝑁𝑁(𝜕𝜕,θ), 𝜎𝜎(𝜕𝜕,𝜕𝜕) =𝐺𝐺�𝐵𝐵𝑙𝑙𝑊𝑊,

𝐺𝐺 = 2.8− �1 + tanh�10�𝐵𝐵𝑙𝑙𝑊𝑊 −11��, 𝐵𝐵𝑙𝑙=𝐴𝐴(𝜕𝜕)𝑁𝑁(𝜕𝜕)𝜎𝜎𝜕𝜕3,

𝑊𝑊=�𝑈𝑈 𝑐𝑐 −1�2

(2-3)

ここで,𝜌𝜌𝑎𝑎:大気の密度,𝜌𝜌:海水の密度,c:波の位相速度,𝑈𝑈:風速(=28u*, u*は摩擦速度),𝐴𝐴:方向スペクトルの集中度を示すパラメータである.

摩擦速度u*を求めるために使用する海面抵抗係数Cdは式(2-4)で求められる.

𝐶𝐶𝑑𝑑× 104= 8.058 + 0.967𝑈𝑈10−0.016𝑈𝑈210

(2-4) ここで,𝑈𝑈10は,10m高度の風速である.

𝐶𝐶𝑑𝑑と風速の関係を図 2-12,摩擦速度u*と風速の関係を図 2-13に示す.参考のため

に,WAMcycle3 等の初期の第 3 世代波浪推算モデルで用いられている Wu(1980)10)

式による𝐶𝐶𝑑𝑑もプロットしている.ST6で用いられている𝐶𝐶𝑑𝑑は風速30m/sを超えると減 少に転じ,摩擦速度は風速50m/sを超えると一定となる.Wuと比較すると,低風速時 の摩擦速度はほとんど差がないが,高風速時はWuよりST6の方がかなり小さく,波 へのエネルギー輸送が抑えられていることがわかる.

(26)

図 2-12 風速と𝐶𝐶𝑑𝑑の関係

図 2-13 風速と摩擦速度の関係

0.0000 0.0005 0.0010 0.0015 0.0020 0.0025 0.0030 0.0035 0.0040 0.0045 0.0050

0 10 20 30 40 50 60 70

Cd

風速U10(m/s)

ST6 Wu Wu(Cd上限0.0025)

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00

0 10 20 30 40 50 60 70

u*

風速U10(m/s) ST6

WuWu(Cd上限0.0025)

(27)

b)減衰項𝑆𝑆𝑑𝑑𝑑𝑑+𝑆𝑆𝑑𝑑𝑠𝑠𝑙𝑙

① 白波砕波𝑆𝑆𝑑𝑑𝑑𝑑

白波砕波項は2つの異なるメカニズムを含んでおり,式(2-5)で表される.

𝑆𝑆𝑑𝑑𝑑𝑑(𝜕𝜕,𝜕𝜕) = [𝑇𝑇1(𝜕𝜕,𝜕𝜕) +𝑇𝑇2(𝜕𝜕,𝜕𝜕)]𝑁𝑁(𝜕𝜕,𝜕𝜕),

(2-5)

右辺の第1項の𝑇𝑇1は,その周波数での波の不安定さから生じる主な砕波,第2項の 𝑇𝑇2は、例えば,砕波により発生する乱流等でより長い周期の波が砕波することによる 減衰である.𝑇𝑇1及び𝑇𝑇2は,それぞれ式(2-6),式(2-7)で表される.

𝑇𝑇1(𝜕𝜕) =𝑎𝑎1𝐴𝐴(𝜕𝜕) 𝜎𝜎 2𝜋𝜋�∆(𝜕𝜕)

𝐸𝐸�(𝜕𝜕)�

𝑝𝑝1

(2-6)

𝑇𝑇2(𝜕𝜕) =𝑎𝑎2� 𝐴𝐴(𝜕𝜕)𝑐𝑐𝑔𝑔 2𝜋𝜋�∆(𝜕𝜕)

𝐸𝐸�(𝜕𝜕)�

𝑝𝑝2

𝜕𝜕𝜕𝜕

𝑘𝑘

0

(2-7) ここで,

∆(𝜕𝜕) =𝐸𝐸(𝜕𝜕)− 𝐸𝐸𝑇𝑇(𝜕𝜕) 𝐸𝐸𝑇𝑇(𝜕𝜕) = 𝜀𝜀𝑇𝑇

𝐴𝐴(𝜕𝜕)𝜕𝜕−3 である.

𝐸𝐸𝑇𝑇(𝜕𝜕)は,砕波の閾値となるスペクトル密度である(図 2-14参照).𝜀𝜀𝑇𝑇は経験的に 設定された定数であり,𝜀𝜀𝑇𝑇 = 0.0352である.𝑎𝑎1と𝑎𝑎2はキャリブレーションで用いる係 数である.𝐸𝐸�(𝜕𝜕)は正規化のために使われるスペクトル密度であり,𝐸𝐸(𝜕𝜕)もしくは𝐸𝐸𝑇𝑇(𝜕𝜕) が用いられる.𝑝𝑝1と𝑝𝑝2は,正規化された閾値超過レベル∆(𝜕𝜕)の影響の強さをコントロ ールする係数である.

(28)

図 2-14 周波数スペクトルと砕波閾値 Rogers et al. (2012) 11より引用

C:位相速度,U10=12m/s

②うねりの減衰𝑆𝑆𝑑𝑑𝑠𝑠𝑙𝑙

砕波がない場合でも,他のメカニズムで波は減衰する.それはうねりの減衰であり,

波と乱流の相互作用に関してパラメタライズされる(Babanin(2011))12).このメカニズ ムは風波に対しても有効である.うねりの減衰は下式で表される.

𝑆𝑆𝑑𝑑𝑠𝑠𝑙𝑙(𝜕𝜕,𝜕𝜕) =−2

3𝑏𝑏1𝜎𝜎�𝑏𝑏𝑙𝑙𝑁𝑁(𝜕𝜕,𝜕𝜕), 𝑏𝑏1=𝐵𝐵12√𝐸𝐸𝜕𝜕𝑝𝑝

(2-8)

ここで𝐵𝐵1はスケーリング係数,𝜕𝜕𝑝𝑝はピークの波数,𝐸𝐸は全エネルギーである.

減衰項の各係数のデフォルト値は表 2-6のとおりである.本研究ではデフォルトの 値を用いた.

表 2-6 係数一覧

係数 Ver.5.16 Ver.6.07

a1 3.74E-7 4.75E-6

p1 4 4

a2 5.24E-6 7.00E-5

p2 4 4

B1 0.0032 0.0041

注)本章では,Ver.5.16,第4章ではVer.6.07を用いた.

(2) 海氷の考慮𝑆𝑆𝑖𝑖𝑠𝑠𝑖𝑖

南太平洋の波浪を推算するにあたって重要となるのが,暴浪で知られている南緯40- 70度の海域の推算である.この範囲に位置する南極海北部では,冬季広い範囲に海氷 が 張 り 出 す た め , こ の 海 域 で は 海 氷 域 の 推 算 精 度 が 特 に 重 要 と な る . そ こ で ,

(29)

NOWPHAS観測地点の紋別(南)で波浪の観測値が得られているオホーツク海におい て,あらかじめ海氷の考慮方法を検討し,より精度の高い方法を使用することとした.

WW3に実装されている海氷考慮に関するオプションのうち,従来よく用いられてい る海氷の密接度が大きい海域を陸地とする方法(以下,IC0)と密接度と海氷厚から

scalingする方法(以下,IC2)を比較検討した.

ここで,IC0における陸地と判定する密接度の閾値は,菅原ほか(2012)13)の報告を参 考として0.75以上(10分位の密接度7~8以上に相当)とした.

IC2は、Liu and Mollo-Christensen (1988) 14),Liu et al.(1991) 15),及び Ardhuin et al. (2015)

16)の論文に基づいた方法である.主な海氷のパラメータは,空間的及び時間的に変化 する氷の厚さである.波は氷の下の境界層の摩擦により減衰し.氷は連続した薄い弾 性板としてモデル化される.境界層は常に層流であると仮定しているが、空間的に変 化する渦粘性νを使用している.

波に及ぼす海氷の影響は,組み合わされた波数の項で表現される.

𝜕𝜕=𝜕𝜕𝑡𝑡+𝑖𝑖𝜕𝜕𝑖𝑖

(2-9)

実数部 k r は海氷が波長と伝搬速度に及ぼす影響を表し,水深による浅水変形と屈折に

類似した効果を生じさせ,複素数k iの虚数部分は指数関数的減衰係数 k iとして,減衰を 生じさせる.

𝑆𝑆𝑖𝑖𝑠𝑠𝑖𝑖の項は以下の式で表される.

𝑆𝑆𝑖𝑖𝑠𝑠𝑖𝑖2cg𝜕𝜕𝑖𝑖𝐸𝐸,

cg= (𝑔𝑔+ (5 + 4𝜕𝜕𝑡𝑡𝑀𝑀)𝐵𝐵𝜕𝜕𝑡𝑡5)/(2𝜎𝜎(1 +𝜕𝜕𝑡𝑡𝑀𝑀)2) 𝜎𝜎2= (𝑔𝑔𝜕𝜕𝑡𝑡+𝐵𝐵𝜕𝜕𝑡𝑡5/(coth(𝜕𝜕𝑡𝑡𝑠𝑠) +𝜕𝜕𝑡𝑡𝑀𝑀),

(2-10)

ここで,𝑠𝑠は水深である.変数𝐵𝐵𝑀𝑀は、それぞれ氷の曲がり具合と氷の慣性の影響 を定量化したもので,これらの変数は両方とも氷の厚さに依存する.

その他の主な計算条件は表 2-5と同様とした.計算領域は図 2-15のとおりである.

推算期間は,紋別(南)の観測値が取得されている2011年1月とした.

代表諸元の比較結果を図 2-16に,対応する時期の海氷分布と紋別(南)の位置を図

2-17に示す.1月10日前後は,海氷の張り出しが小さく,IC0とIC2の推算結果に差はみ

られないが,1月15日前後では特にピーク時に両手法での推算値の差が大きくなり,30 cm程度ではあるがIC2の方が観測値に近い推算値が得られている.14日の高波浪のピ ーク時についてスペクトルの比較結果を図 2-18に示す.IC0,1C2ともに北北東~北 東の10秒以上のうねり成分が観測値より過大であるが,IC2の方が観測値に近い結果

(30)

となっている.IC0とIC2の差分から,海氷が低密接度で張り出している方向からのう ねりがIC0でより過大であることがわかる.以上の結果から,本研究では海氷を考慮す る方法としてIC2を使用することとした.

図 2-15 計算領域

図 2-16 推算値と観測値の比較(紋別(南),2011年1月)

黒線:観測値,青線:IC0,赤線:IC2

(31)

図 2-17 海氷の分布状況と紋別(南)の位置

(出典:気象庁HP)17)

図 2-18 スペクトルの比較(紋別(南),1月14日16時)

110 115

紋別(南) 紋別(南)

観測

IC0 IC2

差分(IC0-IC2)

黒線:2.0 m2/Hz/rad,赤線:6.0 m2/Hz/rad

(32)

2.2.3波浪推算の精度検証

波浪推算結果について,NDBC ブイ観測データ及び NOWPHAS の観測値との比較 による精度検証を行い,波浪推算の妥当性を確認した.ここで,観測周期の算定方法 は,NDBCブイは2次モーメント周期であり,NOWPHASはゼロアップクロスで算定 した有義波周期である.推算値は観測値に合わせ,NDBC地点については2次モーメ ント周期,NOWPHAS地点はマイナス1次モーメント周期とした.

図 2-19に検証地点の位置図,表 2-7,図 2-20~図 2-22に検証結果を示す.

波高については,以下のことが言える.

・低緯度のサモアやグアム等で回帰係数が小さく過小に推算されている.これは入 力風である CFSv2 の風速が低緯度帯で負のバイアスを持っていることに起因すると 考えられる(Stopa et al.(2016) 8)).

・釧路や中城湾では,回帰係数が 1.1 以上であり相関係数も他の地点と比較して低 い.これは,計算格子が 0.2 度と粗く,沿岸の波浪変形の影響を十分に考慮できてい ないためと考えられる.

以上を除くと,全体的に回帰係数は1.0前後,相関係数は0.9前後であり,良好な推 算結果が得られている.

周期については,NDBC のブイの地点では回帰係数は 1.0 前後,相関係数は 0.7 前 後である.NOWPHAS の GPS 波浪計や海象計の地点では,回帰係数が大きく 1 割程 度過大評価で相関係数が 0.65 程度であり NDBC の地点の結果より精度が劣るが,波 浪推算と観測値の周期の算定方法の違いによる可能性がある.以上のことから,波高 より精度は劣るが,周期についても概ね妥当な結果が得られているといえる.

(33)

図 2-19 検証地点

表 2-7 検証結果

アラスカ湾 北米西岸

チリ沖 サモア

グアム ハワイ 釧路 福島沖 三重尾鷲沖 中城湾宮崎日向沖

回帰係数 相関係数 回帰係数 相関係数

チリ沖 32012 0.98 0.91 1.03 0.71

サモア 51209 0.83 0.88 1.01 0.71

ハワイ 51004 0.93 0.90 0.99 0.70

アラスカ湾 46246 1.03 0.93 0.91 0.78

北米西岸 46089 1.03 0.94 1.05 0.68

グアム 52202 0.90 0.90 1.00 0.67

釧路 613 1.17 0.89 1.12 0.68 福島沖 806 0.89 0.91 1.17 0.66 三重尾鷲沖 811 1.01 0.92 1.16 0.62 宮崎日向沖 818 1.01 0.90 1.11 0.66 中城湾 701 1.22 0.80 1.10 0.65

地点

地点名 コード 波高 周期

(34)

図 2-20 検証結果(1)(rは相関係数)

チリ沖:Hs チリ沖:T02

サモア:Hs サモア:T02

ハワイ:Hs ハワイ:T02

アラスカ湾:Hs アラスカ湾:T02

(35)

図 2-21 検証結果(2)(rは相関係数)

北米西岸:Hs 北米西岸:T02

グアム:Hs グアム:T02

釧路:Hs 釧路:T1/3

福島沖:Hs 福島沖:T1/3

(36)

図 2-22 検証結果(3)(rは相関係数)

三重尾鷲沖:Hs 三重尾鷲沖:T1/3

宮崎日向沖右:Hs 宮崎日向沖:T1/3

中城湾:Hs 中城湾:T1/3

(37)

2.2.4うねりのデータセット作成

概ね良好な波浪推算結果が得られたことから,太平洋全域の1年間(2017年1月~

2017 年 12 月)のうねりの性質を持つ成分波浪のデータセット(全計算格子,1 時間 毎)を作成した.

うねりの成分波浪の諸元は,観測値の解析と同様にWW3に実装されているTracy et

al. (2007)の方法により方向スペクトルのpartitioningを行って求めた.

データセットの諸元は,波高,ピーク周期,平均波向,及び方向分散角である.

方向分散角 spr は,WW3 に実装されている方法(式(2-11))により算定した(Kuik et al.(1988))18

𝜕𝜕𝑝𝑝𝑠𝑠=�2�1− �𝑎𝑎2+𝑏𝑏2 𝐸𝐸2

12

��

12

(2-11)

𝑎𝑎=� � cos(𝜕𝜕)𝐹𝐹(𝜎𝜎,𝜕𝜕)𝜕𝜕𝜎𝜎 𝜕𝜕𝜕𝜕,

0 2𝜋𝜋 0

𝑏𝑏=� � sin(𝜕𝜕)𝐹𝐹(𝜎𝜎,𝜕𝜕)𝜕𝜕𝜎𝜎 𝜕𝜕𝜕𝜕,

0 2𝜋𝜋

0

ここで,𝜕𝜕は波向,𝜎𝜎は角周波数,F は成分波のエネルギー,E は総エネルギーであ る.

2.2.5 うねりの出現特性解析

作成したデータセットを用い,太平洋沿岸のうねりの出現状況を解析した.解析対 象地点を図 2-23 に示す.ここで,うねりは観測値の解析と同様,波形勾配 0.025 未 満,周期8秒以上の成分波浪とした.

また,「減衰距離が短いうねり」と,「減衰距離が長いうねり」では出現特性が異な ると考えられるため,方向分散角によりうねりを分類した上で解析した.方向分散角 と波形勾配の関係を調べたところ,図 2-24に示すように方向分散角が10以下であれ ば波形勾配が概ね 0.01 以下(Smax≧75),10 を超え 25 以下であれば波形勾配が概ね

0.025以下(Smax≧25)であることがわかった.そこで,方向分散角が10以下のうねり

を「減衰距離が長いうねり」,方向分散角が10を超え25以下であるうねりを「減衰距 離が短いうねり」として分類した.

方向分散角別にうねりの出現頻度統計を行った結果を図 2-25に示す.各地点とも 減衰距離が短いうねりは長いうねりの数倍発生しており発生頻度が高い.また,減衰 距離が短いうねりは東~南東の波向の発生頻度が高く,日本の南方から東方に位置す る台風からのうねりや南岸低気圧の通過に伴ううねりであることが示唆される.減衰

(38)

図 2-23 解析対象地点

*地点名は図中の番号に「J」を付したものとする.

距離が長いうねりは東北東から北東のうねりが卓越している.これはアリューシャン 近海等北太平洋の遠方で発生したうねりが多いためであると推察される.地点別にみ ると,減衰距離が短いうねり,長いうねりともに,東北沖で発生頻度が高く,東海か ら四国にかけてのJ12~J18地点は発生頻度が低い.北東方向が陸地である東海~四国 にかけての海域は,北東からのうねりが到達しにくいためであると考えられる.

さらに,季節別に波高と周期の波向別出現頻度を解析した結果を図 2-26~図 2-33 に示す.対象地点は,図 2-23の地点を3 地点毎に間引いた9地点とした.ここで,

春は3~5月,夏は6~8月,秋は9~11月,冬は1,2,12月とした.

春は,減衰距離が短いうねりは,波高1.0m以下,周期8~12秒,波向東北東~東南 東のうねりが卓越し,減衰距離が長いうねりは,波高0.5~1.5m,周期8~16秒,波向 北東~東北東のうねりが卓越している.

夏は,減衰距離が短いうねりは波高1.5m以下,周期8~16秒,波向東~東南東のう ねりが卓越し,他の季節と比較して出現回数が多い.これは,日本の東方から南方に 位置する台風によるものと考えられる.一方,減衰距離が長いうねりの出現回数は非 常に少ない.

(39)

秋は,減衰距離が短いうねりは,波高0.5~1.5m,周期8~12秒,波向東北東~東南 東のうねりが卓越し,減衰距離が長いうねりは,東北沖で波高0.5~1.5m,周期8~16 秒,波向北東のうねりが卓越しているほかは,出現回数が少ない.

冬の減衰距離が短いうねりについては,関東沖で出現頻度が高く,波高2.5m以上を 含む北東からのうねりが解析されていること,東北沖でも波高 1.0~2.5m,周期 12~ 16秒の北東~東北東からのうねりが解析されていることが特徴的である.これは,南 岸低気圧によるものと推察される.その他の地点では,波高1.0m以下,周期8~12秒 の東から東南東のうねりが卓越している.減衰距離が長いうねりは,波高0.5~1.5m, 周期12~16秒,波向北東のうねりが卓越しており,波向からアリューシャン近海で発 達した低気圧を発生源とするうねりであると考えられる.

(40)

図 2-24 方向分散角と波形勾配の関係

(地点24,うねり波高30 cm以上)

図 2-25 方向分散角別出現回数

減衰距離が短いうねり 減衰距離が長いうねり

【減衰距離が長いうねり:方向分散角≦10】

【減衰距離が短いうねり:10<方向分散角≦25】

【波向】

方向分散角(度)

(41)

図 2-26 波向別波高・周期出現頻度(減衰距離が短いうねり,春)

【波高】 【周期】

(42)

図 2-27 波向別波高・周期出現頻度(減衰距離が長いうねり,春)

【波高】 【周期】

(43)

図 2-28 波向別波高・周期出現頻度(減衰距離が短いうねり,夏)

【波高】 【周期】

(44)

図 2-29 波向別波高・周期出現頻度(減衰距離が長いうねり,夏)

【波高】 【周期】

(45)

図 2-30 波向別波高・周期出現頻度(減衰距離が短いうねり,秋)

【波高】 【周期】

(46)

図 2-31 波向別波高・周期出現頻度(減衰距離が長いうねり,秋)

【波高】 【周期】

(47)

図 2-32 波向別波高・周期出現頻度(減衰距離が短いうねり,冬)

【波高】 【周期】

(48)

図 2-33 波向別波高・周期出現頻度(減衰距離が長いうねり,冬)

【波高】 【周期】

(49)

2.3 まとめ

本章では,観測データと波浪推算結果の両面から,我が国太平洋沿岸のうねりの出 現特性を調査した.

観測値解析の結果,東北から北関東にかけての太平洋側では多峰性の波浪が出現し やすく,北東~南東の波向の多様な性質のうねりが到達していることが確認された.

波浪推算結果からは,減衰距離が短いうねりは東~南東の波向の発生頻度が高く,

減衰距離が長いうねりは東北東~北東の波向の波が卓越していることがわかった.減 衰距離が短いうねりは,夏季には日本の南方から東方に位置する台風を発生源とする うねり,冬季には南岸低気圧の通過に伴い発生するうねりが多く,減衰距離が長いう ねりは,秋から春にかけてアリューシャン近海で発達する低気圧によるものが多いこ とによるものと考えられる.

観測値と波浪推算値による統計解析の結果は,観測地点は沿岸に位置し,波浪推算 値は沖の値であることから単純に比較はできないが,うねりの発生回数が東北から北 関東にかけては多く,東海から四国にかけては少ないなど,日本の沿岸にそった発生 回数の分布傾向は類似しており,波浪推算による解析により,うねりの到達の定量的 な把握が可能であることが確認できた.

(50)

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11)Babanin, A. V. (2011):Breaking and dissipation of ocean surface waves, Cambridge University Press, 480 pp.

12)Rogers, W. E., A. V. Babanin, and D. W. Wang (2012), Observationconsistent input and whitecapping dissipation in a model for windgenerated surface waves: Description and simple calculations, J. Atmos.Oceanic Techn., 29, pp.1,329–1,346.

13)菅原吉浩,山之内順,山本泰司(2012):海氷減少を考慮したオホーツク海における波浪の将来 変化,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol.68,No.2,pp.I_1221-I.1225.

14)Liu, A. K., and E. Mollo-Christensen (1988): Wave propagation in a solid ice pack, J. Phys. Oceanogr., 18, pp.1,702–1,712.

15)Liu, A. K., B. Holt, and P. W. Vachon (1991):Wave propagation in the marginal ice zone: model predictions and comparisons with buoy and synthetic aperture radar data, J. Geophys. Res., 96(C3), pp.4,605–4,621.

(51)

16)Ardhuin, F., F. Collard, B. Chapron, F. Girard-Ardhuin, G. Guitton,A. Mouche, and J. Stopa (2015):

Estimates of ocean wave heights and attenuation in sea ice using the SAR wave mode on Sentinel- 1A, Geophys.Res. Lett., 42, pp.2,317–2,325.

17)気象庁:オホーツク海の海氷分布図,

https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/seaice/okhotsk/okhotsk_extent.html

18)Kuik, A. J., G. P. Van Vledder and L. Holthuijsen(1988): A method for the routine analysis of pitch-and- roll buoy wave data. J. Phys. Oceanogr.,Vol.18,pp.1020-1034.

(52)

3. 太平洋沿岸に到達するうねりの発生源

本章では,うねりの伝搬や発生源推定に関する既往研究を整理するとともに,発生源の 推定が難しい遠方からのうねりに着目し,Wave system tracking1)を用いて発生源を解析した.

3.1 既往研究の整理

太平洋におけるうねりの伝搬についての先駆的な研究として,Snodgrass et al.(1966)2)が 挙げられる.Snodgrass et al.は,南極からアラスカ湾までの間に6地点の観測地点を設け,

そのうちハワイには複数の波高計を設置して波向も算出可能とした.それぞれの地点の波 形データから周波数スペクトルを求め,その時間変化から波源までの距離と発生時刻を求 めた.図 3-1にハワイでの解析例の一例を示す.周期が長い波と短い波の波速の違いによ り,波源が遠いほど両者の到達時間に差がでることから,峰線の傾きで距離を求めること ができる.また,峰線と時間軸との交点が発生時刻となる.ハワイでは波向が求められて いるため波源の特定が可能であり,ハワイで観測される高いうねりのほとんどが南極で発 生していることを示した(永田(1990) 3)を参考).

この研究以来,うねりの伝搬や減衰,発生域に関する多くの研究が行われた.

北野ら(2002) 4)は,台風の位置や中心気圧の情報のみを用いてうねり成分の周波数に応じ

た群速度やエネルギーを計算し,台風発生時のうねりの到達時期や到達エネルギーを予測 する簡易的な手法を検討した.

図 ハワイでの解析例( から引用)

図   2-4 成分波浪の出現状況(2017 年)
図  2-5  波向別成分波浪の出現回数 ( 2017 年 1 年間,波高 0.3 m 以上)【8秒≦Tp&lt;14秒】       【14 秒≦Tp】小名浜港常陸那珂港鹿島港計11,156回 計11,795回 計9,912回 計865回計612回計937回久 慈久慈港計10,335回 計840回
図  2-7  台風 1721 号時の成分波浪の波高と周期 図  2-8  台風 1721 号時の partitioning 結果〇:鹿島港 □:常陸那珂港 ▲:小名浜港 ✖:久慈港 Hmo:5.28m Tp:16.0秒   Dir:ESE Hmo:3.53m Tp:18.3秒   Dir:ESE Hmo: 2.30m Tp:11.6秒    Dir:E 第1ピークより短周期の波
図   2-20 検証結果 (1) ( r は相関係数)
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参照

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