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方向分割を高解像度化した推算

ドキュメント内 太平洋沿岸におけるうねりに関する研究 (ページ 80-87)

4.2 うねりの推算精度向上に向けた検討

4.2.4 方向分割を高解像度化した推算

図 4-7は,鹿島港を対象とし,台風1721号時の観測値,基本条件の推算値(解像度10

度),高解像度化した場合の推算値(解像度2.5度)について,それぞれの有義波諸元と成 分波浪を時系列で示したものである.

鹿島港においては,方向解像度を高くすることによって,有義波レベルではピーク付近 で全体的に波高が高くなり周期も長くなった.成分波浪でみると南東系の成分波浪はより 高く,北東~東系の成分波浪はより低くなっていることがわかる.周期が短い時間帯は,

両者の差が小さいことから,周期が長く海底地形の影響を受けやすい南東系の波向の時に 解像度による差が出やすい傾向にある.

そこで,南東系の成分波浪が卓越する10月 23日 10時について,波浪の伝搬の状況を 確認した.図 4-8に両条件の波高,周期及び波向の平面分布図を示す.図 4-8から,方向 解像度を高くすることによって,犬吠埼沖の海底地形の影響がより強く,より広範囲にな っていることがわかる.図 4-9は,同時刻について鹿島港付近を拡大し,両条件の推算周 期の差の分布と両条件の推算波向を示したものである.水深が深い海域では,両条件の波 向の差はほとんどなく矢印は重なっているが,水深30~40m以浅で波向に差がみられ,解 像度を高くした推算値(緑の矢印)の屈折が小さいことがわかる.このため,解像度を高 くした場合は,エネルギーがより北の方まで伝搬し,推算周期の差は北部で大きくなって いる.結果として鹿島港付近では,方向解像度を高くした場合の波高がより高くなってい るものと考えられる.

次に,方向解像度を高解像度化と波浪推算の空間解像度の関係を確認するため,第2領 域(3分メッシュ)についても両条件の推算結果を比較した.図 4-10,図 4-11及び図 4-12 は,前述の第3領域(1分メッシュ)と同様に作成した時系列図と平面分布図である.図 4-10から,方向解像度を高くした場合は南東系の長い周期のうねりが再現できていないこ

と,図 4-11 から,方向解像度を高くした場合は周期が長い海域が常陸那珂港付近にシフ

トしていること,図 4-12から,水深 50~60m 以浅で波向に差がみられることがわかる.

第3領域で得られた結果と同様,方向解像度を高くした場合は屈折率が小さくなり,エネ ルギーがより北の方まで伝搬している.結果として,常陸那珂港付近で周期が長く,鹿島 港は遮蔽域となり波高は低く周期は短くなっている.この結果は,方向解像度を検討する 場合は,波浪推算の空間解像度との適合性を確認する必要があることを示唆するものであ る.

鹿島港においては,方向解像度を上げることによって,波高,周期ともに観測値と比較 してより過大となったが,基本条件においても2回目のピーク後は過大傾向である.1分 メッシュでは,海底地形の影響が十分に考慮できていない可能性もあり,さらなる検討の 余地が残されている.

台風通過前後の北東系のうねりの過小については,GMDの場合と同様、方向解像度を 高くしても改善はみられなかった.

図 4-7 有義波と成分波浪の時系列図(鹿島港,台風1721号)

黒のプロット:観測値,線の向きは波向(ex. :北東)

赤のプロット:方向分割数36(解像度10度)

緑のプロット:方向分割数144(解像度2.5度)

有義波諸元

成分波浪

【方向分割数36:解像度10度】 【方向分割数144:解像度2.5度】

図 4-8 第3領域(格子間隔1分)の平面分布の比較(2017年10月23日10時) *図中の緑線は等水深線

波高(m) 波高(m)

周期(秒) 周期(秒)

鹿島港 常陸那珂港

小名浜港

図 4-9 第3領域の周期差と波向の比較(2017年10月23日10時) 赤の矢印:方向分割数36(解像度10度)

緑の矢印:方向分割数144(解像度2.5度)

周期差:解像度2.5度の周期-解像度10度の周期 黒線:等水深線(m)

周期差(秒)

鹿島港

図 4-10 有義波と成分波浪の時系列図(鹿島港,台風1721号,第2領域)

黒のプロット:観測値

赤のプロット:方向分割数36(解像度10度)

緑のプロット:方向分割数144(解像度2.5度)

【方向分割数36:解像度10度】 【方向分割数144:解像度2.5度】

図 4-11 第2領域(格子間隔3分)の平面分布の比較(2017年10月23日10時) *図中の緑線は等水深線(m)

波高(m) 波高(m)

周期(秒) 周期(秒)

鹿島港 常陸那珂港

小名浜港

図 4-12 第2領域の周期差と波向の比較(2017年10月23日10時) 赤の矢印:方向分割数36(解像度10度)

緑の矢印:方向分割数144(解像度2.5度)

周期差:解像度2.5度の周期-解像度10度の周期 黒線:等水深線(m)

鹿島港

周期差(秒)

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